家電レビュー

車にコーヒーをこぼした! アイリス“洗える掃除機”でちゃんと吸い取れる?

アイリスオーヤマの「リンサークリーナー RNS-B400D」

先日、車のシートにコーヒーをこぼしてしまった。カラだと思って雑に扱ったら、まだ中身がちょっと残っていたというパターンである。実は半年前に車を買い替えているのだが、前の車は標準でシートカバーが付いていた。今回もそうだろうと高をくくっていたら、なんとカバーなし。

これはマズいというわけで、急遽アイリスオーヤマの「リンサークリーナー」を購入した。水を噴射して吸い取ることで、洗濯できない布製品が洗える商品である。コードありタイプとコードレスタイプがあるが、今回は駐車場で使用するので、コードレスの「RNS-B400D」を購入した。公式通販サイト「アイリスプラザ」での価格は、24,200円である。

さてこのリンサークリーナー、はたしてどれぐらい汚れがとれるものなのだろうか。

持ち運んで使える2.4kgの軽量ボディ

RNS-B400Dは、本体部とホース、ハンドツール部に分かれる。本体部分にははめ込み式の汚水タンクがあり、掃除をしやすくするために上下に分かれるようになっている。タンク内部は仕切りがたくさんある複雑な構造なので、上下が分かれない他モデルはなかなか掃除がしづらいのかもしれない。

クリーナー本体はシンプルなデザイン
汚水タンクは上下に分解できる

コードレスゆえに、本体にはバッテリーが内蔵されている。容量は1,900mAhで、交換もできる。ただ付属のACアダプターで、バッテリー充電に4時間かかる。動作時間は連続で約10分。これをどう考えるかで、本機に対する価値が決まる。ちなみに交換用バッテリーも別売されているが、1個7,240円というなかなかのお値段。

バッテリーは着脱式
付属のACアダプターで本体充電するが、満充電に4時間

ハンドツール部は、吸い込みノズルと、清水(キレイな水)を噴射するスプレーが一体化した構造になっている。スプレーで水を吹き付けて汚れを浮かせ、ノズルがそれを吸い取るという仕組みだ。汚水はハンドツール部の背面、透明なアクリル内部を通って吸い込まれるので、汚れがどれぐらい取れているのかが確認できる。このアクリルカバーは簡単に外せるので、使用後は外して水洗いできる。

スプレーと一体になったハンドツール
タンクを取り付けたところ

スプレー部のレバーは樹脂製だが、すぐレバーが壊れる100円ショップのスプレーとは見た目からしてもずいぶん違って、頑丈に作られているようだ。とはいえ、全部が一体化しているので、一部のパーツが壊れただけで全交換になってしまう。こうしたパーツの耐久性も、長年使うとポイントになる部分だろう。

これらをつなぐホースの長さは、96cm。長さとしては十分だ。またハンドツール部は本体に引っ掛けて固定できるようになっているため、ホースを後ろにグルッと回して引っ掛けると、コンパクトにまとまる。

ホースは96cm
ハンドツール部は本体に引っ掛けられる

実際に試してみると……

まさか充電に4時間もかかるとは思わなかったので、車のシートは先に洗濯洗剤を薄めてスプレーしたのち、タオルを押しつけて吸い取っておいた。充電後に改めてRNS-B400Dを使用してみたが、さすがに4時間も経てば、シートはすっかり乾いてしまっている。

あらためて清水をスプレーして湿らせ、吸い取ってみたところ、まだまだ汚れが吸い取れる。やはりタオルを押しつけた程度では、十分に汚れを写し取ることはできていなかったようだ。

清水をスプレー噴射して汚れを浮かせる
まだまだ汚れが吸い取れる

ただ使い勝手としては、ハンドツール部に清水タンクがくっついているので、タンクが邪魔になってL字の部分につっかえる。ハンドルを横にしたり縦にしたり逆さまにしたりしながら、どうにかカドを攻めていくという使い方になる。コードレスではないコンセント型の「RNS-P10-W」では、清水タンクが本体側にあるため、ハンドル部がシンプルである。しかも電動でスプレーできるようだ。

吸い込み動作のときには、下の清水タンクが邪魔になるところも

実際どれぐらいキレイになるのか

車のシートは真っ黒なので、正直どれぐらいキレイになっているのかわかりにくい。そこでタオルにコーヒーをこぼして、実験してみた。

まず清水スプレーなしで吸い取ってみたところ、まだコーヒーが染みこむ前ということもあって、5回ほど同じ場所を吸引すると、まずまずの量が吸い取れることが確認できた。初期の手当としては有効だろう。ただしまだコーヒーの色味は強く残っている。

続いて清水を吹き付けて汚れを溶かし、それを吸い取るという作業を繰り返した。動画では18回ぐらい繰り返し行なっているが、やはり水を加えてそれごと吸い取るという作業には一定の効果があることがわかった。

コーヒーのシミで実験

しかし完全にキレイになるわけではなく、限りなく薄めていくという作業に近い。この清水タンクには40℃までのお湯が入れられるので、お湯のほうが溶けやすい汚れなら、水よりも効果的だろう。

リンサークリーナーで吸引した結果
コーヒーはかなり回収できた

また清水タンクを使わず別にスプレーを用意すれば、強アルカリイオン水、重曹、クエン酸、次亜塩素酸水といったものも吸引できるとマニュアルに書いてある。また低発泡性の洗浄液も使えるとある。汚れの種類に応じてこれらを使い分けると、さらに効果があるだろう。

ただ、この動画では汚れの真ん中だけを吸い取っているが、これだけですでに5分かかっている。バッテリー駆動時間の約半分だ。これを全部を吸い取ると考えれば、連続動作10分という時間はなかなか微妙である。

したがって用途としては、ちょっとした食べこぼしやペットの粗相など、ワンポイントな汚れにすぐ使う、という格好になるだろう。一般のお掃除感覚で、ソファやカーペット全体となると、10分では到底足りない。

そうした大型家具全体を掃除したいのであれば、RNS-P10-Wのようなコンセント型をお勧めする。コードレスのRNS-B400Dは吸い込み仕事率が20Wなのに対し、電源コードのあるRNS-P10-Wは30Wなので、吸い込み力も上だ。定格消費電力が310Wなので、もし310W以上出せるポータブル電源をお持ちなら、コンセントが近くにないところでも使えるはずだ。

コードレスなら「充電式でどこでも洗浄」は確かにそうなのだが、駆動時間の短さゆえに使いどころが限られるという印象。バッテリー駆動時間が2倍か、充電時間が1時間程度か、ACアダプターをつなげばそちらからの電力でも動くといった設計であれば、なお良かったと思う。

小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「小寺・西田のマンデーランチビュッフェ」( http://yakan-hiko.com/kodera.html )も好評配信中。