家電製品レビュー
マジ!? Ankerの最新ロボット掃除機はヘソで茶を沸かせるレベルの性能!
2019年9月13日 10:00
モバイルバッテリーで有名なAnker。最近は家電製品もリリースして、人気を得ている。中でも主力になりつつあるのが、安価なロボット掃除機だ。
そして本日9月13日に発売されたのが、ゴミの吸引と同時に水拭きまでやってくれるという、最上位モデル「Eufy RoboVac L70 Hybrid」(以下、RoboVac L70)だ。
メーカー名 | Anker |
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製品名 | Eufy RoboVac L70 Hybrid |
実売価格 | 54,800円 |
奥様大喜び! 掃除機かけて水拭きまでやる「白馬の王子」さま!
結論から言うと、かなり使い勝手の良いロボット掃除機だった。それがお値段54,800円! この価格でスマホ連携できるロボット掃除機は、なかなかないはず。水拭き機能はフローリングを裸足で歩きたくなるほど、キレイに仕上げてくれる。
しかも最新技術「SLAM」搭載で、マッピング精度や位置認識も超高精度でビックリ!
もちろん水拭きなしで、掃除機掛けだけもできる。モードの切り替えは、背面にあるモップを取り外すだけ。RoboVac L70は、モップが付いているか否かで運転を切り替える。
水拭きだけしたいという場合は、後述するスマホのアプリで「水拭きのみ」を選ぶと、吸引モーターの音がせず粛々と水拭きをしてくれる。
床拭きロボットでありがちなのは、タンクからモップへ水を自動供給するため、最初はいい感じで水拭きしてくれるのに、最後のほうは水でベチャベチャ! なんてこと。
しかしRoboVac L70は、水タンクからポンプで水を吸い上げモップに供給する。このとき固く絞った雑巾から、軽く絞った雑巾まで3段階で水の量を選べるので、例えば畳部屋とフローリングでも切り替えられる。試した中で一番いい感じだったのは「小」。掃除を終える頃には、最初に水拭きしたところはすっかり乾いている感じだ。
掃除機だけかけた床と、水拭きまでした床がどれだけ違うかは、みなさんご存知の通り。水拭きした床は、粉っぽさや掃除機で取れないベタつきもなくなるので、靴下を脱いで過ごしたくなるほど気持ちいい仕上がりになる。
微粒子のゴミの吸引にやや何ありだが、モップを使えば問題解消!
RoboVac L70が部屋を掃除している様子は、まるで部屋全体を見渡して掃除しているかのよう。その静かさもさることながら、部屋の壁に沿ってきっちり縦横に掃除するのだ。まるでお寺の長い廊下を、小坊主が横並びになっていっせいに掃除するよう。
映像で見てみると、実質14畳の部屋を19分で掃除機がけ&水拭きが終了している。スタートすると部屋を反時計回りに回って部屋の形状を調査(掃除機側の計算の都合上、広い部屋は5m四方に区切って掃除するようだ)。
外周を掃除すると壁や壁沿いにある障害物をすべて把握でき、かつ壁から20cmぐらいまでは掃除済みになる。なので部屋中央を塗りつぶすように掃除する際には、壁の手前20cmぐらいで折り返すので、まったく壁にぶつからない!
さらにスゴイのは、自分の位置把握だ。メーカー各社もカメラやジャイロを使って位置把握しているが、RoboVac L70は回転するレーザーで位置と障害物、部屋の形状を把握する。
ちょうど映画などで見かける、船や潜水艦のレーダーと同じ原理を使っているのだ。そのため高精度でしかも早く位置把握できるので、塗りつぶしの速度が速い! 速い!
何度掃除しても掃除漏れの箇所がなく、段差などに乗り上げたり、コードを絡めて進行方向が変わってしまっても、すぐに進路を修正する。
それをひと目で確認できるのは、スマホ用のアプリ。
部屋の形状は設計図や家具の配置とピタリと一致。壁に平行して縦横に走行している様子が、リアルタイムで送られてくるのでビックリだ。
ちなみに塗りつぶしの方向は、充電ステーションの向きで変わる。より長い直線で走れるように、スタンドの向きを変えてやるといいだろう。
さらに自宅の1階のドアを全部開け、1フロアまるまる掃除させても部屋の形や自分の位置の把握っぷりは、ビックリの高精度。マニュアルによれば、連続150分の掃除が可能で、電池がなくなると自動的に充電し、中断地点から再開するとあった。残念ながら、家では電池が切れることはなかったので、充電・再開の検証はできなかった。
さて、筆者が思うに部屋の探索・走行・位置把握は、ロボット掃除機のなかでトップを行くRoboVac L70。でも残念な点が1つある。それは「微粒子系のゴミがうまく吸い取れない」点。
普段お掃除する綿ゴミや髪の毛、細かい食べこぼしなどは、吸引力「標準」でもパーフェクトに吸い込める。しかし砂ゴミ、花粉などの微粒子は吸い残しがかなり目立った。
RoboVac L70はお掃除の静かさを最優先にしているようなので、吸引力「標準」だとかなり弱い。静かさと吸引力のバランスがよかったのは「ターボ」モード。このモードでも他のロボット掃除機より十分静かだ。
ラグやじゅうたんの掃除なら「最大」を選ぶのがいいだろう。このモードは掃除中でもアプリから切り替えが可能だ。
なおじゅうたんにつけた猫の毛も掃除させてみたが、一応掃除できたように見えたが、回転ブラシに絡まってしまっていた。ペットのいる家庭には、毎回の回転ブラシの掃除が面倒で不向きかもしれない。
1週間ほど使い込んでみて、分かったことがある。それは、
必ず「掃除機」+「モップモード」で使うこと!
もしかして設計者は、この使い方を前提に吸引力を弱くして、静音性を重視したのかもしれない。吸引力の強さと掃除機、モップモードの色々な組み合わせがあるが、ベストだったのは、吸引力ターボで水拭き。
こうするとターボで吸い取れなかった粒子ゴミは、すべてモップで絡め取ってくれる。14畳の広さをおよそ19分で掃除機&水拭きでき、裸足で歩いても気持ちいいフローリングになった。
アプリと連携させると本領を発揮する!
ここまでのお話で何度が出たとおり、RoboVac L70はスマホと連携することで、本領を発揮するようになっている。本体だけだと、スタートボタンと充電ステーションに戻るボタンの2つしかない(笑)。
スマホはAndroidでもiPhoneでもどちらでもOK。もちろんアプリは無償でサービスも一切お金がかからないので安心。
スマホとの連携はアプリの画面を表示どおり進めていけば、3分もすれば設定完了。RoboVac L70に好きな名前をつけることもできるけど、今のところ漢字などの全角文字が入力できない点に注意して!
スマホだけでできるのが、RoboVac L70が調べた部屋のマップを使ったさまざまな、トリックプレイならぬトリックお掃除。
まず簡単なのは「エリア指定モード」。これはマップの中の掃除したい部分を□で囲むと、そこだけを掃除してくれると言う機能。たとえばキッチンだけを掃除したり、リビングのテーブル回りだけといったときに使える。またフロア全体を地図化しておくと、この部屋だけを掃除といった指定も可能だ。
マップの横にある「マップの編集」ボタンを押すと、モップがけを禁止する領域や、進入禁止領域の指定ができる。前者はフローリングの一部にラグなどを引いている場合。ラグをモップがけ禁止領域にしていすると、モップユニットをつけている場合はラグの上に進入しなくなる。
次のムービーは区画制限を施したときの動きだ。キッチンの進入禁止区画が意外に大きく、掃除機の入れる幅が確保できなかったので、進入できなくなっている点にも注目だ。
また後者は、別途のお水とごはんが置いてある場所、赤ちゃんのベッド、作業しかけで床にものを広げている部分などを指定する。領域はいくつでもセットでき、高さと幅も指でスワイプして拡大・縮小できるので、複雑な進入禁止領域を設定できる。
掃除の予約も簡単にできるほか、過去の掃除履歴を閲覧できる。残念なのは履歴のマップを選んで進入禁止領域などを設定できないところ。設定可能なマップは、直前の掃除で作成したマップのみとなっている。
他にも家族とRoboVac L70を共有して操作したり、RoboVac L70がお話する音量を設定したり、スマホをコントローラーにしてRoboVac L70をラジコンのように動かすなどもできる。
海外製なのに問題なく洗える! お手入れとポイント
海外には「掃除機を洗う」という習慣がないので、ダストボックスが洗えないという問題がよくある。しかしRoboVac L70は、ダストボックスはフィルターも含めて水洗いできるようになっている。もちろんモップユニットのモップ部分も水洗いOK。
またサイドブラシとメインの回転ブラシも取り外して掃除ができる。マニュアルでは水洗いについて言及されていないが、筆者の見た限り陰干しすれば水洗いしても大丈夫そうだ。
さらにダストボックスは、0.5Lと非常に大きいので毎日掃除するご家庭でも3~4日は捨てなくても大丈夫そうだ。
ペットや女性が多い家庭では、回転ブラシに毛が絡まって大変だが、RoboVac L70には専用カッターがダストボックス脇についている。これを回転ブラシの毛に沿って、カッターを入れると絡まった毛や繊維だけがきれいにカットできるので、お手入れが簡単だ。
さらにカッターの反対側は、簡単なブラシになっているのでダストボックスとちょっと掃除したいときに便利に使える。
理系が分解して中を見たがるレーザー測定がパネェ!
ここから先は筆者の趣味の話なので、読み飛ばしてOK! RoboVac L70を分解したーい! という欲望に駆られた方のみ読んでいただければと。
RoboVac L70の最大の特徴は、回転するレーザーを使った部屋の形状把握、および現在位置の把握だ。この2つの解析を同時に行なうのでAnkerでは「SLAM」搭載としている。
本体上部についている、円状のでっぱりの下には、回転するレーザーが設置されており、およそ60prmで回転しながら部屋の形状や障害物を検知している。
その仕組みがよくわかるのは、スマホと連携したときだ。スマホとこの掃除機を連携させると、リアルタイムで部屋の形状と掃除機が動いた軌跡を表示するようになっている。
注意して見てほしいのは、スタート直後。ロボット掃除機を中心に、放射状に部屋の壁や障害物がスマホに表示されるのがわかる。
この情報をもとに、時計と反対周りで壁際を走行。部屋のさらに詳しい輪郭や障害物の情報を取集するようになっている。ある程度の大きさの矩形を把握すると、今度はその中をジグザグと走行し、効率よく掃除してくれる。
ひと区画の掃除が終わると、ドアや通路などの開口部から出て次の区画の認識・探索・掃除をする。これを繰り返し、部屋全体を掃除するようになっている。
このレーザーによる障害物の検出と位置把握の制度はかなり高く、ロボット目線で見ると確かにこんな感じで見あるかも? と改めて関心するほどだ。さらに位置把握の制度も非常に高い。それは部屋の区画をジグザク走行する際にわかる。とにかく壁に対して水平(垂直)に動き、軌跡は平行線になるからだ。
このように障害物探索と位置把握を同時に行うロボット制御を「SLAM」と呼ぶ。通常、部屋の形状や障害物の探索を行なってから、位置を把握しながら掃除するが、SLAM制御を行なうと高い精度でのマッピング(地図化)を素早くできるのが特徴だ。
水拭きをやってこそ掃除! フローリングon裸足族に!
求めやすい価格の割に、10万円以上するロボット掃除機と同等の性能を持つ「Eufy RoboVac L70 Hybrid」。規定値の吸引力は弱いが、「ターボ」モードで水拭きもすれば、かなりスピーディーにフローリングがキレイになる。
Ankerは、モバイルバッテリーやBluetoothスピーカーも豊富に展開しているので、すでにお使いの方も多いかもしれない。コストパフォーマンスの高いロボット掃除機をお探しなら、かなり満足させてくれる製品だと自信を持ってオススメしよう。