家電製品レビュー
風の当たりが優しく気持ちいい!! ダイソンの空気清浄ファンが家にやってきた
2021年6月14日 07:00
おしゃれな人たちを中心に人気の、ダイソンの「羽根のない扇風機」シリーズ(通称)。おしゃれとは無縁の筆者も、2015年に発表された「Dyson Pure Hot+Cool 空気清浄機能付ファンヒーター」を、寝室用として使っている。
同社の「羽根のない扇風機」は、大きく2サイズが展開されている。筆者が使用中のモデルは小さいモデル。そこで今回は、新たに発売された“大きい方”のモデル「Dyson Purifier Cool 空気清浄ファン TP07」を使ってみることにした。もちろん、同シリーズの特徴である、空気清浄機を搭載している。
我が家にダイソン扇風機がやってきた
宅急便で部屋に送られてきて、まずその大きさに驚いた。梱包されていることもあり、大きい!
6歳になる身長120cmほどの息子は、部屋に立てた箱と取っ組み合いを始めそうな勢いで、「すごいねこれぇ」と、はしゃいでいた。一方の同機の高さは105cm。
箱から出しても、我が家には大き過ぎる気がする。気がするというのは、存在感が大きいのだ。テレビなどが置いてある6畳間に置いてみたのだが、部屋に入るたびに、ドンッと存在している雰囲気だ。
とはいえ、接地面積はこれまで使用してきた「小さい」モデルと、ほとんど変わらない。変わるのは、本体径ではなく高さのみなので、慣れれば印象は変わってくるだろう。実際、当初騒いでいた我が家でも、数日後には、誰も何も言わなくなった。
さっそく、電源を入れてリモコンの操作をする。付属リモコンは、手のひらにすっぽりと収まる小さなもの。本体同様にデザインを意識した作りで、すっきりしている。電源オン/オフ、風量調整、首振モードの調節、AUTOモード、送風方向(風の吹き出し口を前後で切り替えられるボタン)、ナイトモード(スリープタイマー)がコンパクトに収められている。さらに「i」と記された「情報メニュー」ボタンを押すと、本体ディスプレイに、現在の室内の空気質が表示される。
心地よい風に当たれる
一般的な扇風機と比較すると、同社の扇風機は全く異なる。一般的な扇風機は、点のような風だが、ダイソンの扇風機は面で送られてくるイメージだ。
例えば風呂上がりに、素っ裸のままで扇風機の前に立つと、その違いがよく分かる。一般的な扇風機では、羽根の直線上に風が集中する。胸のあたりに向ければ、胸を中心に風が当たる。
ダイソンの扇風機の場合は、風の面が広い。今回の大きいサイズでは、2mの至近距離に立っても、スネから首くらいまで風を受けられる。風呂上がりに1台あると、非常に効率よく身体を乾燥できるのだ(身体に良いことかどうかは不明)。
これは、送風口の形状が異なるから当然だろう。だが、扇風機としては最大の利点だと思う。風が気持ち良いし、風に当たって疲れる、という感覚が軽減されるからだ。
運転音については、既存モデル比で最大20%低減されたという。同じサイズでの比較対象がないため、その点を検証することはできない。ただ、初代モデルに比べると、かなり低減されているのは確かだろう。初代は、小さいモデルでも、明らかに運転音の大きさが気になったからだ。
だが、今回のモデルは風量を「5(最大「10」)」にしても、音が気にならない。
それ以上大きくすれば、一般的な扇風機同様に「気にならない?」と聞かれれば、「気になります」と言わざるを得ない。
そもそも同社の扇風機は、構造が違う。一般的な扇風機と異なり、本体下部に内蔵されている羽根が回転し、風が上部の円形パーツへと送られる。その円形パーツから風が出ていく時に、開口部などと擦れて音が出るようだ。
その結果、一般的な扇風機とは異なる音が発生する。
妻も、同シリーズの音が気になると言うが、おそらく、音の質の違いではないかと思う。感覚や印象だけで言えば、一般的な扇風機と運転音は変わらないが、より高い音……高音域の音が多いような気がする。そのため、気になる人は気になるのではないだろうか。
空気清浄機能
同シリーズの特徴である空気清浄機能。購入時には本体下部のカバーを外し、同梱のフィルターを取り付ける。あとは扇風機として使うだけで良い。PM0.1レベルの微細な粒子を99.95%閉じ込め、花粉やハウスダスト、ウイルスを捕らえるという。
8畳の空間で、22分ほどで清浄するそうなので、別途に空気清浄機を設置する必要がないのは嬉しい。
空気清浄機能の効き具合を、我が家で実感する機会がなかった。だが、本機を無線LANに接続し、スマートフォン用の「Dyson Link」アプリを開くと、使用している自室の環境の程度が把握できる。
具体的には、温度や湿度のほか、空気質/PM2.5/PM10/VOC/NO2の状況が、グラフで表示される。
アプリで観ると分かりやすいが、本体でも確認可能だ。リモコンボタンの「i(情報メニュー)」ボタンを押すと、各項目の状況が本体のLCDディスプレイにイラストなどで分かりやすく表示される。項目は、リモコンの「i」ボタンを押すたびに切り替わる。
フィルター交換の目安は、1日12時間使用の場合で約1年とあるが、もちろん使用環境によっても異なる。特に同機は温風機能を非搭載なので、夏場のみ使うというユーザーもいるかもしれない。だが、そこでフィルターの交換時期に迷うだろう。そんなときには、無線LANを接続して利用することをおすすめする。
同機を無線LANに接続し、スマートフォン用の「Dyson Link」アプリを開くと、フィルター交換時期を示してくれる。確認の仕方は、アプリを開き設定ボタンをタップする。「製品の設定」を開くと「空気」という項目に、「残りフィルター寿命」として表示される。
無線LANに接続し、「Dyson Link」アプリを接続しておくことを、強くおすすめしたい理由は他にもある。付属リモコンが小さいため、なくしやすいのだ。なくさないまでも、使いたい時に見当たらないこともある。
そうした場合に、本体操作でできるのは、電源のオン/オフのみ。AUTOモードにしておけば良いのだが、もし風向きを変えたいとか風量を調整したいとなると、リモコンが必須。
アプリで使えるようにしておけば、リモコンと同じ操作が可能だ。リモコンがなくて、設定変更ができずにイライラすることもなくなるだろう。
空気清浄モード(風向き変更モード)で一年中使える
「Dyson Purifier Cool 空気清浄ファン TP07」は、温風機能が非搭載。だからと言って、扇風機として夏だけ使うというのはもったいない。夏以外には空気清浄機として使いやすいよう、送風方向を前方ではなく後方へ向けられる機能を備えているからだ。
夏には、直接風に当たりたくないときに便利であり、冬には、空気清浄機として使うのに良いだろう。実際に筆者が使っていた時期は、雨の多い時期で、真夏のように暑くなることはなかった。それでも風向きを後方に向けて使うと、直接風に当たることなく部屋の空気が循環されて、心地よかった。
実際に前方/後方に切り替えた時の動画が下の通り。リモコンの「送風方向」ボタンを押すと、少し間を置いてから本体内からカタンカタンと何かが動く音がして、送風方向が切り替わる。
動画では分かりやすいように、本体の上部に目印を取り付けておいた。前方または後方にひらひらと動くのが確認できるはずだ。
「送風方向」を切り替えることで、夏場はもちろん、そのほかの季節でも使いやすいはず。あるときは扇風機として、あるときは純粋に空気清浄機として、またあるときはサーキュレーター的な使い方も可能だ。
広い家でなくても馴染んで、ステイタスも上がる?
冒頭で、大きい大きい! と強調したが、1週間も部屋に置くと、狭い我が家でも自然に馴染んだ。設置時は、家族から「邪魔だなぁ」と言われたが、いまは言われなくなっている。本機のデザインがスッキリとしていること、それに実は一般的な扇風機より本体幅が狭く、接地面積も少ないことなどが理由だろう。
デザインに関しては、自身の好みもあるだろうが、それとは別に確実に言えることがある。家に客を招いた時に「おぉ! ダイソンじゃん!」と必ず言われる。ステイタスをちょこっと上げる小道具としても有用かもしれない。
また、温風機能を備えていないが、冬になっても使用用途は多そうだ。空気清浄機としてはもちろん、エアコンと併用して使うのも良いだろう。
直販での価格が68,200円と、少々高価な気もするが、狭い接地面積に扇風機と高性能な空気清浄機を同時に置けて、ステイタスも上がるかも……と考えれば、妥当なのではないだろうか。