やじうまロングレビュー
羽根つき餃子からお店レベルのパンケーキまで! セラミックフライパンで本格調理
2017年9月29日 07:00
先日、筆者が長年愛用してきた京セラのセラミック包丁を紹介したが、今回はそれに続いて同じくセラミックを使ったフライパンを紹介しよう。
メーカー名 | 京セラ |
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製品名 | セラブリッドフライパン |
タイプ | IH対応 28cm |
価格(編集部調べ) | 2,874円 |
まず、白いフライパンというのが衝撃的! セラミックでコーティングされた「セラブリッド」と呼ばれるフライパン。もちろんただのセラミックではなく京セラ独自のセラミックス製だ。セラミックスがどんなものであるかは「玉ねぎみじん切りも怖くない! 京セラのセラミック包丁を使い倒す」をご覧いただきたい。
簡単に言うとセラミックスの熱の伝わる早さと、固さをアルミの母材の上にコーティングしたフライパンだ。ホーローも熱伝導率が良いことで知られるが、表面加工が熱で痛んでしまうのでフライパンには適さない。セラミックスは熱に強いので、フライパンなのにホーローのように火が均一に入るという特徴がある。
また、セラミックスがアルミの熱回りの良さを引き出すため、遠赤外線効果でしっかり熱を伝えられる。中火以下での使用を推奨しており、火が弱くても中はジューシー、外はこんがりと仕上げてくれるのだ。
驚愕のベストマッチ! 餃子焼くならコレしかない!
ウチは夕飯に餃子が出る確率が高い! 時間があると家族総出で餃子を包み、大体100個ぐらい作る。時間がないと、帰り道の「餃子の王将」で生餃子を買ってくる。
セラブリッドを使っていて、これ以上にベストマッチはない! と感じたのは焼き餃子だ。ということで、簡単な注意点や特徴と合わせて、餃子を焼いてみることにしよう。題して「パーフェクトな羽付き餃子を焼く!」。
1.余熱は中火で1分間、その後気持ち弱火で
他のフッ素樹脂加工のフライパンと同じで、余熱はフライパンの底に火の先端が届くぐらいの中火で。1分ぐらいしたら、火を気持ち弱める。フッ素樹脂過去のフライパンは、そのまま中火で調理してしまうが、セラミックの場合はセラミックから遠赤外線がでるので、中火のまま調理すると火力が強すぎるのだ。
2.ちょびっと油を引いてなじませる
説明書に書いてなかったが、油を引くたびになじんでくる感じがあった。なので使い始めの数回は、油引きを使ってフライパン全体に油をなじませると、5回目ぐらいでフッ素樹脂加工のようにツルツルになるようだ。最初は目玉焼きや野菜炒めなどを、フライパン全面を使うように、慣らし運転をするといいだろう。
3.餃子をササッ! と並べる
普段は、フライパンの円形に合わせて丸く並べていくが、今日はオシャレ(笑)に撮影したかったので、縦に6個×2列並べた。
油がなじんだセラミックフライパンは、テフロンよりツルツルで、コンロが傾いていたりすると餃子が滑っていってしまうので注意。
4.予め用意していた小麦粉水(150cc)をザザー! と入れる
小麦粉水は150ccの水に、大さじ1杯の小麦粉を溶かしたもの。薄力粉でも強力粉でもいい。餃子のレシピは、この水の量がマチマチだが、フライパンのフタのしまり具合と重さで幅があるようだ。
アルミの軽いふた(なべ用のを代用してるとか)で蒸気がフライパンの全周囲からバンバン逃げるようなら250cc位入れてもOK。ぴっちり閉まるフライパン用のフタでガラスが付いている重いふたなら150ccでも十分。
5.フライパンの音をよーく聞いて、グツグツという音がパチパチに変わったらフタを開ける
グツグツを低い音がするときは水分が残っているとき、水分がなくなると目玉焼きと同じ「パチパチ」音に変わる。耳の悪い方は聞き取れない可能性もあるけど、ほとんどの人は耳を澄ましていれば聞き取れる。
6.仕上げのごま油を軽く振る
パチパチ音に変わったらスグふたを取ると、まだちょっと小麦粉水がノリみたいになっている。この状態で仕上げの油をたらすと、照りが出て美味しく見える。ダイエットしてる人は、油なしでもOK。
7.餃子の周りにできている羽根の色を観察して焼き色をチェック
フライパンが白いから、羽根のこげ色を見ていれば引き上げるタイミングバッチリ。つまり小麦粉水のこげ具合で=餃子の焼き目の色になっているということ。
8.フライ返しを差し込めば、まったくコゲつきなく餃子が取れる
コーティングが剥がれたフッ素樹脂のフライパンや、温度の加減を間違えた鉄のフライパンだと、羽が全部フライパンにくっ付いてしまうが、セラブリッドなら、フライパンの丸い形の羽をそのまま取ることができた。
また、フライパン全体の羽根の色を見て分かるとおり、表面温度も均一。これはセラミックがアルミに比べて熱を伝えやすい性質を持っているためだ。しかもセラミックは陶器なので、遠赤外線を出すためコンロの火を弱めても料理に火が入る。
なお、ずっと中火で使い続けると、料理が焦げてしまうだけでなく、セラミックも傷めてしまうので注意。
ちなみにフツーのフッ素樹脂加工のフライパンを使って焼いた餃子はこんな感じ。
セラブリッドを使うまでは、ウチではこれがフツーの餃子だった。でもセラブリッド使っちゃったら、餃子はこれ以外で焼けなくなること確実!
フライパンいっぱいの巨大ホットケーキで熱伝導をチェック!
ココで使っているのは28cmのフライパン。一般的なサイズは26cmなのでちょっと大きめだ。これだけ大きいと、ちゃんと火が回るのか? と心配になるだろう。スーパーで売っている格安のフッ素コートフライパンとかだと、26cmでも焼きムラができてしまうほど。そこでどのぐらい均一に火が回るかの実験をしてみた。
方法は、フライパンいっぱいの巨大ホットケーキを作って焼き色を見るという実験だ。
さっそく巨大ホットケーキを焼いてみると、ご覧の通り!
商品写真か! というぐらい均一に、火が入っているのが分かるだろう。ガスコンロの火は大体直径10cm程度。でも28cmフライパンで巨大ホットケーキを焼いても、これだけキレイに焼けるのだ!
フッ素やテフロン、マーブルやダイヤモンドコートと何が違う
スーパーに行くといろんな表面加工されたフライパンが売られている。中でも有名なのがテフロン加工とフッ素樹脂加工だが、これらはどちらも同じものだ。テフロンはデュポン社の登録商標になっているので、他の会社はフッ素樹脂加工と呼んでいるだけのこと。
フッ素樹脂加工はペンキで色を塗るように、アルミの上に塗布している。しかもフッ素は熱に弱いので、中火以上での使用は禁止され、フライ返しなども樹脂製のものが推奨されている。これらはいずれも、アルミの母材からフッ素を剥がしてしまわないようにするためだ。このようにちょっと使い方に制限はでてしまうものの、油をまったく引かなくても、食材がこげてくっ付かないという便利さを持っている。
一方セラブリッドフライパンは、アルミの母材の上に薄いセラミック層を密着・形成している。イメージ的には、ホーロー鍋に近いだろう。そのためフッ素樹脂加工のフライパンとはちょっと性質が違っている。
まず第一の違いは、フッ素加工は食材がフライパンの上をスルスル滑るように、非常に摩擦が小さくなっている。「食材が焦げない」のではなく、「焦げてもくっ付かない」というのが正解だ。だからすべりを良くするための油が不要というわけ。
かたやセラミックの場合は、フッ素加工のように焼き面がつるつる滑るというわけではなく「焦げ付きにくい」程度。
コゲつきやすチャーハンや焼きそばを作る場合は、ちょっと油を引いてやることで、つるつる滑るようになり、焦げづらくなる。
さらにセラミックは、温度を良く伝える性質があるので、大きなフライパンを小さなコンロにかけても、面全体が温まる。加えてセラミックは遠赤外線を出すので、コンロの火を弱くしても、こんがり焼きあがるという性質がある。
先の餃子の仕上がりを見ても分かるとおり、フライパン全体が均一に温まるので、一般的なフライパンに比べると焼きムラが非常に少ないのが特徴だ。
ウチは中華が多いからバンバン強火で調理したいという人は、別途鉄のフライパンや中華なべを用意したほうがいい。これなら存分に強火で使えるが、油ならしなど面倒なこともある。また余熱を十分にしないと、すぐ焦げ付くのも鉄鍋の弱点だ。
普段使いは、セラミックフライパン、中華料理屋みたいなシャキシャキ野菜炒めが食べたいときは鉄のフライパンと使い分けるのもいいだろう。
余熱はジンワリだがフライパン全体に大熱量が広がるセラブリッド
餃子やホットケーキで温度ムラがないというのを実証してみたが、実際データとして本当にムラがないのかをチェックしてみた。実験に使ったのは、スマホのサーモグラフィ(熱画像カメラ)として有名なFLIR社のFLIR ONE PROだ。
まずは一般的なフッ素樹脂加工フライパンを撮影してみた。この映像は火を弱火にして1分間余熱したときの温度分布で、外側の黄色から順に赤、白と温度が高くなっていることを示している。
比べてみれば一目瞭然。左側の一般的なフライパンは、火が当っている中央部分は熱くなっているが、外周に行くほどどんどん温度が下がっている。まぁ、当たり前と言えば、当り前なんだが……。
しかし右側のセラブリッドは、火の当っている部分は同じぐらいの大きさだが、赤い輪の幅がまったく違う。フライパンの底全体が熱くなっているのが分かるだろう。さらに外周の温度を見比べて欲しい。
左の一般的なフライパンは外周が黄色になっているが、セラブリッドはオレンジに近くより高温になっている。つまりコンロの火が弱くても、フライパン全体が高温で均一に熱くなるというわけ。
「じゃあ一般的なフライパンはもう少し火を大きくして使えばいいじゃないか!」という意見もあると思う。もちろんそうすると、加熱される面が広くなる。が! 火の直接当る中心部はさらに熱くなり、先の餃子のように焼きムラができてしまうというわけ。つまり一般的なフライパンは火を大きくしようと、小さくしようと、温度ムラができてしまうのだ。
セラブリッドを使うと餃子やホットケーキが見たこともない位キレイに焼けるのは、この温度差に秘密があったのだ。
どちらも中火で1分余熱して、弱火にしている。
着火するとお花のような柄がフライパンに広がるが、セラブリッドは赤い花、一般的なものは白い花となっているのが分かる(およそ11秒後)。つまり、こういうことだ。
表面温度が150℃に達した時間は、一般的なフライパンだと62.5秒(125フレーム)、セラブリッドは少し時間がかかり2分半(309フレーム)。しかしフライパンの熱のムラを比べてみると一目瞭然。
余熱してから弱火に切り替えて40秒後の温度もまた異なる。
一般的なフライパンは、この温度でほぼ変化がなくなったのでムービーを停止してしまったが、セラブリッドは火を弱火にして1分半(498フレーム)すると、さらにフライパンの温度ムラがなくなり、全体が高温になってきた。
このようにセラブリッドは一般的なフライパンに比べ温まるまで少し時間がかかるが、火を弱火にしてもフライパン全体が均一に熱くなる。しかも一般的なフライパンよりも熱量が多い。中心部からフチまで使ってもきれいに焼け、しかも弱火で十分熱量が得られるというエコなフライパンなのだ。
遠赤外線と言えば肉! 美味しく焼けるかチェック!
強火で使えないフライパンじゃ、まともな料理はできない! と思われる方もいるかもしれない。確かにアルミやステンレスで厚みがないフライパンでは、煮込みにしか使えないかも知れない。
しかしセラブリッドは、アルミに熱伝導性の高いセラミックでコーティングしているので、底面全体に熱が回る。しかもセラミックからは遠赤外線が出るので、肉や魚などの表面がこんがり焼き上がるのが特徴だ。そこでステーキを焼いて火力の強さを見てもらうことにしよう。
まずは何度も説明したとおり、中火で1分余熱。スジきりした肉を並べる。
肉は2枚焼くので少しフライパンの温度が下がりそうだったので、しばらく中火にしておいた。
しばらくしてからひっくり返すと、この通り! しっかり焦げ目も付いている。
この時点ではもう弱火にしているけれど、このコゲ具合。フライパンの温度は、最高でも140℃だ。
肉を焼き終えた後は、フライパンに美味しいエキスが残っているので、ワインを入れてソースを作る。塩としょうゆでシンプルに味付けをしてもいいし、お好みで顆粒のスープストックを小さじ半分ぐらい入れてもいい。
さらにステーキで便利に使えるのは、フライドガーリック。黒いフライパンだと、コゲ色が分からなくて、白いのから真っ黒いのまで、バラバラになってしまうけど、セラコートなら白いので丁度いい具合にフライになったガーリックができる。
どうよ! このミディアム具合!
さらに今回は、京セラのスライサーで薄くスライスしたジャガイモを180℃の油で2分ほど揚げ、オリジナルのポテトチップを付け合せに添えてみた。
どう? こんなに薄くスライスできるから、本物のボテチと変わらないできあがり! ポイントとしては、ジャガイモは煮込み料理用のメイクイーンを使うことと、スライスして水に浸し余分なでんぷん質を落とすこと。
火の入りづらいチキンステーキも遠赤外線とフタでふっくら!
牛肉は高いし、油脂が多いからヘルシーにチキンステーキがいいわ! という場合もお任せ! セラブリッドなら火の入りづらいチキンでも、遠赤外線で皮はパリパリ、中は肉汁あふれ出すジューシーな仕上がりにできる! マジで!
今回使ったのはモモ肉(最近ブタロース並みにお高いですねー)だけど、グラム40円ほどのムネ肉でもOK! まずは、肉の超分厚い部分を包丁でそいで、だいたい同じぐらいの厚さにする。
次に塩コショーで下味を入れる。お好みでちょっり香辛料を振っておくと、お店の味になる。お勧めの香辛料は、耳かき1杯のタイム(強いので)、ほんの一振りのオレガノもしくはディルウィード、モモ肉ならパンチを利かせて耳かき1杯のナツメグでもいい。
あとは室温で30分ぐらい放置しておけばOK。またムネ肉の場合は1切れあたり大さじ3杯ぐらいの水を振っておくといい。すると肉が水を吸って、モモ肉のようにジューシーになるのだ! これワンポイントアドバイス! そして決して冷蔵庫には入れないこと!
中火で熱したフライパンに、皮面を下にして入れる。すかさず150ccの水を入れる。あとはキッチリしまるフライパン用のフタをして、水が全部蒸発するのを待つ。そう、チキンステーキは餃子の焼き方とまったく同じ蒸し焼きなのだ!
水分が蒸発するとチリチリという音とになるので、フタを開けて3分ぐらい焼き皮に焼き色をつける。これをそのまま盛り付けてOK。え!? 裏面を焼かないの? と思うかもしれないが、十分蒸気で火が入っているので問題なし。
レモンソース
コゲが残ったままのフライパンに白ワインを50cc、水を50cc入れて、フライパンのコゲをこそげ落としながらソースを作る。あとはちょっととろみが付くぐらいまで煮詰める。
最後にレモンの皮を大根おろし器で小さじ半分ぐらい擦って、それをソースに投入して、すぐさまお肉にかければレモンソースのできあがり。
レモンがもったいない! という人は、冷凍庫に丸ごと入れて凍らしておくといい。皮を使うときは冷凍のまま大根おろしにかけれるので便利。
そろそろフライパンを買い替えるなら京セラのセラブリッド
なお京セラによると、セラブリッドフライパンは「フッ素加工よりは焦げ付きやすい」とのこと。しかし、油ならしをしていると1週間も使っていれば、フッ素加工並みに焦げ付かないようになるだろう。もし焦げ付いてしまっても「激落ちくん」のようなメラミンスポンジで、キュキュ! となぞればコゲ汚れも簡単に落ちる。
フライパン専用に開発されたファインセラミックをコーティングしているので、表面の固さ(耐久性)はもちろん、熱のまわりの良さ、そしてセラミックから出る遠赤外線による加熱で、肉料理が格段に美味しくなることは間違いない。
ただひとつ注意すべきは、中火で余熱1分、あとは火を絞って使うこと。「弱火なのにこんがり!」をぜひ試してみて欲しい!