家電製品レビュー

歯磨きのモチベーションをあげながら、テクニックもアップ! ソニッケアーの最上位モデル

 今回は電動歯ブラシの中でも高い定評のある、フィリップスの最上位モデル「ソニッケアー ダイヤモンドクリーン スマート」を紹介しよう。

フィリップス「ソニッケアー ダイヤモンドクリーン スマート HX9964/55 (ルナーブルー)」
メーカー名フィリップス
製品名ソニッケアー ダイヤモンドクリーン スマート
型番HX9964/55 (ルナーブルー)
実売価格35,342円

 ソニッケアーでは毎分約31,000回の高速振動と、ブラシヘッドの幅広い振幅で「音波水流」を発生。唾液を利用した液体流動が、やさしく、効果的に歯垢を除去するという。その効果は手磨きの最大10倍の除去力だと謳っている。

 今回紹介するダイヤモンドクリーン スマートは、通常の歯磨き(歯垢除去)はもちろん、歯茎ケア、ステイン除去、さらに舌ケアといった、オーラルケア全般に幅広く対応すべく、それぞれの目的に応じた4本のブラシヘッドがセットになっている。しかも、ブラシヘッドをハンドルに差し込むだけで、自動的に最適なモードと強さが設定される。

 さらに特徴的なのは、専用アプリをインストールした手持ちのスマートフォンで、正しい歯磨き方をリアルタイムにチェックできる点だろう。ブラッシングが不足している箇所を教えてくれるだけでなく、毎日の歯磨きを記録し、個々の目的に合わせたオーラルケアの方法とコツを知らせてくれるのだ。また、ブラッシング時間とブラッシングの圧力を分析・記録し、ブラシヘッドの正しい交換タイミングも算出して知らせてくれる。

歯ブラシと専用アプリが連動し、オーラルケア全般をモニターし、記録してくれる。ブラシヘッドの交換時期も知らせてくれる
ソニッケアー ダイヤモンドクリーン スマートセットの全てのパーツ

 本体サイズは(ブラシを含む)、255×31×28mm(高さ×幅×奥行)で、重さは約140g。グラスとして使える充電器の他、4本のブラシが保管できるスタンドに、USBで充電できるトラベルケースも付属。ハイエンドモデルらしい高い質感がある。

 専用アプリは使う前に手持ちのスマートフォンにダウンロードしておこう。スマホのBluetoothをONにしておき、アカウントを作成してログインし、年齢やオーラルケアに望む事を選択する。登録が終わるまで10分ほどの時間はかかるが、難しいものではなかった。

充電器用グラスはガラス製で、もちろんうがいにも利用できる
グラスにハンドルを置くだけで充電できる。充電時間/使用時間は、約24時間/約2週間(1日2回、2分間使用した場合)。1度充電すれば長期間充電せずに使える
USB充電トラべルケースは、手持ちのUSBアダプターを利用して、ハンドルを充電。2本のブラシも保管できる
各ブラシヘッドにはチップが埋め込まれており、ハンドルに取り付けた時に自動的に最適なモードを選択してくれる
使用前に専用のアプリを手持ちのスマートフォンにDLしておこう。製品のセットアップから登録までに約10分ほどかかる
Gmailのアカウントもログインに利用できる(左)。入手方法、年齢、ケアで望むことなどもここで登録できる

アプリは複数のブラシヘッドも自動的に認識。スムースにスタートできる

 ダイヤモンドクリーン スマートは、スマホのアプリを使って自分の歯磨きをリアルタイムにチェックできるが、アプリの登録さえ済んでいれば面倒な手間は要らない。スマホの専用アプリを立ち上げ、ハンドルを手にするだけで表示ランプ等が点灯してアプリと連動が始まり、アプリには歯磨きの開始画面が表れる。

 初期設定での口腔内の歯磨きの順番は、右上奥歯→上前歯→左上奥歯→左下奥歯→下前歯→右下奥歯と、口腔内を一周して磨くよう設定されている。もちろん好みに合わせて、開始場所はアプリの「設定」で変更できる。

 また、ハンドルにブラシヘッドを取り付けるだけで自動的に最適なモードと強さが設定されると先に述べているが、アプリも同様だ。ブラシヘッドに合わせたモード画面が、ハンドルの電源を入れた時に表示されるのでこちらも煩わしさがない。

ハンドルを握ると表示が点灯して浮かび上がり、自動的にスタンバイ状態になる(左)。アプリを立ち上げてしばらくするとハンドルを認識し、自動的に歯磨きの画面に切り替わる
設定画面で歯磨きをする開始場所が設定できる。自分のクセに合わせるといいだろう
アプリに開始画面が表示されていてブラシヘッドを変えても、ブラシヘッドに合わせたモードでスタートできる

目的に合わせてブラシヘッドを選ぶ

 実際に歯磨きを始める前に、各ブラシの目的と、自動設定されるモード及び、時間などを説明しておこう。強さは、電源ボタンの下のモードボタンを運転中に押せば強・中・弱と設定が変えられる。また、ソニッケアーの振動に慣れるよう、初心者向けのイージースタート機能も設定できる。

それぞれの歯ブラシと舌磨きの様子。ブラシは目的に合わせて硬さや幅、形状など異なっている。ブラシの土台はゴム素材で柔らかい
C3「プレミアムクリーンブラシヘッド」

 ブラッシング合計時間は2分間。歯垢をしっかり落とす「クリーンモード」が設定される。推奨の強さは「強」。通常のブラッシングモードだ。

W3「プレミアムホワイトブラシヘッド」

 「ホワイトプラスモード(white+)」が設定される。やや硬めのブラシが、2分かけて歯全体のステイン(着色汚れ)を落としたあと、さらに20秒ずつ上下の前歯の表面の磨き時間が加わる(合計2分40秒)。

G3「プレミアムガムケアブラシヘッド」

 歯磨きと歯茎のマッサージを重点的に行なう「ガムヘルスモード」が設定される。歯垢をしっかり落とす2分間の通常の歯磨きの後に、奥歯とその歯茎の境目にやさしい刺激を与える振動が1分20秒加わる(合計3分20秒)。推奨の強さは「強」。

T1「舌みがきブラシヘッド」

 舌に付く汚れを落とす「舌磨きモード」が設定される。使い方はヘッドの凸凹部分を舌にあてて前後に動かし、口臭の原因となる舌苔を掻き落とす。1回につき20秒で運転が自動停止するが、アプリはさらに2回続ける事を促し、合計60秒かけて汚れを落とす。推奨の強さは「弱」。

 いずれのモードも、20秒間隔でビープ音がハンドルから鳴り、ブラシを移動するタイミングを知らせてくれる。アプリはハンドルからのビープ音が鳴る前に、次にどの箇所を歯磨きするか、前もって表示してくれる。

ハンドルはブラシヘッドを差し込むだけで、自動的にモードと強さが選択される
運転中に電源ボタンの下のボタンを押せば振動の強さが変更できる。その強さは記憶される
ブラシをセットすると、各モードによって磨く時間、磨く経路がセットされる。カウントダウン時計とその周りの円で磨く場所がビジュアル化される
舌磨きの画面。20秒毎に自動停止→うがいを3回繰り返すように促される

 それ以外に、ブラシヘッドの種類に関わらないモードとして「ディープクリーンプラスモード」もある。このモードは、ブラッシング合計時間が3分で、各所30秒ずつ時間をかけ、歯茎に刺激を与えながら歯垢を落とすモードで、ハンドルの「モード・強さボタン」を押し、手動のみ選択できる。

 ただし「ディープクリーンプラスモード」は、C3、G3、W3のブラシヘッドの種類に関わらないモードのため、アプリは対応していない。アプリを立ち上げたままだと「クリーンモード」と認識されてしまうため、磨き時間が2分になってしまう。これは惜しいと感じた。

「ディープクリーンプラスモード」のみ手動で選択する。ブラシヘッドの種類に関係なく、各所30秒ずつ、合計3分かけてゆっくり磨ける。アプリは停止しておく

口腔内清掃状態を示す指数は2%! 効果的なオーラルケアを実感

 レビューにあたり約3週間、毎日ダイヤモンドクリーン スマートをメインに歯を磨き続けたところ、素晴らしい結果が得られた。歯磨きがきちんとできているか、一月半ごとに歯医者さんでチェックを受けているが、口腔内清掃状態を示すプラークコントロールレコード(PCR)で2%を達成できた! 一般的にPCRは20%以下を目標としていることから、2%は相当良い結果と言えるだろう。

約3週間「ダイヤモンドクリーンスマート」をメインに使い続け、歯医者さんで磨き残しをチェックしていただいた。PCR値は2%の好成績が得られた

 4種類あるブラシヘッドの使い方は、起床後はC3のクリーンモードで歯磨き後、T1 で舌磨き。就寝前はC3のクリーンモードとW3のホワイトプラスモードを1日置きに変えて磨き、やはりT1で舌磨きを繰り返した。C3のクリーンモードの日はG3のガムヘルスモードも併用して歯茎へのマッサージも行った。加えて、歯磨きのたびに、手持ちの歯間ブラシやフロスは欠かさず、マウスウォッシュの仕上げも毎日積極的に行なった。

 1回の歯磨きに要する時間は5~10分程度かかるが、良好なプラークコントロールが実現できていたようだ。ステインも沈着せず、歯茎が腫れやすい箇所も落ち着いており、気持ち良い毎日が続いている。良好なPCR率も得られたのはとても嬉しい。

 また、ブラシヘッドの土台はゴム素材でできているので、歯茎へのあたりも柔らかく、振動が強くても使い心地が良いのは印象的だった。

ダイヤモンドクリーンスマート以外に、手持ちの歯間ブラシとフロス、マウスウォッシュも毎回使用して得られた成績だ

なにコレ、よくわかんない! 最初は相当イラついた専用アプリ

 結果的にも良いブラッシングができるようになったが、最初からできたわけではなかった。説明書にはブラシの歯への当て方や、口腔内を6つのエリアに分ける説明はあっても、アプリには詳しい説明書が同梱されておらず、使い始めはとにかく要領がつかみにくかった。

慣れないとブラシを動かしすぎたり、押し付けすぎると警告画面が表れ焦る。最初は磨き残しが目立つ酷いものだった(右)
ブラシを歯と歯茎に対して約45度を保たないと、アプリは正しく磨けていると認識してくれない
常に正しくブラシを当てるよう意識する
押し付け過ぎの時は、ハンドルの下部も光って知らせてくれる

 やや長くなるが、アプリの仕組みをここで少々説明しよう。

 舌磨き以外の歯ブラシモードは、歯磨きをスタートするとアプリ中央にカウントダウンが表示され、指定されたエリアを20秒単位で磨くよう促される。磨くにつれ、グラフィック化された歯の側にラインが表れ、青く表示された歯が徐々に白へと変化し、キレイになったことを知らせてくれる。歯にブラシを当てる角度を、アプリはリアルタイムで検知しているのだ。

 だが、ブラシの角度が適切でないとラインも表れず、表示される歯も白くならないまま時間がどんどん過ぎてしまう。もたついているとあっという間に20秒が過ぎ、有無を言わさず次のエリアへ進まなくてはならない。ブラシの動かし過ぎや押し付け過ぎで警告が出ることもあり、使い始めはかなり焦りまくってしまった。しかも、磨いた後に表れる評価も悪く、そのままアプリに記録されてしまうため(記録消去ができない)、正直最初は相当イラついてしまった(笑)。

スタート前に歯磨きを始める位置が示される(左)。歯ブラシが適切に当たるとラインが表れ、青い歯が徐々に白へと変化する(中)。青い歯が白くなりきらなくても進まなくてはならず、焦る

 それでも数回のイライラを乗り越えていくうちに、コツが掴めるようになった。ブラシは歯に斜め45°に当てるようにキープし、ゆっくりとエリア内だけを移動させる。するとアプリに表示される歯が青から白へと淀みなく変わるのがわかった。慣れるほどに、20秒以内にエリア内の歯の外側、内側、上部、最奥のキワをうまく采配できるようになった。

 便利なのは、磨き残しがあっても全エリアを磨き終えた後、仕上げみがきと称した「タッチアップ」という追加の歯磨きが自動的にスタートする点だろう。タッチアップはアプリが終了しても自動停止はしないので、ハンドルは手動で止める。アプリが表示する磨き残しのエリアが終わったら、気になる所を追加磨きしてもよい。

 すべてキレイになると歯磨きモードが終了し、評価画面が表示される。慣れる前はせいぜい 「ほぼ清潔」だったが、使いこなせるようになると「とてもきれい」と表示されるようになり、嬉しくなってしまった。また、評価の後に、フロス、マウスウォッシュ、舌磨きを促すチェック画面も表れるので(非表示も設定でできる)抜かりのないオーラルケアが続けやすい。

ある程度の磨き残しはちゃんとフォローしてくれる。2分(クリーンモード)の磨き終了後、タッチアップ画面に切り替わり、磨く時間がアプリ上に追加される(中央)。再スタートして磨き残しをキレイにしていく
初期の頃の評価(左)。慣れてくると、歯磨き後の評価が上がって表示される(中央)。磨き終わるまでにかかった時間も表示される(右)

 全てが終了すると、「続けていきましょう!」と励ましのメッセージが表れ、今度はアドバイスと評価が示されたプログレス画面に切り替わる。バーチャルとはいえ、やはり褒められるのは気分が良いものだ。歯磨きへのモチベーションも自然とあがる。

 前述のとおり、歯医者さんに客観的にチェックしていただいて、良好なPCRの結果が得られたことは、正しい歯磨きは実現できていたと断言できる。その点から、アプリの信用度はかなり高いと言えるのではないだろうか。

歯磨き評価の後に、フロス、マウスウォッシュ、舌磨きを促すチェック画面が表れる。それぞれを実行し、チェックする(舌磨きはブラシを付け替えてスタートすればよい)
全て終わると励ましのメッセージが!(左) 初期の頃はまだ磨き残しが舌前歯の裏に残った(中央)。ちゃんと歯磨きができれば褒められる(右)

オーラルケアを効果的に続ける仕掛けも満載

 毎日のブラッシングは、アプリの「プログレス」画面で確認ができる。

 歯ブラシの違いによるモードに関わらず、歯磨きの結果は「1日2回、2分間の歯磨き」の項に集約される。この結果は編集できないので、自分の生活を見直すのにも役に立つだろう。

 舌磨きはアプリを立ち上げてT1を使えば、こちらも自動で記録される。歯間ブラシやフロスの「歯間」、マウスウォッシュのチェックは、ブラッシング後の評価に表れるチェックが反映される(こちらは編集可)。

アプリの下の「プログレス」をタッチし、歯磨き、歯間、マウスウォッシュ、舌磨きの各項目をタッチすると、それまでのオーラルケアの実行日が確認できる
日々記録されるオーラルケアの様子を利用して、各項目毎に「目標」が設定できる。期間は3週間。最初の頃の項の成績は悪かった(中央)。慣れるにつれ進捗状況が改善した(右)

 ユニークなのは、日々蓄積されるオーラルケアのデータは、アプリの「目標」の項で活用する仕組みがあることだ。目標は「さわやかな息」、「健康な歯ぐき」、「歯垢除去」、「ホワイトニング」の4種類で、3週間のオーラルケアの様子から分析される。回数と質が充実するにつれ表示される結果が上昇し、質の高いケアを続けるモチベーションも刺激される。

 さらに、磨き残し、出血、歯茎の下がり、虫歯など、個々の口腔内の状況に応じ、エリアの強調表示もできる。歯医者さんのチェック後、問題のあったエリアを強調しておけば、日々忘れずに意識的なケアができるだろう。

 記録されるのは歯磨きだけにとどまらず、ブラシヘッドの状況も記録される。ブラシヘッドを使った回数と押し付けから、交換するタイミングを分析、確認ができるのは便利だ。

「フォーカスエリア」(画像左)をタップして、エリアごとに気になる場所を強調設定すれば(中央)、気になる所を歯磨き画面に反映できる(右)
4種類のブラシヘッドの消耗状況もアプリで確認できる。「詳しく見る」をタップすると、交換するヘッドの品番や取扱店の情報も表示される

 確実なPCRはできるが、気になる点もあった。特にアプリを使用する場合、20秒毎に1エリアへブラッシングを施す設計上、歯並びが良くない方、補綴物やブリッジが多い方、矯正中の方など、時間内に収まらない事も十分に考えられる。数ある電動歯ブラシの中で、本体も替えブラシも特に高価なので、購入前に十分な検討が必要だろう。

 とは言うものの、自宅で客観的なチェックが評価として表れるので、なかなか上手に歯磨きができない人のブラッシングテクニックの向上にかなり役立つのではないだろうか。また、頻繁に歯医者さんでPCRチェックやクリーニングに通えない方にも、第三者の目を持つ心強いオーラルケア製品としておすすめできる。

 口腔内のケアを徹底的に実施できる製品として、購入を検討してみてはいかがだろうか。

アプリの設定画面から、ハンドルの状態が確認でき、ファームウェアのアップデートもできる

藤原 大蔵