家電レビュー
壁キワキワまでゴミ吸えた! 東芝の掃除機はワイパーで床拭きも
2024年12月25日 08:05
大掃除の季節。いつも不思議なのは、テレビ台の裏や家具の影など、部屋の際にはどうしてこんなにホコリがたまるの? ということ。頻繁に掃除をしない場所という理由もあるけれど、なぜ陰になっている所にホコリが流れ込んで行くのか……しかもペットを飼っているご家庭では、そのたまり方もえげつないことだろう。
ここでは、こんな壁際のお掃除問題を一気に解消してくれそうな東芝の最新掃除機「トルネオ コードレス VC-CLX73」を自宅で使ってみたので、その実力を紹介する。
パッと見マイナーチェンジ? でもヘッドのブラシに革命が!
見た面は以前のパワフルモデルVC-CLX72と変わらない。でもヘッドをひっくり返してみると違いに驚かされる。普通は掃除機のヘッドに仕込まれているブラシは、一部の機種をのぞいて、どれも1本だ。
でもこの掃除機は、ブラシが左右に分かれている。なぜこの構造がいいかというと、ブラシを駆動するモーターを中央に搭載することで、ヘッドの左右のデッドスペースがなくなり、左右の壁際までゴミの取り残しがなくなるメリットがあるからだ。
さらにヘッドのサイドにも毛がついていることに注目! 一般的な掃除機では見かけないこのブラシは、際のキワまでゴミを掻き取るブラシだ。これによって、壁際にはゴミひとつ残さない掃除ができる。
一般的な掃除機のヘッドは、左が右のどちらかにブラシを回転させる機能を設けているため、片側はヘッドの当たる部分までしっかり掃除できるが、回転機構の入っている側は、壁から2cmほどゴミを取り残してしまう。
それゆえ、壁際を掃除するには、ヘッドの正面を何度も壁に当てながら掃除するか、取りこぼしのない側に向けて掃除をする必要があったのだ。この点は地味だが面倒と思う方も多いはず。
しかし新型のトルネオ コードレスは、向かって左の壁際でも、向かって右側の壁際でも、壁沿いに掃除機を進めるだけでいいので、時間のかかりやすい壁際掃除の時間を短縮できるのが特徴だ。
もちろん吸引力は折り紙付き。軽いホコリゴミから、花粉のような微粒子、食べこぼしのような大きめの粒子ゴミ、そして重い砂ゴミまでしっかり吸い込み床に残さない。
重量は1.7kgと軽量モデルに比べると数値上は少し重く見えるが、実際に掃除をしてみると1.2kgや1kgモデルとそれほど変わらなかった。おそらくブラシの自走ヘッドやダストカップが下側に配置され、全体のバランス改善がされているためだろう。
猫砂や子どもの食べこぼしを弾いて広げない「床見極めセンサー plus」を搭載
「床見極めセンサーplus」は先代からついている機能で、ペットと一緒に住む方に人気を博している機能だ。掃除機の中には、床がカーペットだろうとフローリングだろうと。フルパワーでブラシを回転させるものがある。するとフローリングに落ちている粒状のゴミを吸い込もうとしたときに、ブラシが粒を弾いて余計に巻き散らかしてしまうことがあるのだ。東芝はフローリングではブラシをゆっくり回し粒の飛散を防止。毛足の長いラグでは、奥に潜む粒を掻き出すためにフルパワーでブラシを回転させるようにしている。
床がフローリングなのかラグや絨毯なのかは、掃除をし始めると5秒ほどで見極めるので、普通に掃除をしているだけでいい。フローリングでも「ここはしっかり掃除したい!」という場所は、手動でブラシをパワフルすることも可能だ。
大掃除でダストカップ満杯に掃除しても吸引力が落ちない
サイクロン式の掃除機は、吸引力が落ちないといわれている。しかし実際には2タイプのサイクロン式があり「軽量タイプ」の多くは、構造面から「サイクロン+フィルター」方式を利用している場合が多く、掃除をしていると吸引力が落ちてしまう。ここで紹介しているVC-CLX73はフィルターレスの「サイクロン」式。これは大きなゴミから、微粒子のゴミまでサイクロンで遠心分離するので、吸引力が落ちないのが特徴だ。つまりフィルターに微粒子のゴミがたまり目詰まりしない。フィルターレスの掃除機は、年末で掃除機を酷使する場合に強い味方になるだろう。
先に紹介した「サイクロン+フィルター」方式の場合、長年に渡り蓄積した粒子状のゴミがフィルターに溜まりやすく吸引力の低下を感じることにつながり、月に1度はフィルターを掃除しなければならない。このとき水洗いして壁干しするが、年末の忙しいときに乾くまで干していられないという場合は、エアダスターなどの高圧ガスでホコリを吹き飛ばすスプレーで掃除してやる必要があり、軽くて便利な分フィルターの掃除が面倒というデメリットがあるのだ。
しかいVC-CLS73は、ダストカップを見ると一目瞭然。微粒子状のゴミはダストカップの上部に溜まるようになっている。つまりサイクロン+フィルター式の場合は、この微粒子はすべてフィルターに詰まっているので水洗いが必要というわけだ。
東芝の掃除機はペットの毛もよく吸い込むと評判
さて東芝の掃除機は、ペット向けの掃除機として人気が高い。それはヘッドのブラシに毛が絡みにくいという点、そして毛ゴミがダストカップに入ると丸く球状に圧縮され、ゴミや捨てやすく、大量の毛ゴミが出る換毛期でもゴミ捨て回数がわずかという点だ。
今回は換毛期が終わってしまったので、犬の毛も猫の毛も在庫がなかった(笑)のため、掃除機の試験用の毛ゴミを使ってみた。カーペットに貼り付けた毛ゴミを吸い込んで見たところ、ブラシにけが絡むことなく吸い込んでくれた。
その秘密は、ブラシの根元を編み込んである「からみレスブラシ」。これにより毛ゴミがブラシに引っ掛かっても、ブラシの奥まで食い込むことがなく、またヘッドには毛を絡めとる機構がついているので、ブラシに引っ掛かった絡んだ毛ゴミを、確実にダストカップに吸い込んでくれるのだ。
ただ人の毛は、以前の機種に比べると少し絡んでしまうようだった(従来機が人の毛もほとんど絡まないというずば抜けた性能だったため)。とはいえ他メーカーに比べればカラミは少ない。
フローリングならこれだけでもきれいに!吸い拭き2WAYワイパー
見た目は安っぽいが「フローリング掃除の決定版」といえるヘッドが、東芝独自の「吸い拭き2WAYワイパー」だ。先代のモデルから採用されているこのヘッドは、ヘッドの先端に吸い込み口があり、後ろにはクイックルワイパーのような市販シートを取り付け、吸引掃除で取り切れなかった微粒子などはワイパーで絡めとるというものだ。
これで掃除すると、フローリングを裸足で歩いてもザラザラ感がまったくなく、ホコリや大きな粒子ゴミ、人やペットの毛は吸い込み、もしくはワイパーで絡めとってくれる。
これは筆者の個人的感想だが、床がフローリングならパワーブラシのヘッドは不要だから、「吸い拭き2WAYワイパー」だけのモデルを売って欲しいと思うほどだ。
各メーカーが2023年ごろから「水拭きのような仕上がり」を目指している傾向がある中、東芝の2WAYワイパーにウェットシートを取り付けることによって、前部でホコリや毛ゴミを吸引掃除、ウェットシートを使えば拭き掃除もできる。つまり水拭きの「ような」仕上がりではなく、拭き掃除そのものができてしまうという究極の掃除機なのだ。見た目がスマートとまではいえないかもしれないけれど「これって拭き掃除の最適解じゃないの?」と思えるほど、裸足族にオススメしたい。
床がベトつく場合もウェットシートを使えば、拭き掃除でサラサラになった。フローリングがメインの家なら、通常は「吸い拭き2WAYワイパー」で掃除して、ラグや絨毯を掃除するときだけパワーブラシのヘッドを付けるといいだろう。
筆者の知る限りいちばん細い先端ツール! 暗いところもLEDで明るく掃除
東芝の先端が細いツールは、おそらくどのメーカーよりも細い直径1cmの円形。だから今までの掃除機が届かなかった机やキッチンの引き出しの仕切りやその間、車の小さなコインポケット類もお掃除できる。
さらにブラシの付いた丸ブラシなども添付されているので、ソファーや車のシート、テレビ台にダッシュボードなどの掃除もラクラク。必要に応じて取り付けられるLEDライトがあるので、どんな先端ツールの先にLEDが付けられ、車のシートの下や家具の隙間のお掃除も、しっかり汚れを確認できるから便利だ。
カセット式バッテリーで連続運転も可能
バッテリーはグリップの下にカチッと指し込めるカセット式で1個が標準付属となっている。約2.5時間でフル充電でき、標準モードで約35分、自動モードで約20分のお掃除できる。大掃除などで長時間連続して使いたい場合は、別途バッテリーを用意すれば、空になったものと差し替えるだけで掃除を中断することなく続けられるのが特徴だ。
さらにバッテリー自体にACアダプターを差し込めるので、お掃除をしながら空になったバッテリーを充電できるのもポイント。専用充電台も必要ない。
さらにうれしいのは、バッテリーの寿命が切れたからといって、本体を修理に出すことなく、バッテリーを購入するだけで、本体を末永く長く使える点だ。
お手入れ簡単、水洗いできるからいつも清潔
ダストカップやブラシはすべて水洗いできる。フィルターレスのサイクロンなので、サイクロン機構を丸ごと水洗いしてもOK。
また何年も継承されている東芝独自のゴミを圧縮する機能は、他に類を見ないもので超便利だ。ダストカップに吸い込んだゴミは、ホコリや髪の毛などを、まるでマリモのように丸く圧縮。多くの掃除機だと、ダストカップに張り付いて指やお箸で引っ張り出したりしそうなところだが、東芝の掃除機は、ダストカップを傾けると丸まったゴミがコロン! と落ちてきた。
さらに一般的なサイクロン掃除機は、微粒子状のゴミがダストカップの底に集まるものが多いが、東芝は微粒子ゴミ専用のダストカップの上部に集められる。そのためダストカップをひっくり返しても微粒子が舞い散ることが少なく、ゴミ捨ても清潔にできるようになっている。
便利な機能はそのまま継承され便利さが向上するトルネオ コードレス
長年継承され続けている毛が絡まりにくいブラシとゴミを丸く圧縮してくれる機能。そして3年ほど前から採用されている便利なカセット式バッテリーと、新開発された「吸い拭き2WAYワイパー」など、フローリングの多い住宅にピッタリの掃除機に進化し続けている。
とある販売店で聞いた話だが「東芝の掃除機は他社の“オイシイとこ取り”なのがズルイ」とも言われるほど。便利な機能をたくさん盛り込んで、吸引力もあるなど、販売店にとっても鉄板商品になっているようだ。
今回紹介した以外にも、もちろん従来から備えている、ブラシ付きのパワーヘッドを使えばラグや絨毯のゴミを掻き取り、フローリングのゴミは飛び散らかさない。そして今年の進化ポイントは、パワーヘッドのどちらを壁際に寄せても、ゴミの取り残しがない画期的な改善だ。より掃除を短時間で、楽にできる掃除機へと進化した。