LED電球、どれを買う?
パナソニック「EVERLEDS クリア電球タイプ LDA6LC」
■クリア白熱電球のきらめき、温もりを再現したLED電球がより明るくなった
パナソニック「EVERLEDS (エバーレッズ) LED電球 クリア電球タイプ 485lm LDA6LC」白熱電球40W形相当の明るさだ |
LED電球に求められるものは、明るさ、配光性、演色性という「明かりの質」だけではない。「器具との相性」も見逃せないポイントだ。照明器具は、光源が入ってはじめて完成するわけだが、器具によっては、取り付ける電球の輝き方も、デザインの一部となる。
その一例として、ガラスの煌きや透明感を活かすシャンデリアやペンダント、織り成す影や透け感を楽しむ和紙の器具などが挙げられる。そのような器具の多くには、器具のデザイン性をより引き出すために、「シャープな輝き、クッキリとした影」が特徴の、クリアタイプの電球が付いてくる。
しかし、クリア電球を一般的なLED電球に取り替えると、光や影の陰影が弱くなり、器具の特徴を活かしにくい。多くのLED電球は、直線的な光のLEDを拡散するグローブなどでLED素子が覆われている。光が広がり、眩しさを抑える効果がある一方で、きらめくような輝きは薄れ、影の輪郭も甘くなってしまう。そのような器具には、クリア電球に近い輝きを持つLED電球を使いたい。
そこで今回は、パナソニックのクリア電球タイプのLED電球「EVERLEDS (エバーレッズ) LED電球 クリア電球タイプ LDA6LC」を紹介しよう。今年の初めに既に紹介した、明るさ210lmの「LDA4LC」の後継機種となる、より明るさを高めたクリアLED電球だ。
メーカー名 | パナソニック |
製品名 | EVERLEDS(エバーレッズ)クリア電球タイプ6.4W |
品番 | LDA6LC |
全光束 | 485lm |
定格消費電力 | 6.4W |
口金タイプ | E26 |
光色 | 電球色相当(2,700 K) |
白熱電球と 比較した明るさ | 40W形相当(ランプ単体) |
定格寿命 | 40,000時間 |
調光器対応 | - |
密閉器具対応 | ○ |
実売価格 | 4,480 円(yodobashi.com) |
明るさを表す全光束は485lmで、日本電球工業会の基準では「40W形白熱電球相当」となる。同基準で「20W形相当」だったLDA4LCと比べると、かなり実用的な明るさになっている。家庭で求められる電球の明るさは、一番手は60W形白熱電球、2番手に40W形白熱電球が続くと言われているが、メーカーによればその需要に応えるべく開発されたという。
デザインはLDA4LCに引き続き、クリア白熱電球に範を取った作りになっている。フィラメントをイメージはそのままに、LED素子を中空に配置し、立体的な発光を実現するという“センターマウントテクノロジー”を採用している。
クリア電球(右)との比較。LEDモジュールはフィラメントを模しており、クリア電球にとても近い | LED素子は透明な「透過性基板」の上に、ライン状に4列に配置されている |
LDA6LCの核となる内部構造の「センターマウントテクノロジー」と、フィラメントのように立体的に発光するしくみ(パナソニックのホームページより抜粋) | 点灯した様子。写真左は斜め上から見たところで、ガラスグローブ方向に光が放たれる。写真右は下から撮影したもの。光は基板を通過し、口金下方向にも放射されている |
今回はこの、より明るくなったクリアLED電球が、主照明としてもふさわしい明るさを備えているか否かなど、実力を探っていきたい。
なお、これまでのレビューでは電球形蛍光灯とも比較をしているが、クリア電球のようなきらめき感のある蛍光灯はほとんど存在しないので、電球形蛍光灯との比較は割愛する。また、筆者はこの9月に引っ越しをしたため、前回のLDA4LCレビュー時とは環境が異なる。この点はご了承いただきたい。
※記事中、比較用の40W形クリア白熱電球として、パナソニックの「L100V40W」(115円で購入)を使用しています
【基本スペック編】
■サイズ比較
実測したサイズは116×59mm(高さ×直径)。40W形クリア白熱電球と比べて、高さは18mm、直径は4mm大きくなった。とは言っても、LED電球の中では、背の高さは中ぐらい、直径は100W形白熱電球並みで、極端な大きさではないと言えるだろう。グローブは透明のガラス製で、クリア電球らしい風貌だ。
放熱部はコンパクトな白色の樹脂。口金付近の直径は27mmで、クリア白熱電球よりも5mm細い。大きさは気にせずに、ほとんどの器具に問題なく取り付けられるだろう。
重量は実測で85gだった。従来モデル「LDA4LC」よりも全体的に大きく、重くなってしまったが、それでも重さはLED電球の中ではトップクラスの軽さ。複数個取り付けても、器具への負担はほとんど気にしなくてよさそうだ。
高さは116mmで、クリア電球(左)よりも18mm高い。口金付近は27mmでクリア電球よりも細かった。放熱部は白色の樹脂製で、電球のくびれに沿った形状。重量は85gで、LED電球の中ではトップクラスの軽さだ | グローブの直径は59mm。クリア電球よりも4mm大きくなるが、電球の径の範囲内だろう | グローブの高さをあわせると、内部のLEDユニットの位置が、クリア電球と同じ位置にあるのがわかる |
■器具に取り付けたようす
器具とのバランスは全く問題が無いレベル。消灯した状態ではLED素子の黄色い蛍光体が見えてしまうが、放熱部はかなり覗き込まない限り見えない。多くの器具に違和感なく取り付けられるだろう。
【白熱電球:クリア40W形】 電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影した | 【エバーレッズ:LDA6LC】 背は18mm高くなるが、器具への収まりは良好。黄色い蛍光体が覗いて見えるが、それ以外はクリア電球らしい印象だ。放熱部は相当覗き込まない限り見えない |
■光の広がりかたと配光性
拡散性はクリア白熱電球にとても近い。真横方向へは若干光が弱くなる印象は残るが、背が高くなっても光源部を中心に、上、斜め上、さらに口金方向へも光がしっかり拡散している。また、光が遠くまで届く印象もある。
電気スタンド型の相性は良い。光は器具の上方向だけでなく、テーブル面へもしっかり届いている。電球の構造上、テーブル面には「透光性基板」を通した光が届くため、上方向よりも明るさは落ち、器具の傘には明るさのムラが浮かんでしまう。それでも、テーブル面がしっかり明るくなるので、実使用ではほとんど気にならなかった。このようなスタイルの器具にも十分向いている。
【白熱電球:クリア40W形】 シェードは中心からまんべんなく光っている。シェードの上下からも、ほぼ同じ明るさの光が漏れる印象があり、影の輪郭はくっきりと映る。導入線の影も見える | 【エバーレッズ:LDA6LC】 クッキリとした陰影はクリア電球にそっくりだ。パッと見ではシェードから漏れる上下の光の差はほとんど気にならないが、シェードには光のムラがうっすらと浮かぶ |
■明るさ(55cm直下の照度)
直下照度は627lxだった(点灯15分後)。全光束は日本電球工業会の基準で「40W形白熱電球相当の明るさ」だが、40W形クリア電球の467lxの明るさを軽く超えてしまった。取り替えによる明るさの不満はまったく感じないだろう。
なお点灯中は、電球からジーという雑音がすることもなく、ラジオにノイズが乗ることもなかった。
【白熱電球:クリア40W形 460lx】 光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した | 【エバーレッズ:LDA6LC 627lx(点灯15分後)】 点灯直後は710lmで、明るさが安定するまで10分以上かかった。点灯直後よりも暗くなるが、それでも直下の明るさはクリア電球よりも一段と明るい627lxだった |
「40W相当の明るさ」というだけあって、しっかり明るい。直下はクリア白熱電球の明るさを軽く超え、実用的な明るさを備えている。電球は大きくなったが、部屋のメイン照明にも十分活用できそうだと感じた。
【実使用編】
ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探って行く。なお、これまでのレビューでは、玄関や浴室の器具にも使用しているが、クリア電球はそういった用途よりも、器具のデザインを引き立てる用途が得意。明るさを活かしつつ、クリア電球の特徴が表れやすい器具を使用して、リビングルームの明かりとして活用した。
■光のきらめきが特徴のガラス製ペンダント(1灯)
光のきらめき感を楽しむ器具として、クラシカルなデザインの透明なガラス製の一灯型ペンダントを選んだ。点灯すると、LDA6LCは器具が持つ表情を十分に引き出しているのがわかる。色温度は若干異なるが(クリア白熱電球は2,850K、LDA6LCは2,700K)、クリア白熱電球さながらに、器具の表面にキラキラと輝くような光が浮かぶ。放たれる光は室内にリズミカルな陰影を落とし、クリア白熱電球から取り替えた違和感はほとんど無い。
この器具は密閉型だが、LDA6LCはもちろん対応。点灯していない時は、電球がガラスの模様を通して屈折して透けるため、LDA6LCの黄色い蛍光体も見えるが、ほとんど気にならない。
透明のペンダントライトにLDA6LCを取り付けた様子。電球が透けて見えるが、LED電球が取り付けてあるとはわからないほどだ | 点灯した器具の輝く様子。左からクリア白熱電球、LDA6LC、シリカ白熱電球(グローブ部が白い白熱電球)。LDA6LCは高さがあるため、光源の位置が変わってしまうが、きらきらとした器具の印象はそのまま。シリカ白熱電球で、はきらめき感は抑えられた印象になる |
【白熱電球:クリア40W形】 点灯した光の様子。器具から放たれる光はガラスにより屈折し、印象的な光の濃淡が壁や天井に投影される | 【エバーレッズ:LDA6LC】 器具から放たれる光の濃淡のコントラストは多少変わるが、印象は損なわれていない | 【白熱電球:シリカ40W形】 グローブ部分が白い「シリカ電球」では、光の濃淡がほとんど消えてしまった |
【白熱電球:クリア40W形x1灯】 さすがに40W形1灯で煌々とした明るさは望めないが、光の濃淡が部屋全体に投影されている | 【エバーレッズ:LDA6LCx1灯】 クリア電球に近い光の濃淡が部屋全体に広がった。ガラスを通して光のきらめきが十分に感じられる |
しかし、これはクリア白熱電球にも言えることだが、さすがにリビングに40W形1灯では、明るさが心もとない。もう少し明るさを補うために、局所照明をプラスしてみよう。部屋の奥にある電気スタンドにLDA6LCをもう1灯取り付け、ペンダントとスタンドの“2灯”にしてみた。
この結果、明るさを抑えながらも、雰囲気がぐっと増したリビングになった。スタンドから放たれるクリアな光は、カーテンのドレープの陰影を一層引き立てる。少しの違いだが、床面はクリア電球よりもLDA6LCの方が明るかった。
【白熱電球:クリア40W形x2灯】 40W形を2灯(ペンダントに1灯、スタンドライトに1灯)点灯。くつろぎの明るさにふさわしい雰囲気が演出できた | 【エバーレッズ:LDA6LCx2灯】 クリア電球と遜色ない雰囲気が演出できる。床面はクリア電球よりも明るくなった |
■光と影が織り成す和紙のペンダント(2灯)
次の器具は、素材が和紙で、シェードの表面に細かな孔があり、電球が透けて見えるもの。こちらも、消灯時から孔を通して電球が透けて見えるが、全く違和感はない。白色の放熱部も目立たない。点灯すると、天井に重なり合った光と影が投影される。細かく見ると影の輪郭は甘くなるが、それでも印象は大きく変わらない。
2灯なら、くつろぎの明かりの全体照明としてとても魅力的だ。本を読んだり、細かな手仕事には向かない明るさだが、ゆったりと過ごす時間にはぴったりの明るさが得られた。孔から放たれる硬質な光と、器具が織り成す陰影が混ざり合い、こちらも印象的なリビングが演出できた。広い空間を照らすなら、1灯だけでは少し物足りないかもしれない。だが、2灯あれば、リビングのメインの明かりとして十分な明るさがある。
シェードの表面に細かな孔のある、和紙のペンダントにLDA6LCをとりつけた。和紙の透ける軽い印象を損ねていない | 点灯した器具の輝く様子。左からクリア白熱電球、LDA6LC、シリカ白熱電球。孔から漏れるLDA6LCの光の印象は点光源に近く、印象が大きく変わらない。白熱電球は電球のシルエットがはっきり浮かんでしまった |
【白熱電球:クリア40W×2灯】 和紙を用いたセードの孔から、フィラメントの輝きがのぞく。天井面には複雑な光と影が折り重なりあう | 【エバーレッズ:LDA6LC×2灯】 きらめき感の印象はあまり変わらなかった。影の輪郭は少し甘くなるが、並べなければほとんど変わらない | 【白熱電球:シリカ40W×2灯】 シリカ電球では影がまるで投影されず、器具の印象が活かせていない |
【白熱電球:クリア40W形×2灯】 ゆったりと過ごす、明るさを抑えたリビングルームが一つの器具で得られる | 【エバーレッズ:LDA6LC×2灯】 クリア電球とほぼ変わらずに、器具の孔による重なりあう陰影が十分に楽しめる |
■食事の風景
演色性は良く、食事のシーンにも十分にお勧めできる。色温度が異なるため(クリア白熱電球は2,850K、LDA6LCは2,700K)、光色の違いによる差はあるが、照らされた食事は色のくすみもほとんど感じられず、全ておいしそうに見えた。器具がテーブルに近いなら、1灯でも十分に明るく感じられた。きらめき感のある光は、食事のシーンに一層華を添えるだろう。
【白熱電球:クリア40W形】 食事は全体的においしそうに見える。ただし赤みが強く、モスグリーンのランチョンマットが茶色に見える | 【エバーレッズ:LDA6LC】 一灯でも、食卓のあかりとして問題なく使用できる。色温度の違いから、全体的に黄色っぽい印象になるが、どの色もくすまずに、食事は全ておいしそうに見えている。微妙な色も識別できた |
また、今回は写真を撮影しなかったが、玄関や廊下などの狭い空間で40W形の電球を使っているのであれば、交換しても全く遜色ない明るさが得られるはずだ。
■消費電力は白熱電球の1/6以下となる6W
消費電力は実測で6Wだった。LDA6LC よりも明るい(490lm)の40W形クリア白熱電球の明るさをまったく落とさずに、電気代は軽く1/6以上も節約できてしまう試算となった。
電球代も、毎日8時間使用の使用条件であれば、1年8カ月で回収できる。寿命は40,000時間なので、10年以上も長く使い続けられる。
【白熱電球:クリア40W形】 消費電力は40W。消費電力1Wあたりの発光効率は12.25lm/W | 【エバーレッズ:LDA6LC】 消費電力6Wだった。発光効率は80.83m/W。電球サイズは大きくなるが、輝きの印象や見た目もほとんど変えないまま、1/6以上と大きな節電が実現できる |
使用期間 | 消費電力 (実測) | 1カ月 | 3カ月 | 半年 (6カ月) | 1年 | 1年 8カ月 | 2年 | 4年 | 8年 |
エバーレッズ LDA6LC | 6W | 4,012円 | 4,077円 | 4,174円 | 4,367円 | 4,625円 | 4,754円 | 5,528円 | 7,075円 |
クリア電球 40W形 | 39W | 324円 | 741円 | 1,482円 | 2,849円 | 4,748円 | 5,698円 | 11,396円 | 22,791円 |
■まさにクリア電球。デザイン性の高い器具、雰囲気を大切にするシーンにおすすめ
実際に使った印象を一言でまとめると、「まさに、クリア電球。しかも明るい」だ。光の広がり、きらめき感はもちろん、器具から覗く姿もクリア白熱電球にとても近い。色温度が低いため、クリア白熱電球とは光色が異なるが、演色性は良い。きらめき感が印象的なガラス製の器具、表情豊かな陰影を作り出す器具に、まさにピッタリだ。
明るさは、40W形のクリア白熱電球と比較してもまったく遜色ない。それでいて、電球が持つ“温もり”や“懐かしさ”さえも感じさせるやさしい光は、他のLED電球では得られない魅力がある。実用的な明るさも備えながら、クリア白熱電球らしい姿、光の広がりときらめき感を備えているため、部屋の中心を彩るお気に入りの器具の印象や雰囲気をそのまま継承できる。さらに、クリア白熱電球とは比較にならない程の節電効果も得られる。
求めやすい価格になってきたLED電球の中では、実売4,000円台というのは高価だが、クリア白熱電球と遜色なく取り替えられるLED電球はLDA6LCのみといっても過言ではない。単に照らすだけでなく、生活の中で「明かりを楽しむ」ことを忘れさせないLED電球だ。
・クリア電球よりも大きいが、器具との相性は良い
・LED電球らしからぬ、温もりときらめき感のある輝きが得られる
・器具のデザイン性、雰囲気を大事にしたいシーンにピッタリ
・40W形白熱電球と交換した場合、1年8カ月で電球代は回収できる(1日8時間使用)
・そこが知りたい家電の新技術
LED電球の明るさの単位「ルーメン」はどうやって測る? (2012/9/11)
2012年10月22日 00:00