家電レビュー
シロカのベーカリーで焼いた「高加水パン」は、翌日に食べても美味しかった!
2022年7月14日 08:05
朝食は、パンを食べることが多い。平日は、山崎製パンやフジパンの食パンをスーパーで買って来て、休みの日には妻が近所の店へ行き、焼き立てのパンを買って来る。そんな我が家の夫婦会議で、たびたび買うかどうかの議題に上る家電製品が、ホームベーカリー。レビューする機会をうかがっていたが、シロカから新製品の「おうちベーカリー ベーシック プラス SB-2D151」がリリースされたのを機に、借りてみた。
さっそく届いたベーカリーを箱から取り出してみた。本体は、炊飯器を縦長にしたようなサイズ感。本体のフタを開けると、パンケース、パンケースの底部に設置して小麦粉などをかき混ぜるパン羽根、計量カップなどが入っている。
ベーカリーの記事を読む人であれば、一般的な食パンの素材を知らない人はいないと思うが、筆者は知らなかったので、いちおう記しておく。主要な素材は、強力粉(小麦粉の一種)とドライイースト。それに、たいていのレシピでは水や塩や砂糖を使い、加えてオリーブオイルや卵、スキムミルクなどを使うものもある。
今回は、ベーカリー初心者ということで、まずは一般的な食パン……シロカのメニュー名称で言うと……「食パン」や「プレミアムパン」、「高加水パン」、「超早焼きパン」、それに「米粉パン(グルテンなし)」などを試してみた。
真っ先に作ったのは「超早焼きパン」だったが、これは後述することにする。というのも、「超早焼きパン」は2回試して、思うような味にならなかったため。「やっぱり最初は、ズルせず基本に忠実に、ノーマルな食パンを作ろう」ということになり、約4時間かかる「食パン」を作ってみることにした。
「食パン」の材料は、「水/強力粉/砂糖/塩/スキムミルク/バター/ドライイースト」。レシピにある分量を、左記した通りの順に、パンケースに入れていく。
その後はパンケースを本体にセットして、メニューを「1(食パン)」にして、焼き上がり希望時間を設定し、スタートボタンを押す。筆者宅では7時には家族全員が朝食をとり始めるので、6時40分〜50分頃に焼き上がるようにセットした。
はじめて作るときには、スタートボタンを押しても、本体ディスプレイに「予約」と点滅表示されるだけのため、「え〜と……これでOKなの?」と不安に感じた。だが、宵なのか明け方ころ、「うぃ〜ん……うぃ〜ん……」と、本体の駆動音が寝室に聞こえてきて、「あぁ、がんばってくれているなぁ」と、ひと安心。設定した6時45分頃には、しっかりと焼き上がっていた。
食べてみると、ふわふわで、これぞ焼き立てという食感。もちもちっともしていて、マーガリンやハムなどと一緒に食べると美味しい。
ただし、ここでパンにうるさい妻が一言……「食感は良いけど、味が物足りない」と……。確かに、食パンだけで食べると、味が薄いというか、何かが足りていない感じだ。
考えてみると、自身の好みの味を追求するには、強力粉を変えるなど、材料を吟味する必要がありそうだ。だが、せっかく買った強力粉なので、その強力粉を活用しつつ、好みの味に近づけられないか? ということで、ネットで検索して出てきた“美味しそうなレシピ”に基づいて、焼いてみることにした。
食パンの味を追求するため、材料をチェンジ
他メーカー製もそうだが、シロカのベーカリーを使って、食パンなどを試行錯誤しているユーザーが多い。そうして完成させた“お気に入りレシピ”を、様々なレシピサイトで見つけられる。これは、とてもありがたい。
その中で、筆者が試したのは、「ぜったいに失敗なし!」と記された「ふわふわ食パン」。強力粉や水、砂糖などのほかに、卵を使っている点がポイントのようだ。まずはパンケースに水を入れて、卵をポトンッと落として、箸などでササッとかき混ぜる。あとは強力粉やスキムミルク、オリーブオイル、砂糖などを加えて、最後にドライイーストを入れる。
ワクワクしつつも、パンケースを本体にソォ〜とセットする。ちなみに「1(食パン)」で設定。
なぜソォ〜っとセットするかと言えば、ドライイーストを上に載せた小麦粉の山が崩れないようにするため。
このセットする時に気がつくべきだったのだが、筆者はなぜか1.5斤分の材料を入れているつもりだった(「SB-2D151」が作れるのは、最大1.5斤)。でも実は、レシピに書かれていたのは2斤分だったのだ。朝になって、妻に「パンが大変なことになってるぞぉ〜!」と叩き起こされた。ベーカリーを見に行くと、パンが膨らみ過ぎてフタを押し開けている。ちなみに、こうした事態を想定してなのか、ベーカリー本体のフタには、ロック機構がない。
パンがはみ出してしまっているとはいえ、本体に入っている部分については、問題なく焼けている様子。はみ出した部分は生焼けのような感じだったが、しっかりと焼けている部分については、味もしっかりとあって美味しい。食感も、ふわふわな上にもちもちしている。
家族3人で1.5斤分は、朝だけでは食べ切れないので、朝食で残った分はランチで食べることにした。ベーカリーで作ったパンは、焼き立てじゃないと美味しくないと聞いたことがあるが、今回の食パンについては、半日が経過した後でも、少しふわふわ感が減ったくらいで、もちもち感は変わらず、美味しかった。
このレシピについては、1斤分の材料を使って、活用させてもらっている。
完成から12時間が経過しても美味しい高加水パン
最も美味しかったのは「高加水パン」ということで、家族で一致した。
材料は、水のほかに強力粉と砂糖、塩、ドライイーストとベーシック。1斤が焼き上がるまでの時間は約3時間16分と、それほど時間がかかるわけでもない。
強力粉とドライイーストなどの材料は、あらかじめ混ぜ合わせて、パンケースに入れる。パンケースを本体にセットして、メニューを「5(高加水パン)」にセットしてスタート。
スタートすると、すぐにパン羽根が「ウィン……ウィン……ウィン……」とリズムよく動き始める。しばらく素材を混ぜると、本体からブザーが鳴る。ここでフタを開けて、「粉落とし」という手作業が必要になる。ゴムベラなどで、パンケースの内側に付いた粉などを落とす作業だ。
この「粉落とし」が必要なため、高加水パンは起床の時間に合わせてタイマー設定しておけない。ただし、個人的な感想としては、1斤について言えば、「この作業って、重要なの?」という疑問が湧いた。これまで高加水パンを2回作ったが、いずれもパンケースの内側に付く、小麦粉などは少なかったからだ。もし、この作業を省けば、作りたての高加水パンを、朝食で食べられる。とはいえ、あくまでメーカー推奨では、粉落とし作業が必要だ。
我が家では、朝に食べたかったので、20時頃にスタートし、21時頃に混ぜる作業をし、23時半ころに焼き上がった。一度、様子を見るために引き上げると、「食パン」を作ったときよりも、膨らみが小ぶり。そして、パンの周りはカチカチ気味。本当にフワフワのパンが出来上がっているのか不安になるほどだった。
だが、朝になり十分に冷えたパンを切ってみると……なるほど高加水のパンへと仕上がっていた。食感は、弾力のあるもっちり感、やわらかい。味も美味しく、ジャムやはちみつとの相性も良い。妻は「一番おいしい」と絶賛し、息子は黙々と食べていた。
この高加水パンも、朝食だけでは食べきれなかったので、パンをラップに包んで冷蔵庫で保存して、昼過ぎに改めて食べてみた。
結果、焼き上がってから既に12時間以上が経過している高加水パンは、それほど味が落ちていなかった。冷蔵庫から取り出し、少し温め直すくらいに、オーブンで温めてから食べると、朝に食べたときと同様にもっちりとしていた。カサカサでもなく、しっとり感も残っていた。
まだホームベーカリー初心者の筆者だが、1食だけでは1斤を食べ切れない家庭では、この高加水パンが最もおすすめだ。
うまく作れなかった「超早焼きパン」メニューについて
前項では、一般的な「食パン」と、「高加水パン」を作った時の様子を記した。今回は、それ以外に「超早焼きパン」や「米粉パン」なども試した。
1時間弱でパンができる「超早焼きパン」では、残念ながら筆者は美味しく焼けなかった。美味しいの基準は人それぞれだが、同メニューで作ると「たしかにパンだよね……だけどふわふわ感がいまいちだね」というようなパンになってしまった。もしかすると使った強力粉との相性が合わなかったのかもしれないし、そもそも素材の扱いが雑過ぎたのかもしれない。
この「超早焼きパン」でも、素材を変えたりすれば、美味しく焼き上がるのかもしれない。ただ、美味しく焼くには工夫なのか気遣いなのかが必要のようなので、ホームベーカリーを買ってきて、きっとベーカリーをワクワクしながら使うだろう一番初めに作ってみるパンとしては、おすすめしない。我が家では、家族3人で、少なからずガッカリしてしまった。
「超早焼きパン」と並んで、うまく完成できなかったのが「米粉パン」。ただし、米粉パンについては、完全に筆者の用意した素材が間違っていたことが原因だ。作る直前に気がついたのだが、米粉パンについては、グリコ栄養食品の「こめの香 米粉パン用ミックス粉」で作らなければいけないのだ。そこに気が付かず、近所のスーパーにあった、他社製の米粉を用意してしまった。
「同じ米粉なんだから、なんとかなるでしょ?」と考えたのが甘かった。出来上がった米粉パンは、見るからに膨らみがなく、食べてみると“お餅”や“焼きおにぎり”に近かった。まぁ、パンのつもりで食べたら焼きおにぎり風だったわけで、美味しくなかったわけではない。
色々なレシピで作ると面白い
ホームベーカリーを初めて体験して分かったのは、ベーカリーは、レシピに書かれた材料を揃えれば、誰もが(自分の)お気に入りのパン屋さんで買うような、パンが焼ける……わけではないということ。
思うに、ごはんにも美味しいと感じたり、そうでもないと感じることがあるが、パンに関しては、それ以上に味の好みが分かる。またごはんでも、何々産の“お米”というだけでなく、“こしひかり”や“ゆめぴりか”のような違いが分かる。なぜか筆者は、そのあたりを甘くみていた気がする。ざっくりと“小麦粉(強力粉)”さえあれば、美味しいパンが焼けると思っていたフシがある。でも、小麦粉にも米と同じように、好みの小麦粉と、そうではない小麦粉があるのだろう。
そう考えると、ベーカリーで納得いくパンを焼くためには、“何々産”の小麦粉はもちろん、ブランドなどにもこだわる必要があるはずだ。
そうして、素材にこだわったり、素材の分量を変えてみたりすると、徐々に自分好みのパンに近づけられそうだ。おそらく、科学の実験が得意な人に、適している。トライ&エラーを苦にせずに繰り返せれば、コレだ! というレシピが見つかるだろう。
もしくは筆者のように、レシピサイトなどを参考に、いろんな人が考えて公開しているレシピを試してみるのも面白い。基本は、誰かが成功しているレシピを真似るだけなので、特別な知識は不要。そして明らかな失敗となる可能性が少ない。「ほほぉ……こんなふうになるんだなぁ」と、発見もある。
いずれにしても、自分でパンを作るのは楽しい。「おうちベーカリー ベーシック プラス SB-2D151」を借り始めて1カ月になる今、全く料理をしない筆者は、既に3日連続で食パンを作っている。5分〜10分で準備できるようになり、同機が我が家に届いた直後よりも、使う頻度が高まっているのだ。
ホームベーカリーは、誰にでもおすすめできるものではないが、ハマる人は、ドハマりする家電製品と言えるだろう。