家電製品ミニレビュー

静かでじ~んわり温まる! プログラム運転が可能なデロンギの「マルチダイナミックヒーター」

デロンギ マルチダイナミックヒーター MDH09

 今年も冬が目前に迫っている。去年の12月頭に今の部屋に引っ越してから約1年。2度目の冬だ。1点、旧宅時代からずっと気になっていたのが仕事中の暖房だった。メインのガスファンヒーターは瞬時に温まるので非常に重宝する存在なのだが、オンオフがはっきりしすぎていて、暖かいときはぼんやりとのぼせたような状態になりやすいのである。

 作動中の「ゴー」という音も常々気になっていたし、なによりガスの供給口の位置によって使いやすさが大きく左右されてしまう。パイプと電源コードが部屋をはいまくることになってしまうのだ。

 そこで静かでおだやかにあたためてくれそうな暖房器具を試してみたいと思い、選んだのが、電気で作動するデロンギの「マルチダイナミックヒーター MDH09」だ。

メーカー名デロンギ・ジャパン
製品名マルチダイナミックヒーター MDH09
購入場所Amazon.co.jp
購入価格61,126円

スリムで静か。移動も簡単

 MDH09は、温度制御が細かな「マルチダイナミックヒーター」のコンパクトモデル。最大900Wの出力で、寝室や書斎などに適している。サイズは、275×355×665mm(幅×奥行き×高さ)、重さ約8.5kgと、見ても分かる通りとてもスリム。折りたたみ式のキャスターがついており、コロコロと好きな場所に軽やかに移動できる。本体には電源ボタンが1つついているだけ。細かい制御はすべて付属のリモコンで行なう。

 ぱっと見はスタイリッシュなオイルヒーターのようなデザインなのだが、熱源はシーズヒーターという暖房器具だとか。本誌の記事に詳しい仕組みが紹介されているが、この「マルチダイナミックヒーター」に感動した点は3つある。とても静かなこと、細やかな温度設定が可能で、スイッチを入れたらそのままにしておけること、お財布に優しそうなこと、だ。

正面。とてもスッキリしたデザイン
側面。ここからも暖まる
電源コードは巻いてスッキリ収納できる。キャスターの転がり具合もいい
付属のリモコン

眠りも妨げない静かさ

 まず使っていると感じるのがその静けさだった。本体上部から熱があがると同時に、側面からも温まっているのだが、激しくファンが回っているということがないので音がしない。長らく温風に当たっていた身としては、最初はこれで温まるのかと不安になったが、心配無用だった。気がつくと部屋全体がふんわりと暖かくなっていたのだ。

上部からゆっくりと熱が立ち上る。まったくといっていいくらい音がしない
サーモグラフィーで撮影してみた

 夜間もスイッチを入れっぱなしにしてみたが、眠りを妨げることはまったくなかった。というか、むしろあまりに静かなので稼働していることを忘れて、スイッチを切り忘れることのほうが多かったくらいだ。(この点は後述する「プログラム運転モード」で回避できるのだが)

 熱源になっているだけあって、両側面含め本体を触ると当然熱い。小さいお子さん含め、うっかり触れないように注意したいところ。壁やカーテンなどから20cm以上、天井1m以上、背面から壁まで20cm以上、フロントから1m以上、側面1m以上離す必要があるらしい。

かなり熱くなるので、うっかり触れないように気をつけたい

 ただ、これが熱のカーテンの役割を果たしてくれるようだ。配置するなら部屋の中央や人がいる場所よりも、窓際など、外部から冷気が入りやすい場所におくといいらしい。本体上部からあがる熱で、冷たい外気の侵入を防げるのだという。木造家屋にはけっこういいかもしれない。

1日無駄なく快適に過ごせる3つのモードを用意

 「マルチダイナミックヒーター」の温度設定は、太陽マークのモード、三日月マークのモード、*マークのモードの4種類がある。アイコンを見ると時間帯をイメージしてしまいそうだが、暖め方の違いを表しているようだ。

 太陽マークは自分で調整して暖かく過ごしたい人向けで、設定可能温度は10~28℃。電力レベルは弱(0~約300W)・中(0~約600W)・強(0~約900W)のいずれかを選択できるだけでなく、設定温度より自動的に0.5~2.0℃温度を下げて運転し、消費電力量を抑えるという「ecoモード」を組み合わせることが可能になっている。

温度、電力レベルを選びつつ、「ecoモード」でさらに節電できるらしい
本体側の表示

 月マークの設定可能温度は8~25℃で、寒くない程度に暖かさを保ちたい人向け。太陽マーク同様に電力レベルと「ecoモード」を組み合わせられる。

 *マークは、なんと室温が5℃を下回ると自動で運転を開始するというもので、設定可能温度は5℃、電力レベル強で固定されている。暖房は不要だが下がりすぎないようにしたいときに使うという。ヨーロッパでは、屋内の観葉植物を凍らせないために使われることが多いらしい。

 ちょっとややこしいが、太陽マークと月マークは、温度設定、電力レベル、ecoモードの3つの組み合わせによってはかなり消費電力を抑えられそうだ。

1週間の動作を設定してつけっぱなしにできる「プログラム運転モード」

 運転には、好みの温度を10~28℃の間で設定しておくと、ヒーターが自動運転で好みの温度を保ってくれるというおまかせ運転モード(AUTOモード)と、自分のライフスタイルに合わせて1時間毎に前述の太陽や月、*モードを設定できる「プログラム運転モード」の2つが用意されている。

 この「プログラム運転モード」は、P1~P3までのプリセットされた固定パターンと、24時間のモード設定を1週間の曜日ごとにすべて決められるカスタマイズモード(P4)に分けられる。要するに「プログラム運転モード」は運転しっぱなしにしても、いるときいないとき、起床時と就寝時の切り替えはバッチリできるので、無駄な電力を使わずにすみ、なおかつ朝や夜は先回りして暖めるといった使い方ができるというわけである。

プリセットされているP1モードの例。朝と夜に十分暖めるようセットされている。■は1時間を表し、2個は太陽モード、1個は月モードを意味する
P4を設定してみた。昼間はしっかり暖め、夜は控えめに。完全に寝ている間は*モードにして、下がりすぎないようにしてみた

 P4の設定はすべてリモコンで行なう。1日24時間分を7日間分行なうため少々時間はかかるが、やっておくと消し忘れの心配もなくて安心だ。特に起床前、帰宅前の設定はしておくと寒さが防げて便利である。1時間くらい前から作動させておけば、部屋がふんわりと暖まっていてホッとすること間違いなしだ。

部屋とお財布の両方が寒くならないかも

 知れば知るほど機能的な「マルチダイナミックヒーター」。ガスファンヒーターに比べると温度上昇は控えめだが、静かで、部屋全体が暖まるため、 のぼせることもなく自然に過ごせるところがいい。

 使うときは、どのような運転方法がいいのか正直迷ってしまうだろう。もともと少ない消費電力量で長時間にわたって適温を保てる機構を備えているため、常に在宅で、夜間も部屋は暖めたいという方は、とりあえずAUTOモードでもいいだろう。お勤めの方なら、プリセットのP1~P3の中に、ライフスタイルに近いものがあるかもしれないので、チェックしていただきたい。手間を惜しまない方はP4を使いこなすと、お財布の冷えも防いでくれそうだ。

すずまり