【特別企画】
第1回:シャープ「600/400シリーズ」
●低価格化の火付け役 : シャープ「600/400シリーズ」
シャープ「600シリーズ スタンダードタイプ DL-L601L」。本稿では「シャープ・LED60W」と表記する |
ラインナップは、600シリーズ(直下部で白熱電球60Wタイプの明るさ、白色の場合)、400シリーズ(同40Wタイプの明るさ、白色の場合)の2シリーズがあり、それぞれに調光器に非対応の「スタンダードモデル」と、調光対応モデルがある。密閉器具にはいずれも対応していない。
外見は、半球の大きなガラス球が特徴。また、放熱部分(ヒートシンク)は一般的には銀色が多いのだが、白色と珍しいカラーリングとなっている。
今回は、600シリーズの非調光タイプと調光タイプ、400シリーズの非調光タイプの3製品について取り上げる。価格面では、60Wタイプが3,234円と比較的安め。特に、40WタイプのDL-L401Lは2,580円と他のものより1,000円近く安かった。調光器対応のDL-L60ALは4,980円だった。(価格はすべて10月5日の購入日時点のもの)
なお、同社ではリモコンで調色・調光できる「DL-L60AV」も取り扱っているが、これはまた別の機会に紹介しよう。
600シリーズ 調光器対応モデル DL-L60AL。以降、「シャープ・LED60W 調光器対応型」と表記する | 400シリーズ スタンダードタイプ DL-L401L。本稿では「シャープ・LED40W」と表記する |
シリーズ名 | 600シリーズ スタンダードモデル | 600シリーズ 調光器対応モデル | 400シリーズ スタンダードモデル |
品番 | DL-L601L | DL-L60AL | DL-L401L |
実売価格 (Amazon.co.jp 10月5日購入時点) | 3,234 円 | 4,980 円 | 2,580 円 |
口金タイプ | E26 | ||
全光束 | 360 lm | 330 lm | 235 lm |
消費電力(記載値) | 7.5W | 8.3W | 4.1W |
色温度 | 2,800K | ||
定格寿命 | 40,000時間 | ||
調光器対応 | - | ○ | - |
密閉型器具 | - |
●サイズ比較
高さは60タイプで114mm、40Wタイプで108mmと、94mmの白熱電球と比べるとやや背が高めで、直径も一回り大きい。しかし、白熱電球のような“くびれ”があり、ガラス球も大きめなので、シルエット自体は白熱電球らしい。 ヒートシンク部(放熱部)が他製品のように銀色ではなく、白色なのもポイントだ。
【シャープ・LED60W】 高さは114mm(右)。60Wタイプの白熱電球(三菱電気オスラム)の高さは94mm(左)で、その差は20mm。ヒートシンク部が白色で、全体の3/5を占めている。重さは164g | 【シャープ・LED60W】 直径は60mm(右)。60Wタイプの白熱電球の直径は55mm(左)なので、若干太めとなる。光源部分はガラス製 |
【シャープ・LED60W 調光器対応型】 高さは114mm(右)。スタンダードモデルと同じ。重さは162g | 【シャープ・LED60W 調光器対応型】 スタンダードモデルと全く同じ直径で同じ材質だ |
【シャープ・LED40W】 高さは108mm。40Wタイプの白熱電球(左)の高さは60Wタイプと全く同じなので、その差は14mm。重さは118g | 【シャープ・LED40W】 LED40W(右)も、40Wタイプの白熱電球(左)も、それぞれの60Wタイプと全く同じ直径、同じ材質だ |
●光の広がり方
光は光源部を中心にほぼ球形に拡散している。ヒートシンク部がくびれているため、白熱電球ほどではないが、ソケット方向にも光が届いている。器具に取り付けた場合でも、より光の広がりが期待できそうだ。
【白熱電球:60W】 ソケットぎりぎりまで明るいため、床面に近いところから、電球を中心に光が広がっている | 【シャープ・LED60W】 ほぼ球形に光が拡散している。ヒートシンク部は大きいが、ソケットに向かって細くなっているため、ある程度光が床面にも回っている | 【シャープ・LED60W 調光器対応型】 スタンダードモデルと全く同じ性質だ |
【白熱電球:40W】 光の広がり方は60Wのものと同じ | 【シャープ・LED40W】 60Wタイプのスタンダードモデルと全く同じ性質を持つ |
●器具に取り付けたようす
白熱電球より20mm背が高いため、光源部とヒートシンク部の境目がわずかながら顔を出している。しかし器具とのバランスも良く、雰囲気に悪影響を与えるほどではないだろう。40Wタイプは、60Wタイプよりも背が6mm低いため、ヒートシンク部との境目は全く見えず、器具とのバランスも良好だった。
【白熱電球:60W】 電球の端がちょっと覗いている程度の角度から撮影した | 【シャープ・LED60W】 ヒートシンク部分が長い分、ガラス球が完全に見えている | 【シャープ・LED60W 調光器対応型】 スタンダードモデルと見え方が全く同じ |
【白熱電球:40W】 見え方は60Wタイプとほぼ同じだ | 【シャープ・LED40W】 60WタイプのLEDよりも6mm低いので、ヒートシンク部は見えない |
●明るさ(55cm直下の照度)
直下照度を比べると、白熱電球とは60Wタイプで400lx強の差があり、60Wよりも40Wの白熱電球とほぼ同じ明るさだった。40Wタイプのものも同様に白熱電球よりも暗くなってしまう。
【白熱電球:60W 800lx】 光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した | 【シャープ・LED60W 396lx】 | 【シャープ・LED60W 調光器対応型 398lx】 スタンダードモデルとほとんど変わらない |
【白熱電球:40W 437lx】 | 【シャープ・LED40W 259lx】 |
●調光のようす
無段階調光に対応しておりとてもスムーズな調光が得られ、ほのかな明るさまでしっかりと絞り込める。それだけに、調光器の目盛りの25%付近で完全に消えてしまうなど、明るさが調光器の目盛りに同調していない点が惜しい。
調光対応型での調光のようす。写真は100%(全灯) | 75%。100%~75%までは、肉眼では違いがわかりにくい | 62.5%の状態 |
ちょうど50%の状態 | 32.5%の状態 | 25%でLEDは完全に消えたように見える |
●省エネ性能
60Wタイプ、40Wタイプとも白熱電球に比べて消費電力を1/9に抑制。この結果、年間の維持費は、試算上では60Wタイプで1/6、40Wタイプで1/7と、格段に安く抑えられる。また、調光器対応のものは、明るさを抑えれば抑えた分だけ消費電力も少なくなる。
【白熱電球:60W 56W】 | 【シャープ・LED60W 6W】 | 【シャープ・LED60W 調光器対応 6W】 調光時の消費電力の変化は下記の表を参考されたい |
【白熱電球:40W 38W】 | 【シャープ・LED40W 3W】 |
製品名 | 白熱電球 (三菱オスラム) | 600シリーズ | 600シリーズ (調光器対応) |
品番 | LW100V57W2PZ (2個パック) | DL-L601L | DL-L60AL |
定格寿命 | 1,000時間 | 40,000時間 | 40,000時間 |
1日8時間使用した場合の寿命 | 125日 (約4カ月) | 5,000日 (約13年8カ月) | |
1年間で必要な電球個数 (365日 x 8時間÷定格寿命) | 2.92個 | 0.073個 | |
電球一個の値段 | 71.5円 | 3,234円 | 4,980円 |
実測消費電力 | 56W | 6W | 6W |
1日の電気代 | 9.8 円 | 1円 | 1円 (全灯の場合) |
1年間の電気代の目安 | 3,577 円 | 365円 | 365円 |
1年間の電球代の目安 | 209 円 | 236円 | 364円 |
1年間の維持費 (1年間の電球代+電気代) | 3,786 円 | 601円 | 729円 |
製品名 | 白熱電球 (三菱オスラム) | 400シリーズ |
品番 | LW100V38WW2PZ (2個パック) | DL-401L |
定格寿命 | 1,000時間 | 40,000時間 |
1日8時間使用した場合の寿命 | 125日 (約4カ月) | 5,000日 (約13年8カ月) |
1年間で必要な電球個数 (365日 x 8時間÷定格寿命) | 2.92個 | 0.073個 |
電球一個の値段 | 71.5円 | 2,580円 |
実測消費電力 | 38W | 3W |
1日の電気代 | 6.6円 | 0.5円 |
1年間の電気代の目安 | 2,409円 | 182.5円 |
1年間の電球代の目安 | 209円 | 188円 |
1年間の維持費 (1年間の電球代+電気代) | 2,618円 | 371円 |
調光レベル | 全灯時 | 75%時 | 62.5%時 | 50%時 | 32.5%時 | 25~1%時 |
消費電力(実測値) | 6W | 5W | 1W | 測定不能(0W表示) |
明るさは60Wタイプのもので、白熱電球の40Wクラスといったところ。点灯した瞬間から明るさが安定しており、電球のヒートシンク部分が普通の電球のように細くなっているため、ソケット方向にも光が回る点はうれしい。ヒートシンクは点灯中熱くなるが、白熱電球ほどではないので、気にしすぎることはない。調光器対応タイプは白熱電球と同じように、微妙な明るさまで絞り込め、スムーズな調光が可能だった。
ここからは実使用を想定して、玄関やリビングなど、家庭のさまざまな場所ででLED電球を使ったようすを、写真を中心に紹介していきたい。なお、密閉器具には対応していないため、風呂場、密閉型のインテリアライトでは使用していない。
●玄関
60Wタイプの場合、白熱電球と比較すると薄暗くなってしまうのは避けられない。しかし、比較しなければ実用的な明るさを感じるだろう。一方の40Wタイプは、さすがに暗く、色味のクセも目立ち、かなり寂しい雰囲気になってしまう。
【白熱電球:60W】 床面まで光が届き、十分な明るさがある | 【シャープ・LED60W】 少し暗くなるが、実使用上は特に問題はなさそうだ |
【白熱電球:40W】 玄関としてはもうすこし明るさが欲しい印象だ | 【シャープ・LED40W】 人を迎え入れる場所としては暗い印象が否めない。使用は避けたほうが無難だ |
●トイレ
壁の色が明るいため、狭い空間だと実用的で十分な明るさだ。40Wタイプのものでも実用上での明るさは得られる印象。ただし光色にクセがあるので、色被り(光に余計な色が重なること)が気になる人もいるかもしれない。
【白熱電球:60W】 当然だが明るく、気持ちよく過ごせる | 【シャープ・LED60W】 狭い空間ということもあって、十分な明るさが確保できている |
【白熱電球:40W】 少し暗いが、狭い空間なので、十分に明るく感じる | 【シャープ・LED40W】 トイレとは言え暗い印象。色被りも気になるため、あまりお勧めできない |
●リビングルーム(全体照明)
リビングの全体照明として、電球ソケットを2個備えたペンダントライトを用意。シェードが光を透過するタイプと光を遮る非透過タイプの2パターンで撮影した。
透過タイプでは、白熱電球より暗くなるのは仕方がないが、器具全体がくまなく光っているため、実際の印象は大きく変わらなかった。テレビ視聴にもほど良い明るさで、まずまずの雰囲気が得られる。光色に黄色い色被りがあるが、家具の木目がくすんで見えることもなかった。十分に使用に値するだろう。
非透過タイプでは、テレビの上の部分の影が多少強調されて見えるものの、逆に明るさの緩急も得られ、全体的にまずまずの印象。こちらもリビング照明として問題はなさそうだ。
【白熱電球:60W×2 透過タイプのシェード】 光が部屋全体に行き渡り十分な明るさが得られている | 【シャープ・LED60W×2 透過タイプのシェード】 白熱電球と比べれば明るさは落ちるが、十分に使用に値する。多少黄色っぽい色被りはあるものの、くすんだ印象はない |
●リビングルーム(間接照明)
照射範囲が比較的狭いこともあり、実用上では白熱電球との光色の差はさほど気にならない。間接光による柔らかな光りが部屋全体に届き、落ち着いた雰囲気が得られる。ここまでは明るさが足りなかった40Wタイプも、間接光として使用するなら十分だろう。
また、調光器対応タイプを使えば、テレビの視聴時、リラックス時と好みに合わせて自由に明るさが調節できるため、部屋の雰囲気をより演出しやすいだろう。
【白熱電球:60W】 テレビの後ろに設置した例。テレビの画面の明るさと同じぐらい明るく、間接照明としては少し明るすぎかもしれない | 【シャープ・LED60W】 シャープの60Wタイプの場合、黄色っぽい光になってしまうが、テレビの明るさとのバランスは良い |
【白熱電球:40W】 テレビの画面の明るさとちょうど良いぐらいの明るさだ | 【シャープ・LED40W】 少々暗い印象になるが、十分実用的だ |
【シャープ・LED60W 調光100%】 当然だが、60Wタイプのスタンダードモデルと全く同じ雰囲気になる | 【シャープ・LED60W調光75%】 LED40Wタイプよりもまだまだ明るい |
【シャープ・LED60W 調光50%】 リビングでうたた寝をしたりくつろぐにも良い明るさ | 【シャープ・LED60W 調光32.5%】 かなり光を絞り込んだが、肉眼ではしっかりと光が視認できる |
●食事の風景
黄色い色被りのため、白色の皿が黄色く見えるのをはじめ、全体的にくすんだ印象となってしまう。明るさは悪くないのだが、食卓など色味を気にするシーンの使用にはあまりおすすめできない。
【白熱電球:60W】 皿の白、卵の白身の差がはっきりとわかる。野菜は色鮮やか。パン、ハムは新鮮で食欲をそそる色味。コーヒーの濃い色も透明感がある。色の分離性が良く、全体的においしそうに見える | 【シャープ・LED60W】 黄色い色被りのせいで、食事がおいしそうに見えない。食事や色を気にする部屋のメイン照明としては適さないだろう |
●黄色の色被りが気になるが明るさは十分。お勧めは調光タイプ
他製品と比べると明るい部類に入り、光の広がりも期待できる。食卓など色にこだわる場面では、白熱電球との色の違いが出てしまうかもしれないが、それ以外の場面には問題もなく使えるだろう。それだけに、風呂場の光源や密閉型のインテリアライトに使えない点は残念だ。
特にお勧めなのは調光器タイプ。1個4,980円と通常タイプよりも高めだが、白熱電球のようにキレイに調光できる。間接照明にはもちろん、電気代を節約したい場面にも向く。調光器を持っているのに、電球形蛍光灯では使えなかった……という人は要チェックだ。
2009年11月26日 00:00