家電レビュー

とにかく明るいパナソニックの「でかランタン」イザという時に心強い

パナソニックの「乾電池エボルタNEO付き 強力ランタン(でかランタン) BF-BL40K」

雰囲気を味わうアウトドアなら多少ランタンが薄暗くても、さほど差し支えはない。だが、災害時や停電時は別。災害停電経験者にパナソニックが調査したところ、「停電時、部屋が暗くてストレスを感じた」方は7割もいらしたそうだ。だからこそ、明るさが部屋全体に行き渡る明るいランタンをイザという時のために備えておきたい。

そんな希望を見事に叶えてくれるランタンが、いよいよパナソニックから登場した。それが、“とにかく明るい”と銘打った「乾電池エボルタNEO付き 強力ランタン(でかランタン) BF-BL40K」だ。長持ち性と長期保存性に定評のあるエボルタNEOの単一形乾電池が3本ついて、実売価格は4,527円。

“とにかく明るい”と銘打つ

でかランタンの最大の特徴は、なんといってもその明るさにある。4段階の調光ができる最大の明るさ(全光束)は、なんと800lm(ルーメン)! それは60W形相当のLED電球の明るさ810lmに肉薄するほどの明るさで、しかも単一形乾電池3本だけで実現しているのは驚きだ。さらに、IPX2の防滴性を備えているので、屋外や小雨の中でも使える。

そこで今回は、使用感とともに、でかランタンがどれほど明るいか、60W形相当のLED電球などとも比較もしながらレビューをお届けしよう。

大きいが安定感がある

大きさは160×110×175mm(幅×奥行き×高さ)で、電池込みの重さは約780g。単なる懐中電灯と考えた場合、かなり大きい印象を受けるが、使い方がテーブルや棚、床の上に置くタイプのランタンなので、むしろ安定感がある。また、大きなハンドルがついているので、点灯しながらの持ち運びもできる。

大きさは160×110×175mm(幅×奥行き×高さ)と懐中電灯としては大きいが、安定して置ける

電池の入れ方はとても簡単だ。本体を逆さにして電池カバーを回して開け、単一形乾電池のそれぞれを電池ホルダーの表記に沿って正しい向きに3本入れ、電池カバーを回して戻す。本体とカバーそれぞれにある「合いマーク」が重なって、カチッと鳴ればきっちり閉まった合図だ。きっちり閉じれば本体側に巻かれているパッキンが機能し、防滴性が確保される。

電池カバーを外して、正しい向きに乾電池を差し込んでいく
電池を入れたらカバーを回し戻す
カチッとなって「合いマーク」が合えば、正しくカバーが取り付けられた合図だ

乾電池を取り付ける事で重心が下がり、少し弾いたぐらいでは倒れないほどの安定感があった。

操作はポポンッ、ポンッと簡単

それでは早速点灯してみよう。点灯方法は、半球形「上ケース」の頂上にある「タッチセンサー式点灯スイッチ」を、素早く2回ポポンッと軽くタッチするだけで、パッと点灯する。

点灯直後の明るさは「明るさ1」で、以降は1回ポンッとタッチするたびに「明るさ2」、「明るさ3」、「明るさ4」と明るくなり、さらにタッチすると消灯する。誤動作を避けるため、点灯時のみ2回のタッチが必要だが、1度使えば迷いなく操作できるだろう。

半球形の「上ケース」頂上にタッチセンサー式の点灯スイッチがある
スイッチを最初だけ2回ポンポンとタッチすると「明るさ1」で点灯。その後タッチするたびに「明るさ2」→「明るさ3」→「明るさ4」と段階的に明るくなる
点灯するとスイッチ部が影になる

光源のLEDは、ワイドパワー白色LEDを使用しており、光色はLED電球で言うならニュートラルな白さの「昼白色」に近い印象だった。

「明るさ4」の明るさは、60W形のLED電球に肉薄! 光も広がる

改めて部屋を暗くして点灯したところ、明るさ4は思わず目を細めてしまうほど眩い明るさがあった。ここからでかランタンの明るさの他、光の広がりなどをLED電球などと比較しながら見ていこう。

明るさ1は仄かな明るさに対し、明るさ4(右端)は直視しにくいほど眩い明るさになった

まず明るさを手持ちの照度計で計測してみよう。でかランタンから30cm、上ケースよりも10cm上方に照度センサー部を壁面に設置してそれぞれの明るさを計測した。

「明るさ1」は2.8lx(ルクス)と仄かな明るさで、「明るさ2」は48lx、「明るさ3」は手元に置けばちょっとした書き物ができるほどの169lx、「明るさ4」は眩いばかりの519lxにもなった。

でかランタンから30cm、上ケースよりも10cm上に照度計のセンサーを壁面に取り付けた
仄かな明るさから、眩い明るさまで4段階選べる。明るさ4はなんと519lxになった

ここで、各明るさの光束値も紹介しよう。

「明るさ1」は約4lmで、シーリングライトの常夜灯に使われていた“なつめ球”程度の仄暗い明るさ。「明るさ2」は60lmで、10W形の装飾電球などが近い。「明るさ3」は200lmで、20W相当(170lm)の白熱電球よりも少し上の明るさ。そして「明るさ4」は800lmで、全光束値が810lmの60W形相当のLED電球にかなり近いものとなる。

ならばと、同社のハイエンドLED電球「パルック プレミアX LDA7N-D-G/S/Z6(昼白色・光の広がり約260度)」をでかランタンと同じ条件で計測してみよう。全光束はでかランタンよりも10lm明るい810lmだ。

明るさなどの比較に使う、同社のハイエンドLED電球「パルックプレミアX LDA7N-D-G/S/Z6(昼白色)」。全光束は810lmで光の広がり約260度
でかランタンと並べると、シリカ電球(白熱電球)サイズに到達した最新のLED電球がいかにも小さく見えますね

さて、同じ条件で60W形・全光束810lmのLED電球の明るさは536lxだった。つまりその差はたったの17lxで、いかにでかランタンが明るいかおわかりいただけるのではないだろうか。でかランタンの明るさは60W形のLED電球に肉薄していると言っても差し支えないだろう。

LED電球は同じ条件で536lxだった
でかランタンの明るさは519lxで、60W形相当のLED電球の明るさに肉薄する結果となった

でかランタンの光の拡散性も良好だ。半球形の上ケースは半球全体が輝くため、水平から垂直方向へはLED電球と遜色ないほどしっかり光が広がる。一方、光の広がりが約260度のLED電球と比べると、でかランタンは下方へは弱い。それでも、でかランタンの電池ケースの周囲にもそれなりの明るさが広がった。

でかランタンの光は、水平から垂直方向へしっかり広がる
ハイエンドLED電球は白熱電球と遜色ないほど下方へもしっかり光が広がる
でかランタンの下方への光の広がりはLED電球に及ばずも、ある程度明るさは届く

明るさも光の広がりも備わったでかランタンゆえ、つい用途の異なるLED電球まで持ち出して計測・比較してしまった。考えてみれば、乾電池3本だけで駆動するランタン式懐中電灯が、ハイエンドLED電球と同じ土俵に上げられる実力があるのは改めてすごい!

停電時に安心感をもたらす、良好な光の質も備わるでかランタン

ここで停電時を想定した使い方を試みた。約8畳の中心にあるテーブルの上に置いて点灯したところ、「明るさ4」はもう60W形相当のLED電球と遜色ないぐらいの明るさが部屋全体に広がる。冒頭に記した「停電時、部屋が暗くてストレスを感じた」という心細さを、でかランタンはかなり解消できるのではないだろうか。

しかも演色性も悪くない。今回比較に使用したLED電球の演色性はRa90と特に高いため、並べればさすがにでかランタンの色の鮮やかさは落ちる印象を受けるが、それでも十分快適な演色性は感じられた。でかランタンで花を照らしてみたところ、花も葉もそれぞれの色は自然な印象に映った。

でかランタンは光が壁面や天井へも広がり、部屋全体が明るく感じられる
60W形相当のLED電球の様子。テーブル面はでかランタンよりも明るい
花も葉も自然な色合いが映えた

また、でかランタンは影の出かたも柔らかい。懐中電灯のように手に持って、対象物を直接照らしても、深い影ができにくいのは良い。比較のために、自宅で使っている2018年に紹介した 強力マルチライト「BF-MK10」もここで用意した。

ハイパワー白色LED1個の「BF-MK10」で対象物を照らすと、拡散する光の範囲が狭いため、周囲は暗く対象物後方にくっきりとした黒く濃い影が浮かぶ。一方、でかランタンは対象物の周囲を明るく照らし、かつ影のでき方は柔らかなので穏やかな雰囲気が保たれる。

1灯の明かりで過ごすであろう非常時の停電の中だからこそ、くっきりとした濃い影が出にくいでかランタンの明かりはより好ましい印象だ。

同社・強力マルチライト「BF-MK10」。ハイパワー白色LEDは1粒タイプ
でかランタンは周囲も明るく、影も柔らか(左)。「BF-MK10」で照らすと、照らされた花の後ろに位置する花は、影に隠れてしまうほど影が濃い

さらに、でかランタンはIPX2の防滴性を備えているため、多少の小雨でも戸外へ持ち出せる。

小雨程度ならハンドルを持って懐中電灯として戸外へ持ち出しもOK

60W形LED電球と遜色ないぐらいパァッと明るく、良好な演色性、柔らかな影、そして防滴性能が備わるでかランタンは、もしもの停電時の暮らしに大いにその威力を発揮し、安心感をもたらすだろう。

インテリアライトとして普段から活用できる

でかランタンは4段階の調光ができるので、非常時のみならず、日常的なインテリアライトとしても活用しやすい。というのも、明るさを調整した使い方ならば、アクセントライトや常夜灯といった使い方が日常的にしやすいほど電池が持つ。

実際に生活空間の利用法を紹介する前に、付属のエボルタNEOを使った各明るさの、連続点灯した際の電池寿命を記しておこう。

「明るさ4」は8時間、「明るさ3」は33時間、「明るさ2」は130時間、「明るさ1」は1,500時間と、明るさを落とす度に電池寿命がグッと伸びる。

明るさを調整する度に電池寿命が飛躍的に伸びる(商品ページより抜粋)

仮に、1日に8時間連続で点灯とした場合、60W形相当のLED電球クラスの明るさに近い「明るさ4」ではさすがに1日しか持たない。だが、「明るさ3」は4日以上、「明るさ2」は16日以上、「明るさ1」にいたっては3カ月を超える187日以上も電池が持つ試算となる。

それでは例を挙げていこう。

1日8時間の連続使用で4日以上持つ結構明るい「明るさ3」は、アウトドアやテラスでBBQを楽しむにはもちろん、時々気分を変えるインテリアライトとして室内でも活用できる。実際に使う時間が2〜3時間程度なら14回は楽しめる。

壁際に置けば壁面からの反射光で光がより柔らかく広がる間接照明として楽しめる。この明るさがあれば、テラスでBBQを楽しむ明かりとしても十分だ

2週間以上電池が持つ「明るさ2」は、映画館気分で部屋を暗くして映画をみる際の明かりとしてちょうどいい補助灯となる。部屋の隅に置いて部屋をぼんやりと照らしておいたり、画面の邪魔にならない手元灯としてリモコン操作時に便利。

部屋をほの暗く保ちたいなら「明るさ2」。視認性も十分取れる
映画視聴中手元にあれば、リモコン操作や飲み物をテーブルに置く際にも何かと便利

「明るさ1」は、就寝中でも部屋を真っ暗にしたくない人には特におすすめの使い方だ。8時間連続して毎日点灯しても3カ月間は電池が持つので、ワンシーズンを通して利用できる。ベッドサイドや廊下に置いておく常夜灯として、現実的な使い方ができる。

就寝時、部屋を真っ暗にしたくないなら「明るさ1」がおすすめ。足元付近に置いておけば、光が目に入らずにほんのりと部屋を照らしておける
夜中に目が覚めてお手洗いに向かう時、廊下で点灯しておけば足元はしっかり見える。目覚めたばかりの目にもやさしい

「明るさ4」の連続点灯は8時間と必ずしも長くはないが、短時間のたまに利用する懐中電灯として最強と言いたい。置いたままでも広範囲に光が届くので、照らしたい付近全体が明るいだけでなく、影が柔らかいので手元から対象物まではっきりと見えて快適。両手が使えるので細かな作業もよく捗る。

先に比較に紹介した強力マルチライト「BF-MK10」で筆者のデスク下を照らした様子。昼間でもデスク下は暗く、1粒タイプのライトなので影がどうしてもキツくなり、ごちゃごちゃ感がより助長されてしまう
でかランタンは全体が明るく影も柔らか。影に惑わされず色も良く判別できるので、細かな配線作業なども快適に捗る

出しっぱなにして普段から利用し、「イザ」に備えるでかランタン

ほのかな明かりから、LED電球クラスの明かりまで、誰もがポポンッ、ポンッと簡単に操作できるでかランタンだが、一般的な懐中電灯やランタンよりも大きく、防災グッズの1つとしてしまい込むとなるとそれなりにかさばる。

だが、出しっぱなしにして、1つの照明器具と考えて日常的に使えば、その大きさは特に気になるものにはならないだろう。調光が簡単にできるシンプルな佇まいの「あかり」として普段から使っていれば、「イザ」という時に慌てずに、60W形相当の明るいあかりをサッと手にできる備えとなるからだ。非常袋には、十分な単一形乾電池を入れておくだけでいいだろう。

価格は必ずしも安いとは言えないが、LED電球並に明るいランタンを持っているのはとても心強い。家族1人につき1台持っていれば、安心感はさらに増すことだろう。イザという時のためにも是非とも備えておきたい「とにかく明るいでかランタン」だ。大いにお勧めしたい。

藤原 大蔵