家電ミニレビュー

夢の“熱燗マシーン”が最高! 面倒な温度調節ナシで座ったまま延々と酒が飲める

酒燗器「かんまかせ KOP-0400」本体とチロリ2個セット

寒くなってくると飲みたくなるもの。それは熱燗である。外が寒い中、熱々の鍋やおでんを食べながら熱燗なんて飲むと、まさに五臓六腑に染み渡り、体の奥底から温まって幸せな気持ちになれる。

ところがだ、家で燗つけして飲むのは案外難しい。理由は簡単で、思い通りの温度調整が難しいに尽きる。電子レンジで熱燗を作ってうまくいった記憶がない。熱くしすぎてアルコールを飛ばしてしまったことは1度や2度じゃないし、温め過ぎなのか分からないけれど、レンジで作った熱燗はあまり美味しく仕上がらない。

鍋を使って湯煎で熱燗を作るのは火の番と温度調整が面倒で気が乗らないので、「もう1杯」という気持ちに全然ならない。私はこたつでぬくぬく温まりながら、肴しっぽりつまみながら、熱燗をくぅー! と言いながら好きなペースで飲みたいのだ!

そんな我が家に、まさに夢の道具、コイズミからお借りした酒燗器「かんまかせ KOP-0400」(直販価格:8,470円)がやって来た。日本酒のお店で見たことのある憧れマシーンが、家で手軽に楽しめるまさに夢の道具。小さくて場所も取らないので、食卓に置いてあっても全然邪魔にならない。

この酒燗器の唯一の難点といっていいのは電源ケーブルがたった1mと短いこと。我が家の場合はテーブルの端にしか置けなかったので、家のコンセントの位置を確認して、置き場所をあらかじめ考えておいた方がいいかもしれない。

使い方は簡単、300ml瓶も直接温められる

まずは本体に水を注ぎ、そこに日本酒を注いだチロリをセットするだけで好みの温度の燗をつけることができる。このチロリと呼ばれる酒器、これだけで雰囲気が出て気持ちが上がる。チロリは別に気持ちを上げるグッズなわけではなく、熱伝導率が高く保温性、保冷性も高いアルミで作られた酒器で、ムラなく美味しく熱燗をつけてくれるための道具である。アルミは銅の次に熱伝導率が高いそうな。このチロリは線の部分まで注ぐとちょうど1合、180mlのお酒を入れることができる。

チロリと呼ばれる酒器が雰囲気を盛り上げる
本体に500mlの水を入れて、チロリを湯煎で温める

そして優秀なことにこの酒燗器、付属のチロリだけじゃなくて、徳利や300mlの日本酒瓶をそのままセットすることもできる。お土産やちょっとした「日本酒飲み比べセット」とかって300mlの瓶だったりすることが多いので、そのまま使えるのは手軽で良い。

我が家のお気に入りの徳利おじさんを酒燗器に入れたら、肩までお風呂に浸かって幸せおじさんみたいになって、ますます好きになってしまった(笑)。チロリも雰囲気出ていいけど、これはこれでなんとも癒されていいなぁ。

徳利や300mlの酒瓶もそのまま温めることができる
徳利が酒燗器にピッタリ。まるで徳利の入浴である

燗のモードは5種類。人肌燗(約40℃)、ぬる燗(約45℃)、上燗(約50℃)、熱燗(約60℃)、ひれ酒(約80℃)である。スイッチを捻って好みの温度に設定するだけで準備はできるのだけれど、家で燗酒初心者としては、どのモードを選べば最適なのかが分からないという、機能以前の問題がある。道具を使いこなす前の基礎知識に欠けるのだ。

その時にめちゃくちゃいいなと思ったのが、製品とともに店頭に設置されているリーフレットの存在だった。神亀酒造の社長が熱燗の魅力と、料理との合わせ方をレクチャーしてくれていて見るだけで美味しそうな内容なのだけれど、それを読むと別の料理だってお酒だって、「これはきっと熱燗が合うな」とか判断できるようになるくらい分かりやすい。

そもそもこのかんまかせ自体が酒のプロ、神亀酒造監修の製品なのだけれど、機能だけじゃなくて、ちゃんとその機能を使いこなせるまで伴走してくれる姿勢が、強いお酒への愛を感じる!

フォントが渋い。スイッチは回して設定の5モード
同じお酒でも温度で雰囲気が全然変わってくるよ
店頭設置のリーフレットは公式サイトからもダウンロードできる

卓上で使えるから、座ったままのんびり楽しめる

蟹が安く買えたので、「今夜は蟹鍋をしよう!」となり、私が材料を切って準備している間に「ちょっと予習しておいて」と、リーフレットを夫に渡しておいたら、鍋の準備ができたタイミングで、「比較的軽い味わいの蟹鍋、こちら、上燗が合うと思います。蟹の旨みがしっかり出た頃、好みで熱燗に切り替えても良いかと思います」と、すごく日本酒詳しい人のように説明してくれた(笑)。

「じゃぁ大将、それでお願いします」とお勧めの上燗で蟹鍋を堪能。めちゃくちゃ美味しくて、「うぉおー! 日本の冬!」とよく分からない感動を叫ぶ私。これはお酒も鍋も進む進む。

今夜は燗酒と蟹鍋よー!
チロリから注ぐお酒はちょっとテンションあがる!

酒燗器はポットタイプで直接加熱するものもあるけれど、長時間運転をしたり残量が少なかったりすると煮詰まったような感じがしてくる。その点、この燗まかせは湯煎で全体的にゆっくりと温めることで、旨みを引き出せ美味しい燗酒を作れて煮詰まることもなくとても良い。

燗がついたらピピッと音でお知らせしてくれ、そのまま2時間保温してくれる(ひれ酒の場合のみ保温されず完成したら電源は落ちる)。水を入れてスイッチを入れて熱燗が出来上がるまでは、ぴったりほぼ8分間だった。説明書では熱燗は約60℃となっているけれど、設定温度よりやや低めの仕上がりになった。熱燗なら56℃ほど、上燗だったら45℃な感じになる。

結局上燗は最初だけで、熱燗ばかり飲んでいた。まぁ、食材との相性もあるけれど、結局自分の好みで好きに飲んだらいいよねという結論になった。私はどうやら熱燗が好みのようだ。

温度は気持ち低めに仕上がる

湯煎のために中に水を張っているので、中のお酒が減ってくると浮力でアルミのチロリが浮いてくる。最初この浮く感じがすごく気になってしまったのだけれど、逆に中を確認しなくても空の状態が分かるので、「お酒追加お願いしますー」と常に切らさず追加できる目安になって良かった(笑)。

同時に2つのチロリを温められるので、2種類飲み比べをするも良し、常にどちらかを適温状態に保つもよし、かなり快適である。そして1度準備してしまうと、1度も席を立たずにのんびり飲めるのが最高に良い。夫は最後に蟹の甲羅に熱燗を注ぎ、甲羅酒まで楽しんでいた。大満足だ。

お酒がなくなると軽いチロリは浮いてくる
最後は甲羅酒まで楽しんでいた

お正月もかんまかせは常に卓上に。おせちをつまみながらテレビを見ながら頂く燗酒は、正月を堪能する上で最高の相棒だった。正月になるとお尻から根が生えたようにソファから動かない夫。ちびちびとお酒を燗つけしながら数の子をポリポリやり、無心に正月特番を見ていた。

さらに年越しそばを茹でた時の蕎麦湯をチロリに取っておいて、ひれ酒モードで熱くしてから、焼酎の蕎麦湯割りを飲むという天才的応用もしていて、燗つけのプロみたいになっていた。

おせち料理にもやっぱり燗酒でしょう

燗酒自体も美味しいけれど、私は普段お酒を飲む中で、美味しいご飯には美味しいお酒、美味しいお酒には美味しいご飯。と、食べ物との相性を1番大切にしている。

食事を邪魔されず、誰かの食事が中断されるでもなく、全員が一緒に好きなペースで美味しいものを食べられるこの酒燗器は、ただお酒を美味しく温めてくれるという機能だけじゃなくて、食卓に自然に馴染んで一緒に食事を囲む相棒としてしみじみ優秀だなと思ったのであります。ってただ私が動きたくないだけかもしれないけれど(笑)。

それでも「今日は美味しい燗酒飲むぞ!」と思ったら、美味しいご飯の準備にも気合が入る。食事はとても楽しいもので、それを引き立て盛り上げてくれる燗酒って素晴らしいものだなと、日本酒がますます好きになってしまった。

濃いめのすき焼きには熱燗でしっぽり

ホットワインでリラックス

ひれ酒モードは約80℃。ひれのアミノ酸などの旨み成分を溶け出しやすくするために、熱燗よりも高い温度が必要なのだ。ひれ酒用のとらふぐのヒレは、通販でも普通に買えるので、一見難しそうなひれ酒も、このかんまかせさえあれば案外家で簡単に作ることができる。

このかんまかせがなかったら、「温度高め、温度高め」と言いながら、沸騰させてアルコールを全部飛ばして失敗する自信があるけど(笑)。

ひれ酒も良いけれど、私がこのかんまかせのひれ酒モードでハマったのはホットワイン作りである。このチロリに日本酒以外を入れることはメーカーが想定していないため、あくまで私がアレンジして独自に使ってみた例を紹介したい。

普段は甘いお酒はほとんど飲まないのだけれど、ちょっと風邪っぽいなと思った夜や、寝つきが悪いなと思った日は、少し甘めのホットワインを飲むと体も温まってとても良い。今はホットワイン用のパウダータイプのスパイスミックスなど手軽なものも売っている。

チロリの中にワインを入れてひれ酒モードでワインを温めている間に、グラスにパウダースパイスや生姜、蜂蜜などを入れておく。そしてワインが80℃ほどに温まり、ピピッとお知らせされたらグラスに注ぐのだ。

シナモンスティックでくるくると混ぜ、スパイスと馴染ませてから飲むと、体がポカポカ温まりぐっすり眠れるし、スッキリ元気に目覚められるのがホットワインの良さだ。グラスにレモンの輪切りなどを加えるとビタミンだけじゃなくて、香り的にも非常に癒される。

鍋も使わずキッチに立つ必要もない、酒燗器とミックススパイスで作るお手軽ホットワインがめちゃくちゃ優秀で最高だ! 自分だけのリラックス方法としても、この夜のホットワイン習慣がとても気に入ってしまった。

ホットワインはひれ酒モードで

使う時もしまう時も、コンパクトで邪魔にならない

家電の箱や発泡スチロールの緩衝材などは、カサ張るので開封とともに普段は全部捨ててしまうのだけれど、このかんまかせは割れるものではないせいもあり、過剰な梱包材もなく、箱自体もコンパクトだ。燗は飲まないなという夏場などは、箱に入れてしまっておいても邪魔にならないサイズなので、箱は捨てずに取っておくことをお勧めする。

冬に加湿器を引っ張り出すタイミングにでも「今年もこの季節がやってきましたな」と酒燗器も取り出すと、寒くて憂鬱な冬の到来がちょっぴり楽しみなものになる。

箱のまま収納しておいても邪魔にならない

心身ともに温めてくれる酒燗器の「かんまかせ」、冬の必需家電に仲間入り決定だ。機能自体はとてもシンプルだけれど、体も心もポカポカになれる、そんなキッチン家電でもあり季節商品でもリラックスグッズでもあるなと思ったのでした。

最初「熱燗飲みたい! 面白いな」と興味を持った酒燗器だったけれど、実際に使ってみると期待以上にものっすごく満足感が高く、私の冬の相棒になったのでありました。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。