家電製品ミニレビュー
色と明るさを手軽かつ自在にコントロールできるLEDライト「hue」
by スタパ齋藤(2013/10/16 00:00)
家電Watch編集部から「貴様は光りモノ大好き野郎だから、光の色を自在に変えられるLEDランプを試してみなはれ」風なメールとともに、フィリップスの「hue」が送られて……キターッ!! コレコレ!! 超興味あったんですよこのLEDライトにッ♪
メーカー名 | フィリップス |
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製品名 | hue スターターセット |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | AppleStore |
購入価格 | 26,000円 |
hueは、明るさや色を1,600万通り以上に調節できるLEDランプで、E26口金の照明器具に対応する。ただ、普通の電球などと違い、使うためにはWi-Fi環境(Wi-Fiルータ)が必須。Wi-Fi経由で、スマートフォンやタブレットから、hueの点灯/消灯/色や明るさの調節を行なうからだ。また、インターネットに接続されているWi-Fi環境(まあフツーそうですな)なら、スマートフォンを使って屋外からhueを制御したり、ウェブブラウザでhueをコントロールすることができる。
ちなみに「hue」は、色を数値で表すための体系のひとつである「マンセル色体系」の色相を示す「hue」からそのまま取ったものだと思われる。hue circleのhueで「ヒュー」と読みますな。
さて、hueを「LEDランプである」というスタンスで見ちゃうと、恐らくイロイロと誤解が生じると思う。アップルストアで買えるんですけど、使い始めるには「Philips hue LEDランプ スターターセット」が必要。これは、LEDランプ×3個とブリッジと呼ばれる無線機器のセットで、26,000円する。hueのランプ1個が6,980円。LEDランプとしてはヒッジョーに高価なのだ。
が、hueを使ってみると、「まあ、値段、そんなもんかな」と思えてきたりする。それはフツーのLEDランプとhueとでは、活用幅がまるで違うからだ。hueはLEDランプであり、光を自由にデザインできる光源であり、ネットワーク経由でさまざまな活用が可能な、これまでなかった全く新しいランプだと思う。
って、抽象的なコト言ってないで、実際どんなふうに使えるのか見ていこう。hueを使い始めるのに必要なのは、前述の「Philips hue LEDランプ スターターセット」と、Wi-Fiルータ、インターネット接続環境、スマートフォンやタブレットなどの端末となる。
で、まずは、hueのLEDランプを既存のE26口金(電球を嵌め込むソケット)にセットする。また、付属の「ブリッジ」と呼ばれる無線アダプタを、Wi-Fiルータに付属のイーサネットケーブルで接続する。
ブリッジは、Wi-Fiやインターネットといったネットワーク環境と、hueのLEDランプを無線接続するためのもの。hueのLEDランプは、基本的にネットワーク経由でオンオフしたり色や明るさを変えるんですな。
また、hueのLEDランプを取り付けた照明器具(E26口金)は、通電したままにしておく。照明器具の電源をオンオフすれば、hueも電球色点灯/消灯となるが、照明器具をオフにするとネットワーク経由でhueのLEDランプをコントロールできない=単なるLED電球=チョ~もったいない!! てなわけだ。
さて、次いで、スマートフォンやタブレットにhueをコントロールするための「Philips Hue」アプリを入れる。アプリはAndroid版とiOS版がある。
端末にアプリをインストールし……あのぉ、家電Watchなのに、Wi-Fiとかルータとかネットワークとかアプリとかインストールとかいう単語が出まくりでいいんでしょうか編集長? てか、そーゆー製品だし。イイってコトで!!
端末にアプリをインストールした後、ブリッジと接続する。接続は、アプリ上にその旨を知らせる表示が現れる。作業としてはアプリ表示を見つつ、ブリッジのボタンを押す程度だ。
以上でセットアップ完了。hueを使い始められる。
アプリにはワンタッチで色や明るさを変えられる「シーン」という設定がいくつも入っている。シーンを選ぶと、あらかじめ設定されているLEDランプ色や明るさになるんですな。以下にいくつか代表的な「シーン」を選んだときの、hueのLEDランプが光る様子を掲載してみる。
なお、hueのLEDランプが点灯している写真は、色味をなるべく現実のそれと近づけるため、明るさがかなり暗めになっている。実際は写真のような色味で、もっとずっと明るく点灯するので、そのあたりお含み置きいただければと思う。
これらの「シーン」は、LED電球の明るさや色のプリセットですな。でも、シーン名と実際の点灯の様子がチグハグな感じがするかもしれない。これは、上記の各シーンが「写真をもととしてLEDランプの発光色などを決めているから」だったりする。
具体的に、「ひなちゃん」は「青やピンクや黄色などの絵の具の落書き」の画像からLEDランプの発光色を決めているのであり、「深海」は「海中の青とそこを回遊するクラゲの赤」をLEDランプの発光色としている。hueの利用法は幅広いが、そのひとつに「写真の色をLEDランプの光源色とする」という使い方がある。たとえば気に入った色味がある写真を読み込み、同じ色味をLEDランプで出すということができるのだ。
もはや照明器具の領域を遙かに超えてますな。ちなみに、写真を選ぶとアプリが自動で色を選んでくれるが、選択された色は任意に変更することができる。
もちろん、各LEDランプの発光色を全部手動で決めることもできる。明るさと色を簡単な操作でコントロールできる。
写真から選んだ発光色/明るさや、手動で調節した発光色/明るさは、シーンとして保存できる。LEDランプの色や明るさのプリセットを作れるわけですな。
それぞれのシーンには、LEDランプの発光色/明るさがセットされているわけだが、そのセットを使ってのアラームやタイマーも使える。特定時刻に自動点灯/消灯させたり、それを組み合わせて、特定の時間の間に自動点灯させたりできる。時間が来たらその色で光ったり、その色からゆっくり消灯したりもでき、光によるお目覚めタイマー的にも利用できるだろう。
それから、hueのサイトでポータル機能を使える。ポータルに登録すると、別のhueユーザーが作成したシーンを取り込んで使えたり、ウェブブラウザからhueをコントロールできるようになったりする。外出先から自宅のhueをコントロールできるようになっちゃうんですな。
外出作からLEDランプをコントロール? とか一瞬思うわけだが、たとえば出張や旅行に出ているとき、夜になったらLEDランプを点灯させたりして「人がいる気配」を醸し出せば、防犯にもつながりますな。ほか、自宅から出たらhueのLEDランプを自動消灯させたり、自宅に戻ったら自動点灯させたりすることもできる。
けっこー凄いのは、「IFTTT(イフト)」対応だったりするトコロ。IFTTTは、たとえば「ツイッターで特定のツイートが行われたら、フェイスブックに書き込む」みたいな自動処理ができるウェブサービスだが、hueはこれに対応している。詳しくは割愛するが、IFTTTが使えるので、たとえば「スタパがツイートしたらhueのLEDランプが1個光る」というような使い方ができるのだ。
日本ではまだ活気づいていないようだが、欧米ではhue用アプリが多数開発されているようだ。hueを利用するためのAPIが公開されているので、やる気のあるエンジニアが「私だったらhueをこういうふうに活用する」といったことをアプリとして世に送り出しているわけですな。ユーザー本位の、わりと高度な使い方を、メーカーにあまり依存せずに実現しやすい、というあたりも、ほかの照明器具にはなかなか見られないhueの魅力だと思う。
hueについてさらに網羅的に知るには、フィリップスウェブサイトのFAQを一読するといいと思う。1つのブリッジに最大50個のランプをつなげられるというようなこともサクッとわかる。
てな感じのhue。ぶっちゃけ、光源の色と明るさを手軽かつ自在にコントロールできるのは、ヒジョーに楽しい。愉快。明かりとしてもステキ。思うに、こだわりを持って照明をアレコレ工夫しつつ楽しんでいるような人には「あ~これ楽しい♪」と感じられる新しい照明だと思う。店舗用照明にも良さそう。もちろん、時と場合によって使い方が変わるような部屋の照明にも適するだろう。そんな応用範囲の広さこそhueの大きな魅力だと思う。