家電レビュー

掃除機なのにワイパーみたいな床拭きも! 東芝は自動ゴミ収集付きでもコンパクト

東芝ライフスタイルのコードレススティック掃除機「VC-SL130DS」

床が散らかってるなあ、と思ったらパパッと掃除してしまいたい。そのためにはサッと取り出して軽々と扱えるコードレスのスティック型掃除機がイイ!

というわけで、筆者宅では長らくそういうスティック型掃除機を使ってきたのだけれど、ついに壊れてしまった。そこで代わりのものを探しているなか目を引いたのが、2024年の夏に東芝ライフスタイルが発売したコードレスクリーナー「VC-SL130DS」だ。

何が目を引いたかというと、スリムなスティック型の掃除機本体に、ゴミ収集機能が付いたダストステーションが組み合わされ、しかも床拭き機能まで備わっている、というところ。我が家にとって理想的な掃除機かも! とビビッと来たのだった。1カ月ほど使ってみたので、その使用感をお伝えしていきたい。

ゴミ捨ての手間がなく、床拭きにも対応する欲張り掃除機

改めて紹介すると、VC-SL130DSの特徴は、なんといっても充電器となるダストステーションにゴミ収集機能が付いていること。スティック型の掃除機本体をダストステーションにセットすれば、本体のダストカップ内に溜まっているゴミを吸い出し、ステーション側の紙パックに収集、同時に本体の充電もスタートする。

VC-SL130DSの同梱品

スティック型掃除機は、使っていないときはどこかに立てかけておくスペースが必要になる。そのためのスタンドが充電とゴミ収集の2つの機能も兼ねているという、一石三鳥の合理的な仕組みなのだ。ロボット掃除機のステーションも同じようにゴミ収集機能をもつものがあるけれど、そのトレンドをスティック型掃除機にも取り入れた、みたいな感じ。

スタンドと充電器を兼ねたダストステーション
掃除機本体をセットしたところ
付属品の拭き掃除用ワイパーやノズルなどはダストステーションに整理して置いておける

ゴミが溜まっていくダストステーションの紙パックは、約70日に1回の交換でOKとのこと。本体のダストカップに触れて直接ゴミを捨てることは基本的にないし、紙パックの方もそのままゴミ箱に捨てるだけなので、汚れを気にすることがなく手間も最小限だ。

ダストステーションの紙パックは約70日分のゴミを溜められる

掃除機本体側の機能も充実している。ヘッド周りと、中間のパイプ(延長管)、それとダストカップを含むハンドル部がそれぞれ別体になっていて、床掃除に適した標準のスタイルで掃除することも、中間パイプを省いてハンディタイプに近いスタイルで掃除することもできる。

ハンドル、延長管、ヘッドの3つを装着した状態
延長管を外してハンディタイプなスタイルにしたところ

さらにヘッド部は3種類用意。回転ブラシを備えた標準のヘッドに、市販のシートを装着して拭き掃除もできるワイパー、狭い場所の掃除に適したブラシ付きノズル(2WAYノズル)が付属している。なかでも拭き掃除できるワイパーはユニークな点だ。

回転ブラシを備えたヘッド
拭き掃除用ワイパー
2WAYノズル。ブラシは半回転させて収納できる

動作、騒音、バッテリーもちなど使い勝手は?

そんなわけで1カ月ほど使い続けてきたわけだけれども、実際の使い勝手はどうだったのか。結論から先にいうと、「ある1点を除いて、我が家にとって理想的な掃除機」だった。

まずは回転ブラシを備えたヘッドを使っての床掃除。これは期待していた以上で、とにかく床の上でスイスイ滑らせるようにして自在に動かすことができ、快適で楽しい。少し太めなハンドル部の見た目に反して本体が約1.4kgと軽いこともあり、片手でも思った方向にコントロールしてスピーディに掃除をこなせるのだ。

めちゃくちゃスイスイ滑るように掃除していける

電源オン直後は「自動」モードとなっていて、床の状態などに応じて自動で吸引力が変化する。吸引力が控えめな「標準」モード相当だとさすがにパワフルというほどではないものの、ここはコードレスということもあるので想定の範囲内といったところ。

狭いところや高さのない隙間などもバッチリ

たとえばゴロっとした堅いもの、朝食のときに誰かが散らかしたグラノーラ的なものは一発では吸い込めないときがある。そんなときは手元のボタンで吸引力と回転ブラシの速度を「強」モードに切り替えることでだいたい対処可能だ。壁際ギリギリや角にあるゴミも「自動」だとまれに残ることがあるので「強」を活用したい。

掃除中の音は、動作モードによっては目立った。「標準」モードはおとなしいが、「強」モードだと甲高いノイズが発生した。「自動」モードだと不意に「強」モード並の騒音となってしまったので、リビングで掃除していると「テレビの音が聞こえない」と家族からクレームがくることも。ただ、ここも筆者としては想定内。できるだけ「標準」モードを使うようにしているけれど。

ハンドルにあるボタンで動作モードを切り替えられる

市販のシートを装着できるワイパーが付属しているのは、我が家には特にありがたいところ。というのも、妻がどちらかというと「床は拭き掃除したい派」で、セスキシートなんかを使ってわりと頻繁にフキフキしているからだ。

この拭き掃除機能は、ゴミを吸い込みつつ、同時にシートで拭き掃除するというもの。こちらも一石二鳥感があるし、先にゴミを吸い込んでからシートで拭くという順番になるので、堅いゴミを巻き込んで床を傷つける、といったトラブルも少ない。

セスキシートを取り付けて床掃除

また、手で床を拭き掃除しようとすると、どうしてもかがみ込むことになって体力も使う。しかし、こうして掃除機の先端にシートを取り付けて掃除する方法だと、体勢が楽になるので疲れにくい。ロボット掃除の拭き掃除機能よりある程度「自分の力加減」で拭き上げられる、というメリットもある。

先にゴミが吸い込まれるので、堅いものを巻き込んでゴリゴリ引きずってしまうような可能性は低い

2WAYノズルの使い勝手もヨシ。特にノズル先端をブラシに切り替えたときには、窓のサッシやデスクトップパソコンの排気孔などにこびりついているホコリを効率よく取り除けて気持ちがいい。吸引力がそこまで強くないせいかブラシに固まったホコリが付着しがちではあるものの、その“後処理”は手間というほどではない。

そしてゴミ収集機能は、とにかく「楽ちん」の一言だ。ゴミに触れることがないだけで「ここまで楽になるんだなあ」と感じるのは、いかに掃除機のゴミ捨てがストレスになっていたかの裏返しでもあると思う。以前の(壊れた)サイクロン式掃除機で、ダストカップに溜まったゴミを捨てるときに息を止めながら作業していたのが、もはやなつかしい。

掃除機本体のダストカップ。ここにいったんゴミが溜め込まれる
ダストステーションのボタンをオンにしておくと、セットしてもゴミ収集しないようにできる。夜に便利

バッテリーもちは約70m2(実質の掃除範囲はそれより狭い)の我が家をカバーするには十分。「標準」モードで最大40分、「自動」モードで最大20分、「強」モードで約7分が目安となっており、概ね「自動」モードの20分以内に家全体の掃除を終えられる。長く使い続けるうちにバッテリーが劣化するので、いずれは稼働時間が短くなるだろうけれど、バッテリー単体の交換にももちろん対応しているので安心だ。

バッテリーは簡単に着脱できる。劣化した場合もこれを交換するだけ

基本の機能・性能は十分、しかし筆者的に最大の弱点が!

では「ある1点を除いて」の「1点」とは何だったのか。それは、掃除機本体のダストカップの容量が小さくて、掃除をたびたび中断せざるを得ないこと。ダストカップの容量は、仕様上は0.03リットル、つまり30ミリリットルしかない。4~5畳程度の部屋でも、それなりに散らかっていると掃除しきる前にダストカップが一杯になったことを示す警告の青ランプが点滅するほどだ。

ちょっと掃除しただけでダストカップが一杯(または詰まりなどが検出された)と判定され青ランプが点滅する

ちょっと掃除をサボっていると、筆者宅の全部屋の掃除を終えるまでにダストステーションとの往復を2、3回は繰り返す羽目になる。それこそ毎日こまめに掃除しているような家庭なら、掃除途中のゴミ収集は1回程度で済むのかもしれない。でも、我が家のように数日ごとに掃除するくらいのペースだとすぐに一杯になって、どうにも掃除がはかどらないのだ。

ダストカップの容量はわずか30ミリリットル

また、青ランプが点滅してもそれに気付かず掃除し続けると、吸い込んだゴミのうち髪の毛だけがダストカップからはみ出てきた。はみ出たものはダストステーションにセットしても収集されなかったりするので、ダストカップを取り外し、手作業で中身をゴミ箱に捨てる作業が必要になった。

毛髪が飛び出てくる

そうならないよう早めにダストステーションに戻したくなるが、実稼働時間はさらに短くなり、ますます掃除が進みにくく……。ゴミに触れずに済むというせっかくの特徴が損なわれかねないのが残念だし、ゴミ捨ての手間を省ける利点も、一度の掃除で何度もゴミ収集する手間の多さで相殺されてしまっているように感じなくもない。

せめて「強」モードの動作時間である約7分はゴミを溜め続けられるくらいの容量が欲しかった。もしくは、別売オプションでもいいから大容量のダストカップに交換できればいいのに、と思ったり。本当にこの1点だけが、惜しいなあと感じるところだった。

広くない部屋、ピンポイントな使い方で本領を発揮するかも

スティック型掃除機としての機能や基本的な性能については、筆者としては文句なし。ワイパーでの拭き掃除やゴミ収集もできることが家族のニーズにもマッチしていて、我が家の理想に限りなく近いモデルではある。

ただ、ゴミを本体側に溜め込める容量の少なさが足を引っ張っており、総合的な掃除力は高いとはいいがたい。バッテリーもちは十分なだけに、それをフルに活かせないのは残念だ。

とはいえ、ワンルームや2DKくらいまでの部屋には、これくらいの容量がちょうど良さそうにも思える。軽々と扱えて小回りが利くし、保管スペースはコンパクトで邪魔になりにくい。デザインもシンプルで存在感が薄めなのもいいところだ。

あるいは広い家であっても、特定のフロアや部屋専用の掃除機にしたり、ロボット掃除機がカバーできない箇所を補完するためのサブ掃除機にしたり、といった使い方は大いにアリ。家全体をこれ1台で、というより、そんな風にピンポイントな場面でこそ活躍する掃除機なのかもしれない。

日沼 諭史

モバイル、ガジェット、エンタープライズ系サービス、旅行、クルマ、バイク、オーディオ&ビジュアルなどなど、なんでも書くライターみたいなことをやっている人。