家電製品ミニレビュー
キャニスター型でコードレス!? とにかく軽い「ラクティブ エア」は掃除のストレスを大幅に軽減!
2017年10月25日 07:00
コードレスで軽ければ、キャニスター型掃除機でもこんなにも掃除がラクになるのか! と思わされた掃除機を今回は紹介しよう。シャープ「コードレスキャニスター紙パック式掃除機 RACTIVE Air(ラクティブ エア) EC-AP500」だ。
メーカー名 | シャープ |
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製品名 | ラクティブ エア EC-AP500 |
実勢価格 | 60,800円(Amazon) |
コードレス・スティックタイプの掃除機は本体が軽く、手軽に使えることから人気がある。その一方で、パワーや手元の軽さ、取り回し易さという点で、キャニスター型も根強く人気だ。
今回紹介するラクティブ・エアは、バッテリーをはじめモーターや電子回路、使用する素材を見直して、総質量2.9kgと、現時点で世界最軽量を実現しているキャニスター型のコードレス掃除機。紙パック式なので、ごみ捨ては手も汚れにくく、簡単だ。
パーツのそれぞれが軽い! 本体は指1本で持ち上げ可能
掃除機本体の大きさは194×395×182mm(幅×奥行き×高さ)と、キャニスター型の中ではコンパクト。パーツとして吸込口、パイプ、ホース、バッテリーの他、充電器と2段伸縮すき間ノズル、はたきノズルが付属する。
驚きなのは、パーツがことごとく軽いことだ。バッテリーを装着した本体はたったの1.75kg。指1本で持ち上げて、ラクに支えていられるほど軽い。さらに掃除の際に取り回す、ホース(600g)・パイプ(150g)・ヘッド(400g)も軽く、3つ合わせても1.15kgに過ぎない。2つのノズルもそれぞれ100gほどだ。
数年前に購入した手持ちのキャニスター型は、本体が3.75㎏、ホース・パイプ・ヘッドは1.9kgで合計5.6kgという重さから言うと、ラクティブ・エアはほぼ半分の重さで、拍子抜けするほど軽く感じる。
スイッチは2つでシンプル操作
紙パック(EC-17PN)は梱包時、本体にすでに装着されているのですぐに使える。専用紙パックは0.3μm以上のハウスダストを99%集塵する、Ag+抗菌加工の5層構造高捕集紙(不織布)を採用。
ラクティブ・エアに取り付けた際の集塵容積はたっぷり1.0L。同梱は1枚だけなので、替えの紙パックは早めに用意しておくと良いだろう。
運転操作は、ハンドルについた2つのスイッチで行なう。
ラクティブ・エアの吸込力は3種類あり、「自動エコ/切」は掃除する場所に合わせて「強・弱」の2段階の吸込力を自動で切り替えてくれるモードだ。「強/弱」ボタンを押せば、自分の好みで強さが選べる。「強モード」でスタートし、もう一度押すと「弱モード」に切り替えられる。
「強モード」よりもさらに強い吸込力が必要なら、「強/弱」ボタンを1秒以上長押しすると、「フルパワーモード」運転になる。このモードは約5秒間継続し、元のモードに自動で戻る。
運転を停止する際は「自動エコ/切」ボタンを押す。スイッチは2つしかないので、手元を見なくても迷わずに操作できるだろう。
運転時間はモードによって変化する。満充電のバッテリー使用時で、強弱が自動で変わる「自動エコモード」は約20分、「強モード」は約8分、「弱モード」は約30分の連続運転ができるという。
余裕で全室の床掃除がスイスイ捗った!
まず、約20分の連続運転ができるという「自動エコモード」で我が家を掃除してみた。我が家の床の広さは全部で42m2。居室は合計で18畳、このほか廊下、洗面所、トイレの床の広さの合計は3畳強といったところ。畳は無く、全室フローリングで、毛足の種類が異なる絨毯やラグ、フロアマットが敷いてある環境だ。まずは床からスタートした。
「自動エコ/切」ボタンを押すと、吸込力は弱でスタート。ヘッドは自走式なので、軽い力でスイスイと滑るように進んで行く。フローリングから絨毯やフロアマットに進むと、吸込力の強さは自動で切り替わり、ヘッドが毛足にグッと吸い付くのを実感する。それでもマットを巻き込まず、ズレもせず、ヘッドは進んでいく。
フローリングはもちろん、マットに絡んだ髪の毛や目に見えるゴミも、どんどん消えていくのがとても気持ち良い。ヘッド前面からも透けて見える回転ブラシには、微細な汚れを絡め取るという「極細ループから拭きブラシ」が採用されており、その効果がしっかり発揮されているようだ。1、2度ヘッドを往復するだけで、マットに絡みついていたゴミが面白いように吸い込まれていく。
ただし、毛足が1cm以上あるものは回転ブラシが止まって少々手こずる事があった。こんな時は無理をせずに、自動から弱モードに手動で切り替えるのが手っ取り早い。弱モードでもヘッドが吸い込んでいる圧もしっかり感じられ、十分キレイになる印象だった。
掃除機をかけている時にじわじわと実感するのは、本体が軽いのはもちろん、ホース、パイプが軽くてとにかく取り回しがラク! テーブルや椅子の下、さらにTV台の下の隙間(約70mm)もスイスイと掃除できる。スイッチが組み込まれたハンドルを左右どちらかにひねれば、パイプは床に付くほど水平にできるので、厚みが約55mmのヘッドが、TV台下の隙間奥の壁面まで難なく届くのが気持ち良い。
一時停止を自動でしてくれるアイドリングストップ機能も便利だ。ヘッド裏のローラースイッチが床から4秒以上離れると自動で一時停止し、バッテリーの消費を自動的に抑えてくれる。再度ヘッドを床に触れさせるとヘッドのブラシが回転を始め、次に本体のモーターが作動する。このアイドリングストップ機能は、ヘッドを使ったどのモードにも対応している。
また、自動エコモードのセンサー感度は「低め・標準・高め」の3種類、アイドリングのON/OFF設定は2つのボタン操作で変更可能だ。
約7分で、我が家の床全体の掃除機がけは終了した。フローリングはサラサラ、絨毯やマットのゴミも一掃されてとても気持ちが良い。満足の行く仕上がりだ。
バッテリー長持ち! 使い勝手の良いアタッチメントで家具の上もラクラクお掃除
バッテリーが少なくなると、本体のバッテリーランプが点滅に変わるが、床全体の掃除機がけが終わってもランプは点灯したままだった。バッテリーはまだまだOK。ならばと、今度はアタッチメントを使って家具の上などの掃除に進んだ。
ベンリブラシ
ハンドルには、常時折りたたんだ「ベンリブラシ」が付いたままになっている。パイプを外してブラシを起こせば、即座に棚の上の掃除に取り掛かれる。強い吸引力は要らないので、ここからは「弱モード」で運転した。ホース直径が40mm以下で軽いので取り回しもラクチン。棚の上に積もったホコリがブラシで拭うだけでたちどころにキレイになる。
はたきノズル
特にホコリが目立つデスクの上、キーボード、モニター、テレビ画面などは、付属の「はたきノズル」を使用した。ブラシ幅が140mmと広いので一気に進められ、ノズルの角度も変えられるので使いやすい。デスクの上の細々としたものを無駄に吸い込むこともなく、柔らかなブラシを撫でるように動かすだけでサササッとキレイになった。
2段伸縮すき間ノズル
また、「2段伸縮すき間ノズル」は厚みが25mmと薄く、最長480mmまで伸びるので、奥行き300mmの棚の隙間もしっかり掃除できた。
手が届く家具の上のほとんどを掃除するのにかかった時間は約8分。床との時間の合計は15分で、このあたりで本体のバッテリーランプが点滅に変わっていた。
普段ならこれで掃除機がけは終わりにするところだが、バッテリーがまだイケそうなので、ついでにエアコン上とパイプの上も掃除してしまった。本当に軽くてラク。エアコン回りも終わって、ほかに掃除するところはないかなぁと考えている時に、いよいよ電池が切れて停止した。
結果的に、我が家程度の広さ(42m2)ならば満充電のバッテリー1個だけで、足元から頭の上の物まで概ね掃除しきれる事がわかった。そのバッテリーの持ちに驚き、仕上がりも十分満足いくものだったが、さらに驚いたことがあった。
それは、バッテリーが切れるまで20分以上動き回って掃除機をかけたのに、汗もかかず、まるで疲れていないのだ。掃除をした日は室温が25℃、湿度は40%の快適な日だったとはいえ、今まで使っていた重いキャニスター型掃除機だったらこうはいかない。
コードレスを実現するバッテリーは着脱式
なお、バッテリーは着脱式なので、掃除機の保管場所にコンセントが無くても充電できる。
充電時間は約80分とかなり早い印象だ。充電は簡単で、バッテリーを充電器に差し込むだけだ。赤いランプが点灯して充電が始まり、充電が終わるとランプは消灯する。充電中の消費電力は33W前後だった。
充電が済んだらバッテリーを充電器から外し、掃除機本体の後方に差し込めばスタンバイOK。充電が足りていれば、本体のバッテリーランプが数秒点灯する。再充電の際には、バッテリー下のボタンを押しながらバッテリーを抜き取るだけと簡単。サッと再充電ができる。
閲覧注意! 5日間で溜まったゴミの量に驚愕
ところで、ラクティブ・エアは吸引力の目安を表す「吸込仕事率」を特に謳ってはいない。ラクに掃除できるが、実際のところどのぐらいのゴミを捕獲できたのか気になるところだろう。吸引力が落ちた印象もなく、本体表面の「紙パック交換ランプ」も点灯していないが、5日間、毎日運転した紙パックを切り開いて中身を確認してみた。
そこにはなんと、握りこぶしよりも大きい量の綿埃、髪の毛などのゴミがたっぷり獲れていた。さらに、元は真っ白だった紙パック内部表面がグレイに見えるほど、パウダー状の微細なチリがびっしりとついていた。その総量はなんと18g! このレビューのためにあえて10日間掃除機をかけていなかったこともあるが、このゴミの量には驚いた。ちなみに3日目計量時は12gだったことも付け加えておく。
一方、紙パックの表面に汚れは一点のにじみもなく真っ白なまま。セットしていた本体内部に微細なチリも付いていなければ、黒いフィルターもきれいなままだった。また、これほどまでゴミが溜まっていたにもかかわらず、運転中の排気臭はほとんど感じなかった。純正5層構造高捕集紙パックの威力たるやすごい!
溜まったゴミの様子から、たとえ「吸込仕事率」を謳っておらず、モーター音が静かでも、電源コード付きキャニスター型掃除機に負けない高い性能が実感できた。同時にラクティブ・エアを構成するモーター、ホース・パイプの径と長さ、高性能なヘッドと紙パックのそれぞれが、バランス良く一体となった掃除機なのだとつくづく感じられた。
掃除が朝飯前に! 生活習慣が変わるほどラク
キャニスター型の掃除機は、重い本体を引きずり、太いホースや電源コードと格闘し、汗ばむにとどまらず、数分の使用で本体から高温の排気が出てくるため、室温もあっという間に上昇してしまう。夏ならば掃除が終わる頃には汗だくになってしまうのが常で、掃除後のシャワーは必至だった。掃除機がけは気が重い家事の1つだったのだ。
ところがラクティブ・エアはぜんぜん違う! 部屋を移動する度にプラグを挿し直す手間も無ければ、電源コードとの格闘はゼロ。流れを止めずに部屋中くまなくスイスイと掃除できる。しかも、排気は熱くならないので室温も変わらない。掃除が終わった後でもケロッとしていられるほど疲れていない。これは大きな、大きな変化だ!
掃除がラクになると、生活習慣まで変わってしまう。今まで掃除機をかけるのはせいぜい予定の無い休日だった。だがラクティブ・エアは、毎日、起床後すぐに掃除しようという気持ちが沸き起こる。文字通り「朝飯前」にできる、お気楽な家事になってしまった。運転音も今まで使っていたものよりもずっと静かなので、早朝でも近隣や階下をほぼ気にせずに掃除できる。ホコリは就寝後に溜まると言われるので、起床後すぐに掃除するのは理にかなっているだろう。
毎日掃除するようになると、その分ホコリもさほど積もらないので、「弱モード」だけで十分キレイになる印象だ。はたきノズル使用時は、デスク上の紙もほとんど巻き込まないぐらい吸引力は弱いのに、回転ブラシのついた自走ヘッドに変えるとしっかりしたパワーが感じられる。フローリングはもちろん、絨毯やマットに落ちている髪の毛もシュシュッと軽快に吸い込んでいく。
弱モードをメインに選べば、そのぶんバッテリー持ちも良くなる。全ての床と家具の上は起床後にかけ、ついでに「強モード」でベッドマット表面もしっかり吸引。慣れてしまえばここまで10分程度で終わるで、この程度の使用時間なら充電は2日置きでも十分だ。これを毎日繰り返すだけで、部屋は常にスッキリで本当に気分が良い。
時間に余裕があれば、カーテンや壁と床の境目を仕切る巾木の上も、ついでにホコリを取ってしまおうという気持ちが自然と沸いてくるほど、フットワーク軽く楽しくラクに掃除ができる。コードレスで小回りが良く、本体を持ち上げ続けても疲れない掃除機は、億劫になる気持ちもきれいさっぱりと吸い取ってしまったかのようだ。
価格は高く、コードレスなので連続運転時間は最長でも30分という限界はある。とは言うものの、とにかく掃除がラクになること請け合いだ。掃除好きの人はもちろん、掃除が億劫に感じられる人にこそ大いにお勧めしたい。