家電製品レビュー

ランチ1,000円食べ放題的!? アイリスオーヤマのコード“あり”スティック掃除機

 ここ10年で掃除機の種類がめちゃくちゃ増えた。従来の紙パック式のキャニスター(床置き)に加え、ハンディ掃除機、サイクロン式のキャニスター掃除機は一世を風靡した。数年後には、スティックタイプのサイクロン掃除機が登場し、今ではキャニスターよりスティックタイプが主流になっている。その間にもロボット掃除機がシェアを拡大。そこにきて、ちょっと風変わりなのが、アイリスオーヤマのコード“あり”スティック掃除機「キャニスティッククリーナー」だ。

アイリスオーヤマ「キャニスティッククリーナー KIC-CSP5」
メーカー名アイリスオーヤマ
製品名キャニスティッククリーナー
実売価格19,806円

 バッテリー駆動じゃなくてキャニスター式同様にコンセントに差し込むモデルで、「そんなヤツみたことある!」という方もいるかもしれない。確かにヨーロッパでは、こういう掃除機が「アップライト式」と呼ばれ主流になっている。

 でも「ただ」の「アップライト=キャニスティック」で終わらないのが、アイリスオーヤマだ。うちのネコもびっくりだ!

ニャンだ? ソレは?

アップライト式よりスリムで置き場所に困らないキャニスティック

 一般的なアップライト式の掃除機は、大きなダストカップとモーターを備えているので、床部の近くがボヨン! と太くなったデザインが多い。しかしアイリスオーヤマのキャニティックは、全体的にスリムだ。同社がこの掃除機を「アップライト」といわない理由はここにありそう。

 専用のスタンドも付属しているので、バッテリー式のスティック掃除機と同じスペースに収まるのが特徴だ。しかも専用スタンドの高さが、一般的なスティック掃除機の半分程度の高さしかなく、スタンドの圧迫感がないという点も特徴。逆に言うと掃除機の重量バランスがいいので、それほど大きなスタンドは不要ということだ。

非常にスリムで置く場所に困らない。使うときは少しスタンドから引っ張りあげる

 なおバッテリー式のスティックではないので、コードを黄色いマークが出るまで引っ張って、コンセントに差し込む。これで準備OKだ。

コードはハンドルの近くの丸い部分に格納されているので、黄色のマークまで引っ張り出してコンセントに差し込む

コラム「コードの黄色いマークと赤いマーク」

 最近コードレス式掃除機ばかりなので、お忘れかもしれないので改めて注意喚起。コンセントに差し込むタイプの掃除機は、必ずコードの黄色マークまで引っ張り出して使うこと。たとえコンセントの近くを掃除するだけで、長さが必要ない場合でもだ。

 黄色のマークはコードの終端に近いということを示している。と同時に「ここまで引っ張り出して使う」ことも示している。さらに引っ張ると赤いマークが出るが、これは「これ以上コードを引っ張るな!」という警告だ。赤まで出てしまったら、少し巻き戻して黄色だけが見える状態にしよう。

 実はコードをぐるぐる巻いた状態(黄色い線が見えない)で使うと、「電磁誘導」という現象が発生してとても危険。電磁誘導を使った最も身近な家電はIH炊飯器。さすがに炊飯器ほど発熱することはないが、コードが巻き取られた状態で使うと、最悪発熱や発火事故につながる危険性があるので注意してほしい。

 コードの長さは約4mあるので、実質有効なのは6畳間程度。このくらいの広さならコンセントを差し替えずに、部屋の隅まで掃除できるだろう。廊下などの場合は、適宜コンセントを差し替える必要があるので注意。見た目も手軽さもスティックと変わらないので、ついコンセントに挿しているのを忘れがちなので注意したい。

 重量は2.3kgだが、実際に手首にかかるのは1.5kgほど。バッテリー式のスティック掃除機に慣れている方なら「軽い!」と感じる程度だ。

コードの長さは4m。コノ(2畳ぶんの長さ)ぐらいなら届く
バネばかりではかってみたところ、手元にかかる重さは大体1.5kgほど

大型ゴミセンサーで汚れ具合も一目瞭然! 強力な吸引力が魅力

 手元のスイッチは、自動モードと「標準」「ターボ(強)」の切り替えスイッチ、これに電源OFFの「切」スイッチがある。バッテリー式のスティック掃除機なら「自動」を選びたいところだが、バッテリー切れの心配がないキャニスティックは部屋中を「ターボ」で掃除してもかまわない。とくにじゅうたんやラグを敷いてある部屋は、思う存分「ターボ」を使うといだろう。

 スティック掃除機なのにいつでも「ターボ」が使えるなんて、「ランチ1,000円食べ放題!」的なお買い得感があるのは俺だけか?

通常は自動モードでいいが、思う存分掃除したい方は「ターボ」が使い放題! これがコンセント式のいいところ!

 本体左側には直径20cmほどの大きなリング状のランプがある。ここはホコリやゴミが多いところでは赤く光り、きれいになると青くなる。また自動モードならこれに連携して掃除機の吸引力を変えてくれるので、省エネだけでなく、静かにお掃除できるる配慮も心憎い!

大型のサインなので非常に見やすい。ゴミが残っていれば赤ランプ
キレイになったら青ランプに変化する。クルクル回るアニメーションが付くと掃除も楽しくなるかも? アニメーションは数百円の原価でできるはずなので、アイリス開発陣さま、ぜひ!

 ヘッドは自走式で壁際まで掃除できる。大手メーカーなみに壁際まで掃除できるのには驚きだ。また比較的大きなゴミも吸い取れるので、子供やペットのいるご家庭にオススメしたい。

砂ゴミはフローリングの目(板と板の隙間)に入ったものまでバッチリ吸い込める。また壁の際の際まで吸い取れる。ここまでキレイになるバッテリー式のスティック掃除機は少ない
ネコ砂やペットの食べこぼしなどの大きなゴミも吸い取れる。さすがに煮干のように大きいものまではダメだったが、1~2cm程度のものなら大丈夫そう
木くずのようなものもグングン吸い取る吸引力

 気になるのは運転音だろう。しかしターボにしても掃除機から1m程はなれたところで61dB。これは普通に会話したり、車に乗ったときの音程度だ。標準だと55dB程度で、これは静かな事務所やエアコンの運転音程度なので、うるさいと感じる人は少ないだろう。

ターボ(強)モードでも61dB程度。モーターの音は、キャニスター同様にフォーンと低め
標準にすると55dB程度。バッテリ式のように、モーター音ががキンキン言わないのもイイ

意外に大容量の小型紙パックと見事な重量バランスに感動

 この掃除機に驚かされたのは、ダストボックスが0.4Lもあること。ハンドルの下にある黒いカバーを外すとダストボックスになっており、ここに専用の紙パックを取り付けるようになっている。

大体ペットボトル1本分の大きさの紙パックが入る

 この紙パックは本体に25枚同梱されていて、追加分もアイリスオーヤマの通販ページなどで25枚500円程度で購入が可能だ。

 何週間か使ってみた感じだと、パックがいっぱいになるまで1週間以上はかかるので、普通に使っていれば25枚で半年、部屋がそれほど汚れない家庭なら1年(52週)は持ちそうだ。

同梱されている紙パック25枚。同様のパックが500円程度で購入できるので、ランニングコストもかなり安い

 紙パックの交換も簡単で、新しい紙パックに逆流防止弁のオレンジの部品を取り付け、本体にセットするだけ。各社対応の紙パックだと、ダンボールのこの部分とこの部分を切って……なんてやっていると面倒だが、これならご高齢の方でも簡単だ。

 ゴミでいっぱいになった紙パックはそのまま捨ててもいいが、ホコリが舞い散らないように輪ゴムで縛るといいだろう。

紙パックに逆止弁のパーツを差し込んで、クリップで固定
あとは本体に差し込むだけ
ゴミでいっぱいになった紙パックは、輪ゴムで口を縛ってから捨てるとホコリが舞い散らない

 さらに粋な心遣いが2点。まずは「自立」する点。ちょっと掃除を中断して、Amazonの荷物と受け取ったり、電話に出るときに便利だ。不安定さはまったくなく、きちんと立てられる。

 さらに本体には強力なマグネットが付いているので、料理の煮込み具合を見るときなどは冷蔵庫にパチン! と貼り付けて、立たせておくことも可能! これは素晴らしい!

 さらにコレを応用して、専用台以外にも5cm四方のただの鉄板を、ネジや両面テープで家具などにつけると、専用台を使わなくても壁掛け収納ができる。賃貸などに済んでいる場合は、壁ではなく家具につけられるので便利だ。

裏の強力な磁石で付けたときは、多少の地震では倒れない(たぶん震度3ぐらいな余裕)ほど、しっかり自立させておける
賃貸住宅などでは家具に、この5cm四方取付金具(ただの鉄板)を貼り付けておけば、さらに収納がスリムになる

 もちろん延長ノズルを外せば、座ったまま使えるクリーナーにも変身。ヘッドを取り外し本体と一体になっているブラシを出せば、机やローボードなどを、さっとお掃除できるハンディタイプにもトランスフォームできる。

ヘッドを本体に直接取り付け、座ったまま使える掃除機に変形
本体のブラシをクルリと回転させれば、ハンディ掃除機にチェンジ!

本棚や家具の掃除に便利な「静電気モップ」&吸い取り器にも!

 この掃除機には、アイリスオーヤマの掃除機で大人気の静電気モップも搭載。専用スタンドにもモップ入れが装備され、本棚やテレビ、ローボードなどのホコリをサッとひと拭きできる。こういう「ヘン」なところによく気づくのがアイリスオーヤマだ(褒め言葉)。

スタンドからサッと取り出してひと振りして静電気を起こす
長さも変えられるのエアコンの吹き出し口などの掃除にも
もはやアイリスオーヤマの掃除機のトレードマーク!? になりつつある、標準装備の静電気モップ

 掃除機をかけるほどでもないホコリ汚れは、このモップでひと拭き。掃除が終わったら専用スタンドの下に差し込んで、掃除機をONにすれば、自動的に静電気を除去したあとに吸い付いたホコリを掃除機に回収してくれるというわけだ。なるほどっ! 感動した!

 掃除がすべて終われば、床置き式のキャニスターと同様にボタンをプッシュすれば、自動的にコードが内部に巻き込まれる。

しゃがむ必要があるもの、超便利なモップと自動モップクリーナー

じゅうたん敷きのお部屋やコードレススティックは時間が短すぎという方に

 コードレススティック掃除機の手軽さを持ちながら、バッテリー駆動時間が短く吸引力が弱いというその弱点を克服した、アイリスオーヤマのキャニスティック掃除機。

コードレススティック掃除機の弱点を克服した、ある意味最終形態のスティック掃除機「キャニスティック」

 バッテリー残量を気にせず掃除できるので、じゅうたんやラグを部屋いっぱいに敷いている方にオススメしたい。付属の静電気モップは、「ネコじゃらし」としても喜ばれるので、いろんな使い方ができる(笑)。

 加えて長年の経験から「掃除機はコンセントに挿すタイプが一番」というポリシーのご高齢の方へのプレゼントとしても喜ばれるはずだ。

ニャンですかソレは? ああ! ニャンか手が出てしまう形してるニャン!

藤山 哲人