家電製品ミニレビュー

靴磨きをよりラクに、楽しくしてくれる充電式ポリッシャー

 「足元を見る」という諺があるぐらい、履いている靴はその人となりを表してしまうとも言われる。スニーカーならいざ知らず、くたびれて手入れされていない革靴はカッコ悪い。身だしなみを整える上でも、普段から革靴はきちんと手入れしておきたい。

 とはいうものの、靴磨きは億劫な家事の1つだ。床に座って身体を丸め、手を汚しながらクリームを塗ったり、ブラッシングしたり、磨いたりと、結構な手間が連続的に続く。たいした力仕事ではないにしても、一足キレイに仕上がる頃には、薄っすらと汗ばむことさえある。

 そこで紹介したいのが、シー・シー・ピーの「パワフルシューズポリッシャー ZZ-SB11」。靴磨きの力仕事である「ブラッシング」と「磨き」を、回転する豊富なアタッチメントでスイスイとラクに効率的にサポートしてくれる便利グッズだ。バッテリー式なので、もちろんコードレス。

シー・シー・ピー「パワフルシューズポリッシャー ZZ-SB11」
メーカー名シー・シー・ピー
製品名パワフルシューズポリッシャー ZZ-SB11
実売価格7,606円(Amazon)

充実のアタッチメント

 パワフルシューズポリッシャーは、強い回転力のあるモーターが内蔵された本体に、着脱できるニカドバッテリーと充電器が用意されている。本体の大きさは70×235×100mm(幅×奥行き×高さ)で、バッテリー込みの重量は545g。本体全体が柔らかい樹脂で覆われ、バランス良く持ちやすい。

 アタッチメントは、靴磨きに必要な道具が一式揃っている印象だ。「ホコリを払うブラシ」、「クリームを伸ばすブラシ」のほか、「磨きバフ」、「艶出しクロス」と、合計4種類付属している。以下に4つのアタッチメントの役割を記しておこう。

 1.ホコリを払い、クリーナーで汚れを落とす「ソフトブラシ(ホワイト)」
 2.靴クリームを塗布する「ソフトブラシ(ブラック)」
 3.クリームを塗った後に靴を磨き上げる「ポリッシュバフ」
 4.艶出しをする「ポリッシュクロス」

本体(右端)と付属品の数々。ポリッシュバフとポリッシュクロスには替えも用意されている

 2種類のブラシは、どちらも毛は細やかで手触りもソフト。バフもクロスも替えが付いているので、濃い色用、薄い色用と使い分けられる。どのアタッチメントも、本体モーター部の凸凹に合わせて挿し込み、クイッと軽く回すだけで固定される。着脱は簡単だ。

2種類のブラシは細かく、柔らかな手触り
ポリッシュバフとポリッシュクロスは、簡単に交換できる

 付属するニカドバッテリーは、充電までに約8.5時間必要だ。充電が始まると、スタンドのランプが赤色でスタート。充電が完了すると緑色に変わって知らせてくれる。バッテリーの容量は1.3Ahで、連続使用時間は最大約30分。充電が終わったバッテリーを本体に挿しこんで使用する。

 使い方はいたってシンプル。電源ボタンを1回押せばアタッチメントが回転し、もう一度押せば止まる。

バッテリー充電中はランプが赤く点灯する(左)。充電が終わったら、バッテリーを本体に挿しこんでキャップをする
アタッチメントは簡単に着脱できる(左)。電源ボタンを押すたびにON/OFFできる

汗もかかずに、ラクにピッカピカ

 ここからパワフルシューズポリッシャーを使って、2足の靴を磨いていこう。一足は黒い艶のある革靴で、もう一足は茶色のカジュアルな革靴だ。

艶のある黒い靴と、艶のないカジュアルな革靴を2足用意した
一見してさほど汚れているようには見えないかもしれない

 一般的な靴磨きの順番をさらっておこう。

 1.ブラシで細かな部分までホコリを払い、クリーナーで汚れを落とす
 2.次に靴クリームを塗り、ブラシでなじませ、布などで丁寧に磨く
 3.艶出しが必用なら、ワックスタイプの靴墨を塗り、さらに磨いて仕上げる

 それぞれの課程でアタッチメントを替え、順番に仕上げていった。なお、本製品とは別に、クリーム類と、塗布用の別布を数枚用意した。

ブラッシングで汚れ落とし&クリーナーの塗布

 最初に靴全体を「ソフトブラシ(ホワイト)」でブラッシングする。柔らかなブラシが靴の表面のシワや、コバ(甲革と靴底の境目)にも入り込み、表面のホコリや汚れは簡単に消え去った。モーターの回転数は1分間に160回ほどなので、周りにさほど汚れも飛ばない印象だった。

柔らかなブラシの毛先が、靴の細かなところまでよく届く
コバ部分にもブラシをかけるだけであっという間にキレイになった(右)

 次に靴クリーナーを別布に取り靴全体に塗り、「ソフトブラシ(ホワイト)」で馴染ませつつ、汚れを落としていく。クリーナーに防腐・防カビを兼ねた保護タイプの物を使えば、古いクリームやワックスの除去をしながら、革へ栄養を与え、汚れや傷がつきにくくする効果が得られる。

 布だけで擦るよりも、軽くソフトブラシを当てるだけで、クリーナーが縫い目などにもしっかり行き渡る印象だ。ここまでだけで、靴はかなりキレイになった印象だ。

用意した靴用クリーナー。靴に直接付けずに、布にとってから靴全体に塗布する
ホワイト・ソフトブラシで丁寧に革に馴染ませる。クリーニングするだけでも靴はかなり輝きを取り戻す

靴クリームを塗り、磨いていく

 クリーニングが終わったら仕上げに移る。その前にブラシを「ソフトブラシ(ブラック)」に付け替える。

 靴クリームを別の布に取って靴全体に薄く塗り、今度は「ソフトブラシ(ブラック)」で、クリームを靴全体に馴染ませていく。ブラシを当てるだけで、クリームが細かなところまで入ると同時に、余分なクリームが除去される。これは革全体をマッサージする目的もある。

黒い靴クリームを塗っている様子。少しずつ伸ばすように塗っている
茶色い靴には、ワントーン明るいクリームが良いそうだ

 クリームを塗ったら磨きの作業だ。アタッチメントを「ポリッシュバフ」に付け替えて、先につけたクリームを拭き取るようなイメージで、靴全体を丁寧に磨いていく。

 艶タイプの茶色い靴ならば、このポリッシュバフで仕上げて終了となる。手入れしていない靴と比べると、同じ靴とは思えないほど革の質感がグンと上がった印象だ。

 一方、黒い方の靴は艶ありタイプなので、さらに「ポリッシュクロス」に付け変えて、同じように靴全体を磨き上げる。ここまでで、バフよりも革の表面が滑らかになり、艶感もアップする。

塗り込んだクリームを「ソフトブラシ(ブラック)」で靴全体にまんべんなく馴染ませる。ブラシの先が縫い目にも気持ち良く入り込む。茶色い靴も同じようにブラシをかけた
ブラッシングが終わったら、「ポリッシュバフ」で磨く
茶色い艶なしの方は、ポリッシュバフ仕上げで終了。手入れした方(右)との違いは明らかだ
艶ありの方はさらに「ポリッシュクロス」で磨き上げる
磨き上げた方は(手前)満足行くほどピカピカだ

 最後に、トウ(つま先)とヒールカーブ(踵の部分)をピッカピカにする「鏡面磨き」という仕上げに入る。トウとヒールカーブに油性タイプのワックスを塗り、「ポリッシュクロス」で部分的に磨きこむ。すると、靴の先端と踵部分がよりピカピカになり、革により一層の深みと表情が加わる。

 手入れ前と手入れ後を比較すると、その差は歴然だ。新品ではない靴なのに、とても素敵に生まれ変わった。

トウとヒールカーブに、油性のワックス(いわゆる固形の靴炭)を塗って部分的により磨きをかける
少し時間を置いて、ワックスを塗った部分だけポリッシュクロスで磨く
鏡面磨きをした方(右)は、オシャレ感もよりアップ。艶が、黒に深みを醸し出す

1回の充電で余裕で4足は磨ける

 磨いている途中でバッテリーが切れる心配は全く無かった。バッテリーの充電には8.5時間かかり、約30分の連続使用時間では心もとないかと思ったが、それは杞憂だった。

さほど汚れていない印象の靴だったが、手入れする前と後では印象が大きく変わる。ラクにピカピカになり、革の質感がグッと良くなった

 靴磨きのそれぞれの課程を片足分、ざっと計測してみた(◯印がパワフルシューズポリッシャーを使った時間)。

クリーニング

 ホコリ取りブラッシング  30秒◯
 クリーナー塗布 45秒
 馴染ませブラッシング 30秒◯

靴クリーム・磨き

 靴クリーム塗布 60秒
 馴染ませブラッシング 45秒◯
 ポリッシュバフ仕上げ 45秒◯
 ポリッシュクロス仕上げ 45秒◯

ワックス・磨き

 ワックス塗布 30秒
 ポリッシュクロス仕上げ 30秒◯

 以上のように、艶ありの靴を最後まで仕上げるなら、片足6分(360秒)で、1足で12分はかかる。その中で、実際にパワフルシューズポリッシャーを駆動する時間は、かなり丁寧にしても7分半(225秒x2)だった。

 つまり、1回の充電で艶ありの靴を鏡面仕上げまで施しても4足、艶なし靴のポリッシュバフ仕上げまでなら(5分・300秒)、6足はゆうに仕上げられる換算となる。バッテリー切れを気にせずに、手入れができるパワーが十分にあった。

靴磨きがラクに楽しくなれば、続けられる

 実際に2足連続で磨いたが、手はほとんど疲れなかった。パワフルシューズポリッシャーを靴に当てて、移動させるだけなのでとにかくラクチン。付属のブラシもバフも、靴の細かなところまで入り込み、みるみるうちに仕上がって行くのが楽しく感じられるほどだった。

 手作業だけならば、磨きにブラシや布を持ってそれなりに力を込めて何度も往復させるので、疲れる上に手も汚れる。そんな点が、靴磨きを面倒なものへと追いやっていたのだと、パワフルシューズポリッシャーを使って改めて感じられた。

ポリッシュバフも、靴の細かなところまでよく届く。手で仕上げるよりもラクで早い
靴を履いてからでも、玄関先でパパッと手入れができる。手も汚れにくい

 価格的に高価かもしれないが、靴専用のブラシを複数揃えるよりもむしろ安上がりな印象だ。何と言っても、億劫な作業がグッとラクになるのが魅力的。手入れがラクになれば、継続しやすい。靴が良い状態で保てられれば、そのぶん長持ちする。さらに言えば、キチンと手入れされた靴をいつも履いていれば、その人の印象も随分変わるかもしれない。

 身だしなみを手早く整えるグッズの1つとして、是非検討してはいかがだろうか。

購入時の緩衝材30×26×70mm(幅×奥行き×高さ)に入れておけば、細かなアタッチメントも整理しやすい。このまま靴箱にも入る

藤原 大蔵