家電は共働き家庭を救うか!?

カレーとご飯が同時に作れるツインシェフは「ロックダウン」生活の救世主になるか

息子が中1のときに初めて結婚した著者が、家電偏差値35ながらに、時短家電を使いこなす日々を綴ったコーナーです

 新型コロナウイルスの流行で子どもの学校が休校になり、阿鼻叫喚となった皆さま方、いかがお過ごしでしょうか。息子が通う高校も期末試験2日前に休校が決まりました。その瞬間、教室はサル山と化したそうです。

 期末試験の勉強から解放されただけでなく、部活もなくなった息子。部活は、春休みも再開されないことが決まり、この数週間、昼近くまで起きてきません。そして起きてくるなり「ご飯は何?」。

 朝昼混在したご飯を食べ終わったら、「夜ご飯は?」。時間があるならせめて昼か夜ご飯を自分で作ってほしい、と思ったときにふと頭に浮かんだのが、二つの鍋で炊飯とおかず作りが同時にできるという「ツインシェフ」でした。

見た目のインパクトが大きすぎるツインシェフ、思ったより場所も取らない
メーカー名オークローンマーケティング
製品名ツインシェフ
実売価格19,800円(税抜)

 数カ月前に家電 Watchでこの商品の写真を見たときは、そのビジュアルの強烈さに何かのギャグかと思ったのですが、外食しにくいこのご時世、電器鍋(電気釜?)は多いに越したことはないんじゃないか。そして、ホットクックで何度か料理を作ってくれた息子に調理家電を与えれば、簡単な料理くらいやってくれるんじゃないか。そんな打算から、ツインシェフをお借りすることにしました。

ビジュアルのインパクトに男たちが大騒ぎ

 この商品の最大のウリは、機能ではなくてやっぱりビジュアルだ。

 改めてそう思ったのは、商品が到着し、中身を確認した我が父(72歳)のテンションの上がり方が尋常じゃなかったからです。父は「2つの釜でご飯を同時に炊きたい」と言い出し、10分もしないうちに実行に移しました。

 父のような使い方は想定していないと思うのですが、到着したツインシェフの写真をSNSに投稿したところ、「ご飯を時間差で炊けるの?」とか「味の違う炊き込みご飯を同時に炊きたい」というコメントが寄せられたので、父の発想は特別なものではなかったようです。

 さらに、帰宅した夫もツインシェフを見るなり「何これ?」と興味を示しました。ホットクックにもロボット掃除機にも無反応だった夫が、W鍋のインパクトに目を奪われたのです。

仕上がりは満足も、調理3時間はちょっと長い

 ツインシェフの使い方は簡単です。鍋に米や食材を入れ、調理メニューを選択してボタンを押すだけ。メニューの種類は一見豊富ですが、「炊飯」「玄米」「炊き込み」などご飯関連が半分を占めます。

 最初のおかずとして、私はローストビーフに挑戦してみました。塩コショウした牛肉ブロックとワイン、玉ねぎをビニール袋に入れ、水が入った鍋に投入します。調理メニューの「手動」を選びで「3時間、57℃」に設定して「OK」ボタンを押します。調理が終了したら表面に焼き色をつけて完成です。

ローストビーフとご飯を同時に作ってみた

 仕上がりはこんな感じ。

レシピ通りに作り、なかなかの仕上がり

 色、味ともに満足ですが、調理自家「3時間」というのは長く感じました。調理終了後は鍋からすぐ出す必要があるので、少なくとも調理開始と終了時は自宅にいないといけないし、だったらもう少し時間のかからない方法があるよなあというのが正直な感想です。

 次にスープも作ってみました。内蓋がちょっと汚れましたが、こちらもおいしく仕上がりました。ただ、野菜スープは火を使ったら15分くらいでできるので、わざわざツインシェフを使う必要もないかな。ローストビーフに続き、こちらも微妙な感想になってしまいました。

スープもおいしくできましたが、内ぶたが汚れるし、手間で言えばガス火の方が楽だと思いました

カレーとご飯を同時に作ってみた結果

 私が家電に求めることは、「合理化」と「時短」です。ツインシェフはご飯とおかずを同時に調理できるのですが、煮込み料理やスープだと、ガスレンジを使った方が時間としては早いので、必ずしも時短になっているとは言えません。

 じゃあ、ほかにどういうメリットがあるか。火を使わないので、子どもに料理をさせやすいというのが、個人的な意見です。まさに休校で暇を持て余す子どもの自立を促し、時間も潰せる一石二鳥ツール。

 ということで、子どもに実際カレーとご飯を作ってもらいました。

 午前中に材料をセットしてもらい、昼ごはんのタイミングで私がルーを入れてご飯とカレーのボタンを一緒に押します。

左側がカレー、右側がご飯。材料をセットして、ボタンを押すだけ

 ネットでは、カレーとご飯を同時に作ると、カレーがご飯ゾーンに浸食するとの情報もあったのですが、問題なくできました。よい点としては、ご飯、カレーがほぼ同時にできあがります。

カレーはこんな感じ。ネットで噂になっている、「ルーがご飯に浸食」は発生しませんでした

 そして気を付ける点。うちは息子が高校生なので、全ての工程を任せっきりにしていたのですが、突然キッチンから悲鳴があがりました。何と、釜をセットしないでツインシェフに水と野菜を投入し、かなりひどい水漏れが発生していました。普通の炊飯ジャーなら絶対にやらないようなミスですが、斜め上のビジュアルが故に起きた悲劇です。

鍋のセットを忘れて水を投入。掃除に追われる息子

息子にケーキも作ってもらった

 さらに息子をそそのかし、おやつ作りにも挑戦してもらいました。ネットで見つけた「豆乳と蜂蜜のシフォンケーキ」のレシピを渡し、ハンドミキサーもアマゾンで買って準備万端です。

 下準備30分、生地を鍋に入れ調理メニューの「ケーキ」を選んで調理開始。シフォンケーキのようなふわふわ感は全く感じられませんが(どちらかというとパウンドケーキの食感)、家族のおやつには十分なスイーツが完成しました。

シフォンケーキのつもりができたのはパウンドケーキ。しかし美味でした

1日2回ご飯を炊く時期は便利

 私は、と言えば専ら炊飯に使っています。子どもの休校で、昼、夜と2度ご飯を炊く日もあり、鍋が2つあるのは何にせよ便利でした。場所も思ったより取らず、元々炊飯器を置いていたスペースで足りています。

 ただ一つだけ、理解できないことがありました。それは、炊飯のときの残り時間が表示されないことです。ご飯が炊きあがった後の保温経過時間は分単位で表示されるのに、あとどれくらいでご飯が炊けるのかは分からない。炊飯を始めるとき時間をきちんと見ていないと、おかずの仕上げをするタイミングが分からなくなります。

保温や他の料理のときは時間が表示されるのですが、炊飯だけは残り時間が分からず、不満点です

 また、ツインシェフには蒸しプレートが2つ付属しており、最大4つの料理を同時に作れるのですが、この原稿を書くまで蒸しプレートの存在は忘れ去っておりました。普段蒸し器を使っていないですしね。もしかしたら離乳食を作るのには役に立つかもしれません。

 私が住んでいる東京では、ロックダウン(都市封鎖)も現実味が増し、九州から上京して家事を手伝ってくれていた父も、「コロナ怖い」と帰ってしまいました。まさに今のような、自炊メインで家族皆が自宅にこもっている状況では頼りになるツインシェフ。お子さんが小さくて料理に興味を持っているなら、カレー、シチュー、ケーキのローテーションでお手伝いしてもらうという使い方もできそうです。

浦上 早苗

新聞記者歴12年。2010年に小1の息子を連れ中国に博士留学。その後現地での大学教員を経て2016年に帰国。息子が中1のときに初めて結婚し、シングルマザー生活に終止符を打つ。フリーランスで経済ジャーナリスト、翻訳、MBA教員など。公私ともに何でも一人でやってきたので、効率化とマルチタスクは得意分野ですが、家電偏差値は35くらい。取扱説明書を読む時間ももったいないので、直感で動かせる電気製品、デバイスであるかは購入の重要な決め手。 息子に、「公式戦のユニフォームと練習用のズボンとはだしで超ダサい」と言われた写真。