LED電球、どれを買う?

東芝「LED電球高演色タイプ キレイ色 -kireiro- LDA9L-D-G」

~Ra90の高い演色性で、肌や食べ物がキレイに見える
by藤原 大蔵

LED電球の中でもトップクラスの高い演色性

東芝「E-CORE(イー・コア)LED電球高演色タイプ キレイ色 -kireiro- LDA9L-D-G 540lm」

 LED電球は省エネ性能の高さが特徴だが、それだけでは物足りない。明るさ、光の広がり、そしてモノ本来の色を表現する「演色性」という、3つの「あかりの質」が揃って、初めて優れた照明といえる。

 特に演色性は、生活空間では重要なポイントだ。たとえ明るくても、演色性が悪いと、食べ物がまずそうに見えたり、顔色が悪く見えたりと、ものの見え方や印象が大きく変わってしまう。

 今回紹介するLED電球は、その演色性を特に重要視した、東芝ライテックの 「E-CORE(イー・コア)LED電球高演色タイプ キレイ色 -kireiro- LDA9L-D-G 540lm」(以下、キレイ色)だ。

 このLED電球の特徴は、演色性の高さを示す数値「平均演色評価数」が非常に高いところ。多くの電球色のLED電球では、平均演色評価数が「Ra80」前後が一般的なのに対し、キレイ色では「Ra90」と、最大値の「Ra100」に近い数値となっている。この高演色は、LED発光部に使用する蛍光体に緑色と赤色を追加し、蛍光体の調合を最適化することで実現しているという。


メーカー名東芝ライテック
シリーズ名・品番E-CORE (イー・コア) 高演色タイプ
LDA9L-D-G
全光束540lm
定格消費電力8.8W
口金E26
光色電球色相当 (2,700K)
白熱電球と比較した光量40W形相当
定格寿命40,000時間
調光器対応-
密閉器具対応
実売価格2,980円(yodobashi.com)

 全光束は540lmで、日本電球工業会の基準では、「40W形白熱電球相当(485lm以上)」となる。配光角度は260度と広い“全配光型”で、密閉器具に対応している。

 レビューに先立って、実際に使用した感想を述べると、「暖かみのある光色で、色の再現性がとても自然」だ。キレイ色の色温度は2,700Kで、白熱電球(2,850K)よりも低めだが、光には心地良い暖かみがある。照らされる物の色も、くすみや色の偏りが感じられず、気持ち良い。肌色は健康的に、生花も活き活きと美しく照らし出された。

40W形白熱電球で手を照らした様子電球形蛍光灯の様子。肌色が黄色っぽくなりあまり健康的な色合いに見えないキレイ色LED電球の様子。色のくすみは無く、血色の良い肌色が再現された
花を白熱電球で照らした電球形蛍光灯は、全体的に色がくすみ、鮮度が落ちた印象だキレイ色は、淡い花びらの色の再現性も良く自然な色合いだ

※記事中、比較用の電球として、60W形白熱電球は三菱電機オスラムの「LW100V57W2PZ」 (2個パック143円で購入)、40W形白熱電球は三菱電機オスラムの「LW100V38W2PZ」 (2個パック143円で購入)、電球形蛍光灯はパナソニックの 「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用しています。


【基本スペック編】

サイズ比較

 実測したサイズは118×60mm(高さ×直径)。白熱電球より24mm、電球形蛍光灯より4mm大きい。白色のフィンレスのヒートシンクはコンパクトで、電球らしいくびれがある。やや大きめではあるが、とても電球らしいシルエットだ。30mmの口金付近は白熱電球よりも2mm細く、器具を選ばないだろう。

 重量は実測で164gと、軽量化が進むLED電球の中では重い部類になるが、撮影中に器具が重さで傾くような事は起こらなかった。ただし、多灯タイプや華奢な器具に取り付ける場合は、重さを考慮する必要はありそうだ。

高さは118mm(中央)。60W形白熱電球(左)より24mmも背が高く、電球形蛍光灯よりも4mm高い。くびれのあるコンパクトなフィンレスの放熱部は電球らしい。口金付近は薄いピンク色となっており、「キレイ色」シリーズであることを示している。重量は164gとLED電球の中ではやや重め直径は60mm(中央)で、白熱電球や電球形蛍光灯よりも5mm大きい。グローブ球の頭頂部にロゴが入っている。ちなみにLEDチップはまったく透けない

器具に取り付けたようす

 器具とのバランスは良い。電球形蛍光灯よりもさらに背は高いものの、器具内部に収まっており、口金付近のヒートシンクはよほど覗き込まないと見えない。電球の先にはロゴもあり、大きめの電球を取り付けた、という印象だった。

【白熱電球:40W形】
電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影した
【電球形蛍光灯】
電球の直径は白熱電球と同じだが、背が高いため、内側のらせん状の蛍光管が透けて見える
【キレイ色】
背は高いが器具内にちゃんと収まり、大きめの電球を取り付けた印象だ。放熱部はコンパクトなので、かなり奥まで覗き込まない限り見えてこない

光の広がりかたと配光性

 光の拡散性は、全配光形の260度というだけに、光源部を中心に、横方向や床方向へもしっかり広がっている。また、遠くまで光が届いている印象もあった。

【白熱電球:40W形】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている
【電球形蛍光灯】
白熱電球と同じように、ソケット付近まで光が届く。しかし遠くまでは届かない印象だ
【キレイ色】
横方向、床方向にも光が拡散している。床への明るさは白熱電球ほどではないものの、ソケット方向にもしっかり光が拡散している

 電気スタンド型の器具に取り付けてみると、キレイ色は光が下方向にもしっかり届いているのがわかる。上方向への光の方が強いが、LED電球にありがちな強い影はできず、柔らかな光が拡散している。器具のシェードは、全体の2/3以上が明るく輝き、器具の雰囲気を十分に引き出している。このようなスタイルの器具でも問題なく取り替えられるだろう。

【白熱電球:40W形】
シェードは中心からまんべんなく光り、シェードの上下からほぼ同じ明るさの光が漏れる印象がある
【電球形蛍光灯】
白熱電球と遜色なく、シェードのほぼ中心からまんべんなく光る。シェードの上下からもほぼ同じ明るさの光が漏れる
【キレイ色】
光が上方に強く放たれるが、下方へもしっかりと光が届いている。器具シェードは2/3以上が明るく輝いている

明るさ(55cm直下の照度)

 直下照度は490lxだった(点灯15分後)。日本電球工業会の基準では「40W形白熱電球相当の明るさ」と規定されるが、光は直下だけでなく、テーブル全体、さらに壁面へもしっかり届いており、40W形白熱電球よりも一段と明るい印象だった。40W形白熱電球から取替えて、暗くなるという事は全くないだろう。

 なお点灯中は、電球からジーという雑音がすることもなく、ラジオにノイズが乗ることもなかった。

【白熱電球:40W形 467lx】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【電球形蛍光灯(60W形):475lx】【キレイ色 490lx(点灯10分後)】
点灯直後は540lxで、明るさが安定するまで10分弱かかった。点灯直後よりも暗くなるが、それでも直下の明るさは40W形白熱電球よりも明るい490lxだった。テーブル全体が明るい

 背が高く、比較的重めだが、明るさは40W形白熱電球以上で、光の広がり方も白熱電球に比肩する。40W形白熱電球以上の明るさが確認できたので、実使用では家庭で一番使われる60W形白熱電球とも比較してみよう。


【実使用編】

 ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探って行く。なお、密閉器具にも対応しているので、浴室や密閉型のインテリアライトにも使用した。

玄関

 明るさ、拡散性、光色、演色性、いずれも玄関にふさわしい。狭い空間なので、60W形白熱電球と取り替えても遜色ない。壁面、ドア、さらに床面へ明るさがしっかり届き、影も柔らかい。親しみがあり、暖かな雰囲気の玄関が演出できる。

【白熱電球:60W形】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【白熱電球:40W形】
玄関としては、もうすこし明るさが欲しいか
【電球形蛍光灯】
比較すると色が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる
【キレイ色】
40W形白熱電球よりも、狭い空間なら60W形白熱電球と遜色ないほど。自然な暖かみのある光色は親しみがあり、玄関にふさわしい雰囲気だ

浴室

 浴室も玄関と同様にとても良い。40W形白熱電球よりも明るく、光色も自然な色合い。リラックスする空間にとてもふさわしい印象だった。鏡に映る反対側の壁にも光が届いている。60W形白熱電球と交換すると、若干暗くはなるが、十分に使用できる範囲。浴室用LED電球としても十分に実力を発揮する。

【白熱電球:60W形】
浴室全体が十分に明るい
【白熱電球:40W形】
明るさはやや落ちるものの、浴室全体に光が行き渡る
【電球形蛍光灯】
満足のいく明るさは得られるが、明るさが安定するまでに時間がかかり、色合いもイマイチ
【キレイ色】
40W形白熱電球よりもぐっと明るい。暖かみがありリラックスする空間にふさわしい

※浴室で使用する場合は、器具が防滴構造であることが条件となります

トイレ

 トイレに40W形白熱電球を使用しているならば、交換して全く問題ないだろう。白熱電球よりも明るく、しかも眩しくない。清潔感のある落ち着いた雰囲気が演出できる。

 トイレは短時間しか過ごさない場所だけに、安くはないキレイ色を使うのはもったいないと思う人もいるかもしれない。だが、確実に毎日繰り返し過ごす場所だけに、演色性が良く、居心地の良い明かりを選ぶ、というのは十分にアリだろう。

 なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。

【白熱電球:60W形】
十分に明るく、気持ちよく過ごせる
【白熱電球:40W形】
トイレは狭い空間なので、まだまだ十分に明るく感じる
【キレイ色】
40W形白熱電球よりも明るく、清潔感がある。影の落ち方も穏やかで明るく落ち着いた印象だった

リビングルーム

 透過タイプの器具との相性はとても良い。器具はほぼ均等に輝き、部屋全体に光が広がる。さすがに60W形白熱電球よりは暗くなってしまうが、自然な暖かみのある光色に包まれた、落ち着いた雰囲気が十分に楽しめる。

【白熱電球:60W形×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り、十分な明るさがある
【白熱電球:40W形×2 透過タイプのシェード】
2灯ならば十分な明るさがある。くつろぎにも団欒にもいいだろう
【電球形蛍光灯×2 透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部、側面へも光が広がる。しかし、木肌のテーブルや床はLED電球よりも暗い印象で、色被り(余計な色が加わること)によりくすんで見える
【キレイ色×2 透過タイプのシェード】
明るさは40W形白熱電球よりもずっと明るい。光色も良く、しかも照らされる物の色にくすみは全く感じない

 非透過タイプの器具でも、とても良い結果が得られた。天井からの反射光もあり、器具が持つ印象、バランスの良い光と影のコントラストが心地良い。木肌の色合いも暖かみが感じられ好印象だった。

【白熱電球:60W形×2 非透過タイプのシェード】
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている
【白熱電球:40W形×2 非透過タイプのシェード】
明るさが抑えられ、一層落ち着いた印象になる
【電球形蛍光灯×2 非透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部へも光が広がるが、透過タイプと同様、色がいまひとつ
【キレイ色×2 非透過タイプのシェード】
天井面は40W形白熱電球とさほど変わらないが、下方は60W形白熱電球に近い明るさとなった。部屋全体のバランスは白熱電球よりも印象が良かった。暗部の色の再現性も○

 

【キレイ色×2 インテリアライト2台】
暖かみと高演色の光で、くつろぎ感や落ち着きが演出できる。配光角度が狭い一般型のLED電球では作り出せない、白熱電球らしい雰囲気が得られる

 複数の局所照明を組み合わせた使い方も特にお勧めだ。部屋全体が柔らかな光に包まれ、より一層くつろぎの空間にふさわしい雰囲気が演出できる。60W形白熱電球よりは明るさは落ちるが、薄暗さは感じない。


リビングルーム(インテリア照明)

 密閉型のインテリア照明にも使える。器具はほぼ均等に輝き、白熱電球とまったく遜色ない印象だった。ただし、40W形白熱電球よりも明るく、顔の側にあると眩しい。部屋全体を照らす局所照明の1つとして利用するのがいいだろう。

【白熱電球:20W形】
明るさを抑えた白熱電球を使用した写真。このぐらいなら、目の触れる高さにおいて直視してもあまり眩しさを感じない
【白熱電球:40W形】
正直、明るすぎる。直視すると不快な眩しさを感じてしまう
【キレイ色】
器具に光のムラができず均一に輝く。ただし、40W形白熱電球よりも明るくなるので、距離を置いて、全体照明の1つとして、局所照明として活用するのが良いだろう

食事の風景

 食事のシーンにはバッチリだ! 色温度は2,700Kで、白熱電球の2,850Kよりも低く、暖色が若干強くなる。しかし、目玉焼きの白身やハム、サラダもとても自然な色合いで、くすみが無い。食器の材質による白さの違い、ランチョンマットの本来の色合いも再現されていた。落ち着いた暖かみがあり、それでいて華やかな食卓が演出できるだろう。

【白熱電球:40W形】
食事は全体的においしそうに見える。ただし赤みが強い光色のため、モスグリーンのランチョンマットが茶色に見える
【電球形蛍光灯】
色味のバランスが崩れ、食卓全体がくすんだ印象になってしまうハムの色味が特に気になる
【キレイ色】
食事のシーンにバッチリ!! 白熱電球よりも暖かみの強い光色。しかし色のくすみは感じられず、華やかで食事が全ておいしそうに見え食欲をそそる。食事を取り囲むテーブルやマットもごくごく自然

40W形白熱電球と交換で、元が取れるのは【1年5カ月】

 消費電力は、カタログ上では8.8Wだが、実測では8Wだった。40W形白熱電球以上の明るさがありながら、消費電力は1/5近く節約できる。

 キレイ色は低価格化が進むLED電球の中では初期費用は高めだが、40W形白熱電球と交換なら、1年5カ月で電球代は回収できる。

 60W形白熱電球となら、消費電力は1/7以上も節約でき、電球代も11カ月と短期間で回収できる。明るさは多少落ちるが、狭い空間や雰囲気を大切にする場所ならば、取り替えて損はない。

 電球形蛍光灯からの交換も現実的と言える範囲だ。試算では、蛍光灯を2個目に取り替える4年6カ月で逆転する。演色性は比較にならない程良く、しかも明るく、点灯回数による寿命への影響も受けない点は大きなアドバンテージだ。すでに何年か電球形蛍光灯を使っているならば、十分取り替えに値するだろう。

【白熱電球:60W形】
消費電力は57W。消費電力1Wあたりの発光効率は14.2lm/W
【白熱電球:40W形】
消費電力38W。発光効率は12.8lm/W
【電球形蛍光灯】
消費電力10W。発光効率は75lm/W
【キレイ色】
実測の消費電力は8Wだった。発光効率は67.5lm/Wだった。効率では電球形蛍光灯より劣るが、実際の明るさはこちらが上だった
【従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算】
光源実測 
消費 
電力
1カ月3カ月半年 
(6カ月)
11カ月1年1年 
5カ月
2年
4年半
キレイ色
LDA9L-D-G
12W3,023円3,109円3,237円3,452円3,495円3,709円4,009円5,296円
白熱電球 
60W
56W377円987円1,976円3,570円3,876円5,544円10,480円17,475円
白熱電球 
40W
38W275円682円1,364円2,453円2,453円3,817円5,313円11,989円
電球型蛍光灯 
60W形
10W1,445円1,554円1,719円1,992円1,992円2,321円3,197円5,737円
※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」
※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球には、4カ月ごとに電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算



演色性は本当に高く、あらゆるシーンで使える

 東芝ライテックの「LDA9L-D-G」の良さは、なんと言っても高い演色性。肌色は健康的に、食べ物は全ておいしそうに見える。照らされるもの全てが自然な色合に映え、とても快適だ。しかも、40W形白熱電球以上の明るさが得られるため、60W形白熱電球からの交換もかなり現実的だ。

 敢えて不満点を挙げるなら、価格だろうか。低価格化が進むLED電球で、実売価格が2,980円程というのは(yodobashi.com 10月30日時点の価格)購入しやすい価格とは言えない。だが、演色性、明るさ、拡散性に、密閉器具にも対応しているなど、価格に見合った価値はあるのではないか。

 使用シーンとしては、東芝のホームページには、「洗面化粧台やダイニング、美容室や飲食店などにおすすめ」と記されている。これは確かにそのとおりだが、使った実感では、玄関やトイレなどの狭い空間から、ゆったりとくつろぐリビングルームや食卓まで、人が過ごす暮らしのあらゆるシーンにお勧めしたくなる。LED電球に取り替えた事を感じさせない快適さは、多くのLED電球の中でも特筆すべきポイント。「LED電球に変えたいけど、光色が悪くなるのはちょっと……」という、色で失敗したくない方には特にお勧めしたいLED電球だ。



東芝「キレイ色 LDA9L-D-G」はこんなLED電球 

・高い演色性は生活の全てのシーンに最適

・多くの40W形白熱電球に取り替えられる。狭い空間なら60W形との置き換えもOK

・光の拡散性も高く、密閉器具にも対応

・40W形白熱電球と交換した場合、1年5カ月で電球代が回収できる(1日8時間使用)


 ←  パナソニック「EVERLEDS クリア電球タイプ LDA6LC」

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2012年10月31日 00:00