家電製品レビュー

郊外買いだめ派に最適! “メガフリーザー”が魅力のシャープのAIoT冷蔵庫

 近年、500Lサイズを超える大型冷蔵庫に人気が集まっています。特に求められているのが冷凍室の容量。食材を週末にまとめ買いするだけでなく、コストコなどで買ったキロ単位の肉を小分けにして冷凍する人も増え、冷凍庫の容量はいくらあっても足りないのが現状です。

 そんな大量冷凍のニーズに応えたのが、大容量冷凍室“メガフリーザー”が特徴のシャープのAIoT冷蔵庫。今回、庫内総容量502Lの「SJ-GA50E」を3カ月間お借りして、その使い勝手を実際に確かめてみました。

プラズマクラスター冷蔵庫 SJ-GA50E-R
メーカー名シャープ
製品名プラズマクラスター冷蔵庫 SJ-GA50E
容量502L
価格(編集部調べ)217,800円

たっぷり冷凍食品を保存できるメガフリーザーが魅力

 まずは「SJ-GA50E」の基本機能を見ていきましょう。各室の定格内容積は冷蔵室が259L(うち、食品収納スペースの目安は冷蔵室が198Lで、チルドルームは17L)、野菜室は73L(同49L)、アイスルーム21L(同6L)、上部冷凍室20L(同11L)、冷凍室129L(同86L)となります。

 メガフリーザーのカタログ値は170Lですが、これはアイスルームなどを加えた収納スペース全体の容量であり、実際に食品を入れる部分は約97Lです。

「SJ-GA50E」の下段部分。右上が野菜室で左上はアイスルーム、その下が上段冷凍室で、さらに下が大型の冷凍室です

 同じ500Lクラスで次に冷凍容量が大きいのは、日立の「真空チルド R-HW52K」。アイスルームを含めた冷凍室の総容量は155L、食品収納スペースの目安は約83Lのため、シャープのメガフリーザーの方が10L以上大きいということです。

 実際に冷凍室に食材を入れてみました。上段冷凍室は20Lとそれほど大きくありません。右側に野菜室を配置している関係で、それほど大きなスペースが確保できないのです。ここは冷凍ご飯を入れたり、約30分だけ急いで「冷やすタイマー冷凍」機能が使えます。

左上のアイスルーム。製氷用タンクは冷蔵室に配置
上段冷凍室のサイズは19.5×41×13cm(幅×奥行き×深さ)。他メーカーの冷蔵庫のように温度を切り替える機能は搭載しません

 注目は大容量の下段冷凍庫です。ここは内部で3段構造になっており、無駄なスペースを作ることなくたっぷりと食材を入れられます。

 1段目は深さ15cmの冷凍スペースで、肉類のパックなら2~3つ重ねて入れることが可能です。仕切りを好きな位置に動かせる「4切り名人」で冷凍食品や食材を整理して収納できます。

下段冷凍室の最上段。深さ15cmで冷凍食品もしっかりと入るサイズ
仕切りを好きな位置に調整できる「4切り名人」により、簡単に整理できるようになっています
市販の冷凍餃子がぴったり入る深さ。横向きに入るので取り出しやすいです

 2段目は約6cmと浅めの引き出しですが、素早く熱を伝えられる熱伝導に優れたステンレストレイを配置。約-40℃の冷気で一気に冷凍する「おいそぎ冷凍」や、60℃までの食材が入れられる「熱いもの冷凍」が利用できます。これらの機能は冷蔵庫のフロントドアにある画面から設定できます。

約6cmと浅型の2段目。右側には熱伝導性の高いステンレストレイがあり、食材を素早く凍らせることができます。「おいそぎ冷凍」や「熱いもの冷凍」機能に対応
ドア右側にある画面で冷凍モードが設定できます

 そして3段目は深さ22cmの引き出し。深さがあるため、冷凍食品を縦に入れたり、食パンなども入れることができます。500mlのペットボトルも立てたまま冷やせるため、運動会など子供のイベントの前も安心です。

3段目は深さ22cmで、たっぷりと食品を保存できます。ここにはあえて仕切りがないので大袋の冷凍食品や丸鶏なども入れられます

 この下段冷凍室は-18℃で冷凍するだけでなく、冷凍室の温度が上昇する霜取り運転の前に急冷を行なうことで、冷凍室内の温度をキープ。さらにドアの開閉後にも急冷を行ない、食材の温度変化を防ぐ新鮮冷凍機能を搭載しています。

 購入した肉類や冷凍食品は、メガフリーザーに収納します。小さめのパックは1段目、大きなパックは2段目、小分けした肉類は2段目のステンレストレイへと、食材を入れる場所がわかりやすいのが便利です。餃子やシューマイ、お弁当用の冷凍食品は1段目でも立てかけて保存できるので、毎日の子供のお弁当作りでも、スムースに冷凍食品を選べました。

 3カ月の間、様々な食品を使う仕事や食事会があり、多くの食材を冷凍庫に入れていましたが、満パンになるということは一度もありませんでした。1kgサイズの冷凍フライドポテトや、コストコの数キロ入りの肉を冷凍庫の容量を考えずに買えるのは非常に快適でした。

メガフリーザーの代償はコンパクトな野菜室

 500Lサイズの冷蔵庫で170Lをメガフリーザーとして使う以上、どうしても犠牲になる部分があります。それが野菜室です。「SJ-GA50E」の野菜室の容量は73L。上記の日立「R-HW52K」の野菜室が99Lあることを考えると、容量の差は大きいと言えます。

 今回使っていたのが夏場だったのでそれほど支障はなく、入りにくいなと感じたのは大根ぐらいでしたが、冬場になって白菜、キャベツなど大きな野菜が増えてくると、野菜室の小ささが気になるかもしれません。

 個人的に気になったのは野菜室の容量が小さいために、料理酒やみりんといった背の高い調味料を入れるスペースが減ったことです。多くのメーカーの野菜室には、ドア裏に2Lのペットボトルを入れるスペースが用意されています。

 もちろん「SJ-GA50E」の野菜室も、2Lペットボトルが入る深さがキープされていますが、ドア幅は39mmと本体幅の約半分。つまり、ペットボトルや背の高い調味料を入れるスペースが他の冷蔵庫と比べると半分しかないというわけです。

野菜室は二段構造。上段は30×40×10cm(幅×奥行き×深さ)。背の低い野菜が入れられます
下段は奥行き約40cmで、手前のペットボトル収納部を除くと深さは約20cmです

 野菜室の容量は小さめですが、機能はしっかりしています。「プラズマクラスター雪下シャキット野菜室」は、内部にプラズマクラスターイオン発生装置を設置。野菜室全体をプラズマクラスターイオンで満たすことにより、野菜の表面に付着した菌を除去。カビなどの繁殖も防ぎ、鮮度を保つことができます。

 雪下の環境に近い低温で野菜を包み込む、5面輻射冷却機能も野菜の鮮度の維持に貢献。さらに、うるおいガードで野菜の乾燥を防ぎます。

 実際、葉物野菜やフルーツを下段の野菜ケースに入れっぱなしにしましたが、1週間経っても葉がしおれたり、果物の表面に見てわかる変化は訪れませんでした。たくさんは入りませんが、野菜を美味しく長期間保存することができます。

荷物を持ったままでも開けられる電動アシストドアが便利

 そして冷蔵室です。一番の特徴といえるのが電動アシストドアを採用していること。操作画面下にある矢印部分にタッチすると、自動的にドアが開く仕組みです。ただし、GAシリーズの電動ドアは開くのみで、閉じる機能は搭載していないため、閉めるときはドアを押す必要があります。ドアを閉め忘れるとアラームで知らせてくれます。

冷蔵室には電動アシストドアを配置。矢印部分にタッチするとドアが開きます
冷蔵室のドアを開いたところ。なお、右のドアは隣に棚があるため全開にできませんでした

 ドアポケットは左右ともに3段ずつ。左のドア上部には、チューブタイプのスパイスや調味料をたくさん入れられる「段々スパイスポケット」を配置。ポケットが斜めになっているため、奥に入っている調味料も見やすく、取りやすくなっています。右側は通常のフラットなポケットを採用。ポケットの深さは上段が2段階、中段は3段階で変更できる仕組みです。

 上段のポケットは深さ約14cmと18cmで調整が可能。中段は深さ15cm、20cm、24.5cmから選べます(上段を一番下に配置した場合)。上段ポケットを一番上に配置した場合、深さは最大28cmとなるので、背が低めの4合瓶がギリギリ入ります。また、背の高い焼き肉のタレやポン酢なども入れられます。

 このようにドアポケットの位置を変えられるため、保存したい食材によって細かく調節できるのが便利でした。

「段々スパイスポケット」を採用した左側のドアポケット。上段中段のポケット位置は調整可能
右側のドアポケット。奥行き約20cmと広く、大きな瓶やペットボトルも入れられます

 冷蔵室の下段には「プラズマクラスターうるおいチルド」に対応したチルドルームと、製氷用の水タンクを配置しています。チルドルームは食材のうるおいをキープして鮮度を保つため、密閉性が高い引き出し式を採用。これによって食材が長期間美味しくキープできます。

引き出し式のチルドルーム。引き出しが奥まで出せないため、大きなパックは入れにくい
隣にあるアイスルーム用の水タンク

 引き出し式のため、食材は上部から入れることになります。実はこれがちょっとやりにくいと感じました。というのも「SJ-GA50E」の冷凍室は床から約99cmの高さにあります。チルド室の高さは約18cm。つまり、チルド室に117cm以上の高さから食品を入れる必要があるということです。

 筆者の身長は170cm弱ですが、それでも脇を上げて食材を入れる必要がありました。さらに背が低いと、より入れにくいと感じるかもしれません。

Wi-Fiとスマホでスマート冷蔵庫をいち早く体感

 「SJ-GA50E」は、シャープのAIoTサービス「COCORO KITCHEN」にも対応しています。Wi-Fiに接続するとヘルシオなどシャープの他の製品同様に、様々なことをしゃべるようになります。

 例えば、ドアの開け閉めを行なうと季節のメニューや食材を紹介したり、冷蔵庫クイズを出題するなどのコミュニケーションが取れます。また著者は聞けませんでしたが、郵便番号を登録すると近くのお店の特売情報などを知らせてくれることもあるそうです。

フロントドアに搭載された液晶画面。スマートフォンのようなインタフェースとなっています
ホームボタンから冷蔵庫の様々な設定が可能

 操作パネル右下にある「聞いて」ボタンをタッチすると「献立ナビ」や「保存・解凍ナビ」などのクラウドメニューを表示。「献立ナビ」では今日のおすすめメニューが表示されます。

 メニューは3つずつ表示され、気に入ったメニューを選ぶと調理時間の目安がわかります。さらに「このメニューに決定」をタッチするとスマホアプリ「COCORO KITCHEN」にレシピが転送される仕組みです。

右下の「聞いて」ボタンを押すことでクラウドメニューが表示されます
「献立ナビ」では季節や好みに合わせておすすめのメニューを表示してくれます
レシピを選ぶとスマートフォンアプリに転送可能

 Wi-Fiに対応したウォーターオーブンのヘルシオやホットクックを所有して同じWi-Fiに接続している場合、スマホアプリで「家電連携」を行なうことで献立ナビの連携ができます。

 「SJ-GA50E」の画面上で献立を選んだとき、ヘルシオやホットクックに対応しているレシピなら、「ヘルシオで調理」というボタンが表示され、レシピを送ってくれます。後はそれぞれのダウンロードメニューから調理を実行するだけです。

Wi-Fi対応のヘルシオなどを使っている場合はアプリ上で機器連携を設定
機器連携すると選んだレシピをクラウドからヘルシオに送信できるようになります

 このほかにもクラウドメニューには様々な機能が用意されています。例えば離れて暮らす家族や、留守中の子供が冷蔵庫を開閉したことを確認できる見守り機能や、スマホアプリから伝言を入力して、冷蔵庫の画面に表示できる機能など。新しい伝言があると画面に表示されるだけでなく、冷蔵庫を開閉したときに伝言があることを音声で教えてくれるため見逃す心配もありません。IoT時代の家電の最新機能をいち早く利用できるのが魅力です。

製氷モードの設定。お客様用に綺麗な氷を作る機能も用意
アラーム機能を搭載。子供を起こす時間やお迎えの時間などが設定できます
冷蔵庫の使い方がより上手になる冷蔵庫クイズも楽しい
スマホアプリから送れる伝言機能。留守番をしている子供に送れます

IoT機能と圧倒的な冷凍庫のサイズが決め手

 3カ月間「SJ-GA50E」を利用して感じたのは、非常に個性的な冷蔵庫だということです。圧倒的なサイズの冷凍庫。そして、その代わりに野菜室は小さめであるため、マッチするライフスタイルをかなり選ぶと感じました。

 前述のように、郊外型スーパーなどで買い物をして、肉や魚、冷凍食品を買いだめするスタイルに最適です。逆に都市型生活で冷凍食品の買いだめはあまりせず、野菜の保存性を重視したいという場合には向きません。その辺りがはっきりとした製品だと言えます。

 そしてもう1つ、スマートフォン連携の機能は、国内メーカーの冷蔵庫の中では最も進んでいると言えます。特にWi-Fi対応のヘルシオやホットクックを利用しているなら「COCORO KITCHEN」による連携機能は便利に活用できるはずです。

スマホアプリ「COCORO KITCHEN」では献立の検索や買い物メモなど様々な機能が利用可能。それがクラウド連携して冷蔵庫もより便利に使えるようになるというわけです

 特にウォーターオーブンのヘルシオは、冷凍食材をそのまま調理できる機能が充実しており、そこもメガフリーザーと相性が良い点。冷凍食品をたっぷり保存できる機能と先進のAIoT機能、この2つが「SJ-GA50E」をはじめとしたシャープの冷蔵庫の魅力だと言えそうです。

コヤマタカヒロ

フリーランスライター。1973年生まれ。学生時代より雑誌ライターとして活動を開始。PC、IT関連から家電製品全般までに造詣が深く、製品やビジネスを専門的ではなく一般の方がわかるように解説するスタンスで執筆活動を展開している。近年は、デジタルとアナログ、IT機器と家電が交差、融合するエリアを中心に取材活動を行なっている。雑誌やWebに連載多数。企業のアドバイザー活動なども行なっている。 Twitter: @takh0120