家電レビュー

電動歯ブラシの最上位機は何が違う? オーラルBとソニッケアーを使って分かったこと

左から「ソニッケアー 9900 プレステージ」、「オーラルB iO9」

筆者は、小学生のころから15年ほど電動歯ブラシを使い続けている。電動歯ブラシの魅力は、磨き終わった後に歯がツルツルになること。フィリップス「ソニッケアー」の新作が出るたびに買い替えており、洗浄力が高まっているのを実感している。

最近の電動歯ブラシは、ブラッシング動作の向上に加え、スマートフォンとの連携機能の搭載もよく見られる。今回は、フィリップス「ソニッケアー」とブラウン「オーラルB」の最上位機種を両方使った感想をお伝えしていく。どちらも、スマホアプリを使って歯磨きの状況を確認できるのが便利だ。

リニア技術の磨き心地の「オーラルB」とセンシングAI搭載の「ソニッケアー」

まず、それぞれの電動歯ブラシを紹介する。2020年10月に発売したブラウン「オーラルB iO9」は、リニアモーターカーと同じ磁気駆動システムや、1本1本振動するヘッドが特徴だ。フィリップスの新製品「ソニッケアー 9900 プレステージ」は2021年6月発売。フィリップスのドライヤーなどに採用されているAI技術「SenseIQ」を新搭載し、ブラッシングをセンシングする。

発売時期や特徴、店頭予想価格(いずれもオープンプライス)は以下の通り。

ブラウン「オーラルB iO9」

リニアモーターカーの技術を応用してブラシを強力駆動&精密コントロール。43,780円(2020年10月発売)

オーラルB「オーラルB iO9」
フィリップス「ソニッケアー 9900 プレステージ」

ブラッシング圧を検知してその人に合った磨く強さに設定。45,500円(2021年6月発売)

フィリップス「ソニッケアー 9900 プレステージ」

両製品を「磨き心地」「スマホとの連携」「デザイン」の3点で評価していく。両製品とも、旗艦機種ながらの磨き心地に驚いた。

1.洗浄力や磨き心地は?

オーラルBとソニッケアーは、ブラシの動き方に大きな違いがある。オーラルBは丸形のブラシが高速で回転するのに対し、ソニッケアーは音波振動で歯を洗浄する。どちらも、手磨きと比較して歯垢除去力は倍以上という。

まずオーラルBのiO9について、筆者はオーラルB製品を初めて使用したが、ブラッシングの振動がソニッケアーに比べて強力という印象だった。駆動システム「リニアマグネティックシステム」の採用にあわせて、オーラルB特有の丸形ブラシも進化。駆動システムによる振動でブラシも振動する「遠心マイクロモーション」を生み出しているという。

力強いブラッシング後の歯は、かなりツルツルしていると感じた。強いブラッシング力というと少し心配になるのは歯ぐきや歯への影響。だが、本体にはLEDのリングライトを備え、ブラッシングが弱い、もしくは強いと色が変わって通知してくれる。圧が「弱すぎ/適切/強すぎ」のどの状態かを常にLEDで表示しているので、強すぎるときは押し当てる圧を弱めたりと自分で調整できた。

丸形ブラシが回転する
歯磨きの圧に合わせてリングライトが光る。左は適切なとき(緑)、右は強すぎるとき(赤)

ソニッケアーの9900で磨いたところ、振動はこれまでのソニッケアーシリーズと大きな違いはないような感覚だ。それもそのはずで、振動自体は9900登場以前の最上位機種「9000」と同等という。しかし、従来機種では手磨きに比べ10倍だった歯垢除去力が9900では20倍に向上している。

これを実現したのは新型のブラシヘッド。従来のブラシは直角に生えていたが、新たな「プレミアムオールインワンブラシヘッド」では真ん中の毛が斜めに生えている。また、肉眼ではわからなかったが、毛の断面が三角形になっている。従来のヘッドとは大きく形が異なるブラシヘッドにより、洗浄力を向上させたようだ。磨いた後は、従来のソニッケアー製品よりも歯がツルツルになった。

奥が従来のブラシのひとつ(プレミアムクリーン)、手前がプレミアムオールインワン

ブラッシング圧については、Sense IQにより、ブラシの押し付けすぎを感知した際に1段階、自動で圧を弱める機能が備わった。ブラッシング圧が下がると本体のLEDリングライトで知らせてくれるのだが、故意に強く押し当てない限りはあまり反応しなかった。より長期間使えば、より自分の磨き方にあわせてブラッシング圧を弱める機能が働きそうだ。

歯磨き後のスッキリ感は両製品ともよく、どちらを選ぶかは好みの問題のように思う。もし、ソニッケアーの従来製品を持っている人で、洗浄力を高めたい人はオールインワンヘッドブラシのみ購入するのも良いだろう。ソニッケアーは子供向けモデルなど一部製品を除いて、すべての電動歯ブラシでブラシヘッドを共有できるためだ。

左から動かしすぎたとき(オレンジ)、押し付けすぎたとき(パープル)
従来機種にプレミアムオールインワンブラシヘッドを取り付けるのもよいだろう(本体は2018年頃に購入したフレックスケア― プラチナ)

2.スマホ連携で何ができる?

iO9も9900も、専用スマホアプリとの連携機能を備える。ブラシヘッドが磨いている位置を把握し、スマホ上にリアルタイムで自分がどこを磨いているかが示される。一定時間磨いた場所は表示が変化するので、磨き残しがないかを確認できるのが便利だ。

磨いている位置は、どちらの製品も上下それぞれ正面と左右にエリアを分割して表示する。異なるのは、9900では歯の表裏を認識するのに対し、iO9では歯を表裏に加えてかみ合わせ面も認識する点だ。さらに、iO9ではどこから磨き始めてもブラシの位置を認識する。センシングについては、磨いている場所とアプリでの位置表示はおおむね一致しており満足だ。

また、オーラルBのアプリで気に入っている点は、目的に合わせた歯磨きプログラムを組めること。「フレッシュ・ブレス」「歯垢との戦い」「ホワイトニング」「歯ぐきケア」「矯正歯ケア」の5種類のプログラムを、期間とともに設定可能だ。朝晩の歯磨きそれぞれについて、歯磨きモードや、舌磨き/デンタルフロス/デンタルリンスの有無を指示してくれる。5日から数週間の期間に集中してケアができるので、口腔ケアのモチベーションが上がった。

ソニッケアーの歯磨き画面(左)。下の左奥歯の外側を磨いているところ。歯磨き中に停止すると最大15秒間待機画面になる(右)
オーラルBの歯磨き画面(左)。上の左奥歯のかみ合わせを磨いているところで、歯磨きすると点線の部分が消えていく。歯磨き停止時の待機時間は最大30秒(右)

ソニッケアー9900は磨き残しの検知をするためには、アプリで磨き始めの位置を設定し、設定した順番通りに磨いていく必要がある。そのため、設定した位置以外から磨き始めてしまうと、センシングはしっかりと反応しなかった。筆者は歯を磨くときに気になったエリアから磨くクセがあるので、磨き始めの位置を設定するのがやや面倒に感じることもあった。

スマホ連携機能だが、スマホを毎度洗面所に持っていきアプリを開くのを億劫に思う人もいるかもしれない。実際、筆者もスマホアプリを使って歯磨きするのは2日に1度ほど。どちらの製品もスマホアプリを立ち上げなければ磨き残し検知の歯磨き記録を残せないが、スマホアプリを開いていなくても、歯磨きをした時間のログは残せる。

3.本体や持ち運びケースのデザインは?

本体デザインで筆者が重視するのは、「つなぎ目や穴が少ないこと」。というのも、長年電動歯ブラシを使っている中で気になっていたのが、汚れやすさ。歯磨きをしたあとにブラシをきれいに水洗いしたと思っていても、意外と汚れが落ちていなかったことが何度もある。歯磨き粉などがつなぎ目や穴などに溜まって汚れとなってしまうのだ。

今回、両製品とも本体のハンドル部はシームレスなデザインで、汚れが溜まりにくかった。どちらの製品もボタン部と本体に隙間がなく、全体的にツルっとしていて手入れをしやすい。特に、ソニッケアーは本体にほとんど継ぎ目がなく、きれいな状態を保てている。

違いがあるのは、ブラシ部の形状。9900のブラシは継ぎ目が少ないデザインだが、iO9のブラウンならではのヘッドは振動を伝えやすい一方で、穴が開いている。この穴が汚れやすいのが少々引っかかる点だ。

オーラルBのブラシ。穴が表に1つ、裏に2つあり、ここに汚れが溜まりやすい

また、操作部周辺の使い心地については、オーラルBは歯磨き時間や歯磨きモードを知らせてくれるディスプレイ付きで、アプリを使用していなくても使いやすかった。30秒ごとにビープ音も鳴るが、歯磨き中は常にブラッシング時間が表示される。また、「ホワイトニング」や「センシティブ」といった歯磨きモードのうち、どのモードを使っているのかを確認できる。筆者は専用アプリを使わないことも多かったため、ディスプレイでモード設定や時間を確認できることが重宝した。

ソニッケアーは電源ボタンとタッチ式の強弱切替ボタンのみで、シンプルなつくり。歯磨きモードはブラッシング前に事前にアプリで設定しておく仕組みで、ブラッシングが強い/弱いと感じたら強弱切替ライトの辺りをタッチして強弱を設定できる。歯磨き時間の目安については、20秒ごとのビープ音で知らせてくれる。また、モードに応じた歯磨き時間(2分~3分20秒)が経過すると自動で停止するため、ブラッシングしすぎてしまうことはない。

オーラルBでは歯磨き時間がディスプレイに表示される
オーラルBのディスプレイでは、歯磨きの評価を顔文字で表示。写真の場合、歯磨き時間が2分以下なので嬉しくなさそうな顔に

本体以外のデザインで着目したのは、ソニッケアーのトラベルケース。従来のケースよりも一回り小さく、ペンケースのようなデザインとサイズだ。これまでのトラベルケースはサイズも大きく、名前の通り長期間の旅行でないと持ち運びたいとは思えなかった。しかし、新たなトラベルケースであれば、日ごろの出勤や1日のショートトリップでも持ち運びたい。ちなみに、これまで最上位機種だった「9000」は充電コードをケースに収納できたが、9900はコードをケースに収納できなくなっている。

また、ソニッケアーとオーラルBの両製品とも、トラベルケースには本体の充電機能が採用されている。数泊の旅行なら、充電コードを持ち歩かなくとも使用できる。

上がオーラルBのケース、下がソニッケアーのケース
ソニッケアーのケースとペンケースを比較。ペンケースと同じくらいのサイズで持ち運びやすい

電動歯ブラシ初心者に嬉しいソニッケアー、スマホ連携が楽しいオーラルB

どちらの製品も、最上位機種らしく、洗浄力もスマホ連携も満足する点があった。どちらを買うか悩んだときには、「回転ブラシと音波振動のどちらで磨きたいか」で選ぶのはもちろん、「初めて電動歯ブラシを買う人にはソニッケアー 9900、アプリ連携を重視する人にはオーラルB iO9」という選び方もいいだろう。

電動歯ブラシを初めて使う人で、電動歯ブラシの動かし方に慣れていない人はソニッケアーがおすすめだ。手磨きの歯ブラシとは異なり、電動歯ブラシは数秒間動かさずに歯に当てて使う。ソニッケアーのSenseIQテクノロジーによるブラッシング圧の検知は、ブラシを動かしてしまう、また強く押し付け過ぎて歯や歯ぐきを傷つけてしまわないか心配な人にピッタリの機能だ。

一方で、電動歯ブラシを日ごろ使っている人にとっては、動かしすぎや押し付けすぎの検知はなくても困らないかもしれない。筆者の場合、意図的に押し当てたりしない限りどちらの機能も発動することがなかった。

スマホでのより細かな磨き残し検知や、フロスなどを併用した歯磨きプログラムを体験したい人には、オーラルBをすすめたい。筆者はアプリを使ったことで「上の奥歯の外側がうまく磨けていない」といった自身の歯磨きの弱点を知ることができた。また、歯磨きプログラムを使って目的に応じたブラッシングをできたので、これからもこの機能を使い続けたいと思えた。

【訂正】初出時に、記事内で「超音波振動」と記述していた箇所がありましたが、正しくは「音波振動」でした。お詫びして訂正いたします(13時22分)

大塚 愛理