家電製品ミニレビュー

導光パネルで部屋の隅まで明るく照らすLEDシーリングライト

 リビングルームのあかりとして、新たな光の演出ができるLEDシーリングライトが加わった。上下2枚のクリアな導光パネルで、光を立体的に拡散する、パナソニックの「LEDシーリングライト HH-LC720A」を今回は紹介しよう。

パナソニック「LEDシーリングライト HH-LC720A」。12畳向けだ。上下2枚の導光パネルを独立して調色できる
消灯している時は透明な導光パネル(上)。点灯するとパネル全体が輝き、光が上下左右に放たれる

 最大の特徴は、上下の導光パネルを別々の光色で点灯し、リビングルームに新たな光の表情が演出できること。しかも、天井付近からキリリと壁を照らす高い拡散性が、部屋を広々と見せてくれる。セードが無い新鮮なデザインは、消灯時も軽やかな印象だ。

 もちろん、単色での昼光色(6,500K)~電球色(2,700K)の調色、100~5%の調光にも対応。外光の変化に応じて自動調光・消灯してくれるエコナビも搭載している。

メーカー名パナソニック
製品名LEDシーリングライト
品番HH-LC720A
光色昼光色(6,500K)~電球色(2,700K)
演色性Ra83
標準器具光束5,000lm(普段モード・昼光色100%) 最大5,499lm(勉強モード)
定格寿命40,000時間
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格49,982円

取り付けは従来のシーリングライトと同じ

開梱した器具。左から本体、アダプター、フタ、リモコン、リモコンボックス。導光パネルには青い保護シートが貼ってある

 本体の大きさは630×99mm(直径×高さ)で、重さは4.8kg。12畳タイプでも、一般的なシーリングライトと変わらないサイズだ。セードのかわりに厚さ4mmの導光パネルが二重に組み込まれている。

 取り付けは簡単だ。形状はセードタイプのものと違うが、取り付けは従来のシーリングライトと方法は変わらず数分で終わる。天井に配線器具の「引掛シーリング」にアダプターを取り付け、本体を押し上げて装着。コネクターを本体に差し込んでフタを取り付け、導光パネルの保護シートを剥がせば完了する。

 本体を持ち上げる際、導光パネルを持って支えられないので多少気を使う。だが、円形の器具は収まりが良く、エコナビを動作させる「明るさセンサー」の向きも、1部屋に1台だけ取り付けるなら気にしなくて良い。

 操作は全て、付属するリモコンで行なう。ボタンにはハッキリと目的が明記されており、わかりやすい。設定など、普段使わないボタンはフタの中に集約されている。タイマーモードも搭載されているので、器具の取り付けが終わったら取扱説明書に沿って時刻設定をしておく。

【1】天井にある引掛けシーリングに付属のアダプターをはめ込む
【2】アダプターと本体の中央を合わせ、「カチッ」と音がするまで本体を押し上げて取り付ける
【3】コネクターをアダプタに差し込む
【4】フタを回してとりつける
【5】上下導光パネルの保護シートを丁寧に剥がす
【6】完成。大きさは630×99mm(直径×高さ)だ
明かりのコントロールは付属のリモコンで行なう。フタの中には設定に関するボタンが集約されている

部屋の高い位置から床まできっちり明るい! 調色・調光は自由自在

 はじめにリモコンの「点灯・普段」ボタンで点灯した。調光・調色ができる「普段のあかり」だ。

 驚くのは、天井付近から部屋全体がきっちり明るく照らされることだ。透明な上下2枚の導光パネルが光を横方向・上方向へと立体的に広げ、下パネルの不透明な内側と中央部の2つの光源で器具下方向をしっかり照らす。天井付近の壁から床面の隅々まで明るく照らされ、部屋全体がスッキリ広々と見える。平均演色評価数はRa83(Ra100が最高)と良好で、物の色の見え方も色鮮やかだ。

 「普段のあかり」は調光・調色が自由自在。どちらも無段階調節ができる。

 調光は、「明るい・暗い」ボタンを押せば、100~5%の広い範囲で調節できる。調色は、「白い色・暖かい色」ボタンを押せば、白い色(昼光色6,500K)~中間色(昼白色)~暖かい色(電球色2,700K)と徐々に変化する。どちらも間欠的にボタンを押せば、だいたい20段階、押し続ければ約3秒と素早く調節できる。

「普段のあかり」。白色・明るさ100%で点灯した様子。天井付近の壁から、床の隅々までキリッと明るい。壁全体が明るいので部屋が広く見える
調色した器具の様子。「白い色・暖かい色」ボタンを押すと、白い色(昼光色6,500K)~中間色~暖かい色(電球色2,700K)へと変化する

 最も明るいのは「白い色・明るさ100%」で、直下は440lx。しっかり本が読めるほどパッと明るい。白い色から暖かい色へと調色すると明るさは落ちるが、電球色100%にしても328lxと十分明るい。もっとも明るさを落とした時(明るさ5%)、直下は23~18lxだった。季節や過ごし方、好みに応じた明るさが自在に調節できる。最後に調節した明るさと光色が記憶され、次に「普段のあかり」で点灯した時に呼び出される。

明るさ100%のそれぞれの光色の様子。明るさは左から昼光色440lx、中間色427lx、電球色328lxだった。いずれもリビングルームに十分過ぎるほど明るい
明るさを絞っても、拡散性の良さは変わらない
どの光色でも5%のほのかな明るさまで調光できる。直下の明るさは23~18lx

 ユニークなのは、普段のあかりは過ごし方に応じて中央部の光源が独立して点灯・消灯ができることだ。操作は、点灯中に「点灯・普段」を押すだけ。器具真下の明るさが15~11%落ちるので、寝転がった時の眩しさが軽減できる。テレビ視聴にも便利だ。

「普段のあかり」は中央部のみ独立して消灯できる
中央部を消すと、壁面周辺は明るさを変えずに、直下だけ15%~11%明るさが落とせる。中央部を消すと427lxが364lx(右)になった。眩しさが軽減できる

 リビングルームでじっくり読書や勉強をするなら、「勉強」ボタンを押すといい。光色は、文字が読みやすい6,200Kに固定され、明るさは485lxと「白い色・明るさ100%」よりも10%近くアップする。どのモード、消灯からでも、ボタン一発で適した最大の明かりが得られる。勉強モードは明るさのみ調節できる。

 「常夜灯」ボタンを押すと、本体中央部が電球色でほのかに点灯する。6段階の明るさが変えられる。明るさは(0.6~0.22lx)で、就寝時に眩しさを感じにくい。

勉強モードで点灯すると、光色が6,200Kに固定され、器具最大の明るさになる。白地に黒い文字がより見えやすくなる(中央)
「常夜灯」は、本体中央部のみが淡い電球色でほのかに点灯する。明るさが6段階に変えられる

リビングルームをより表情豊かに彩る「はなやか」モード

 HH-LC720AがほかのLEDシーリングライトと大きく異なるのは、上下の導光パネルを別々の光色で組み合わせて、表情豊かな中間色が楽しめる点だ。例えば、上パネルは昼光色、下パネルは電球色、その逆の組み合わせもできる。

 調節はとても簡単。リモコンの「はなやか」を押し、続けて「はなやか設定」ボタンを押す。すると、約10秒かけて上下パネルの光色が別々に変化・一巡する。好みの色の組み合わせで「はなやか設定」ボタンを再度押せば固定され、中央部が点灯する。一度固定すれば、次に「はなやか」ボタンを押した時にその組み合わせが呼び出される。光色の組み合わせは何度でも変更できる。

「はなやか設定」ボタンを押すと、10秒間で6,500~2,700Kの間で上下のパネルが別々に光色が変化する。好みの色の組み合わせで再度ボタンを押せば固定できる
上パネルは昼光色、下パネルは電球色に固定した例。天井付近は白色で、床に向かって暖かなくつろぎに合う光色にグラデーションで変化する。くつろぎと清々しさが同居している

 調光、中央部のみの点灯・消灯は「普段のあかり」同様にできる。なお中央部は昼白色に固定されている。

 「昼光色と電球色の強弱を、上下のパネルで中間色を作り出す」と言えばそれまでかもしれない。だが、別の光色を立体的に上下に振り分けることで、部屋に光色のグラデーションが浮かび、空間に深みのある表情が生まれる。これはほかの器具には真似できないところだ。

 上パネルを昼光色、下パネルを電球色にすれば、くつろぎの中間色ながら清々しさがプラスされる印象だ。上パネルを電球色、下パネルを昼光色にすれば、暑苦しさを抑えた温かみのある中間色が演出できる。単色で部屋を照らすのとは違う雰囲気、光の表情が演出できる。目に触れる器具の見た目も新鮮だ。

 「はなやかモード」は、ほかの器具との相性も良い。明るさを落とし、中央部を消した本製品と、電球色のスタンドと組み合わせれば、手元の色の偏りの少ない、赤みを抑えたくつろぎのシーンが演出できる。夏の夜のくつろぎにはもちろん、映画をじっくり鑑賞する明かりとして最適だろう。

上パネルを電球色、下パネルを昼光色に固定した例。天井付近は温かみが強調されるものの、手元は自然な色合いに近い
単色の中間色と並べた様子。普段の明かりの中間色(中央)と違い、立体的な光色のグラデーションが部屋に新鮮な表情を織りなす
「はなやかモード」の中央部を消して明るさを抑え、電球色のスタンドと組み合わせれば、手元は自然な色みに近く、単色電球色(右)よりも暑苦しさが抑えられる

省エネ機能もバッチリ。昼間は「エコナビ」におまかせ

省エネ機能のエコナビ。夜間、明るさ設定を50%に設定した(左端)。早朝から陽が落ちるまで、自動調光で部屋の明るさはほぼ一定。外光がたっぷり入る昼間は自動で消灯してくれる

 本製品は、パナソニックの上位機種に搭載されている「エコナビ」にも対応している。エコナビは、外光やほかの照明器具よって変化する部屋の明るさを感知し、自動で調光・消灯までしてくれる省エネ機能だ。

 「エコナビ」運転をする前に行なう、エコナビの設定は2つ。リモコンで部屋の環境を覚えさせ、エコナビ運転時の最大の明るさを選択することだ。部屋の環境は、「普段のあかり」で点灯した後、「環境設定ボタン」を押して約10秒ほど待つだけ。明るさは「明るさ調節ボタン」を押して、100%、70%、50%の3つの中から選択するだけだ。取扱説明書に記載されている順番を追うだけで、簡単に設定できる。

 リビングルームの明るさは、200lxあれば十分に明るいと感じられるので、我が家では50%(直下照度は210lxだった)を選択した。

 日中に「エコナビ」ボタンを押して点灯すると、普段モードの最後に選んだ光色で点灯する。早朝から夕暮れまで追ってみたが、外光が変わっても自動調光で部屋の中の明るさはほぼ一定に保たれる。午前10時過ぎにすっかり明るくなると、自動的に消灯した。自動調光は、数分かけてゆっくりと調節されるので、めまぐるしさは全く感じられない。

12畳用でも消費電力は低い。最大に明るくなる勉強モードでも67Wだった。リビングルームに十分な200lx前後に調光すれば25W前後しか電力は消費しない

 本製品は、部屋を隅々まで明るく照らす導光パネルを採用しているが、消費電力はLEDらしくしっかり低い。

 「普段のあかり」の消費電力は60~2W。表情豊かな「はなやかモード」でも58~2Wだった。リビングルームに適した明るさに調光すれば(中間色・200lx前後)27W程度で済む。日中は、自動消灯してくれるエコナビにおまかせすれば、手を煩わせずに効果的な節電ができるだろう。なお、エコナビ自動消灯時、待機電力、常夜灯は測定不可能の0Wだった。

 最後になるが、どの点灯状態でもキーンというモスキートノイズもなければ、AMラジオへのノイズの影響も無かった。また、“居留守”に便利な「るすばんモード」も備えている。

 使っていて2点気になったことがある。1つは光色と明るさの調整は勘に頼るしかないこと。もう1つは、エコナビモードは調色できないことだ。エコナビの光色は「普段のあかり」で最後に点灯した光色に拠るので、夜間に電球色で点灯していた場合、昼間にエコナビで点灯すると電球色でスタートしてしまう。外光に光色を合わせるのに、一度消灯して「普段のあかり」で調色し、再度エコナビに切り替える、という煩わしさがあった。

 とは言うものの、快適なシーリングライトであることは変わらない。部屋が広々と見える高い拡散性はもちろん、光色さえも立体的に広がる「はなやかモード」は、単なる調光・調色のシーリングライトでは得られない、表情豊かなリビングルームが演出できる。操作もとても簡単だ。

 価額は、こなれてきたLEDシーリングライトの中で高価ではある。だが、ほかのシーリングライトでは味わえない明かりの楽しさがあり、導光パネルから放たれる光の表情も豊か。省エネもおまかせできる。より快適な暮らしを提案するシーリングライトとして、大いに魅力的だ。

藤原 大蔵