家電製品レビュー

キャニスターコードレス掃除機ならではの魅力とは!? 東芝「VC-NXS2」でスティック掃除機の不満解消!

 掃除機市場の流行りといえば、充電式のコードレススティッククリーナー。しかし最近はちょっと変わったタイプも台頭してきており、コードレスなのにキャニスター型というモデルもある。これが東芝が発売した「キャニスター型コードレスクリーナー VC-NXS2」で、ご存知の方も多いだろう。

東芝のキャニスター型コードレスクリーナー「VC-NXS2」

 この掃除機、床置きのキャニスター型ながらコードレス。つまりコードをコンセントに差し込まなくても本体をゴロゴロと転がした状態で掃除できるという、ちょっと変わった掃除機。2017年から発売しているが、前のモデルが好評ということで、早くも新商品をリリースした。

 VC-NXS2は1世代前のモデルに比べ、汚れ具合によって吸引力を調整する「おまかせ」モードで使える時間が10分延び、30~40分使えるように改良。コードレススティックの手軽さを持ちながら、充電式の弱点を克服し、床置きのキャニスター型の吸引力と軽さを手に入れた掃除機なのだ。

メーカー名東芝ライフスタイル
製品名キャニスター型コードレスクリーナー VC-NXS2
価格(編集部調べ)91,530円

スティック掃除機の弱点を克服し、それ以上の使い勝手に

 コードレススティック掃除機に注目が集まり出したのは、東日本大震災以降。ちょうどロボット掃除機が注目されたのと時をほぼ同じくする。それまでは机や床をちょっと掃除するハンディタイプの一部がバッテリー駆動だったが、この頃から充電式のスティックタイプが登場した。その火付け役は、いまや誰もが知るダイソンだ。

 それから10年近く経過し、今では掃除機全体の43%がスティックタイプ、それを追いかける形でキャニスターが37%という販売台数になっている。

今や半数近くの方がスティック式を購入しているが、ライオンのアンケート結果を見ると、多くの方が「電池切れ」で悔しい思いを経験しているはず(出典:「2018年上半期 家電・IT市場動向」GFKジャパン調べ)

 そう今やキャニスターよりスティック掃除機の方が売れている。読者の中にもスティックをお使いの方が多いだろう。

 スティック掃除機の利点は、キャニスターのようにコンセントやコードに縛られない手軽さ。さっと出してさっと掃除できるのがポイント。しかしスティック掃除機には、持ってる人には「あるある!」な弱点が3つある。

1)バッテリー駆動なので掃除できる時間が短い
2)モーターが小さいので吸引力が弱い
3)こまめにゴミを捨てないとダストカップが満杯に

 1)のバッテリー駆動時間が短いのは、スティックならではの重量制限のため。大量のバッテリーを搭載して、長時間駆動させることも可能だが、重くて使い物にならなくなっては本末転倒。

 2)も重量制限によるところが大きく、大型モーターを使えないため必然的に小さく吸引力が弱くなってしまう。そのぶんモーターの回転数を上げるという方向に向かっているが、今度は運転音がキンキンと煩くなってしまう。

 3)はお分かりの通り。小型化のためにダストカップが小さい。キャニスターの紙パック式なら1~2カ月、サイクロンでも数週間は溜めておけるゴミは、スティックだと長くても4~5日おきに捨てなければならず煩わしい。

HD25は東芝のスティック掃除機に入っているモーター。右のHD45はVC-NXS2に内蔵のモーター。大きいのでパワフルに吸い込む

 しかしキャニスターなのにバッテリー駆動のVC-NXS2は、スティック掃除機のデメリットを解消。

 床置きなので大量のバッテリーを内蔵し、おまかせモードでも30~40分掃除できる。ゴミがある時には吸引力を自動的に強くし、キレイになると弱くするので、バッテリーの無駄使いが防げる。さらに標準モードなら、最大1時間も運転できる。超丹念に1時間以上お掃除をする方には向かないが、掃除時間が1時間以内の方ならバッテリー切れの心配はない。

 大量のバッテリーを搭載しているが、本体は床置きなので手首にかかる負担は非常に少ない。しかも大型モーターを搭載できるので、吸引力が強く運転音も静かだ。

VC-NXS2は床置き式だから大量のバッテリーを内蔵できる
通常は「おまかせ」モードで運転するといい。吸引力を弱くして掃除できる時間を稼ぎたい場合などは、「標準/強」で標準モードに

 3)のゴミ捨て問題も、VC-NXS2は充電ステーションに圧縮機能つきゴミ回収機構を備えており、紙パック掃除機なみにゴミ捨て不要。なぜなら掃除が終わったあとに本体を充電ステーションに戻すと、掃除機本体に溜まったゴミをステーションのダストボックスが吸い込み圧縮。さらに本体のフィルターを自動的に掃除してから充電を開始するのだ。

VC-NXS2には、充電台にゴミ自動回収&圧縮機能つきのダストボックスが付属

ハンドル部の軽さと自走式ヘッドで壁際までラクラク掃除

 実際に家中を掃除してみると、ハンドル部分はモーターもバッテリーもないので軽々持てる。これぞキャニスターの魅力という感じで、スティックタイプの重さ比較をしていた自分が悲しくなるかも? 試しにVC-NXS2の手元重量を計ってみると、720gという結果になった。

手にかかる重さは720g

 他にも複数のスティック掃除機の手元重量を計ったので、グラフにまとめてみた。

 このグラフを見れば一目瞭然。スティック掃除機はみなVC-NXS2と同じコードレスだが、特にここ1年は吸引力を強くし、長時間運転できるようにする傾向にあった。それに伴い、大型モーターや大容量バッテリーの重さが、そのまま手首にかかってくるようになってしまった。

手元の重量比較

 スティック型で長時間掃除していれば、当然手首や腕に負担がかかり、何分か掃除するたびに“手をブンブン振って”「ふぅ」とため息を繰り替えすことになる。やってる方いません?

 でもVC-NXS2なら、軽いので同じ時間掃除していてもまったく疲れないし、腕も痛くない。なんなら棚の上のお掃除やエアコン、壁を掃除機がけしたって、「ふぅ!」なんてため息はほとんど出ない。本体の取っ手は2箇所に備えられているから、階段や高いところを掃除するときもサッと持ち上げられる。

手元が軽いからエアコンなど上部にあるものも掃除しやすい
本体を持つときに使える取っ手は2箇所あるのでサッと持ち上げられる

 持ち手のハンドルが円を描いているのも、軽く感じられるポイントの1つ。持つ場所が限られないので、どんな身長の人が、どんな場所を掃除しても、手首に負担がかからないよう持つ角度を調整できるのだ。

ハンドルが丸いカーブなので、身長差や高いところを掃除しても、手首に負担のない角度で持てる。スティックと腕が一直線になっている点にも注目!

 ヘッドの取り回しも良く、ハンドルを曲がりたい方向に少しひねれば、自転車のハンドルのように軽く向きを変えられる。

 ハンドルを90度までひねると、高さ6.5cmのすき間にヘッドを入れることも可能。ホコリの溜まりやすい家具の下もしっかり掃除でき、ロボット掃除機が入れない場所にも手が届く。

ハンドルを左右にひねるとヘッドの進む向きを変えられる
ハンドルを90度までひねれば、ロボット掃除機でも入れない、6.5cmのすき間の奥まで掃除できる

 なおヘッドは自走式で、回転ブラシがゴミを掻き出しつつ、ヘッド自体が前に進もうとする。毛足の長いじゅうたんなどは、吸引力が強いと前に押すのに力を込めなくてはならないが、自走式なので吸引力が強いのに楽々押し引きできる。

 ブラシはヘッド全体のギリギリまで配置されており、壁際のゴミまでしっかり吸い取れる。キワにこそゴミやホコリがたまりやすいので、それがグングン吸い込めるのはかなり気持ち良かった。

毛足の長いじゅうたんの掃除でも、押し引きが楽々。自走式ヘッドは汚れを掻き出すだけでなく、じゅうたんの掃除を楽にする
VC-NXS2は壁際のデッドスペースがほとんどなくキレイにゴミが取れる
ヘッドのカバーを外したところ。回転ブラシが前方ギリギリに配置されているのでデッドスペースがない

 運転音が静かなのにも驚かされた。けたたましい掃除機だと、ペットがおびえたり吼えたりするが、この掃除機は静かで、ウチの犬がついて回っていた。排気も広い範囲に向けて出すので非常に弱く、ペットが脇にいても逃げないほどだ。

 その秘密は、先に説明したとおり「キャニスターだから大型モーターとファンを搭載」できるため。モーター自体も静かな上に、本体側の防音もしっかりできるのだ。

排気は穏やかで犬の定吉くんも気にならないほど

絶対欲しい! ゴミ回収機構つき充電ステーション

 今回紹介しているのはVC-NXS2というNXのあとに「S」がつくモデル。このモデルは、充電ステーションにゴミ回収機構が付いたスペシャルモデルだ。

 ただ充電するだけでなく、掃除機に溜まったゴミを自動的にステーションのダストカップに移し、そのゴミを1/5まで圧縮してくれる機能を持つ。さらに掃除を終えるたびに毎回フィルター掃除も自動的にやってくれる。

本体を充電台に戻すと、溜まったゴミは自動的にステーションに吸い取られる

 ゴミを回収するときは、一般的なキャニスター掃除機のような「フォーン!」という音がする。またフィルター掃除では「ガリガリ」という音がするので少し驚くかもしれない。せっかく音が静かなVC-NXS2なので、夜中に掃除したときは一晩置いて、朝になってから充電ステーションに戻したほうがいいだろう。

VC-NXS2のように「S」が付くモデルは、本体のゴミを自動的に充電ステーションのダストボックスに回収し圧縮する機能を持つ。同量の毛と比べるとかなり圧縮されている

 Sがつかない通常モデルは、充電だけするステーションなので、ゴミ捨てとフィルターの掃除は手作業になる。Sがつかないモデルのゴミ捨てやフィルター掃除はこんな感じだ。

 ゴミ回収機能があるか否かの価格差は、20,000円ほど。筆者は断然Sモデルをお勧めする。

Sが付かないモデルはシンプルな充電ステーション。ゴミ捨ては本体からダストカップを取り外してする。フィルター掃除もレバーをゴシゴシとスライドさせる
ゴミ捨ては本体からダストカップを取り出して捨てる
フィルター掃除はレバーを何度かスライドさせてガリガリとやる(写真はVC-NX1)

本体が引っくり返ってもそのまま使える! キャニスターを越える特徴でスイスイお掃除

 バッテリー内蔵なので、もちろんコードやコンセントの煩わしさはない。一般的なキャニスター型は、コードを引っ張り出して、コンセントを差し込む手順が必要だが、VC-NXS2はスイッチONでスグにお掃除。

 電源コードがないので、家具に引っかかってしまったり、物にひっかけて倒してしまうこともない。またリビングの掃除を終えて廊下を掃除するにも、コンセントの差し替え不要。

バッテリー内蔵なので、一般的なキャニスターと違ってコードとコンセントがない。コードがないから、本体にコード巻き取りボタンもなくスッキリ
リビングを掃除していても、家具に引っかかったり、物に引っかけて倒すことがない
廊下を掃除して、階段を掃除してもコンセントの差し替えなし!

 とにかくどこにでも引っ張りまわせるのがコードレスキャニスターの魅力だ。そしてキャニスターを越える特徴が、逆さまにひっくり返っても使えるという点。

 通常なら本体を180度Uターンさせなければならないところでも、本体をひっくり返すだけでそのまま使える。

 つまりこの掃除機には天地がない。そのため車輪の軸上の中央にモーターとダストカップを配置。それを取り囲むように、大型のバッテリーが10本配置されている。加えて大型の車輪なので裏表どちらで走らせても安定して走行するのだ。

狭い部屋でのUターンも、本体をひっくり返すだけなので、物にぶつかったりせず便利

 しかもホースが接続されている前方部分は、少し絞られカーブを描いて車輪に続き、側面はフラットな面になっているので、もし家具などにぶつかっても、掃除機本体は滑らかに進路変更できるようになっている。

家具などにぶつかっても、自然に方向が変わるようになっている

「ごみ残しまセンサー」で汚れが見える! 先端LEDで暗がりが見える

 そして、一度使うと「コレなしに掃除できなくなる」のが「ごみ残しまセンサー」だ。花粉のように目には見えないようなごみでも、床が汚れているとランプが点灯して教えてくれる。完全にごみを取り切るとランプが消えるので、この表示を見ながら掃除すれば今日からお掃除の達人になれる。

 さらに便利なのは、スティックの先についた眩しいぐらいのLED。ソファやベッドの下を掃除するのはもちろん、家具のすき間を掃除するときに、落としたお金が見えたりするので、超うれしい。

 回転ブラシは、フッ素加工が施されたAgブラシで、静電気を抑えつつゴミを掻き出し、プレートで掻き出したゴミを落とすので効率よく吸い込める。フッ素加工のおかげで、ゴミの付着が抑えられている。

ハンドルについている「ごみ残しまセンサー」が光ったらゴミがまだ残っているというサイン。ランプが点灯しない箇所は汚れていないので、サッ! と掃除するだけでいい
パイプの先には眩しいLEDを搭載。暗いところでも明るくお掃除できる

 アタッチメントも豊富で、ふとん用や丸ブラシなどで家中さまざまな場所を掃除できる。またこれらのアタッチメントを収納できるバッグも付属。ちょっとしたことだけどうれしいサービスだ。

ふとん用ブラシ
丸ブラシ
すき間ノズル

ダストカップもフィルターも水洗いOK!

 掃除が終わったら充電ステーションに本体をかけ、ヘッドをステーションのフックに引っ掛ければOK。

しっかり自立するので45cm角のスペースがあればどこでも置ける。掃除機を隠したい場合は、クローゼットの中に入れてもいいだろう

 お手入れは、充電ステーションのダストカップはフィルターも含めて丸洗いできる。またヘッドの回転ブラシも取り外して水洗い可能だ。

充電ステーションのダストカップ一式は全部水洗いOK!
本体側のダストカップ一式と回転ブラシも水洗いOK!
洗った後はよく拭いて日陰干し

 本体側のダストカップも、すべて水洗いOK。充電ステーションにゴミを送り込む機構やフィルター自動掃除機構も含めて水洗いOKという点がスゴイ! ただ本体側のダストカップは、機構が複雑なので、分解・組み立てはしっかりマニュアルを読みながらやったほうがよさそうだ。とはいえゴミが溜まる部分はすべて水洗いできるので、長年使ってもニオイに困ることはないだろう。

 注意したいのはダストカップの取り外し。車輪の脇にあるツマミをスライドするとダストカップが取り出せるのだが、掃除機を横に倒してから行なうこと。

必ず横に倒してから取り出すのがポイント!

 こうしないと、ゴミがたくさん入っているとちょっとこぼれることがある。とはいえVC-NXS2は充電ステーションで自動的にごみ回収されるので、ほとんど本体のダストカップを取り外すことはない。おもにVC-NX2の話だと思っていただきたい。

 なお充電ステーションのダストカップのごみは、1/5まで圧縮されるので、カップをひっくり返せばコロンとごみを捨てられる。

充電ステーションからダストカップを外してポイ!

 なおスマートフォンと同じで長年使っていると、バッテリーが劣化して掃除できる時間が短くなってしまう。コードレス掃除機の中には、バッテリーの寿命=製品の寿命として買い換えるしかないものもあるが、本器はバッテリー交換を依頼できるので、愛着を持って長く使えるのもうれしいところだ。

じゅうたん張りの広いリビングやマンションなどに最適

 スティック掃除機の弱点を克服し、キャニスターの便利さを併せ持つVC-NXS2。スティック掃除機をお使いで、スグに電池が切れてしまって困っている人、なんだかんだ重さが気になって掃除が疲れる人へぜひお勧めしたい。

 とくにバッテリーを消費する、じゅうたんを敷いた部屋には本機が向いている。これまでにないタイプの掃除機だが、その良さは実感できるはずだ。

マルチーズの定吉くんは、掃除機をまったく怖がることなく、むしろ興味深そうに着いて回ってくる
【連動企画】ペットを飼っている人はこちらの記事もチェック!!

家電 Watchでは「キャニスター型コードレスクリーナー VC-NXS2」を紹介したが、ペトハピでは「トルネオV コードレス VC-CL1500」がいかに“ペット家庭向け”なのかを徹底レビューしている。ぜひこちらの記事も合わせてチェックしてほしい。

協力:東芝ライフスタイル

藤山 哲人