家電レビュー

超静か! アイリス掃除機の「ちりとりモード」は夜でも気兼ねなく使えた

充電式サイクロンスティッククリーナー daspo(ダスポ) 「SCD-S1P」

自宅で使っているコードレススティッククリーナーのバッテリーの持ちが悪くなってしまった。バッテリー交換できないものかと思ったが、非対応。これはもう買い替えなければと、次なるスティック掃除機を探している。

そんな折に、アイリスオーヤマの「充電式サイクロンスティッククリーナー daspo(ダスポ) SCD-S1P」(以下:ダスポ)を使う機会を得た。実売価格は71,000円前後だ。なお、アタッチメントが5個付属する同機のほか、2個付属の「SCD-190P」もラインナップされている。

クリーナー本体と充電台
クリーナー本体を充電台に収納したところ

「ちりとりモード」では本当に静かに掃除できる

同機の売りは、静かに掃除できる「ちりとりモード」を搭載すること。「ちりとりモード」によって、同社の従来機や他メーカーと比較して、圧倒的に“静かに”掃除できる点が利点だ。

というのも、「ちりとりモード」の静かさは、他とは仕組みが異なるから実現しているもの。スティッククリーナーのヘッド部分に、モーターとダストポケットを搭載しているのだ。どういうことかと言えば、手元近くにある主モーターのほかに、ヘッド部内蔵の“サブ”モーターを配置。「ちりとりモード・クリーンモード」ボタンを押すと、そのヘッド部内蔵のモーターが駆動。回転ブラシが回転して、すぐ隣のダストポケットにゴミやホコリを溜めておく。

「ちりとりモード・クリーンモード」ボタンを押すと、ヘッド部の回転ブラシだけが回転して、ゴミやホコリを同じくヘッド部にあるダストポケットに一時保管する

要は、自走式ヘッドクリーナーの、ヘッド部分に2つめの一時保管用のダストカップを増設した設計。掃除が終わって充電台に戻すと、主モーターが駆動して、一時保管していたホコリなどを、メインのダストカップへと吸い込む。この時に、充電台に戻すと自動で主モーターが駆動するので、一般的な掃除機と変わらない駆動音がする。そのため本当に静かに掃除したい時には、主モーターが自動で駆動しないよう、充電台の横に配置された「スタンドスイッチ」をオフにしておけばよい。

「スタンドスイッチ」をオンにすると、クリーナー本体をスタンドに戻すと、自動で主モーターが駆動して、ダストポケットに一時保管していたゴミやホコリを、メインのダストカップへ吸い上げる。この時の騒音は一般的な掃除機と同じくらいにうるさい
「スタンドスイッチ」をオフにしておけば、次回使用時まで自動で吸い上げない

「ちりとりモード・クリーンモード」は、既に家族が寝た後に、どうしても気になるゴミや掃除したい時に何度も使った。アパートやマンションで、夜に掃除したいけれど隣家へ迷惑にならないか心配……といった時にも有用だろう。

ゴミの状況によって吸引力を調整する「自動モード」が便利

運転モードは、前項で説明した「ちりとりモード・クリーンモード」のほかに、「標準・ターボモード」と「自動モード」を備えている。

「標準・ターボモード」と「自動モード」では、手元近くのメインモーターが駆動して、ゴミをメインのダストカップにまで吸い上げる。いちおうサイクロン式を採用し、ダストカップ内でゴミ・ホコリと空気とを分離し、空気だけが排気される仕組みだ。

手元近くにあるダストカップ
サイクロン式を採用。吸い上げられたゴミやホコリ、空気がダストカップ内でくるくると回転して分離。空気だけが排気されていく

「標準・ターボモード」は、「弱」と「強」モードと考えれば良い。もう一つの「自動モード」は、床面にあるゴミやホコリを感知するとパワーアップして掃除し、ゴミなどがなければ弱モードで掃除する。

搭載された「ほこり感知センサー」が思いのほか正確に反応しているようだったので、常にと言ってよいくらい「自動モード」を使っていた。

ちなみにフル充電からの連続使用時間は、ターボモードで約9分、標準で約17分。自動モードではゴミなどの状況にもよるが、参考値として約35分と仕様表に記されている。だいたい2LDKくらいの家であれば、十分に掃除できそうだ。

ほこり感知センサーを使った「自動モード」で掃除

吸引力については、むちゃくちゃ強いということはないが、これまで使ってきた一般的なスティッククリーナーと同等か、それ以上のパワーを備えている。特に掃除で「吸い取りが悪いなぁ」と感じることはなかった。

良いなと思ったのは、クリーナーヘッドの前方がLEDライトで照らされること。ヘッド部にライトを搭載するモデルは多くなってきたが、同機のライトは、前方を照らす範囲が広いように感じた。

我が家の玄関に続く廊下は、昼間でも電気をつけないと暗いため、掃除の時にライトで照らしてくれると非常に助かる。

クリーナーヘッドにLEDライトを搭載。前方を明るく照らしてくれる
ライトで前方が照らされて、ホコリが浮かび上がる。暗い場所の方が掃除しやすいかもしれない

ゴミ捨てがラク

ゴミ捨ては、ダストカップを本体から外して、サイクロンユニットを引いて取ったら、難なくゴミを捨てられる。ゴミ捨て時に両手が必要なのは面倒だが、ホコリなどがサイクロンユニットにこびり付いていることが少ないため、ホコリが舞う量も少なく、とてもスムーズに捨てられる。

本体からダストカップを取り外したら、サイクロンユニットを引いて取る
あとはダストカップ内のゴミを捨てるだけ

ちなみにダストカップは、カップとサイクロンユニットとHEPAフィルターで構成されている。カップとサイクロンユニットについては、水での丸洗いが可能なのもうれしい。

ダストカップを分解。左からダストカップ、サイクロンユニット、HEPAフィルター
HEPAフィルターだけは水洗いできないのは、他モデルや他メーカーと同様

掃除機のメンテナンスで面倒なものの代表格は、回転ブラシが上げられるだろう。糸くずや長い髪の毛などが巻き付いていることが多い。

今回のダスポはどうかと言えば、しばらく使い続けた後に回転ブラシを確認したが、糸くずや髪の毛など、何も巻き付いていなかった。うちは妻の長い髪の毛に四苦八苦することが多いのだが、1本も絡まらなかった。正直、驚いた。

クリーナーヘッドの裏側
回転ブラシは、絨毯のようにフワフワな仕様

女性には少し重く感じるのかもしれない

ダスポは、手元にモーターやバッテリーを含む駆動部とダストボックスを配置している。そのため手元の方が重い。その上、自走式ヘッドを採用しているので、ヘッド部分も軽くはない。

そのため、本体を持ち上げると重さを感じる。具体的には、充電台から本体を取り外したり設置したりする際、部屋内の段差を越えるためにちょっと持ち上げる時などに重さを感じる。

一般的な筋力と身長のある成人男性であれば問題ないだろうが、平均的な女性だと、はっきりと重いと感じるようだ。というのも、身長162cmの妻が「重い重い」と主張している。

これは、持ち方にもよると思う。掃除する際には、ハンドル部を握るように持ってはいけない。手にハンドルを引っ掛けて、ぶらりと持てば、重さが気にならないはず。ただしこの“握ってしまう”というクセを直すのは難しい。購入時には、そのあたりを確認してから検討してほしい。

また、多くのスティッククリーナーで言えることだが、階段を掃除する際には、重く感じる。その点は留意が必要だ。

ということで、自動モードでの掃除のしやすさや、ゴミ捨てのしやすさ、バッテリーの買い替え・交換が可能な点など、筆者は気に入っているが、毎度辛口コメントの多い妻の顔は、今回も渋いままだ。

ダスポの、もう一つのちょっと便利な機能を書き忘れた。

同機には静電モップがついている。本棚などの棚や机、テレビ台などの上に溜まったホコリを取り除くのに良い。ホコリが付いた静電モップは、充電スタンド下部にある穴に入れれば、掃除機で効率的にモップ自体を掃除できる。最後となったが、写真で紹介しておく。

テレビの裏側などのホコリをごっそりと取り除いてくれた
掃除機をオンにしたまま、静電モップを充電台下部にある穴の中に差し込む
モップ付着のホコリなどを、ある程度、取り除いてくれる
河原塚 英信