家電製品レビュー
ノンフライ唐揚げもカリッと! 4万円を切るシャープのオーブンレンジで、あと1品が手軽に
2021年6月15日 08:00
おうちごはんの機会が増えた昨今、調理家電を買い替える人が増えているだろう。中でもおうち料理を楽しむときに見直す家電の一つがオーブンレンジだ。料理や食材の温め、解凍、そして調理まで、多彩に活躍できる。とはいえ高価なモデルの購入はハードルが高い。そこで今回は5万円以下で購入できるオーブンレンジの中から、シャープの過熱水蒸気オーブンレンジ「RE-WF261」をセレクト。実際に使って性能や使い勝手をチェックしてみた。
手軽にスチーム調理ができるスチームカップが付属
シャープのオーブンレンジというと、看板商品でもあるウォーターオーブンの「ヘルシオ」シリーズが代表的だ。「RE-WF261」はヘルシオとは異なる「PLAINLY」シリーズの製品。「ここちよく暮らすための家電」というコンセプトで、少人数世帯向けにシンプルさと使いやすさが重視されている。
まずはRE-WF261の基本スペックをチェックしてみよう。まず、庫内容量だが、少人数世帯向けとはいいながらも26Lと大きく、2段調理にも対応している。本体サイズは487×450×367mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約18kg。左右、後ろをピッタリと壁につけて設置することができる。ボディカラーはブラックとホワイト。今回はホワイトを使用した。
基本機能として搭載しているのは、レンジ/過熱水蒸気/オーブン/グリル機能の4つ。これらを食材やメニューに合わせて使い分ける仕組みだ。レンジ出力は1,000W(最大3分)/600W/500W/200W相当を用意。オーブン調理では110~250℃に設定できる他、30℃/35℃/40℃/45℃の発酵ができる。
ヘルシオシリーズと大きく異なるのが過熱水蒸気調理にスチームカップ式を採用していることだ。ノンフライ唐揚げなどを作るときは、付属のスチームカップに水を入れて、スチームを発生させたあと、食材を入れて調理を行なう。これは、内蔵する大容量の水タンクから自動的にスチームが生成されるヘルシオとは違うところだ。
ほとんどの操作がダイヤル一つでできるシンプルさ
操作ボタンやダイヤルは本体下部に横並びに配置されている。左からレンジ、熱風オーブン、グリルボタンが並び、液晶ディスプレイを挟んで、冷凍食品ボタン、らくチン1品ボタン、メニューダイヤル・あたためスタート/決定、とりけしボタンの順に並ぶ。
レンジボタンを押すとディスプレイにレンジ出力が表示される。出力値は600Wから500W、200W、1,000Wの順で切り替わる。出力を決めたらダイヤルを回してタイマーをセット。あたためスタート/決定ボタンを押して、レンジ加熱をスタートできる。
レンジ以外のボタンはほとんど使わなくても、色々な調理ができた。大半のメニューはダイヤルを回してメニューを選び、調理または温めを行なえる。
通常のレンジ温めは、出力やタイマーをセットする必要もない。食材を庫内に置いたら、あたためスタート/決定ボタンを押すだけでいい。「らくチン! センサー(絶対湿度センサー)」が食材の温まり具合を検知して、最適な状態に温めてくれるという。
【訂正】初出時、「温度センサーが食材の状態を検知して最適な状態に温めてくれる」としていましたが、正しくは温度センサーは使用せず「らくチン! センサー」を使用しています。お詫びして訂正します(6月16日)
実際に冷凍ご飯を温めてみたが、冷たい部分もなく、美味しく温められた。また、温めている最中にダイヤルで仕上がりの状態を調整することもできる。
RE-WF261でちょっと面白いなと思ったのが、「冷凍食品あたため」、「お弁当あたため」メニューを搭載していることだ。フライあたためなどは他のオーブンレンジでも搭載されていることが多いが、この2つのメニューはちょっと珍しい。
「冷凍食品あたため」は1人分の冷凍パスタや冷凍お弁当などを温める機能。パッケージに記載されている時間を設定することなく、「冷凍食品」ボタンを押すだけでいい。自動でしっかりと温められた。
シャープによると、「冷凍食品あたため」、「お弁当あたため」機能では、食品から発生する蒸気量をチェックする、「らくチン! センサー(絶対湿度センサー)」を使用している。それぞれのモードで検知する蒸気の量が設定されており、最適に温められるようにコントロールしているそうだ。
【訂正】初出時に「温度センサー」を使用している旨の記述をしていましたが、誤りのため削除しました。お詫びして訂正します(6月16日)
実際に使っていて好印象だったのが解凍機能だ。RE-WF261の解凍機能には「全解凍」と「サックリ解凍」があり、それぞれ100~500gまでの内容量を100g単位で指定する仕組みとなっている。
この解凍の精度が非常に高かった。約400gの豚ひき肉を事前に冷凍し、シャープの「ヘルシオ AX-XA10」の自動解凍機能と比べて見たところ、RE-WF261のほうがしっかりと解凍できていた。ヘルシオは質量を自動検知するのに対して、RE-WF261は質量を入力する必要があることから、ちょうどよく解凍できたのではないか。食材の解凍やあたためなど、基本となるレンジ機能には満足できた。
「らくチン1品」メニューが使いやすい
RE-WF261の魅力的なポイントの一つが、ヘルシオシリーズなどにも搭載されている「らくチン1品」メニューを備えていることだ。「らくチン1品」は「らくチン! (絶対湿度)センサー」を利用して食材を自動調理する機能。煮物やちょっとした副菜をレンジ調理だけで作ることができる。
付属のレシピブックには「らくチン! 煮物」のレシピが4品、「らくチン! ベジ」のレシピが5品掲載されており、さらに食材を置き換えて調理できる。
さらに食材の量が自在なのも便利だ。レシピブックには2人分のレシピが載っており、倍量や半分にすることで、1~4人分まで調理できる。
また、「らくチン1品」以外に、電子レンジ機能を使って短時間で調理できる機能として「3分どんぶり」と「5分おかず」機能も搭載する。これらも日常使いできるメニューが揃っている。
RE-WF261を使っている間、これらの機能は本当に重宝した。耐熱ボウルに食材を入れて味付けをすればあとはほったらかしで一品でき、その間に他のメニューを作れるというわけだ。ヘルシオのような、カレーやパスタ、中華などには対応しないが、ちょっとした副菜がほったらかしで作れるのは便利だった。
スチームカップ式でもしっかり過熱水蒸気調理ができた
そして、今回試してみて一番驚かされたのが過熱水蒸気を使った調理だ。過熱水蒸気でパワフルに食材を焼けるヘルシオシリーズなどとは異なり、RE-WF261はスチームカップ式であくまで簡易的なもの。使ってみるまでは本格的な調理はできないのではないか、と考えていた。ところがその考えは覆された。RE-WF261で調理したノンフライ唐揚げは、カリッと仕上がったのだ。
手順もシンプルだ。一口大にカットした鶏もも肉に唐揚げ粉をまぶして、クッキングシートを敷いた角皿の上に並べる。鶏肉を入れる前にスチームを発生させるため、付属のスチームカップに水を入れて庫内にセット。自動メニューの31番「スチーム予湿」を選んで庫内にスチームを発生させ、アラームが鳴ったら急いで食材をセットする。一手間はかかるが、ノンフライ唐揚げがこの出来上がりなら、料理にはなんの文句もない。日常的にノンフライ唐揚げを楽しめそうだ。
このほか焼き豚やハンバーグなどの焼き物メニューも、スチーム予湿を利用した過熱水蒸気とヒーター加熱の組み合わせで調理できる。
さらに、少人数向けのシンプルモデルながら、2段トレイを使った「3品献立セット」が調理できるのもポイントだ。今回は主菜に「手羽先の香り焼き」を、副菜にパプリカサラダ、ポテトチーズ焼きを作ってみた。付属のレシピブックには主菜が5品、副菜10品が掲載されているのでそれらを組み合わせるだけでもさまざまなバリエーションが楽しめる。もちろん加熱できる範囲内なら、アレンジもできる。
このほか、熱風コンベクション機能を使ったシンプルな焼き物や蒸し調理などもできる。
3万円台とは思えない多機能とデザイン性の高さに惹かれる
2カ月ほど、RE-WF261をじっくりと使ってみた。そこで見えてきたのはポテンシャルの高さだ。過熱水蒸気オーブンレンジにおいて、最も使用頻度が高いレンジ機能の基本性能がしっかりしている上、プラスアルファとしてさまざまな自動調理機能を搭載している。
もちろん、スペックの数字だけ見れば、各社のフラッグシップモデルと比べて劣るところはある。同じシャープのヘルシオと比べても、自動調理メニューの数が少なく、オーブンの最高温度も低い。ヘルシオは過熱水蒸気のみで食材を加熱調理できるが、RE-WF261はスチーム予湿した後は熱風コンベクションによる加熱調理となる。
加熱方式は異なるが、結果として完成した料理はどれも美味しかった。オーブン加熱だけで調理する料理と異なり、表面が乾燥しすぎたり、焦げすぎたりすることも少なかった。
オーブンレンジを使ってガッツリ、本格的に料理を楽しみたいという人には物足りないかもしれないが、日常の料理を手軽で短時間に作りたいといったニーズにはしっかりと応えてくれる。少人数世帯向けとはいいながらも、26Lと大きいので、多くの家庭におすすめできる、必要十分な機能を備えた過熱水蒸気オーブンレンジだといえる。