家電レビュー

タマゴみたいに小さなパナの電気シェーバー、ヒゲをしっかり剃れるか試した

パナソニックが発売した「LAMDASH PALM IN(ラムダッシュ パームイン) ES-PV6A」

パナソニックの電気シェーバー「ラムダッシュ」シリーズから、新しいコンセプトのコンパクトなモデル「LAMDASH PALM IN(ラムダッシュ パームイン) ES-PV6A」が登場しました。通常のラムダッシュシリーズのようなグリップ部分がなく、タマゴ型に近いユニークな形状のラムダッシュ パームインはどのような使い勝手なのか、そして剃り味はどうなのか。試してみました。

今回使ったのはラムダッシュ パームイン ES-PV6Aのマーブルホワイトモデル。シェーバーでホワイトカラーは比較的珍しい上に、エレガントな雰囲気のマーブル模様がジェンダーレスな雰囲気を醸し出しています。ボディの素材には、海水から抽出したミネラル成分で作られた三井化学の熱伝導プラスチック「NAGORI樹脂」を使用。外刃に使われているプラスチックに比べてひんやりとした感覚があり、陶器のような肌触りが印象的です。

本体サイズは72×45×57mm(幅×奥行き×高さ)で、手にすっぽりと収まるサイズで、重さはポータブルシェーバーとしては若干重めな145gです。直販価格は41,580円。

手にすっぽりと収まるサイズ

セミハードタイプのキャリングケースも付属しています。付属のUSB Type-Cケーブルで充電するスタイル(ACアダプターは別売)なので、どこでも気軽に充電できます。

セミハードタイプのキャリングケースが付属します
背面にUSB Type-Cを備えており、付属のUSBケーブルで充電できます
2021年発売の6枚刃モデル「ES-LS9AX」と比較したところ。最新の5枚刃モデルに比べて体積比で約70%とのことですが、それよりかなり小さく見えます
同じくES-LS9AXとキャリングケースのサイズを比較したところ

ラムダッシュPROと同じ5枚刃システムを採用

一般的なポータブルシェーバーは軽くて持ち運びやすいものの、シンプルな構成の外刃・内刃を採用しているため剃り味は今ひとつ……そして価格は数千円から1万円程度と安いものが多いです。

それに対して、ラムダッシュ パームインは4万円を超える価格となっており、かなり思い切った印象を受けます。その理由は最新のラムダッシュPROにも採用している5枚刃システムとリニアモーター、ヒゲの濃さを検知してパワーをコントロールする最新の「ラムダッシュAI+」をこの小さなサイズに収めているところにあります。ラムダッシュAI+は2022年モデルまでの「ラムダッシュAI」の毎秒200回から毎秒233回まで検知精度を向上しており、よりヒゲの濃さの変化を感じやすくなったとのことです。

最新の「ラムダッシュPRO」5枚刃モデルと同等の5枚刃システムを搭載しています

興味深いのがフタです。ポータブルではない通常のシェーバーにも透明のカバーが付いていますが、あまり使わないか、キャリングケースに入れておくという人が多いのではないかと思います。しかしラムダッシュ パームインはその特徴的なデザインもあってか、日常的にフタをちゃんと装着しておきたいような印象を受けます。一般的なカバーと違ってカチッとはめるようなスタイルではなく、マグネットで吸い付くように装着できるのもユニークです。

フタはマグネットによって吸い付くように装着されます

ちなみに、2024年1月15日までにES-PV6Aを購入してからWebサイトで応募すると(応募期限2024年1月31日16:59まで)、本体と同じNAGORI素材を使った非売品の置き台をもらえるプレゼントキャンペーンを実施しています(公式通販サイトで購入した場合は応募不要)。

この専用置き台に載せるとよりラグジュアリー感が増したので、非売品とせずに市販してほしいものです。

非売品の「NAGORI専用置き台」に載せたところ
デスクの上などに置いても違和感のないデザインでした

専用置き台を最初に見た時に、まるでQi(チー)対応のワイヤレス充電台かと思いました。USBケーブルで充電できるのは便利ではあるものの、毎回端子のフタを開けてケーブルを挿すのはちょっと面倒でした。その点では、やはり従来の自動洗浄器に入れるだけで充電ができるモデルはすごく便利に思えます。

充電台で防水性能を実現するのは楽ではないかもしれないですが、そこまでそろうとさらに魅力が増すのではないかと感じました。

「つまむ」新感覚。キワ剃り刃はないものの快適な剃り心地

実際にヒゲを剃ってみることにしましょう。本体底面に配置された電源ボタンを押すとシェービングを開始できます。

デザインをすっきり見せるための配慮なのか、本体底面に電源ボタンを配置しています

一般的なシェーバーはグリップを握ってシェービングをしますし、コンパクトシェーバーでもやはり同様のオペレーションになります。一方のラムダッシュ パームインは、ボールのように握る、というかつまむような持ち方になります。

手でつまんで持つようなスタイルです

使い勝手は、グリップを握るのとは全く違う感覚です。大きいのは「手の延長として左右の手で使える」という点でしょうか。筆者は右利きで、普段は右手だけでシェーバーを握ってシェービングをします。手のひらと垂直方向にヘッドがあるため、上下左右に動かす感覚が左手ではつかめないためです。

しかしラムダッシュ パームインの場合、指先のすぐ先にヘッドがあるため、左手でも直感的に自在にヘッドを動かすことができます。従来は右腕を大きく曲げて顔の左側をシェービングしていましたが、これなら左手に持ち替えてコンパクトにシェービングができます。指先のさらにちょっと先にあるヘッドを肌に沿わせながら、なでるようにシェービングするといった感じになります。

利き手ではない左手でも難なく剃れます

剃り味も良好です。5枚刃に加えてローラーが付いているため、肌の上をすべるように動かすことができ、かみそり負けすることなくスムーズに深剃りできました。最上位モデルの6枚刃までは及ばないものの、最新のラムダッシュPROと同等の実力はしっかりと発揮しているように感じます。

きれいに剃り切れました

ただし、一般的なラムダッシュシリーズには標準搭載されている、もみあげなどの長い毛を整えられるきわ剃り刃(トリマー)は非搭載となっています。2~3日程度なら問題ないですが、1週間近くヒゲを伸ばしてしまった場合や、数日延ばしたアゴ下のきついくせヒゲなどは剃り残してしまう可能性があります。少なくとも2~3日に1回ほど、こまめにシェービングすることをおすすめします。

水洗いやウェット剃りが可能で泡メイキングモードも

ラムダッシュ パームインはIPX7規格(水深1メートルに30分間水に浸けても有害な影響を生じる量の水の浸入がない)の防水性能を備えており、シェービング後には水洗いもできます。

IPX7の防水性能を備えており、水洗いが可能です

もちろん、バスルームなどでのウェット剃りも可能です。より肌に負担をかけずにスムーズに剃りたい、もともとT字かみそりを使っていたためバスルームで剃る習慣があるという人にも向いています。電源オフ時に電源ボタンを2秒ほど長押しすると「泡メイキングモード」が起動し、スクラブなしの洗顔料や液体ボディソープなどを泡立ててシェービングフォームを作ることもできます。ちなみに泡メイキングモードは15秒後に自動的に通常のシェービングモードに移行するので、作った泡を使ってそのままシェービングを行なえます。

泡メイキングモードで洗顔料などからシェービングフォームを作れます
ウェット剃りしているところ

先ほど説明したように独特な持ち方と使い心地ではあるものの、グリップタイプの一般的なシェーバーと比べて使いにくいことはなく、剃り心地も満足できるものでした。

一般的なポータブルシェーバーはハイエンドモデルに比べて性能は劣るものの、軽量コンパクトで持ち運びやすいというのが魅力でした。しかし出張の多いビジネスパーソンの場合、自宅では気持ちよく剃れるものの、出張先では思うように剃れないストレスを味わうことにもなりかねません。筆者もポータブルシェーバーを持っているものの、長期出張やテレビ出演など、ここぞという時にはハイエンドモデルを持ち出して使っています。ポータビリティと深剃りを両立するのはなかなか難しいのが実情だったのです。

しかし、ラムダッシュ パームインならほぼハイエンドモデルの剃り味ながら、カバンにもしまいやすく、いつでも簡単に持ち運べます。アフターコロナで通勤生活に戻ったのを機にシェーバーを買い替えようと検討している、出張の多いビジネスパーソンにはぴったりの製品かもしれません。

安蔵 靖志