家電は共働き家庭を救うか!?

手っ取り早く美肌になりたい。煩悩の塊に美顔スチーマーはどこまで効くのか

息子が中1のときに初めて結婚した著者が、家電偏差値35ながらに、時短家電を使いこなす日々を綴ったコーナーです

 世の中には、いくつになっても見た目に手を抜かない女性も多いですが、私は年齢と美・ファッションへの投資が分かりやすく反比例したクチです。30代半ば以降は人目への意識が急降下、そして室内が暖房で乾燥していても加湿器も使わず、ありのまますぎる自分になってしまいました。

 気を抜きまくったつけが回ってきたのは、この2年ほどです。友人が撮ってくれた写真を見ると、目じりのしわがスマホの液晶に広がったひびのようになっている。そのうち顔が割れるんじゃないの? と思うくらいに。洗面所の鏡に映った自分の顔は許容できるのですが、意識していないときに撮られた自分の姿がこそが「不都合な真実」だと気づきを得ました。

「スマホ画面のひびのようなしわ」に悪あがき

 「スマホ画面のひびのようなしわ」を自覚した2018年、私はあがき始めました。1万円オーバーのしわ改善美容液を買ってみたり、ポー〇のエステを試してみたり。

 そしてエステで肌診断を受けたとき、「しわはお客様が気にされているほど深くはないです。それよりしみの方が心配ですね」と言われ、それ以来頬に広がる肝斑も気になりだしました。

 パナソニックの美容家電を使ったエステサロン「Panasonic Beauty SALON 銀座」にも足を運び、そこでも「しわより、しみやくすみの方が数値が悪い」との結果を告げられました。自分ではドン引きするような目じりのしわも、年相応ということなんでしょうか……。

 パナソニックのサロンではさまざまな美容家電を試してみました。もちろん1度使っただけでは効果はよく分かりません。帰り際に「1つだけ買うとすればどれですか?」と尋ねたところ、スタッフさんは「肌の基礎力を上げていく、土台をつくるという意味で、肌に潤いを与えることが重要です」とスチーマーを勧めてきました。

 それから数カ月、高級化粧品をラインでそろえるか、エステのコースを契約するか、はたまた美容家電か、迷った末に2019年1月2日、自分へのお年玉としてパナソニックのナノケア スチーマー「H-CSA99-P」を購入しました。ヨドバシカメラのオンラインショップで、価格は約38,000円ほどでした。現在は後継機種「EH-SA9A」が発売されています。

メーカー名パナソニック
製品名ナノケア スチーマー EH-CSA99-P
購入価格約38,000円(2019年1月当時)

「蒸しタオル洗顔」の代替に

 スチーマーの使用法はとても簡単でした。タンクに水を入れ、「クリア肌」「ハリ/弾力」「皮脂ケア」などのコースから選んで、スタートを押すだけ。コースによって出てくる温スチームと冷スチームのバランスが変わります。時間がないとき用に7分で終わるコースもありますが、ほとんどのコースの所要時間は10~13分です。

 美容家電は夜に使う人が多いイメージですが、私は午前の化粧前に使っています。午前中はだいたい自宅で調べものや執筆をしているため、家族が出掛けた後や仕事の休憩などで、タイミングを見つけやすいこと。そして、自宅で仕事をしていると、気づけば午後までパジャマということもあるため、スチームをあてることで、オンモードへの切り替えを図れるからです。

色々コースがありますが、冬は温スチームが長く出るコースを使っています

 そして私はスチーマーを洗顔代わりに使っています。メーカーの想定とは違っているかもしれない。だいぶ前、著名メイクアップアーティストが、乾燥肌の女性向けに「蒸しタオル洗顔」を推奨していました。洗顔料で顔を洗う代わりに、レンジで蒸したタオルを顔に乗せることで、油分を保持しながら肌の汚れを落とすというやり方です(気になる人はググってみてください)。

 私もかなりの乾燥肌なので数度チャレンジしました。しかしレンジで蒸しタオルを作るのは洗顔よりも面倒くさいわ、タオルを顔に置いている数分だけでも退屈してしまうわで続きませんでした。

 けれど、スチーマーをあてれば蒸しタオルと同じなのでは? と、スチーマーを使った後にタオルで顔を押さえて仕上げています。夏と冬では顔の蒸れ具合に差が出ますが、良い感じです。

使い続けていることが価値の証明

 さて、使い続けて肌の調子はどうなったのか。これが一番大事なところですが、当然ですが。しみが薄くなるとか、しわが目立たなくなるというようなことはありません。

 パナソニックの商品サイトには、使用前と使用後で肌の水分量がこれだけ上がります、というデータも掲載されているのですが、私は水分測定器を持っていないので、実際のところは分かりません。この辺はまさに、「肌感覚」なのでしょうね。

スチームがたっぷり噴霧される

 だいたい私は、写真の中の自分を見たり、エステのスタッフさんに指摘されるまで、しわやシミにも気づかないくらい鈍いので、ちょっと肌の調子が良くなったくらいじゃ分からんわい! と開き直るとこのレビューの意味が根底から否定されてしまう、すみません。とは言え、この1年目立った肌トラブルはありません。乾燥との戦いになりがちな冬も、普段通りの化粧品で過ごせています。

 そして、ちょっと面倒なことは全く続かない私が、この1年ほぼ毎日使い続けられているということは、少なくとも価値のある買い物だったと考えています。スチーマーを使っている時間が、自分にとって気持ちの良いひとときであり、しかもその間にニュースをチェックしたり、テレビを見られるので、時間を捻出する負担感がない。取扱いも簡単です(これ大きいですね)。

使用後はウォータータンクの水と、本体に残った水を捨てて収納。細かい汚れや水垢は、専用の掃除道具や綿棒でさっと掃除しています

継続の要因は効果より手軽さかも

 想定外のこともありました。夫が興味を持ちだして使うようになったのです。私は、夏は温スチームと冷スチームが交互に出る「クリア肌」、冬は温スチームメインの「バリア肌」コースを使っていますが、夫は冷スチームの頻度が高い「皮脂ケア」コースを、お風呂上がりに使うのがお気に入りです。

 その様子を見ながら、「2人で使えば、元が取れるのも早いなあ」(何をもって元を取るというのか、微妙なんですが)とほくそ笑んでいたのですが、実は夫は3カ月で使わなくなりました。元々暑がりなので、気温が上がってくると温かいスチームが不快になってきたようです。一度離れると、再び冬が来ても手を出すことはありませんでした。

 私は肌の老化にそれなりに悩んでおり、手っ取り早く「手をかけているという安心感」を得たい。だからこそスチーマーを使い続けられるのかもしれません。けど夫にはそういうニーズはなかったのでしょう。そういえば夫は、結構な値段の育毛剤を使っており、私にも「君も頭皮が見えるから、僕の育毛剤を使った方がいいよ」と勧めてくるのですが、私は数日使ってやめました。

 美容やアンチエイジング商品は、「老化への抵抗」が目的であり、劇的な効果が期待できるものではありません。私も夫もそれぞれの持つ不安感、コンプレックスに対し、「自分なりに対処している」という安心感を求めており、さらに私の場合は相当なずぼらなので、手軽さや快適さがないと続けられないんだろうな。

 なので、昨年の誕生日に夫から「スチーマー気に入っているみたいだから、何か美容家電プレゼントしようか」と言われたときに、丁寧にお断りし、靴を買ってもらうことにしました。自分にとってスチーマーは、最良にして十分な選択だったと気づいたので。

使わないときは収納棚のアイロンと同じ場所に片づけています

浦上 早苗

新聞記者歴12年。2010年に小1の息子を連れ中国に博士留学。その後現地での大学教員を経て2016年に帰国。息子が中1のときに初めて結婚し、シングルマザー生活に終止符を打つ。フリーランスで経済ジャーナリスト、翻訳、MBA教員など。公私ともに何でも一人でやってきたので、効率化とマルチタスクは得意分野ですが、家電偏差値は35くらい。取扱説明書を読む時間ももったいないので、直感で動かせる電気製品、デバイスであるかは購入の重要な決め手。 息子に、「公式戦のユニフォームと練習用のズボンとはだしで超ダサい」と言われた写真。