【特集】LED電球、どれを買う?

東芝「E-CORE E17口金 ミニクリプトン形 5.4W」

~“明るさ重視”と“光が広がる”――選べる2タイプの活用法
by 藤原 大蔵

 3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響により、東日本では計画停電が実施されている。しかし、それでも電力需要と供給力はギリギリのところで推移しており、予測不能な大規模停電が起こる可能性も否定できない。そのため、これまで以上の節電が必要となってくる。

 一般家庭において、エアコンに次いで2番目に電力を消費するのが照明器具。使っていない照明をこまめに消す事はもちろん節電につながるが、それに加えて有効なのが、消費電力の高い白熱電球を、LED電球に取り替えることだ。電球を交換するだけで、消費電力を1/6~1/10と、大幅に節電が実行できるからである。

 最新のLED電球は、明るさや光色も改善され、性能も白熱電球に劣らないものが多くなってきた。もしも、いまだに消費電力の高い白熱電球を長時間使用されているならば、この機会に是非検討してみてはいかがだろうか。初期費用は多少かかるが、快適な暮らしも維持しながら、確実な節電ができるはずである。



“明るさ重視”と“光が広がる”の選べる2タイプ。でも、どっちをどう使えば良い?

 今回紹介するLED電球は、東芝から昨年登場した「E-CORE(イーコア) ミニクリプトン形5.4W」の、「明るさ重視タイプ LDA5L-E17」と「光が広がるタイプ LDA5L-WE17」の2製品だ。小型電球(ミニクリプトン電球)との交換を狙った、E17口金に取り付けるためのLED電球だ。

東芝ライテック「E-CORE ミニクリプトン形 5.4W LDA5L-E17」。写真は“明るさ重視タイプ”こちらは“光が広がるタイプ”の「E-CORE ミニクリプトン形 5.4W LDA5L-WE17」。今回はこの2つをどう使い分けたらよいのかについて見ていこう

 製品リリースによれば、前者は下方向への明るさに強く、ダウンライトやスポットライトなど、床面や机上面などの水平面を明るくしたい使い方に向いているという。後者は内部に特殊なレンズを採用することで、従来品よりも光が1.6倍横方向へ広がる配光性に配慮したもの。斜め付けのダウンライトや、ペンダントやシーリングライトに向くという。

 業界団体「日本電球工業会」のガイドラインで見れば、ランプ単体の明るさはどちらも小型白熱電球の25W形相当。しかし、実際の器具に40W形ミニクリプトン電球と共に取り付けて比較すると、いずれもミニクリプトン電球以上に明るく感じられた。この明るさに加え、40,000時間という寿命の長さ、ミニクリプトン電球並みにコンパクトになったサイズ、そして密閉器具に対応している点は見逃せない。

 今回はこの「明るさ重視タイプ」「光が広がるタイプ」という2つのE17口金のLED電球に、どのような違いがあり、どのように使い分けるべきか、そして白熱電球と交換することでどれだけの節電効果があるかどうか。以下にレポートしていこう。

【スペック値】
シリーズ名E-CORE(イー・コア)
タイプ名明るさ重視タイプ光が広がるタイプ
品番LDA5L-E17LDA5L-WE17
定格消費電力5.4W
口金E17口金
光色電球色
全光束410lm380lm
定格寿命40,000時間
白熱電球と比較した
明るさ(ランプ単体)
小型電球25W形以上
調光器対応-
密閉器具対応
サイズ35×67mm(直径×高さ)
重量40g42g
希望小売価格5,250円
購入価格
(Amazon.co.jp 3/21時点)
3,390円

※比較用の電球形蛍光灯は、NECライティング「コスモボール・ミニ」を使用
※ミニクリプトン電球はパナソニックの「LDS100V54WWK」(60W形)「LDS100V36WWK」(40W形)を使用。
いずれも250円で購入した
※E26口金の照明器具では、E17口金の変換アダプタを使用している


【基本スペック編】

サイズ比較

 サイズはどちらもとも実測で67×35mm(高さ×直径)と、ミニクリプトン電球とまったく同じ大きさだ。口金に向かって細くなる“くびれ”もあり、形状も電球らしい。口金付近の太さが22mmと、ミニクリプトン電球(19mm)よりも3mm太いが、それを除けば、多くの器具にすんなりと取り替えられそうである。

 重量は、「明るさ重視タイプ」が38g、「光が広がるタイプ」は40gだった(実測)。この重さはE17口金のLED電球では軽い方。E17口金の電球形蛍光灯(36g、NEC製)とほとんど同じと言ってよいだろう。

 デザイン面は、どちらも放熱部は白色で、でこぼこのないスッキリとした仕上がりになっている。樹脂製のカバーからは、LEDチップや光を拡散するための「プリズムレンズ」(光が広がるタイプのみ)はどうしても透けてしまうが、とりたてて気になるほどではなかった。電球全体が透けて見えるような器具に取り付けても、違和感はないはずだ。

【明るさ重視タイプ】
高さは67mm(中央)で、60/40Wタイプのミニクリプトン電球(左)とほぼ同じ。電球形蛍光灯よりも20mmも低い。重量は38gと、小型LED電球の中でも軽い
【明るさ重視タイプ】
直径は35mm(中央)。ミニクリプトン電球(左)と全く同じ。光源部分は樹脂製で、LEDが薄っすらと透けてみえる
【光が広がるタイプ】
サイズは明るさ重視タイプとまったく同じだった。重量は40gと、明るさ重視よりも2g高いが、その差はわずか。小型LED電球の中では軽い部類に入る
【光が広がるタイプ】
明るさ重視タイプと直径は変わらない。電球内部にある“プリズムレンズ”が透けて見える


器具に取り付けたようす

 シェードの深いタイプの器具に取り付けた場合、LEDチップが透けること以外、どちらも普通の電球と変わらない。光源部の樹脂カバーが大きいため、放熱部が顔を出すこともほとんどないといって良いだろう。

 浅いシェードの器具にも、収まりが良かった。光源部は電球らしい半球体のため、外見はとても自然だ。「光が広がるタイプ」の場合、電球型蛍光灯並みにシェードに光が届くため、「明るさ重視」よりも印象が良い。デザイン性を大事にするような器具にも相性が良さそうだ。

【ミニクリプトン電球:40W】
電球の球体部が見える角度から撮影。60W形も40W形も見え方は全く同じだ
【電球形蛍光灯】
らせん状の蛍光管がかなり目立つが、器具内には収まっている
【東芝LED: 明るさ重視タイプ(左)/光が広がるタイプ(右)】
ミニクリプトン電球と変わらない収まり方だ。放熱部も白色でほとんど目立たない
【ミニクリプトン電球:40W】
浅いシェードの器具では、器具とのバランスを見るため真横から撮影した。器具のデザインと一体感がある
【電球形蛍光灯】
蛍光管が完全に飛び出してしまい、フォルムが崩れてしまった
【東芝LED: 明るさ重視タイプ(左)/光が広がるタイプ(右)】
どちらも放熱部が隠れ、器具のデザインと一体感がある
【ミニクリプトン電球:40W】
点灯するとシェードも輝く
【電球形蛍光灯】
シェードには光はまわるものの、やはりバランスは良くない
【東芝LED:明るさ重視タイプ】
点灯すると、ある程度はシェードが輝く。ミニクリプトン電球ほどではないが、器具の特徴が大きく損なわれず、印象は良い
【東芝LED:光が広がるタイプ】
電球型蛍光灯並みにシェードが輝く。明るさ重視タイプよりも器具の特徴、デザインが活かせるだろう


光の広がりかたと配光性

 LED電球で改めて気をつけたいのが、光の広がり方。LEDは白熱電球や電球形蛍光灯と比べても、光が直線的に放たれる傾向にあるため、これをどう拡散させるかがポイントとなってくる。そこで、壁のそばで電球を上向きにセットし、壁面にどれだけ光が広がるかを見てみよう。

 「明るさ重視タイプ」の場合、光源部を中心にほぼ球形に近い拡散性を見せるが、ソケット方向や側面への光の広がりには限りがある。ただ、他のLED電球同様に光がより遠くまで届いている点はフォローしておく。

 一方「光が広がるタイプ」は、ミニクリプトン電球や電球型蛍光灯ほどではないものの、かなり高い光の拡散性が感じられた。これまでのLED電球ではあまり見られなかった広がり方だ。またLEDらしく、光も遠くまで届く印象もあった。

【ミニクリプトン電球】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている
【電球形蛍光灯】
ソケット付近にもかなり光が届いている。しかし遠くまでは光が届かない印象だ
【東芝LED:明るさ重視タイプ】
ほぼ球形に光が拡散している。ソケット付近と側面への光の回り込みは他のLED電球同様に弱いが、光が遠くまで届くようだ
【東芝LED:光が広がるタイプ】
ミニクリプトン電球や小型電球形蛍光灯には及ばないが、LED電球の中では電球の周りにも光が広がっている。また、光が遠くにも届いている

 ここで、「光が広がるタイプ」の仕組みについて触れておこう。電球内部のLEDチップの上に、光を拡散するための「プリズムレンズ」が取り付けてあり、横方向へも光が広がる仕組みになっているのである。「明るさ重視タイプ」と比較すると、横方向はもちろん、ソケット方向へも光が届いており、プリズムレンズの効果がはっきりと確認できた。

明るさ重視タイプ(写真左)はカバー内は空洞。一方、光が広がるタイプ(右)は、光を広げる「プリズムレンズ」が内蔵されているこちらは、照明のイベント「ライティングフェア」で撮影したプリズムレンズ。明るさ重視タイプに比べ、レンズで1.6倍横方向に光が広げられるという同じ条件で、明るさ重視・光が広がるタイプを撮影し、合成した写真。写真左が明るさ重視タイプ、右が光が広がるタイプ。電球付近が明るく照らされている

 次に、ソケットが下向きになった電気スタンド型の器具に取り付け、配光性と器具の見え方も比較した。

 「明るさ重視」は、シェードの上下から漏れる明暗の差が大きいうえ、シェードの上方に光が偏りやすいようだ。

 「光が広がる」も、ミニクリプトン電球や蛍光灯には及ばず、スタンドの下で本を読むにはまだ不十分という印象。とはいえ、「明るさ重視」に比べれば、上下の明るさの差がずいぶんと縮まっており、シェードの輝きも自然な印象である。電球の横方向への光は強く、シェードを通して部屋全体に明るさが届きやすいので、インテリアライトとしてなら十分に活用できそうである。

【ミニクリプトン電球】
シェードは中心からまんべんなく光り、シェードの上下からほぼ同じ明るさの光が漏れる
【電球形蛍光灯】
ミニクリプトン電球と遜色なく、シェードのほぼ中心からまんべんなく光る。シェードの上下からもほぼ同じ明るさの光が漏れる
【東芝LED:明るさ重視タイプ】
シェードの下半分はあまり明るくならず、明るさにムラができてしまう。シェードの上はとても明るいが、下方向へはあまり光が回らない
【東芝LED:光が広がるタイプ】
シェードの2/3が明るくなり、光のムラはそれほど気にならなくなる。ミニクリプトン電球や蛍光灯ほどではないが、明るさ重視タイプよりもシェードの上下の明るさの差が少ない


明るさ(55cm直下の照度)

 続いて、光源から55cm直下の照度を測ってみたが、「明るさ重視タイプ」は、その名のとおりとてもに明るい! 照度は726lxと、直下部の明るさに限っていえば、ミニクリプトン電球に肉薄する明るさが得られた。これは一般的なE17口金LED電球の中でもトップクラスの明るさに位置する。

 一方「光が広がるタイプ」も540lxと、こちらもかなりの明るさが得られた。もともと全光束が明るさ重視タイプよりも30lm低いが、それでも直下照度に限れば、40W形ミニクリプトン電球よりも70lx以上も明るかった。照らされた机全体を見ても、ミニクリプトン電球よりも明るい印象だった。結果、どちらも想像していた以上の明るさが得られた。

 ちなみに、東芝の従来モデルのLED電球(LDA3L-E17)は、全光束が220lmで、55cm直下の明るさは251lx。つまり、飛躍的に明るさが改善されたのである。

【ミニクリプトン電球:60W 785lx】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【ミニクリプトン電球:40W 467lx】【電球形蛍光灯 328lx】
【東芝LED:明るさ重視タイプ 726lx】
40W形ミニクリプトン電球・蛍光灯よりも確実に明るい。E17口金のLED電球の中でも、トップクラスの明るさが得られた
【東芝LED:光が広がるタイプ 540lx】
光が広がるタイプも、40W形ミニクリプトン電球・蛍光灯よりも明るい。壁面には広い範囲で光が届いており、拡散性の良さが伺える

 「明るさ重視タイプ」は、LED電球の中でトップクラスの明るさを持つ、頼もしい小型LED電球だ。LED電球だからといって、明るさを我慢する必要はもうなくなってしまったようである。また、「光が広がるタイプ」もとても明るく、電球型蛍光灯が暗く見えるほどであった。

 どちらも主要な器具に取り付けて、全体照明にも使える明るさが得られた。まだレビューの途中ではあるが、LEDへの本格的な取替え時期に来たと言ってよいのではないだろうか。



【実使用編】

 ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使い方から比較していく。なお、両製品とも密閉型器具に対応しているので、浴室や密閉型のインテリアライトにも使用した。


玄関

 結論から言えば、玄関はどちらも申し分ない。「明るさ重視」は60W形ミニクリプトン電球と比べてもまったく遜色が無いと言えるほど明るく、「光が広がる」も、40W形クリプトン電球よりも明るい印象が得られる。光色はクリプトン電球とはやや異なるが、心地良い暖かみのある電球色なので、人を迎え入れる場所の灯りとして向いている。

 どちらを使っても特に問題はないだろうが、器具の見た目が重視されるペンダントライトをお使いの場合は、光が広がるタイプを選ぶと良いだろう。

【ミニクリプトン電球:60W】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【ミニクリプトン電球:40W】
玄関としては、もうすこし明るさが欲しいか
【電球形蛍光灯】
40W形のミニクリプトン電球とほぼ同じ明るさが感じられる
【東芝LED:明るさ重視タイプ】
60W形ミニクリプトン電球と同等と言える明るさ感が得られた。光色も良く人を迎え入れる玄関の灯りとして相応しい
【東芝LED:光が広がるタイプ】
明るさ重視タイプよりも少し暗くなるが、40W形ミニクリプトン電球・蛍光灯よりも気持ちの良い明るさが得られる

浴室

 どちらも密閉器具に対応しているので、浴室での使用が可能だ。

 浴室では、「明るさ重視タイプ」が良かった。60W形ミニクリプトン電球の明るさには若干及ばないものの、心地良い明るさが感じられた。40W形ミニクリプトン電球や電球型蛍光灯よりも明るいと感じられた。

 「光が広がるタイプ」も健闘している。印象としては、40W形ミニクリプトン電球と変わらない明るさ感になる。光色も良いので、電球型蛍光灯よりも印象は上であった。器具自体の見た目は明るさ重視タイプよりも良いが、清潔感が重視される場所でもあるので、ここでは器具の雰囲気よりも明るさで選んだ方が良いだろう。

【ミニクリプトン電球:60W】
浴室全体に光が行き渡り、快適な明るさがある
【ミニクリプトン電球:40W】
少し物足りない明るさだが、十分に明るい
【電球形蛍光灯】
蛍光灯は器具に閉じ込めると明るさがずいぶん落ちる印象だ。浴室の明るさとしては物足りない
【東芝LED:明るさ重視タイプ】
40W形ミニクリプトン電球よりも明るかった。浴室の灯りとしても申し分ないだろう
【東芝LED:光が広がるタイプ】
明るさ重視タイプよりも少し暗くなるが、40W形ミニクリプトン電球とほぼ同程度といってよいだろう


トイレ

 「明るさ重視」は、60W形ミニクリプトン電球と遜色ないほど明るい。「光が広がる」はそれには及ばないが、40W形ミニクリプトン電球よりも明るい。光色は清潔感のある温かみが感じられ、トイレにも合っているだろう。

 というわけで、現在40W形ミニクリプトン電球をお使いなら、「明るさ重視」に交換してまったく問題なし。「光が広がる」でも、暗くなったという印象には全くならないだろう。

 なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。

【ミニクリプトン電球:60W】
明るく気持ちよく過ごせる
【ミニクリプトン電球:40W】
少し暗いが、トイレは狭いので、まだまだ明るさは十分に感じる
【東芝E17LED:明るさ重視タイプ】
40W形ミニクリプトン電球よりも明るかった。浴室の灯りとしても申し分ないだろう
【東芝LED:光が広がるタイプ】
明るさ重視タイプよりも少し暗くなるが、40W形ミニクリプトン電球とほぼ同程度といってよいだろう

テーブルランプ

 どちらも40W形ミニクリプトン電球以上に明るかったうえ、器具が顔の近くにあっても熱さが感じられず、快適だった。

 手元に近いテーブルランプの場合、「光が広がる」で本が読めるほどの明るさが得られる。ミニクリプトン電球のように適度に明るさが分散するので、白熱電球に照らされているような自然な印象が得られる点は見逃せないところだ。

 「明るさ重視タイプ」は、どうしても照射面の一部に光が集中しやすい点でクセがある。ただし、40W形小型電球よりももっと明るさが欲しいのであれば、これはこれでアリだろう。ただし調光器対応ではないので、ベッドサイドには明るすぎるかもしれない。

【ミニクリプトン電球:60W(参考)】
本までの距離は40cmしか離れていないので、明るすぎる。ちなみに、この照明器具は40W形までしか使えないため、あくまでも参考としていただきたい
【ミニクリプトン電球:40W】
十分に明るく、細かな文字もしっかり読める
【電球形蛍光灯】
蛍光灯も明るさは十分。ただし、色味はミニクリプトン電球と比べ全体的に劣る
【東芝LED:明るさ重視タイプ】
60W形ミニクリプトン電球と同様、明る過ぎる。そのうえ、直線的な光を放つため、照射面の一部だけに光が集中しやすい
【東芝LED:光が広がるタイプ】
40W形ミニクリプトン電球よりも明るい。テーブル全体に光が届き、白熱電球のようなやわらかい拡散性が得られる。テーブルライトにぴったりだ


リビングルーム(インテリア照明)

 密閉型のインテリア照明に取り付けたが、直視するには明るすぎる。正直言ってお勧めしにくい。ただし、器具が直接目に触れない場所に置くなら良いかもしれない。その場合は、光のムラができにくい「光が広がるタイプ」が向いている。

【白熱電球:20W】
明るさを抑えた白熱電球を使用した写真。このぐらいなら、目の触れる高さにおいて直視してもあまり眩しさを感じない
【ミニクリプトン電球:40W】
正直、明るすぎる。直視すると不快な眩しさを感じてしまう
【東芝LED:明るさ重視タイプ】
これもまた明るすぎる
【東芝LED:光が広がるタイプ】
直視する場所に置くにはまだまだ明るすぎるが、光が器具全体にムラなく回り込む。目に触れにくい場所で使うならアリだろう

食事の風景

 色味が重要な食事のシーンではどちらもまずまずの結果が得られた。食べ物はおいしそうに見え、食器の白さ、モスグリーンのランチョンマットの微妙な色合いも識別できる。色の再現性を表わす平均演色評価数が「Ra80」と高いのも納得だ。細かいことをいえば、若干の色被りは感じられたが、比較しなければほとんど気にならない程度だ。

【ミニクリプトン電球:60/40W】
全体的においしそうに見える。しかし、モスグリーンのランチョンマットは茶色に見えてしまっている
【電球形蛍光灯】
光色の良さに定評のあるNECの電球形蛍光灯だが、ミニクリプトン電球と並べると全体的に発色が悪く見えてしまう
【東芝E17LED:明るさ重視タイプ】
演色性は良好。食べ物全体がおいしそう見え、皿やマットの微妙な色合いもわかる。若干の色被りはあるが、比較しなければほとんど気にならないレベルだ。一灯でも十分に明るい
【東芝LED:光が広がるタイプ】
色味に関しては明るさ重視タイプと変わらない良い演色性だった。若干暗くはなるが、こちらも1灯でも十分な明るさが感じられた。照明器具の見た目を重視するなら、こちらが良いだろう


ミニクリプトン電球との交換で、消費電力は最大1/8カット。約1年で元が取れる

 消費電力は、「明るさ重視」が5W、「光が広がる」が4Wだった(実測値)。40W形ミニクリプトン電球が消費電力35Wだったので、交換すれば前者は約1/7、後者は約1/8に抑えられることになる。取り替えるだけで節電できてしまうというのは、電力不足が叫ばれる現在、見逃せない。しかも、明かりの質を落とさずに、である。こまめに消すことはもちろん節電になるが、照明の消費電力を根本から下げることもまた節電につながるのは言うまでもないだろう。

【ミニクリプトン電球:60W】
消費電力は54W。消費電力1Wあたりの発光効率は、15lm/Wになる
【ミニクリプトン電球:40W】
消費電力35W。発光効率は14lm/W
【電球形蛍光灯】
消費電力7W。発光効率は46lm/W
【東芝LED:明るさ重視タイプ】
消費電力5W。発光効率は82lm/W
【東芝LED:光が広がるタイプ】
消費電力4W。発光効率は95lm/Wと、もっとも高い

 初期購入費は3,390円と高いが、ランニングコストを加味すれば、40W形と比べてどちらも1年5カ月以内に元が取れる。60W形と交換するれ ば、「明るさ重視タイプ」は1年以内、「光が広がるタイプ」なら、明るさは落ちるが11カ月で元が取れるという計算になった(いずれも、1日8時間使用し た場合で試算)。購入時の高さでなかなか手が出ないという人も多いだろうが、使い続ければ必ず元は取れるので、安心していただきたい。

  電球型蛍光灯と比較した場合、元を取るには時間がかかりそうだ。「明るさ重視タイプ」は8年4カ月、消費電力が1W低い「光が広がるタイプ」でも5年7カ 月で、やっと元が取れるという計算になった。原因は、電球型蛍光灯の4.3倍以上というLED電球の価格の高さと、1~2W程度しか差がない消費電力に因る。現在、小型電球型蛍光灯で満足しているのであれば、今すぐに替える必要は無いかもしれない。

 ただし、ミニクリプトン電球と変わらないサイズ、蛍光灯とは比較にならない明かりの質の高さ、そして約40,000時間という長寿命は、大きなアドバンテージと言えるだろう。

【東芝LED 明るさ重視/光が広がるタイプ】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
使用光源消費
電力
(実測)
1カ月3カ月半年
(6カ月)
11カ月1年1年
5カ月
2年4年5年
7カ月
8年
4カ月
東芝LED
明るさ重視
5W3,417円3,470円3,551円3,684円3,711円3,845円4,032円4,675円5,183円6,067円
東芝LED
光が広がる
4W3,411円3,454円3,518円3,624円3,646円3,752円3,901円4,412円4,817円5,519円
ミニクリプトン60W54W539円1,117円1,984円3,679円3,968円5,662円7,685円15,370円21,610円29,545円
ミニクリプトン40W35W436円807円1,363円2,541円2,727円3,904円5,203円10,406円14,681円20,134円
電球形蛍光灯7W817円890円999円1,182円1,218円1,401円1,656円3,312円4,786円6,770円
※表中の数値は、電球代と電気代をプラスした「維持費」  ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球は4カ月ごと、電球形蛍光灯は2年9カ月ごと電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算


「明るさ重視」は浴室にピッタリ、「光が広がる」は全体照明に

 今回、2製品を使ってみて、どちらのLED電球にも言えるのは、低消費電力、演色性の良さ、小型・軽量で密閉器具にも対応しており、40,000時間という長寿命と、ほぼ完璧なスペックを備えている。あえて欠点を挙げるなら、調光器非対応と、部分照明には明るすぎる点ぐらいだろうか。また、価格が高めなのは欠点とも言えるが、浴室も含み、全般照明としての実力はLED全体の中でもトップクラスの優れた性能を備えていることを考えれば、相応の価格と言えるだろう。

 使い分けとしては、まず「明るさ重視タイプ」は、明るさがほしいすべてのシーンにお勧めしたい。60W形ミニクリプトン電球に肉薄するほど明るいので、60W形の白熱電球を使うダウンライトの取替えにも適している。明るさ重視タイプに替えて「白熱電球より暗くなった」という不満は、ほとんど感じないだろう。特に、浴室の明かりにはピッタリである。

 「光が広がるタイプ」は、明るさ重視タイプよりも少し暗くなるが、40W形ミニクリプトン電球よりも確実に明るい、と実感できた。明るさ重視タイプを含む一般的なLED電球よりも光がやわらかく拡散するので、手元に近いテーブルライト、光の映り方を気にするペンダントライトなど全体照明にも向いているだろう。

 消費電力1Wあたりの発光効率はミニクリプトン電球とは比べ物にならない程効率が良いLED電球。全体照明に使用しても、明るさと質を我慢せずに大きな節電効果につながるので、本格的な取替えとして是非お勧めしたいLED電球である。


東芝「E-CORE ミニクリプトン形 5.4W」はこんなLED電球

-共通する特徴-

・演色性が高く、色味が重要な食卓にもOK。密閉器具にも対応

・消費電力が少ないのに明るい。逆に雰囲気を演出するインテリア照明には明るすぎるか


-明るさ重視タイプ-

・60W形と取り替えても、十分な明るさが得られる。浴室の使用には特にお勧め

・60W形ミニクリプトン電球と交換した場合、1年で元が取れる(1日8時間使用)

-光が広がるタイプ-

・光の拡散性が高いので、手元の灯り、見た目を重要視する全体照明の器具にお勧め

・40W形ミニクリプトン電球との交換も問題なし。1年以内に元が取れる(1日8時間使用)






2011年3月25日 00:00