家電製品ミニレビュー

パナソニック「ラムダッシュ ES-GA21」

~1万円以下で味わう爽快感、WET剃り用のラムダッシュ
by 正藤 慶一

パナソニック「ラムダッシュ ES-GA21」
 この仕事をしていて良かったことのひとつに、高級なシェーバーを使う機会に非常に恵まれていることがある。パナソニックの「LAMDASH(ラムダッシュ)」に、ブラウンの「Series7(シリーズセブン)」、フィリップスの「アーキテック」などなど……どれも剃り心地がよく、肌にやさしい深剃りができる製品ばかりだった。

 とはいっても、これらの高級シェーバーは性能の高さに比例して当然ながら値段が高いため、簡単には手が出せない。できれば、1万円以下で買える手頃な中級機種で、しかも使い勝手が良いものがあれば、そちらを選ぶというのも現実的な選択肢としてあるだろう。

 1万円以下で買えてしかもよく剃れるシェーバーはないものか……と思い、そこで購入したのがパナソニックのシェーバー「ラムダッシュ ES-GA21」だ。Amazon.co.jpでは、1万円以内で購入できた。

メーカーパナソニック
製品名ラムダッシュ ES-GA21
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格8,780円


 8千円台という購入しやすい価格について「ラムダッシュって、パナソニックの高級シェーバーシリーズじゃなかったの?」と疑問をお持ちになる方もいるだろう。実はラムダッシュシリーズには「4枚刃」タイプと「3枚刃」タイプがあり、このES-GA21は3枚刃を採用した中位モデル。高級モデルで搭載されている、アゴ下のクセヒゲを根元から捕らえる「フィニッシュ刃」や、ヘッドが前後左右に動いて肌に密着しやすい「密着トレースヘッド」などの機能が省かれている。

 高級モデルと一緒なのは、内刃の刃先の角度を30度に尖らせ、エッジを0.3μmまで小さくした「30°内刃」と「ナノエッジ刃」。肌に負担をかけずに深剃りができるという。さらに、刃物で多く使われている「安来鋼」を使用することで、刃が摩耗しにくい「ステンレス刃物鍛造刃」、外刃に丸みを持たせてアゴ下にも密着しやすい「マルチフィットアーク刃」も備えている。機能の違いは以下の表を参考にしていただきたいが、上位機種ならではの機能は省かれているものの、ヒゲをカットする基本はほぼ引き継いでいる、ということがいえそうだ。

外刃は3枚刃。刃が磨耗しにくい「ステンレス刃物鍛造刃」を採用する内刃には、刃先の角度を30度にし、さらに刃先を極小化した「30°内刃」と「ナノエッジ刃」を採用。剃り味を向上している肌に密着しやすいよう、外刃に丸みを持たせた「マルチフィットアーク刃」も搭載

【ラムダッシュシリーズの機能比較(一部)】
シリーズ名ラムダッシュ
型番ES-LA92ES-LA82ES-LA72ES-LA52ES-LA12ES-LC60ES-GA21
刃の枚数4枚刃3枚刃
絞り出しソニック---
密着フロートヘッド---
フロートヘッド-----
フィニッシュ刃--
30°内刃
ナノエッジ刃
ステンレス
刃物鍛造刃
マルチフィット
アーク刃
駆動方式リニアモーター駆動(1分間に約14,000ストローク)リニアモーター駆動
全自動洗浄
充電器
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WET剃り------
充電表示液晶5段階
表示
充電催促/
充電中
3段階
表示
充電催促/
充電中
ケースソフトケースポーチ
実売価格※29,800円24,480円22,580円18,990円15,980円14,673円8,780円
※Amazon.co.jp、10月30日時点の価格

最大の特徴は、WET剃りに対応している点。パッケージも水しぶきが描かれている
 しかしES-GA21には、上位モデルにはない特徴がある。それは、“WET剃り(ウェットシェービング)”ができる点。簡単に言えばバスルームでシェーバーを使うだけのことだが、肌が温まるのでヒゲが柔らかくなり、根本から剃りやすくなるという効果が期待される。また、石鹸やボディーソープを使うことで、“剃り負け”を防ぐ効果もある。床屋さんでヒゲを剃ってもらうときに、蒸したタオルを載せるのと同じ要領だ。

 実を言うと、ラムダッシュシリーズは全モデルで水洗いに対応しているため、WET剃りに使えないこともない。しかし、メーカーが正式にWET剃りへの対応を明言しているのは、このES-GA21だけ。電源コードを接続して充電中に、電源スイッチがONにできないのも、誤って感電してしまわないよう、という安全面への配慮と思われる。

感電を防ぐための配慮だろうか、充電しながらの運転はできない

 前置きが長くなったので、そろそろ使ってみよう。まずはバスルームではなく、普通に“ドライ”でシェービングをスタート。うん、“チョリチョリ”という軽快なカット音は、高級モデルのラムダッシュとまったく同じ。なかなか良い感じだ。

 しかし、肌へのフィット感がイマイチで若干剃り残しが気になる。さらにいえば、シェービング時の滑らかさも欠けるきらいがある。というのも、高級モデルでは「密着フローティングヘッド」によりヘッドが前後左右に動くため、顔の曲線に“ヌルリ”とスムーズにフィットする。そのため、顔との密着度が高く、いとも簡単にヒゲが剃れてしまう。一方でES-GA21は、ヘッドが左右に動く「フロートヘッド」は備えているものの、さすがに“前後左右”の高級モデルとは違い、ヘッドの滑らかさは落ちる。また、刃が4枚ではなく3枚のせいか、肌にかかる負荷も強め。肌が弱い人にはつらそうだ。

ES-GA21はのヘッドは左右に動く「フローティングヘッド」仕様となっている

 続いてお風呂に入ってWET剃りに挑戦。泡立てた洗顔用石鹸を顔に付け、シェービングすると、その感触はとても滑らか。顔の曲線もフロートヘッドで十分にスルッと通るので、明らかにドライよりも使い心地が良い。なお、石鹸や洗顔剤は、よく泡立てた方がスムーズにシェービングできる。

 WET剃り後は、ドライよりも肌がツルツルで、ラムダッシュの高級モデルで剃った時の感触に似ている。しかも、WET剃り独特の爽快感もある。肌にかかる負荷は依然高めだが、ドライ剃りよりも幾分和らいでいる。正直に言って大満足だ。

WET剃りに使ってみたところ、ドライよりもヘッドの動きがスムーズ。とても使いやすかった使用後すぐに石鹸などでヘッドが洗えるのも、WET剃りの特徴。説明書によると、WET剃り後は刃に専用オイルを付ける必要があるという上から、シェービング前、ドライ剃り後、WET剃り後の記者の顔。WET剃りは頬がツルツルでとても爽やかだった

 高級モデルとの差は明確にあるが、WET剃りによって高級モデルに近い剃り味が味わえるというのは、かなりおトクな商品といえるだろう。特にウェットシェービングを愛好している人にはお勧めだ。また、T字カミソリからの移行を検討中の人にも向きそうだ。逆にドライシェービング派の人は、剃り味がよりスムーズな高級モデル、または、用途を割り切って、より廉価モデルを選ぶという選択肢もあるだろう。

 ヒゲが濃い体質に生まれたことを恨んだこともあったが、WET剃りでスムーズに剃れた後の爽快感は、大げさだが一瞬だけでも“ヒゲが濃くて良かった!”と思わせるものがあった。ラムダッシュのWET剃りにしばらくハマってしまいそうだ。


2009年11月4日 00:00