e-bike試乗レビュー
初心者もレンタルe-bikeで参戦可能!! e-MTBのレース「ENS-e」を走ってみた
2021年4月30日 08:00
e-bikeにはいろいろなタイプがありますが、そのメリットを一番体感できるのは山道(トレイル)を上ったり下ったりするe-MTBだと思っています。アシストがあるので、普通なら押し歩きしないと上れないような激坂も乗ったままクリアできますし、最近のフルサス(前後にサスペンションを装備)モデルなら、下りもガンガン行けるのでめちゃめちゃ楽しい。トレイルでもコースでも走るのは楽しいのですが、楽しみ方の幅をもっと広げたいなと考えているところに、e-bike部の清水氏から1本の電話がかかってきました。「e-MTBだけのレースがあるんですけど出ませんか?」とのこと。詳細は聞かないまま、即答で「出ます!!」と返事をしていました。
楽しい下り区間だけでタイムを競うレース
参戦を決めてから、レースの詳しい情報を調べてみました。参戦するのは「ENS-e」というエンデューロレース。「ENS(エンデューロ・ナショナル・シリーズ)」は従来からシリーズ開催されているエンデューロレースですが、e-MTBオンリーの「ENS-e」は今回が初開催となります。開催場所は茨城県のダイナコパーク。トレックやスペシャライズド、ファンティックのレンタルe-MTBも用意されていたので、今回はそれを借りての参戦です。自分でe-MTBを持っていなくても参加できるなんて最高ですね。
MTBのレースといえば、上りでも頑張ってタイムを短縮しなければいけないようなイメージがあるかもしれません。しかし、エンデューロレースというのはタイムを競う区間と移動区間に分かれていて、タイムを競うのは基本的に下りの区間なので、上りを頑張る必要がありません。移動区間の上りもe-MTBなら体力を使わないので、下り区間に集中できることも体力低下が気になるおじさんにはありがたいレースフォーマットです。
しかも、ENS-eには「ファーストタイマー」という初心者向けのクラスが設けられており、このクラスの参加者にはレース前に走り方などのレクチャーが用意されています。エンデューロレース参戦もダイナコパークを走るのも初めての筆者には心強い限りです。
レース当日。会場に到着してみると、すでに多くの参加者が集まっていました。もちろん、すべてe-MTBです。これだけ多くのe-MTBが揃っている機会はなかなかありません。しかも、レンタル車両を除けばすべて個人オーナーの所有車ですからね。これだけe-MTBを楽しんでいる人たちがいたのかと感動すらおぼえました。
レンタルe-MTBを受け取って受付でゼッケンをもらいます。エンデューロレースはタイム計測区間のスタート時間が1人ずつ決まっているので、その時間をゼッケンに記入しておきます。移動に時間がかかってしまったりして、その時間に間に合わないとペナルティが加算されるシステムですが、今回の移動区間は短かったので、遅れる心配はなさそう。
車両の準備ができたらコースの試走時間。「ファーストタイマー」クラスの参加者は、この時間にレクチャーを受けることができます。最上位のAAクラスに参戦するライダーの三上 和志選手が、e-MTBならではの坂の上り方からコーナーの曲がり方まで、丁寧に分かりやすく教えてくれて、とても勉強になりました。
レクチャーが終わっても時間があったので、コースを試走。AAクラスのライダーでダイナコパークの管理人でもある内嶋 亮選手が作ったコースはテクニカルな部分がありつつも、難し過ぎないので気持ち良く走ることができます。タイム計測区間を走るためには、結構な激坂を上る必要があるのですが、e-MTBだとあまり疲れずに上れるので、何度も上ってチャレンジできるのが最高です。本番に向けて体力を残しておくとか考える必要もないので、ついついたくさん走ってしまいました。
いよいよ本番!! 果たして結果は!?
試走だけでお腹いっぱいになるくらい走れましたが、本番のレースはこれから。といっても、参加者に緊張している感じはありません。レースに来ているというより、同じコースに遊びに来た仲間といった雰囲気。時間になると名前がコールされ、ひとりずつコースに向かって行きます。一斉スタートではないのも“競い合い”という雰囲気にならない理由のひとつかもしれません。
計測区間も、ひとりずつ1分置きにスタートするシステムなので、前のライダーに詰まってしまうようなことはありません。自分の走りに集中できるので、ライバルは自分のみ。練習で何度も走りましたが、本番はまた違った適度な緊張感があります。
順位は3つの計測区間のタイムの合計で決まります。この日はそれを午前と午後の2回走れるので、合計6回タイム計測があることに。普段、トレイルを走ってもタイムを計測することなんてないので新鮮でした。
ただ、これまでMTBに乗っていてタイムを測ったことも縮めようと思ったこともないので、どうやってタイムを短縮すべきかがわかりません。特に、下りは“せっかく上ったのだから、できるだけ長く楽しみたい”と思っていたので、どうすれば速く走れるのかさっぱり……。とりあえず、朝のレクチャーで教わったことを思い出しながら午後も楽しんで走ることにしました。
朝のレクチャーから練習走行。そして、レース本番とたっぷり走れましたが、レース後には試乗もできるということでスペシャライズドの「LEVO SL」に乗ったりして、結果発表を待ちます。
結果は……、頑張ったつもりでしたが、1つ順位を落として3位。でも、表彰される順位なのでかなりうれしい。初参戦としては上出来な順位でした。
初めて参加したエンデューロレースでしたが、レクチャーや練習走行も含めて非常に楽しい時間を過ごせました。トレイルを走るのは好きだけどレースはちょっと……と思っている人でも、ひとりずつタイム計測する形式なので自分の走りに集中できますし、参加者同士もライバルという雰囲気はなく、一緒に遊びに来た仲間のような感覚なので、きっと楽しめると思います。
特にe-MTBは入手したけど、一緒に走る人がいないというような人は、e-MTB仲間に出会えると思います。レース会場はオーナーズミーティングのような雰囲気もありましたが、そこはe-bike好きの集まり。レンタルe-MTBでの参加者もあっという間に溶け込んで楽しんでいました。筆者も次回も絶対参加したい!! と思っていますので、ぜひ一緒に走りましょう。