家電製品レビュー

コンロ使わずプラス一品。卓上調理できる電気ケトル「ちょいなべ」がキッチンで活躍!

シロカ「おりょうりケトル ちょいなべ」1台で様々な料理が作れる

今や多くの家庭にある家電の一つ電気ケトル。少量のお湯ならほんの数分で沸かすことができ、お茶やコーヒーを淹れたり、カップラーメンを作ったりと日常的に使われている。

その電気ケトルをもっと便利に、多目的で使えるようにしたのが、シロカの「おりょうりケトル ちょいなべ」だ。2018年に初代モデルが発売され、そして2020年、一部改良した2世代目の「ちょいなべ SK-M251」が登場した。実売価格は13,000円前後。発売から数カ月「ちょいなべ」を活用してきたので、その魅力について紹介したい。

ちょいなべを正面から見たところ。ハンドル分の幅が広めにとってある

温度調整ができるコンパクトな卓上鍋

まずは、ちょいなべの基本的な仕様から解説していこう。製品は加熱部とケトル、そしてフタと、大きく3つのパーツで構成されている。

湯を沸かす鍋として使えるだけでなく、電気鍋として鍋やパスタなどの調理に使えて、そのまま器として食卓に出せる手軽さも特徴。電源ケーブルはマグネット式で取り外せる。ボディカラーはアイボリーとブラックの2色だ。

側面から見たところ。奥行きはそれほどない
背面。マグネットによる着脱式の電源ケーブルが付属する

本体(加熱部)の前面にはスライドレバー式のスイッチとケトル・なべモードの切り替えスイッチを配置。スライドレバーは無段階で動くが、OFFから40/60/80/100℃で5段階に電子制御されている。

電源オフから100℃まで設定できるスライドレバー
新たに追加されたのが「なべ/ケトル」の切り替えスイッチだ

ケトルモードでは設定温度に達してしばらくすると電源が切れる仕組み。それに対して鍋モードではその温度を最大60分までキープしてくれる。

本体サイズは28×20×19cm(幅×奥行き×高さ)。この幅にはハンドルも含まれている。質量は1.8kg。ケトルとフタだけだと実測で約800gだった。ケトルの満水容量は1L。内側に400mlから200ml単位で、1,000mlまで水位線が入っている。

鍋の内側に記された水位線。残念ながらやや見にくかった

200mlの水を入れてケトルモードで沸かした場合、3分台半ばで強めに湯気が出始め、約4分40秒で、アラームが鳴り、電源が切れた。沸騰後、しばらく経過してから、余裕を持って電源が切れる仕様のようだ。消費電力が1,200Wと高いこともあり、沸き立つまでのスピードは十分に早い。

加熱部から鍋をおろしたところ。鍋自体は背が低く、卓上でも使いやすい

とりあえずお湯を沸かすのが便利

ちょいなべにはケトルとしての使い方と、鍋としての使い方の2種類がある。必要な量のお湯を沸かしておいて、容器や器にお湯を注いで、カップラーメンやインスタントスープに使えるのは通常の電気ケトルと同じだ。

キッチンかダイニングに常設しておけばさっとお湯が沸かせる

そして、ちょいなべの活用方法として便利なのは卓上鍋として使えること。たとえば料理を始めるときにとりあえずお湯を沸かしておくといった使い方ができる。

朝食の場合なら、沸かしたお湯でソーセージやアスパラガス、ブロッコリーなどの野菜が茹でられる。もちろん、沸かしたお湯を使ってスープや味噌汁なども作れる。こうして簡単に一品作れるのは、普通の電気ケトルとは違う、鍋として使えるからこその利点だ。

朝ごはんやお弁当向けにソーセージと冷凍ほうれん草を茹でた

朝のキッチンでは、卵を焼いたり、お弁当のおかずを作ったりで、コンロは埋まっていることが多い。そこにちょいなべがあればコンロを一つ増やしたかのような使い方ができるというわけだ。

シロカのWebサイトにはちょいなべを使ったさまざまなアイデアが紹介されている。基本メニューの一つは製品名通りの鍋料理だ。野菜や肉、魚などの具材を入れて鍋モードで煮込むだけでいい。スープに味付けしてもいいし、市販の鍋のもとをつかってもいい。また、水炊きにして、ポン酢などにつけて食べるのにもピッタリ。

新鮮なモツとキャベツ、もやしでモツ鍋を作った
豚バラと白菜、キムチで簡単にキムチ鍋

個人的には、お豆腐と冷蔵庫にあった野菜を適当に茹でた“湯豆腐プラスアルファ鍋”を作ることが多かった。一人分ならこれだけでも満足できるし、他にもおかずがあれば、2~3人でも楽しめる。

また、ちょいなべを使うようになって、頻繁に作るようになったのがスープ兼用の水餃子だ。ちょいなべでお湯を沸かし、中華だしの素や好みのスープの素を使ってスープを作る。余っているラーメンスープの素などを使ってもいい。あとはそこに冷凍の水餃子を入れるだけだ。それだけで手軽にボリュームのある一品になる。

冷凍の水餃子とスープの素、ちょいなべでできるスープ餃子はプラス一品に最適だ
市販のルウを使ってクリームシチュー。炒めるのは別途フライパンなどを使う

ちょいなべで鍋や袋ラーメンを作るときは少しコツがいる。鍋モードでは100℃に設定して沸かした後、麺や具材を入れるのだが、食材を入れて湯温が下がってしまうと再び沸騰状態に戻るのに時間がかかることがあった。

ある程度経つと再び加熱が始まるのだが、乾麺や食材を入れて湯温が下がったときは一度スライドレバーを動かして再び100℃に設定するといい。そうすると強い加熱が再開する。

02-07。

沸かしたお湯に直接乾麺とスープの素を入れてラーメンが完成。そのまま食べられる

温度設定を活用して低温調理やチーズフォンデュを楽しむ

ちょいなべの温度設定機能を使うことでさらに多彩な調理ができる。例えば流行りの低温調理だ。公式のレシピに低温調理はなかったものの、気になっていて今回試してみた。鍋自体にあまり深さがないので大きな塊肉は無理だが、鶏胸肉ぐらいなら十分にお湯に浸せた。

ささ身を使った低温調理も手軽にできる

下処理をした上で、塩を馴染ませた鶏胸肉をラップで包み、さらに密閉袋に入れて空気を抜く。あとは60℃に設定したお湯に浸けて、1時間ほど低温調理する。ちょいなべのなべモードは1時間で切れる仕組みなのでスイッチが切れるまでやるとちょうどいい。簡単にサラダチキンの完成だ。鶏胸肉にスパイスをまぶしたりすればいろんな味のサラダチキンが楽しめる。これ以外にも生食用のサーモンを使ったコンフィ(40℃で20分)なども美味しくできた。

ささみを低温調理
生食用サーモンを使ってのコンフィも楽しいメニュー

同じ温度設定機能を使った料理で子供たちに評判が良かったのが、チーズフォンデュだ。片栗粉をまぶしたシュレッドチーズに牛乳を加えて60℃で加熱するだけ。この温度帯ならチーズは溶けるが焦げ付くことがない。あとは茹でじゃがいもやフランスパン、ソーセージなどを用意して、チーズにつけて食べることができる。

子供たちに最も評判が良かったのがチーズフォンデュ
一定の温度でキープできるため、チーズが焦げ付く心配がなくずっと楽しめた

焦げ付きにくく鍋の手入れも簡単

ちょいなべのもう一つの魅力は、使い勝手がいいこと。鍋の内側にはセラミックコーティングが施されており、食材はこびりつきにくい。あくまで「鍋」なので炒め物などはできないが、それでもスープの具材などが鍋底に残ることがある。それも軽く拭くだけで取れるので非常にメンテナンスが楽。チーズフォンデュのチーズも温度を上げると焦げることはあったが、こびりつくことはなかった。

ちょいなべではお湯を沸かすだけでなく、さまざまな料理を作る。このため鍋の内側が汚れたり、食材がこびりつくと他の料理がやりにくくなるのだが、コーティングのおかげもあり、その心配はなかった。

メンテナンス以外でも使い勝手の良い部分がある。それが、鍋底の加熱部が少し高くなっていて、なべ部を直接テーブルに置いてもテーブルに付かなくなっていること。このため、テーブルに直接置くこともできる。

気になったのは満水容量の1Lまで水を入れると、片手持ちのハンドルだけではかなり重かったことだ。そこで、容量いっぱいまで入れる場合は、水や具材を入れてから持ち運ぶのではなく、あらかじめテーブルなどに置いてから調理した方がいいかもしれない。

鍋とフタだけなら背が低いため、冷めたあとなら直接冷蔵庫に入れることも可能。食べ残した料理をそのまま保存できるのが便利だった。

底面の加熱部は一段下がっていて、テーブルなどに密着しない仕組み
鍋とフタだけなら高さは約11cm(実測値)で、冷蔵庫にも入れられた

様々な料理に使える汎用性の高さがうれしい

ちょいなべは、名前の通りの卓上鍋としても使える電気ケトルだ。このため、カップラーメンを作ったり、コーヒーやお茶を淹れたりするためだけに使うのは非常にもったいない。これでは機能の半分も使っていないことになる。

そこで、ちょいなべを湯煎やスープ作りなどに活用すると一気に料理の効率はアップする。家にあれば、調理家電のレギュラーの座を確実に捉えるだろう。

コヤマタカヒロ

フリーランスライター。1973年生まれ。学生時代より雑誌ライターとして活動を開始。PC、IT関連から家電製品全般までに造詣が深く、製品やビジネスを専門的ではなく一般の方がわかるように解説するスタンスで執筆活動を展開している。近年は、デジタルとアナログ、IT機器と家電が交差、融合するエリアを中心に取材活動を行なっている。雑誌やWebに連載多数。企業のアドバイザー活動なども行なっている。 Twitter: @takh0120