老師オグチの家電カンフー

小麦がピンチっぽいので、米粉で「ごはんですよ」パンを作ってみた

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
レコルト「コンパクトベーカリー RBK-1」。その名の通りコンパクトで静音性も高い。蓄熱性の高い厚釜パンケースを採用している

新しいホームベーカリーがおうちに来たので、しばらくパンを作りまくってました。高級食パンブームにもほとんど関心がなかったものの、やはり自宅で焼きたてのパンが食べられるのは楽しいですね。しかし、実は私、小麦アレルギーなんですよ。

子供の頃からサンドイッチを食べると毎回お腹を壊してきました。同じ小麦原料でも、パスタやそうめんは平気、ラーメンは半々、パンもフランスパンのような硬いタイプなら平気なんですが、白い食パンはダメ。差がある理由はよくわかりません。

というわけで、「小麦がダメなら、米粉でパンを作ればいいじゃないの」と、米粉パンを焼くことにしました。ウクライナ情勢により世界的に小麦の供給が悪化し、小麦粉の値上げが予想されるタイミングでもあります。グルテンフリーの人以外も参考にしていただければ幸いです。

ベーコンエッグとか最高に美味いんですけど、個人的に小麦との相性が悪いようで……

小麦粉が値上がりしているとは言え、米粉の単価は高いです。小麦粉(薄力粉)が1kg200円〜400円で買えるのに対して、米粉は1kg500円から1,000円と、約2倍はします。しかも、パン用の米粉は、なかなか売っていません。とりあえず、近所のスーパーで見つけた米粉を使ってみることにしました。同じ米なんだからそうは変わらないだろうと。

結果として、食パンが半分ぐらいの大きさにしかなりませんでした。発酵が上手くいかなかったのか? 調べてみると、米粉によって吸水率が違うようで、それが原因のようです(最初のかくはんで水を吸いまくって、紙粘土ぐらいの硬さになってしまっていました)。

スーパーで見かけた米粉を使用
付属レシピブックの「米粉食パン」のレシピ(米粉250g、水200ml、米油12g、砂糖15g、塩4g、ドライイースト3g)に合わせて作ってみました
平べったい食パンに。食べられないことはないが、密度がスゴイ

改めて、レシピブックで推奨されているパン用米粉「ミズホチカラ」を購入(こういうときはAmazonが便利)、再チャレンジしました。

今度はちゃんと膨らんで、焼けました。味は、普通にパン。香りもパン。言われなければ小麦のパンとの差に気がつかないかもしれません。意識を向ければ、蒸しパンのようなしっとり感があります。

そして、米だけにパンよりも腹持ちがいい。食べた後に、なかなか空腹感を覚えません。「パンは腹持ち悪くて昼まで持たねーよ」という若者にもおすすめです、米粉パン。

パン用米粉、熊本精粉「ミズホチカラ」(2kg1,920円)。同じミズホチカラでもパン用と製菓用があるようです
無事に米粉食パンが完成。内釜に当たっていないところは白く、パリパリしている

これはもう性分なんで仕方ないんですが、普通にレシピ通りの米粉パンを作っただけじゃ面白くないです。より米らしいパンとは、と考えて出た思いつきが、桃屋の海苔佃煮「ごはんですよ」を混ぜることでした。

レシピにあった食塩(4g)を最初に加えず、「具入れ」のタイミングで、「ごはんですよ」と「きざみ海苔」を投入します。

「具入れブザー」が鳴ったタイミングで「ごはんですよ」をスプーンで2杯ほど投入!
さらにきざみ海苔も追加

ネタ感が強めですが、味はそれほど違和感はないですね。和風の総菜パンが世の中には多数存在しているわけですし、「ごはんですよ」というよりは「パンですよ」。パンとは、ごはんとは、若干のゲシュタルト崩壊が起きました。

普通に作るよりもきつね色が濃くなった
ツナマヨが合います!
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>