家電レビュー

薬剤不要の捕虫器を使ったら、虫がスルッと捕まえられた!

自動蚊取り器「CREMAX CL001Pro」

煙がたちこめる蚊取り線香や、薬剤を使う電子蚊取り器などの使用に、抵抗を感じる人は少なくないはず。まず蚊取り線香の場合は、取り扱いに注意が必要なので、小さな子供がいる家庭では置く場所に困り使いづらい。また蚊取り線香も電子蚊取り器も、消耗品である線香や薬剤を補充するのが面倒という人も多いだろう。

そんなニーズに応えるように、昨今では線香も薬剤も使わずに、光とファンで虫をとらえるコンパクトな捕虫器が、続々とリリースされている。

そこで今回はSUNVALLEY JAPAN(サンバレージャパン)の自動蚊取り器「CREMAX CL001Pro」を使ってみた。店頭予想価格は3,999円前後。

すっきりとしたデザインの自動蚊取り器

同機は、2,000円前後から3,000円前後で購入できる同種の捕虫器と、構造は大きく変わらない。蚊や虫が好むという365nmと395nmのUVライトを、本体の上部に搭載し、暗い部屋のなかで電源をオンにすると、青白い光が点灯する。

そのLEDライトの光や熱に誘われるように蚊などが近づくと、内蔵ファンが起こす空気の流れによって、虫が本体に引き込まれて、出られなくなってしまうという仕組みだ。

本体内の構造(イメージ)

なおUVライトは波長が365nmと395nmということなので、光を長時間直視しなければ、人体に深刻なダメージはないだろう。だが、はじめは子供が興味津々で至近から光を見つめていたので、近くから光を見つめないよう注意した。

またバッテリーを内蔵していないので、常に電源を供給する必要がある。同機には電源供給用のUSB Type-Cポートが配置されているので、アダプター(別売)経由でACコンセントから給電するか、モバイルバッテリー(別売)をつなげて使うこともできる。

波長365nmと395nmのUVライトを搭載する
USB Type-Cの給電用端子を備える
操作はタッチ式ボタンで行なう。電源のオン/オフと風量を2段階で調節できる

蚊は取れなかったが、ほかの虫はすぐに吸引された

本機が手元に届いてから、なかなか虫が宅内に入って来ないため、機会を待っていた。すると、昼間に一匹の蚊よりも大きな虫が寝室に侵入。大の虫嫌いである妻が気づいて騒然となった。

「本当にとれるの?」といった目つきで不審げに見つめる妻を無視して、満を持して本機を寝室に持っていった。まずはカーテンを閉めて照明を消す。周囲を暗くした方が、UV光が際立ち、虫が近づきやすいだろうと考えたからだ。ドアも閉めて、部屋から出た。

仕掛けていたことを思い出した2時間ほど経った頃、部屋に戻ってみると、虫の気配がしなくなっていた。本機下部のボタンを押して、カバーになっている底部をパカッと開けた。すると羽根などが粉々になっている虫が入っていた。

本体底部のカバーを開ける際は、側面のボタンを押す
カバーを開いた状態。開ける際は、虫の死骸が落ちることを想定し、ゴミ箱の上などで開いた方がよい(写真は死骸を処理済み)

どれくらいの時間で虫が本機に吸い込まれたのか分からないが、たしかに虫をとらえる効果が認められた。

次に、虫が入っていく現場を見たいと思った。だが部屋で待っていては、いつになるか分からない。そこで自然の豊かな場所へ行ったときに、使ってみることにした。その家では、ベランダのある大きな窓の網戸に、夜になると何十匹もの虫が、家に入りたそうに貼り付いている。

夜になって、そのベランダの端に、モバイルバッテリーとつなげた本機を置いてみた。すると数分後には体長約1cmほどの虫が、本機上部の光を目指して飛んでいき、そのままスルっと吸い込まれていった。しばらくすると「カラカラカラッ……カラカラッ」と、虫がファンに当たっているような音がする。本機内で何が起こっているかを想像すると、あまり心地よい音とは言えない。しばらくすると音が聞こえなくなった。

さっそく、前述と同様に底面をパカッと開けてみると、やはり粉々になった虫が入っていた。

暗いなかで使うと、UVライトの光が浮かび上がる

虫取り効果は確実に期待できる

残念ながら使いはじめてから蚊が自宅に侵入してきていない。屋外での実験を続けていれば、蚊も一匹くらいは捕まえられそうだったが、そのために蚊以外の虫を、むやみに捕まえるのも気が引ける。

ちなみに、以前、シャープの「蚊取空清 FU-JK50」を取材したことがあった。同社によれば、蚊は黒色を好むという。さらに350nmのUVライトを内蔵している(直視できないよう、外からは見えづらい位置に設置)。

シャープ「蚊取空清 FU-JK50」のUVライト。直接目に触れないよう、本体内に設置されている

今回使った自動蚊取り器「CREMAX CL001Pro」も、ほぼ同じ波長の365nmと395nmのライトを搭載している。本体カラーはホワイトだが、吸い込み口が黒いのは、蚊が好む色だからかもしれない。そうであれば虫だけでなく、蚊にも有効なのではないかと期待できる。

ただ、メンテナンス面では心配もある。前述の通り、カバーのような底部を開くことはできるので、本体内の半分くらいは拭くことができる。だが、それ以上分解してファンを拭くことはできない。蚊やコバエなどは問題が少ないだろうが、間違って大きく体液の多い虫を多く捕まえたときは、内部がそうとう汚れることが予想される。そうしたときに清潔性を保つのは難しいだろう。

ということで、本機の利用は、主に宅内に侵入してきた蚊やコバエなどの虫を、とらえる目的に限定したほうが良さそうだ。大量の虫がいる、屋外での利用はおすすめしない。

底部カバーを開いて内部を見たところ。本機内部で拭けるのは、ここだけ。直接ファンに触れられない、安全設計となっている

まだまだ蚊の多い季節は終わらない。モバイルバッテリーからも給電できる同種の捕虫器は、自宅内の利用に限らず、テント泊やコテージ泊の際に持っていき、テント内やコテージ内で使うのにも良いだろう。徒歩の登山などには大きすぎるが、車などで持ち運ぶのには小型軽量だと言える。火元を心配せずに使えて、蚊に限らず、虫全般を捕まえてくれるので、夜は安眠できるはずだ。

本機を手で持ったところ。小型軽量なので、キャンプなどにも持っていけそう
河原塚 英信