家電製品ミニレビュー

スポットライトで生活シーンを演出できるシーリングライト

パナソニック「LEDシーリングライト HH-LC714A」

 自由に調光・調色ができ、蛍光灯よりも電力効率の良いLEDシーリングライトに、3灯の「可動式スポットライト」が加わったものが登場した。今回は、パナソニックの「LEDシーリングライト HH-LC714A」を紹介しよう。

メーカー名パナソニック
製品名LEDシーリングライト HH-LC714A
光色昼光色(6,500K)~電球色(2,700K)
演色性Ra83
標準器具光束5,000lm(普段モード・昼光色100%)
最大5,499lm(勉強モード)
定格寿命40,000時間
購入場所Amazon.co.jp
購入価格55,076円

 最大の特徴となるスポットライトには、パナソニック独自の、色の再現性や肌の美しさを高める「美ルック(ミルック)」を採用している。スポットライトと、「普段」、「くつろぎ」、「シアター」などと組み合わせることで、ワンランク上の上質な明かりが簡単に演出できる。

 上位機種だけに、外光の変化に応じて自動調光・消灯してくれる「エコナビ」も搭載している。

取り付けは数分で終わる

 本体の大きさは、709×133mm(直径×高さ)で、重さは4.7kg。外周にスポットライト、器具上部には間接光のユニットが組み込まれている分、スタンダードなものよりも2kg弱重く、扱いは多少気を使う。

 とは言え、取り付けは数分で終わるほど簡単だ。天井配線器具の引掛シーリングに付属のアダプターを取り付け、本体を押し上げて装着。本体から伸びるコネクターをアダプターに差し込んでカバーを取り付ければ、取り付けはおしまいだ。

 留意する点は、外周にある「明るさセンサー」を、テレビ側に向けること。これは、テレビの背面の壁を照らす「シアターのあかり」のためだ。

 取り付けが済んだら、設置する環境に応じてそれぞれのスポットライトの向きを調節する。スポットライトの可動範囲は、外側に約45度・内側に約30度、左右(外周方向)に約25度。スポットライトは、暗くなってから光の向きを確認しながら調整したほうが簡単だろう。

天井にある引掛けシーリングに付属のアダプターをはめ込む(上)。アダプターと本体の中央を合わせ、「カチッ」と音がするまで本体を押し上げて取り付ける(下)
明るさセンサーをテレビがある壁方向に向ける(左上)。コネクターをアダプターに差し込む(右上)。カバーを取り付ける(下)
完成。大きさは709×133mm(同)だ(上)。設置する環境に応じて、スポットライトの角度を調節する(下2点)

 全ての操作は、付属するリモコンで行なう。リモコン表面のボタンの数は11個。それぞれに目的が明記されているのでわかりやすい。設定に必要なボタンは、フタの内側に集約されている。タイマーモードも搭載されているので、器具の取り付けが終わったら取扱説明書に沿って時刻を設定しておく。

 リモコンには送信部が2カ所あるので、立てても倒しても操作ができる。またリモコンには、便利な手元灯が装備されているのも特徴だ。なお、リモコンを収納するホルダーも付属する。

明かりのコントロールは、付属のリモコンで行なう。立てても倒してもOK(上)。フタの中に設定関連のボタンが集約されている

部屋の隅々まで照らす「普段のあかり」。さらに明るく、文字が読みやすい「勉強のあかり」

 最初にシーリングライトの基本の明かりとなる「普段のあかり」で点灯した。リモコンの最も大きなオレンジ色の「点灯・普段」ボタンを押すと点灯する。

普段のあかり

 12畳タイプということもあり、取り付けた8畳の部屋全体が眩しいほど明るくなった。普段のあかりは、昼光色(色温度6,500K)100%が最も明るく、直下照度は425lx。リモコンの「暖かい色」の光色ボタンを押すと無段階で光色が変わり、電球色(2,700K)へと変化する。電球色は明るさが落ちるが、260lxは普段の生活には十分明るい。

 調光範囲は100~5%で、ほのかな明るさ(23~17lx)まで明かりが調節できる(器具の約2mの真下で測定。以降、照度は全て同じ条件)。

 普段のあかりは光色・調色すると、その都度記憶される。消灯して次に点灯した時、最後の設定が呼び出される。後に触れるが、普段の明かりとスポットライトを組み合わせた使い方もできる。

明るさ100%のそれぞれの光色の様子。明るさは左から昼光色425lx、中間色375lx、電球色260lx。リビングルームに十分な明るさだ
普段のあかりを調色・調光した様子。5%まで調光すると、23~17lxのほのかな明るさまで絞れる。他のあかりモードや消灯した時に、調色・調光の組み合わせが記憶される

勉強のあかり

 「勉強」ボタンを押すと、さらに明るく、固定された光色(6,200K)で点灯する。照度は明るさ100%の昼光色よりもさらにアップして472lxだった。白黒のコントラストがハッキリとする光色で、文字がキリッと読みやすい。

 勉強や読書はもちろんだが、とにかくボタン一発で最大の明るさにしたい時にも活用できる。勉強のあかりは調色できないが、明るさは5%まで調節できる。

勉強のあかりは、普段のあかりよりも明るさがアップして472lx。文字が読みやすい光色で固定される。部屋の広さや好みに合わせて、5%まで調光できる
「勉強のあかり(明るさ100%)」(左)が、「普段のあかり(昼光・中間・電球色 明るさ100%)」よりもずっと読みやすい

 普段のあかりと勉強のあかりは、光の拡散性が特に良い。器具の真下はもちろん、壁面まで光がたっぷり届き、部屋全体がバッチリ明るくなる。天井付近もかなり明るくなる。

 カバーを外して器具内部を改めて見ると、LEDは一粒ずつ新たに開発された光拡散レンズに包まれており、拡散性を高めているという。器具の中央には光源は無いが、カバーはほぼムラ無く輝き、最大の明るさにしてもギラツキ感がないのも特徴の1つだろう。

器具を真下からみても、カバーはムラ無くほぼ均一に輝く。ギラツキを感じにくい(上)。カバー内のLEDは1個ずつ光拡散レンズに包まれている
普段のあかり、勉強のあかりの器具の様子。普段のあかりはスポットライトも併用できる

「くつろぎ」、「シアター」の明かりに、高演色のスポットライトをプラス!

 「くつろぎ」と「シアター」の明かりは、天井面に接する上部の間接光ユニットのみが点灯し、普段のあかりとはまったく違った光の演出が楽しめる。さらに、「スポットライト」を組み合わせる事で、これまでのシーリングライトでは得られなかった、ドラマチックな光の演出が容易にできるようになった。

 間接光のくつろぎのあかり、シアターのあかりと組み合わせる前に、スポットライトを単体で使ってみた。

シアターとくつろぎは、器具上部の間接光ユニットが点灯する。スポットライトを併用して、より印象的な光演出ができる
スポットライト単独でも点灯できる。スポットライトは100~5%の調光ができる(上)。6段階に調光できる常夜灯ももちろん備えている

スポットライト

 スポットライトだけの点灯もできる。3灯それぞれの向きが変えられるので、テーブル面だけに集中させたり、壁面近くの観葉植物や絵画を照らしたりと、部屋の環境、家具の配置に合わせて光の演出に利用できる。100~5%の調光もできる。

 スポットライト単体でも実用的な明るさが得られた。1灯あたり110lmの明かりがあり、3灯を真下に向けてダイニングテーブルを照らした場合、食事や軽い読書にも適した200lxの明るさが確保できるという。椅子に座った膝の高さのところで計測すると、150lx近くもあった。

部屋の環境に合わせて、観葉植物・テーブル・椅子に当てた様子。スポットライトだけでもなかなか良い印象だ(左)。3灯集中させると軽い読書ができるほど明るい。椅子の上で150lxだった(中)。調光ももちろんできる

 明るいだけでなく、「美ルック」のスポットライトは演色性がとても高い。食べ物は色鮮やかに美味しそうに映え、テーブルや床の木質もキレイに見える。硬質な直接光で照らされたグラスは輝きを一層増し、食卓をより華やかに彩る。部屋全体を一様に照らすシーリングライトでは得られなかった光の表情が、生活空間にプラスできる。

美ルックのスポットライトは高演色。カツオの漬け丼がとても美味しそうに映え、テーブルの木質も自然(左)。右は普段のあかりの電球色の様子。悪くはないのだが、スポットライトと並べるとくすんで見える
スポットライトの方が、グラスや飲み物が美しく華やかに見える(左)。普段のあかりだけでは、硬質な光が望めない分、輝きが鈍い

 スポットライトは、「普段のあかり」、「くつろぎのあかり」、「シアターのあかり」と組み合わせられる。

くつろぎのあかり+スポットライトで、落ち着いた食卓、静かなくつろぎを演出

 「くつろぎのあかり」は、夕暮れをイメージしたというオレンジ色(2,000K)の間接光の明かりで点灯する。柔らかな、電球色よりも深みのあるオレンジ色が天井付近に広がり、不思議と気分が落ち着く。就寝前やリラックスに向く明かりだ。くつろぎのあかりも100~5%の調光ができる。

くつろぎのあかり(左)。くつろぎのあかりにスポットライトを組み合わせた様子。くつろぎのあかりを調光してからスポットライトを点灯すると、くつろぎのあかりの明るさは固定され、スポットライトだけが調光できる(右)

 くつろぎのあかりにスポットライトを加えると、落ち着いた食卓、語らいの時間にピッタリな明かりが演出できる。単に明かりを落として薄暗くするのとは違い、手元に適度な明るさを保ちつつ、コントラストの効いた陰影と、2色の光が空間で融合し心地良い。

「くつろぎのあかり+スポットライト」は、電球色を暗くしただけの明かり(右)より、上質で心地良い落ち着きのある暗さが演出できる(左)

 1台のシーリングライトで、これほどまでにドラマチックな明かりが簡単にコントロールできるのは、他には見当たらないだろう。

シアターのあかりで、画面に集中。スポットライトで手元の明るさも確保

 「シアターのあかり」は、電球色の間接光でテレビの背面の壁を柔らかく照らす明かりだ。部屋の細々としたものが照らされないので、画面により集中しやすい環境が整えられる。また、画面の明るさと壁面の明るさの差が小さくなるので、長時間の映画鑑賞でも目が疲れにくい。

 シアターのあかりにもスポットライトが加えられる。手元を明るくできるので、リモコン操作はもちろん、映画を観ながら楽しむ軽い飲食にも適しているだろう。

 本製品をダイニングルームで使うなら、普段のあかりに高演色のスポットライトをプラスすれば、より食事が美味しそうに見えるだろう。

シアターのあかりに(左)、スポットライトを組み合わせた様子。画面に集中できる明かりが演出しながら、手元もしっかり明るくできる

昼間はエコナビでバッチリ省エネ

 本製品は「エコナビ」にも対応している。エコナビは、外光や他の照明器具よって変化する部屋の明るさを感知して、自動で調光・消灯してくれるパナソニック独自の省エネ機能だ。

 エコナビ運転をする前に、設定が2つ必要だ。もちろん設定はリモコンだけで簡単にできる。

 夜間、リモコンのフタの内側にある「環境設定ボタン」を押して、部屋の環境を覚えさせる。次に、エコナビ運転時の最大の明るさを、「明るさ調節ボタン」を押して、100%、70%、50%の3つの中から選択する。

 設定は、取扱説明書に記載されている順番を追うだけで、簡単にできた。リビングルームの明るさは200lx程度あれば十分に明るいと感じられるので、光色を中間色に調整して50%(直下照度は186lx)を選択した。

エコナビの運転時の明るさは、100%、70%、50%の3つの中から選べる。我が家の場合50%を選んだ。中間色で186lxは、リビングの明るさとしては十分だ

 起床後、エコナビボタンを押して点灯すると、普段のあかりの最後に選んだ光色で点灯する。

 外光があれば自動でゆっくりと減光し、設定を超えるほど外光が明るくなると、自動的に消灯する。反対に、日が傾いて暗くなると自動で点灯し、日がすっかり沈むまで徐々に設定した明るさに向かって照明の明るさが増していった。

 自動調光は、数分かけてゆっくりと調節されるのでめまぐるしさがない。外光が一瞬で変わっても、センサーは約10秒間部屋の明るさを測定して、明るさを変えるか判断するからだ。調光も消灯も、約2~5分かけてゆっくり変化するので、変わったのが気づかないぐらい部屋全体の明るさの印象が一定していた。

エコナビ運転の様子。明るくなると自動減光し、さらに明るくなると自動消灯する。日が陰り始めると自動点灯し、徐々に明るさが増していった

 エコナビ運転中は、調色やスポットライトは併用できない。だが、明るさはリモコンの調光ボタンを5秒以上長押すると、最大2段階アップできる。自動調光時、暗いと感じた時には便利で、より細かな自動運転に対応するようになった。

エコナビ運転中は、明るさセンサーの隣の緑色のランプが点灯する。センサーは約10秒間部屋の明るさを測定して、明るさを変えるか判断する

12畳タイプなのに、消費電力は最大でも50W以下!

 驚いたのは、本製品の消費電力の低さだ。12畳用なのに、最も明るい「勉強のあかり」でさえ、消費電力は49Wととても低い。かつての、~12畳の蛍光灯シーリングライトの消費電力は100Wぐらいだったので、本製品を使えば最大の明るさにしても半分程度で済む。

それぞれのシーンでの最大消費電力の様子。最大でも49Wと、消費電力は軒並み低い。明るさを少し落とせば、大幅な省エネができる

 「普段のあかり」の消費電力は44~2Wで、さらに経済的だ。200lx前後のリビングルームに適した明るさに調光すれば、せいぜい20W程度まで電力が抑えられる。少し明るさを落とすだけで、消費電力がグッと下がるのも確認した。

 さらに、「くつろぎ」は6~0W(測定不能)、「シアター」は3Wと軒並み低い。スポットライトは単体で9~0Wだった。組み合わせ例として、くつろぎとスポットライトをそれぞれ100%の明るさで併用しても16Wと、こちらも低い。表情豊かなあかりが経済的に楽しめる。

 日中は自動消灯までしてくれるエコナビにおまかせすれば、無駄な電力を効率良く自動で抑えてくれるだろう。なお、エコナビ自動消灯時、待機電力、常夜灯は測定不可能の0Wだった。

 なお、どの点灯状態でもキーンというモスキートノイズもなければ、AMラジオへのノイズの影響も無かった。また、“居留守”に便利な「るすばんモード」に、おやすみタイマーも備えている。

1台のシーリングライトで、表情豊かなあかりが簡単に楽しめる

 印象的な照明の演出には、一般的には複数の照明器具を駆使した「多灯照明」が必要で、ある程度テクニックも必要とされる。

 だが本製品があれば、難しい操作もテクニックも必要なく、部屋の隅々まで明るい団欒のあかり、勉強・読書のあかり、さらにスポットライトも多用した間接光の明かりまで、リモコンひとつで簡単に実現できる。これは最大の利点だろう。

 ただし、気になった点が2つあった。1つは、調色も調光も無段階で変化するが、リモコンに明かりの状態が表示されない点だ。調節は感覚に頼るしかなく、どのぐらい節電できるかもまったくわからない。

 もう1つは、エコナビ運転時は「普段のあかり」で記憶された光色で点灯する点だ。普段のあかりを電球色で消した場合、日中にエコナビ運転を始めると外光とちぐはぐな電球色で点灯してしまう。その時は、普段のあかりで点灯しなおして、白っぽい色に調色し、再度エコナビボタンを押す羽目になる。これは煩わしい。

 気になる点はあるが、高演色のスポットライトが加わり、「明かりの質」がさらに向上した至極快適な製品なのは間違いない。価格がこなれてきたLEDシーリングライトの中で高価ではあるが、それに見合うだけの機能と操作性が揃い、省エネ性能も進化している。

 生活の中心となるリビングルームやダイニングルームを、より一層心地良く、魅力的に彩る明かりとして、本製品は大いにオススメできるシーリングライトだ。

藤原 大蔵