家電レビュー

DJIがロボット掃除機!? ちゃんとキレイにできるのかチェック!

「CP+ 2026」会場で初出展されたDJI ROMO

2月26日は、カメラと写真の展示会「CP+ 2026」の開催初日であったが、DJIがそこで初めてお披露目した新製品は、なんとロボット掃除機であった。そもそもカメラに関係ないんじゃないかという気もするが、掃除機前方に障害物検知用カメラが付いているので、関係ないこともない。

DJIは元々ドローンで成功した中国メーカーだが、そこから派生してアクションカメラ、撮影用ジンバルなど、映像関連製品の幅を広げてきた。昨今はドローンで培った伝送技術を応用して、ワイヤレスマイクも多数輩出するほか、バッテリー技術を応用してポータブル電源も製品化している。

ポータブル電源もまあ生活家電ともいえるが、今回のロボット掃除機でDJIは本格的に生活家電へ参入することになる。元々ロボット掃除機は対物センサーと自動走行プログラムがなければ成立しないわけだが、そこにドローン技術を応用するということだろう。

今回はそんな「ROMO」のサンプルを1台ご提供いただいたので、さっそくレビューしてみたい。

斬新なスケルトンボディ

ロボット掃除機ROMOは3シリーズ展開となっている。最上位モデルの「ROMO P」は、本体とベースステーションの両方がスケルトンモデルとなっており、掃除機は存在を隠すものから見せるものへの転換を図るというコンセプトだ。公式サイト価格は発売記念価格168,850円となっている。

前面がスケルトンとなっているベースステーション
天面がスケルトンとなっている掃除機本体

まず掃除機本体から見ていこう。前方に掻き込み用のツインブラシを備えている。昨今は壁沿いに反時計回りに走行するというプログラムが主流のため、片側ブラシの製品が多い。ROMOも基本的には反時計回りなので、前から見て左側のブラシのみアームがついて、伸縮する。掻き込みブラシにアームがついている構造はあまり見かけない。

底面の構造

底面のローラーブラシは、真ん中で2つに分かれるという珍しいタイプ。1本ローラーでは髪の毛などの長いものが絡まってしまうところだが、真ん中が分断されていることで、絡んだ髪の毛を真ん中に寄せていき、そこで吸い込むという構造になっている。

ラバーとゴムブラシが一体化したローラーも付属しており、カーペットが多い床にはこちらに付け替えることが推奨されている。ただ髪の毛の絡み解消力はラバーのみのブラシの方が強いようだ。

カーペット用にラバーとゴムブラシが一体化したローラーも付属

後部には円形モップを2つ備えている。掃除機内にも水タンクがあり、清掃中はそこから給水される仕組みだ。プログラムとしては吸引清掃をしたのちモップがけを行なうので、吸引時は1段上がっており、接地しないようになっている。モップは伸縮式のアーム構造になっており、壁際に差し掛かるとアームが伸びて角まで届くようになっている。

吸引だけ行なう時はモップは接地しない構造

吸引能力は25,000Paで、かなり強い。過去吸引力が高いといわれるモデルでも8,000Paぐらいなので、破格に強いといえる。

DJIが得意とする対物センサーは、前面にデュアルカメラを搭載して立体的に障害物を検知する。さらに、LiDARセンサーも前方に搭載している。左側面には赤外線センサー、後方にレーダーセンサーを備えている。

前方にあるセンサー類
左側面にある赤外線センサー

現在多くのロボット掃除機では、LiDARセンサーを上部に飛び出した格好で搭載する例が多い。センサーを回転させて、全方位の距離と自分の位置を測位している。これは自動走行自動車と同じ構造だ。

一方ROMOはLiDARセンサーだけに依存しておらず、光学センサーや赤外線センサーなど多数のセンサーを同時に動かして測位する方法をとっている。これは同社ドローンと同じ構造だ。

内部にはダストボックスを備えるが、ステーションに帰還すれば後方の吸い出し口から吸い出されるので、日常的にメンテナンスする必要はない。

内部のダストボックス

ベースステーションも見ておこう。上部にモップ吸水/洗浄用のタンクがあり、片側に浄水を入れておき、モップ洗浄後の汚水がもう片側に溜まる構造となっている。

上部に浄水/汚水タンクを備える

ダストバッグは内容量2.4Lで、製品に1つ同梱されている。ダストバッグを殺菌するためのUV照射機能も備えている。交換バッグは3つで2,530円でDJI公式サイトから購入できる。

その横には床用消臭剤と洗浄液のタンクがある。これも浄水とともにモップに自動的に充填される。交換用洗浄液は1個1,980円、床用消臭剤も1個1,980円で、DJI公式サイトにて販売されている。

中央部にはダストバッグと洗浄液、消臭剤のタンク
洗浄液と消臭剤は消耗品として別途購入できる

ROMOシリーズのミドルモデル「ROMO A」は掃除機本体のみスケルトンで、ベースステーションはホワイトだ。掃除機本体の性能は同じだが、ベースステーションの機能が若干違っており、床用消臭剤のスロットとUV殺菌機能がない。こちらは発売記念価格159,830円となっている。

エントリーモデルの「ROMO S」は掃除機本体、ベースステーションともにホワイトで、掃除機本体の能力は同じ。ベースステーションはROMO Pと同じで、139,700円となっている。

細かいニーズに対応するアプリ

では実際に清掃させてみる。コントロールに使用するのは「DJI HOME」というアプリで、これまでは同社製ポータブル電源の制御用アプリだったものだ。

コントロールはDJI HOMEアプリが対応する

まず最初は部屋のマッピングだ。多くのロボット掃除機は各部屋を行けるところまで行ってみるという感じでスキャンして回るが、ROMOの場合はゆっくり周囲を見て回るという感じで、あまり壁際ギリギリまでは進まず、少し離れたところから観察するという動きになる。マップの精度としてはそれで十分のようだ。

清掃モードとしては毎日の清掃(掃除機がけとモップがけ同時)、徹底清掃(掃除機がけしてからモップがけ)、念入り掃除(掃除機がけのみ)、床の消臭(モップがけのみ)の4モードが選べる。

それぞれのモードはさらに詳細設定が可能で、タスク回数や走行ルート、消臭の有無などが設定できる。マッピングした部屋ごとに清掃モードを変えることができる。フローリングだがカーペットありとか、キッチンはモップがけに洗浄液を使って脱脂するなど、きめ細かい設定が可能だ。

清掃モードごとに細かい動作が設定できる

部屋ごとにモードを分けると、清掃はマッピングされた各部屋ごとに行なわれる。行けそうなら他の部屋にもどんどん行くということはないので、掃除中は別の部屋で待機しておけばいい。

走行ルートは、かなり複雑だ。最初は少し移動してはその場でクルクル回ることが多い。センサーが前方に集まっており、回転式ではないので、センサーを回す代わりに自分が回転して周囲を観測するのだろう。

状況が確認できたら、S字走行しながら清掃となる。対物センサーは非常に高精度だ。前面にバンパーはあるものの、実際にバンパーにはほとんど接触することなく、ギリギリで止まる。机の足を避けてその周りを清掃する本体の制御も正確だ。

モノにぶつからず、ギリギリを通過する

試しに猫のおもちゃを前方に置いてみたが、巻き込むことなく避けて通る。障害物に近いゴミが吸えないという弱点はあるが、巻き込んで停止するよりはマシであろう。

障害物は確実に避ける

吸引力は25,000Paというスペックだが、通常は最大で吸引しないので、動作音はそれほど大きくない。吸引をターボモードに設定すると、最大で吸引するようだが、それでも「シュー」という音が多少大きくなるだけで、低音が響くような音ではない。

吸引力は3段階で設定できるほか、ターボモードも備える

カーペットに対しては、独自に戦略を設定できる。吸引を強くする、清掃なしで横断する、無視する(現在の清掃モードを維持)の3種類が選べる。カーペットの上に乗っていることを認識しているようで、カーペットの清掃を始めるとその上から降りないように動く。

カーペットの扱いを決める「カーペット戦略」

ラグなどの薄いものは、乗り上げる際にめくれてしまうこともある。中にはめくれ上がったところに突入していってそこで回転して余計に巻き込んで身動きが取れなくなるタイプの掃除機もあり、お前何がしたいねんと呆れるが、ROMOはそうした強硬戦略は取らず、しばらく左右に振ってみてどうにもならないならバックするという挙動のようだ。

ただめくれ上がって山になったところは障害物として認識するので、進行ルートがなくなってベースに帰ってしまうということもある。薄手のラグはいまだロボット掃除機の鬼門のようだ。

ロボット掃除機のもう一つの鬼門が、ペットのエサ入れである。バンパーにぶつかるまで進むタイプの掃除機は、エサ入れに激突して中身をばらまいてしまったり、水入れを倒して周りを水浸しにしてしまうという事故が起こる。

一方ROMOはとにかくバンパーにぶつからないので、エサ入れも全くノータッチでスルーする。また、水がこぼれたなど液体を発見した場合の挙動も設定できる。加えて猫の砂などがこぼれていた場合の対応も設定がある。ペットを飼っているお宅には助かる機能が多い。

ペット対応機能も充実

掃除機内のゴミの吸引は、清掃をスタートする前に行なわれる。その時だけはキャニスター型掃除機ぐらいの音がする。

掃除するだけでなく、移動可能なカメラとして掃除機を操作できる機能もある。スマホの画面でカメラの映像を見ながら掃除機をコントロールできる。

本体を操作して徘徊できる

画質もなかなかいいのに加え、暗いところでは自動的にLEDライトもつく。猫がどこにいったかなと探したり、外出先から部屋の様子を確認したりといった用途に使える。

暗いところではLEDライトが自動点灯

なおカメラ機能を使うには、スマホごとに暗証番号を設定する必要がある。ベースステーションのボタンを押して設定するという手順が必要なため、外部の人が勝手にペアリングできないようになっている。

先行販売されていた海外では、この機能が外部の人でもコントロールできたというバグがあったようだが、最新のファームウェアでは改修されている。

初号機で高いレベルを実現

一般に新規事業に参入する際の第1号製品は、シンプルなところからスタートするのが常套手段だが、DJIのロボット掃除機はベースステーション付きのフルモデルとして登場した。

吸引やブラッシング、モップがけ、水洗いといった技術が元々DJIにあったとは思えないが、こうした技術を提供する会社は中国には多い。完全社内設計というわけではなく、協力会社と一緒に作ったということだろう。

DJIの強みは、センシングと機体制御だ。センサーによるリアルタイムの状況分析と、自分自身のサイズが分かっている正確な機体制御により、行くだけ行ってみて突っかかったら後退するみたいな、トライアンドエラーな動きは全く見られない。とにかく全然モノに当たらず、ギリギリで動き回るという動作は、他社にはあまり見られない。

床に這っているケーブルなどは障害物として認識するので、乗り越えようとして巻き込むみたいなことはない。逆にいえば障害物があればそれを押しのけてまで清掃するということがないので、清掃できる範囲は割と限定的になる。床にモノを置きがちな家庭では、こうした動作は好まれるだろう。

床に這っているケーブルの上には乗り上がらない

全体スケルトンという設計は中身の構造が丸見えなので、中身まで綺麗に合理的に作らないと格好がつかない。その点では、初号機ながら設計や製造には自信があるということだろう。

DJIの本格家電展開の第一歩としては、ロボット掃除機というのは妥当な選択である。家電業界ではDJIの名前はまだ知られていないところだが、カメラ系ガジェットファンなら、問題なくDJI製品を選択肢に入れてくることだろう。

小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「小寺・西田のマンデーランチビュッフェ」( http://yakan-hiko.com/kodera.html )も好評配信中。