家電ミニレビュー

憧れの直火エスプレッソマシンに挑戦! 濃厚な味わいを家でも再現

Bialettiの「モカエキスプレス」2カップ用

在宅ワーク中は1日に何杯もコーヒーを飲みますが、たまにはエスプレッソも飲みたくなります。ただエスプレッソは毎日飲むわけではないので、高額な電動マシンには気軽に手が出せませんでした。

そんななか見つけたのが、今回ご紹介するBialetti(ビアレッティ)「モカエキスプレス」の2カップ用。直火式エスプレッソマシン(マキネッタ)の代表的な商品であり、公式ストアでの価格は6,500円です。

マキネッタを使うのは初めてでしたが、水とコーヒーの粉を入れて火にかけるだけと想像以上に簡単。エスプレッソを作る過程はロマンをくすぐり、持っているだけでうれしくなってしまうような製品でした。

イタリアの各家庭にあるマキネッタ

1933年に発売されたモカキスプレスは、マキネッタの代表的な商品。イタリアでは一家に一台あると言われています。所有欲を満たしてくれるクラシカルなデザインが素敵です。

ただし本製品ではクレマ(エスプレッソの表面の泡)は作れません。モカキスプレスより高価ですが、Bialettiの「ブリッカ」を使用すればクレマを作れます。

また抽出できる量はカップ数によって決まるので、購入時は自分が飲む量に合わせて慎重に選ぶ必要があります。なおコーヒーの抽出量は、1カップ約60ml/2カップ約90ml/3カップ約130ml/4カップ約185ml/6カップ約250mlが目安です。

一般的にコーヒー1杯の量は120〜150mlとされています。そのため、今回ご紹介する2カップ用(約90ml)の抽出量は、一般的なコーヒーカップ1杯分の7割程度。筆者にはちょうどよい量ですが、一度に多く飲む人や複数人で飲む場合には少し物足りないかもしれません。

130mlのデミタスカップ(無印良品)は2カップ用にぴったり。ちなみに一般的なデミタスカップは容量60〜90ml程度

本体のサイズは想像よりもコンパクト。高さは500mlペットボトルの半分程度で、置き場所を取らず収納しやすいのも特徴です。

アルミ製のため軽量で持ち運びもしやすく、キャンプ用にも向いていそうです。ただしステンレス製よりも酸化しやすいため、使用後は水洗いを徹底する必要があるでしょう。

2カップ用のサイズは高さ約15cm、底直径が約7.5cm。重さは約300g

使い方は簡単。水とコーヒー粉を入れて火にかけるだけ

マキネッタはコーヒーツウ向けのマニアックな器具というイメージがあり、使い方が難しいと思っていました。しかし実際は非常に簡単で、水とコーヒー粉を入れて火にかけ、コポコポという音がしたら完成。ハンドドリップのような技術は不要なので味も安定しやすそうです。4分程度でできるため、デスクワークの合間に気軽に作れます。

タンクの水位線(もしくは安全弁の下)を目安に水を注ぐ
フィルターにすり切り一杯のコーヒー粉を入れ、スプーンの背などで表面をならす。この時コーヒー粉を押しつけないように注意
タンクとサーバーを締め付けてじっくり弱火にかける
約4分後にコポコポという音がしたら完成。マキネッタは水蒸気圧を利用して、お湯がコーヒー粉の入ったバスケットを通過し、コーヒーを抽出する仕組みを採用しています

家庭用のコンロ台の五徳とサイズが合いませんでしたが、100均の網に載せることで問題なく使えました。なお、新しく購入したマキネッタで抽出すると金属臭がするため、最初の3回は飲まずに捨てることが推奨されています。

お手入れは、3つのパーツを洗剤は使わず水洗いすればOK。ボイラーとサーバーはささっと洗えますが、バスケットは使用済みの粉を取ってから洗う必要があります。とはいえ複雑なパーツがないため、使用後のお手入れはラクでした。

パーツは全部で3つ。写真左から、水を入れるボイラー、粉をセットするバスケット、抽出されたエスプレッソが溜まるサーバー

想像するようなエスプレッソの味に

モカエキスプレス用の豆「Bialetti ペルフェットモカ クラシコ」で作ったエスプレッソを飲んでみました。

マキネッタで淹れられるコーヒーは厳密にいえば「エスプレッソ」ではなく、「モカ」として区別されているそうです。ただ、飲んでみると想像するようなエスプレッソの味でした。エスプレッソ特有のうまみが濃縮されたような味わいで、普段エスプレッソを飲まない私にとっても十分に満足のいくものでした。

「Bialetti ペルフェットモカ クラシコ」

ただしマキネッタの抽出圧は弱いため、マシンで淹れたものと比べると、濃さはやや控えめに感じられます。カフェラテを作ってみると、エスプレッソの特徴的な香りよりも、コーヒーの苦味が感じられるカフェオレ寄りの仕上がりになったと感じました。

カフェラテを作ってみるとカフェオレ寄りの味わいに

またエスプレッソにお湯を注ぐことで「アメリカーノ」になります。「薄いコーヒー」という印象になるかと思いましたが、エスプレッソ特有の味わいはしっかり残り、濃さが和らいで飲みやすくなりました。

エスプレッソ特有の味わいがしっかり残るアメリカーノ

成城石井のコーヒー豆「エスプレッソ」でも淹れてみました。こちらは、エスプレッソというよりは「濃厚なコーヒー」という印象。濃いコーヒー好きとしては、これはこれでおいしい。当たり前ですが、同じマキネッタで淹れたエスプレッソでも、使う豆によってまったく違う味になりますね。

成城石井の「エスプレッソ」は芳醇な質感や甘味が特徴

成城石井の「エスプレッソ」をハンドドリップでも淹れてみましたが、味がガラッと変わるというよりは、マキネッタで淹れた方が濃厚さがやや強調されている印象でした。同じ豆を異なる器具で淹れて比べるのは楽しく、器具を増やすことで味のバリエーションが増え、同じ豆でも飽きることなく飲めそうです。

一般的には、エスプレッソに使うコーヒー豆は極細挽きが推奨されますが、マキネッタを利用する場合は細挽きでOK。逆に極細挽きにすると、抽出圧がマシンに比べて弱いため、フィルターが詰まる可能性があると言われています。そのためエスプレッソ専用のコーヒーミルを新しく購入する必要はなく、一般的なコーヒーミルで挽いた豆を使えます。実際に細挽きで淹れてみたところ、問題なく抽出できました。

何より、ロマンをくすぐられる

「モカエキスプレス」を火にかけてエスプレッソを作る工程は、ロマンがくすぐられます。ポコポコと音が鳴った後、サーバーのフタをパカッと開けて、エスプレッソができているのを見ると心が躍ります。遊びに来た友人に振る舞ったところ、興奮して写真撮影などをしていました。

新しいコーヒーツールを使うのは、ちょっとしたイベントのようで楽しいです。その感覚を誰かと共有できれば、さらに楽しい。この体験を再びしたいと思い、次はパーコレーターを購入しようかな……などと思いながら、まだ持っていないコーヒー器具を通販サイトで眺めるようになりました。

エスプレッソを作る工程も楽しい

本製品は使い方が簡単で、思い立ったらすぐにエスプレッソを作れて便利。在宅ワークの合間でも、仕事を妨げることなくおいしいエスプレッソが飲めるので、ドリップコーヒー以外の選択肢も増えて、生活が豊かになりました。気になっていた人にはぜひ使ってみてほしいアイテムです。

福永 太郎

フリーランスの編集者・ライター。ライフスタイル系メディアの家電記事の担当を経て独立。現在は複数のWebメディアに寄稿。