家電レビュー
ごはんとおかず同時に完成! 2品調理できる炊飯器がカンタン美味しい
2024年2月16日 08:05
「ほったらかし」や「おまかせ調理」って最近耳にしませんか? 材料を入れてスイッチを押して待てば、美味しいもんがハイッ! とできてしまうというアレです。巷では様々な電気調理鍋らが売り場を賑わしており、興味を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
とはいうものの、電気調理鍋は必ずしも手頃な価格ではないものが多く、新たに置くスペースの確保も考えなくてはなりません。そうなると、便利そうと興味を惹かれたとしても、一人暮らしや少人数家族の方には、いまいちハードルが高めのものかもしれません。
そんな方々に、今回はキッチン家電ブランド「レコルト」から発売されている「クッキングライスクッカー RCR-2」を紹介しましょう。こちらは内釜に付属の調理トレイをセットして調理スペースを上下2段に分けることで、「ごはん+おかず」や「おかず2品」といった、2種類の料理を同時におまかせで調理してくれるコンパクトな炊飯器。しかも価格は12,100円と、一般的な3合炊きマイコンタイプの炊飯器並みなんです。
本品には、美味しそうですぐに作れそうなレシピが付属しています。今回は「ごはん+おかず」や「おかず2品」の同時調理をレシピの中からいくつか選び、実際に作っていただいてみた様子をレビューとしてお届けしましょう。なお、レコルトのHP からもレシピがいくつか確認できます。
今回は試していませんが、サラダチキンやローストビーフといった人気の低温調理にも対応しています。
コンパクトでスッキリデザイン。メニューもシンプル
直線的で凹凸が少なく、後ろ姿もスッキリとしたデザインで、本体サイズは約196×251×191mm(幅×奥行き×高さ)。一般的な3合の炊飯器並みにコンパクトです。重さは約2.1kgと比較的軽く、底にはしっかり手がかけられるハンドルを備えています。フタはほぼ垂直に開き、その時の高さは約355mmになります。
加熱方式は本体の底にヒーターがある、一般的なマイコンタイプ炊飯器として位置づけられます。消費電力は300Wなので、他の機器も同時に併用しやすいといえるでしょう。
内径約140mmの内釜は、食材がこびりつきにくいセラミックコーティングが施されており、色は白色。水位目盛りはとても見やすいです。
40以上の炊飯・調理をまとめた「専用レシピブック」の他、2段調理の要となる「調理トレイ」、熱々のトレイや内釜が簡単につまめる「シリコンミトン」、「計量カップ」、専用の「しゃもじ」も付属しています。調理トレイは本製品の特徴となる「2段調理」の際に、内釜にセットして使います。
操作はすべてフロントにあるボタンを押すだけと簡単。調理は「Menu」ボタンを軽く押して、5種類の炊飯、低温調理、蒸す/煮るのいずれかを選択。炊飯は予約もできます。また、予約時間や調理時間は、「時/分」ボタンで設定します。選択、時間設定などが終わったら、「START」ボタンを押して調理を始めます。
少量でも美味しいご飯が炊けた
上下2段に分ける「調理トレイ」を使った調理の前に、まずは炊飯器単独の使い勝手を試しました。本製品の白米の炊飯容量は0.5~3合で、調理トレイを使う時の炊飯は1.5合までとしています。
説明書には「白米、ていねい炊きには浸水工程が含まれています」と、浸水の時間は必要なさそうに書いてありました。そこで、あえて予め浸水させたもの、させなかったものを炊いて比較しましたところ、やはり炊きあがりに差がでました。予め浸水させた方が同じお米と思えないほど断然美味しく炊きあがりました。これはこの度のクッキングライスクッカーに限ったことではなく、多くの消費電力が高くないマイコンタイプ炊飯器にいえることでしょう。
したがって、以降の調理に使うお米は(より美味しくいただきたいので)全て、30分~1時間は浸水したものを使っています。お米の種類は最近気に入っている「つや姫」です。
1合の白米をメニューの「白米」で炊飯した時、約33分で炊きあがりました。炊飯時間は早いといえるでしょう。炊飯をスタート時はパネル時間表示は「ーーーー」となっていますが、炊きあがり10分前から時間が表示され、カウントダウンしていきます。
炊きあがった白米は、もっちりと粘りがあり、ごはんの甘さがしっかり感じられる「美味しい」ごはんが味わえました。2合でも美味しく炊きあがり、炊飯器単独の実力が十分に感じられました。また炊飯が終わると、自動で保温に切り替わります。
予想以上の美味しさに驚き! 2つ同時調理できる便利さを実感
美味しいごはんが炊けるのがわかったところで、いよいよ本製品の特徴でもある調理トレイを使った調理へと進みましょう。
ここではレシピの「2段調理」中から3つ選んで作りました。1つ目は白米と同時に作る「ハヤシライス」、2つ目は「香ばしごまごはん」を炊飯しながらの「豚バラとにらのもつ鍋風煮」、3つ目はおかずを同時に2品作る「かぼちゃのほっこり煮」と「ささみのポン酢南蛮」です。
いずれのレシピも、下段となる内釜に水分が多めの物を入れ、加熱中に出る高温の蒸気を利用して、上段になる調理トレイの食材が加熱される仕組みです。
先に白米の洗米を済ませておき、水と一緒に内釜に入れて、本体にセットしておきます。次に、レシピに沿ってハヤシの材料を揃え、下準備を行ないました。あとは、調理トレイに全ての材料を混ぜ合わせたものを入れ、内釜に乗せてフタを閉めます。
「Menu」を押して「白米」を選択し、「START」を押して調理をスタート。白米炊飯時と全く同じ操作なのでとても簡単です。後はお皿などを用意してできあがりを待つだけです。
調理20分を過ぎる頃には、すりおろしたにんにくの良い香りが立ちはじめ、35分で炊きあがりのブザーが鳴ってできあがり。そんなに短時間で白米とハヤシライスが同時にできあがるのか半信半疑ながらも、フタを開けてびっくり! 具材はしっかり火が通っており、良い香りのハヤシらしい姿を現しました。
付属のミトンを使って調理トレイを外してみると、今度はツヤツヤに炊きあがったご飯が顔を表しました。とても美味しそうです。取り出したハヤシをトレイの中で大きく混ぜてから、皿にごはんとハヤシを盛り付け、パセリを散らしてできあがりです。
一口いただいて、「美味しい!」とつい口をついて出てしまったほど、お見事な出来栄えです。お肉は柔らかで、玉ねぎ、しめじは食感が良く火がしっかり通っています。具材から出た適度な水分に塩梅良いとろみがつき、ご飯に良く絡みます。ハヤシライスらしいちょうどいいバランスの酸味と甘味に、ほのかに香るにんにくが旨さを一層引き立たせ、ぺろりと一皿たいらげてしまいました。
レシピには1人前と記載されていましたが、ご飯は最大1.5合分(約450g)まで炊けるので、大食いの人でも十分に満足できる量が一度にできてしまうのは驚きです。しかも材料はルーも使わず、手に入りやすいものばかりなのに、とても美味しい滋味深い一品が予想を上回るほど簡単にできました。
こちらも作り方の流れはハヤシライスと同様。材料も手に入りやすいものばかりです。
洗米したお米にいりごま、ごま油、塩を入れ、水を入れてひと混ぜしておきます。下準備を済ませた材料を全て混ぜたら調理トレイに入れ、それを内釜に乗せ、「白米」メニューで調理を開始。こちらは34分でできあがりました。
豚バラとにらのもつ鍋風煮を先にいただいてみると、野菜類にもう少し火が通ってもいいかなと思うも、野菜の歯ごたえがシャキシャキととても良い食感。一方豚肉はしっかり火が通っていて柔らかです。シャキシャキ野菜と柔らか肉のハーモニーが楽しめ、にんにくの香りと鷹の爪のピリッとした辛味がアクセントになり、ご飯がついつい進みます。
ごま油を入れて炊いた香ばしごまごはんはパラっとした食感で、豚バラとにらのもつ鍋風煮との相性が抜群です。ごまの風味が立つご飯は、それだけでもとても美味しく、晩ごはんとして大満足の一品となりました。
もしも、野菜をもう少し柔らかく仕上げたいなら、炊きあがってから10分ほど保温状態を保てば食感の調整もできそうだなと感じました。
以上、「白米」メニューでご飯とおかずの組み合わせの2パターンを作って食べてみた感想は、「とにかく簡単で、できあがりが早い上に、美味しい!」です。お惣菜やレトルトを買ってきて、温め直したものとは根本的に違い、新鮮な食材で作った出来立ての熱々をいただける喜びはやはり格別です。しかもご飯もおかずも1台で同時にできあがるのはとても便利。
次は、内釜と調理トレイで同時におかずを作るレシピを試してみました。2種同時のおかず調理の際も、流れは「ごはん+おかず」と変わりありません。
それぞれのレシピの材料を揃えて下準備をします。「かぼちゃのほっこり煮」は、内釜に材料を全て入れるだけでOK。「ささみのポン酢南蛮」は、調理トレイに食材を入れてから、ポン酢しょうゆをかけて、内釜にセットするだけ。こちらも至極簡単です。
「ごはん+おかず」と違うのは、「Menu」から「蒸す/煮る」を選択し、「時/分」ボタンで0:15の設定をする点です。あとは「START」を押して調理をスタートします。
調理時間の設定であれ? と思ったことがありました。レシピには、「できあがりまで約35分」とあったのに、設定時間は15分。その差はどういうこと? と改めて取扱説明書を見ると、「釜内の温度が約100℃に上がってから調理が開始されます」という一節を見つけました。
どうやら、時間の設定は全体の調理時間ではなく、釜内がいよいよ沸騰してからの調理時間を指すようです。いわゆる一般的な料理のレシピ中にある「お鍋が沸騰したら弱火で15分煮ます」的なものですね。
そして調理が始まってから38分を過ぎた頃にブザーが鳴り、できあがりが知らされました。フタを開けたところ、ツヤツヤでふっくらと仕上がったささみが現れると同時に良い香りが勢いよく立ち上り、思わず「おおッ! 美味しそうッ!」と叫んでしまいました。かぼちゃは澄んだ煮汁の中に柔らかそうに炊きあがっていました。
先に「ささみのポン酢南蛮」からいただきました。香りがとても良く食欲が刺激されます。ささみはレシピどおり切らずにそのままですが、箸で割けるぐらいふっくらと柔らか。頬張ると、コレがささみ? と驚くほど柔らかでジューシー! パサパサ感は微塵もありません。下準備の際にまぶしておいた片栗粉が、加熱で適度なとろみとなって肉の周りをツヤ良くコーティングしており、野菜から出た旨味、爽やかなポン酢しょうゆと良く絡み、鷹の爪の辛味がこれまたいいアクセントで、想像以上の美味しさに感動してしまいました。
次に「かぼちゃのほっこり煮」を一口。ほっこり煮の名の通り、ふっくらほっこりと炊きあがっています。口のなかでかぼちゃがほろっと崩れるほど柔らかで、特有のねばりもありました。あっさりとした甘さと塩加減のバランスも良く、いい具合に煮汁が滲みています。美味しくて、つい煮汁まで飲み干してしまいました。堂々たる副菜の一品となりました。
個人的にささみはパサついた印象が強いので好みではなく、普段からほとんど口にすることはありませんでした。ですが、このレシピは唸るほど美味しく、また食べたい! と願うほど気に入ってしまいました。かぼちゃは焦げ付きの心配が無いので、普通の鍋で作るよりはるかに簡単です。
ここまで付属するレシピの「2段調理」中から3つ選んで作りましたが、いずれも満足、いやそれ以上の美味しさを堪能いたしました。
レシピには2段調理の項のほかに「おいしいひと品」という項があり、その中の惹かれた「ビーフシチュー」と「かぶの柚子こしょうおかゆ」の2品も試してみました。
クッキングライスクッカーを、煮込み電気調理鍋として活用したビーフシチューを作ってみました。
ビーフシチューは、材料の牛すね肉を手持ちのフライパンなどで全体に焼き色を付けるひと手間が必要ですが、それさえクリアすればあとはクッキングライスクッカーおまかせです。一般的な調理方法なら、最低2時間はかかります。
焼き色をつけた牛すね肉と他の材料と調味料を内釜に全て入れて混ぜ、「Menu」から「蒸す/煮る」を選択し、「時/分」で1:00に設定したら調理をスタート。あとはできあがるまでおまかせです。焼き色を付ける手間はありましたが、それ以外の下準備は材料を全て内釜に入れて混ぜ合わせておくだけ。あまりにも簡単過ぎて拍子抜けしてしまいました。
調理を開始してから28分頃には良い香りがしてきました。操作パネルを確認すると、できあがりまでの時間「55分」と表示されていました。あまりの良い香りにレビューの仕事だということを忘れ、ついいそいそといただく準備を始めてしまうほどでした。
調理をスタートしてから約80分後にいよいよブザーが鳴りました。フタを開けるとまだシチューがぐつぐつとたぎっている姿がとても美味しそうです。気持ちを落ち着けて皿によそい、材料に記されている生クリームを添えました。
まず肝心の牛すねをパクリ。適度な歯ごたえを感じながらも、柔らかでジューシー! 噛みしめると肉汁の美味しさが口の中にジュワッと広がります。玉ねぎは口の中で溶けそうなぐらい柔らかで、にんじんもホックリとした甘みがありました。セロリはクタクタですが、残る歯ごたえが心地良く、全ての食材がとろりと仕上がったソースと絡み、間違いのないご馳走の一品となりました。
ビーフシチューを満足しながら食べ終え、改めて思い知らされました。煮込み料理につきものの火の側に立って、ゆっくり混ぜたり火加減を気にしたりが一切要らず、任せっきりでここまで美味しいシチューができちゃうって、なんてラクで便利なんでしょう!
最後はさっぱりと「かぶの柚子こしょうおかゆ」で試作を〆ましょう。
洗米したお米と一緒に材料を全て内釜に入れてから、内釜にある「おかゆ1/2」の目盛りまで水を加えひと混ぜしたら準備は完了です。「Menu」から「おかゆ」を選択し、「時/分」ボタンで1:00の設定。「START」を押して調理を開始します。
設定時間どおり1時間でできあがりました。できあがってから刻んでおいたかぶの葉を内釜に入れて混ぜました。
おかゆはご飯粒の歯ごたえが無いほどやわらかに、とろりと仕上がっており、かぶは形が残っていても口の中でとろっと崩れ、ほんのりとした甘みが感じられます。口の中で渾然一体となるおかゆとかぶに軽い塩味に鼻から抜ける柚子こしょうの香り。刻んだかぶの葉のシャキシャキとした食感が加わって……これがまた美味しいこと美味しいこと!
かぶと柚子こしょうが、こんなにおかゆと相性が良いとは知りませんでした。お腹の調子がいまいちな時や食欲が湧かない時だけでなく、時間のある時の朝粥にもおすすめしたい一品が堪能できました。
後片付けもラク。パーツがコンパクトでかさばらない
後片付けも簡単でした。
まず内ブタに調理中に付く水滴は、本体内に落ち周囲を汚しません。殆どの場合内釜の外側に落ちた水滴を拭き取るだけでOKです。内ブタ、蒸気口パーツはそれぞれワンタッチで着脱ができ、洗浄も簡単。内釜は汚れがサッと落ち、重さは300g以下で小さいのでラクに洗えました。また、おかずを調理してそのニオイがほとんど残らないのはとても良い点です。その後炊飯しても、全くといっていいほど気になりませんでした。
クッキングライスクッカーは内釜も含めたパーツがコンパクト。食事の後にそれら全てと使った食器を洗い終えて、全部小さな洗かご1つに収まってしまう気楽さが嬉しかったです。おかずまで作っても別の鍋が要らないので、食後の後片付けのストレスが随分軽減されました。
作る楽しさ、美味しさをより手軽に
色々使って実感したのは、一人分でもきちんとした食事が手軽に作れ、美味しい! と楽しめたことです。紹介されているおかずレシピのほとんどが、「材料を調理トレイに入れて、調理スタート」と、拍子抜けするほど簡単で、また繰り返して作りたくなるほどとっても美味しいものばかりでした。自炊につきものの、後片付けのストレスが少ないのも見逃せない点でしょう。
レシピブックに掲載されているレシピは良く練られた印象で、食材のほとんどが手に入りやすいもので構成され、美味しい2つ同時調理を見事に実現するものでした。一度作って様子が分かれば、次は野菜の切り方を変えてみようとか、材料を置き換えてみようなど、料理への好奇心も刺激されました。
炊飯時の浸水は十分ではないかもしれない点、「蒸す/煮る」の設定時間と実際にかかるできあがり時間の違いにやや戸惑いはあったものの、それは何度か使えば解決できる程度のものではないでしょうか。
クッキングライスクッカー RCR-2は、一人暮らし、少人数家族の方はもちろん、自炊したいけれどなんだか面倒、料理は苦手という人にも向いています。「1人前」でも、出来立てで栄養たっぷりのちゃんとした美味しい食事が楽しめることは間違いありません。オススメです。