スマートスピーカー使いこなし術

実は簡単! スマートスピーカーをより自分仕様にできる「IFTTT」を使ってみよう

 連載第5回まではスマートスピーカーやスマートスピーカーに対応した家電を紹介してきましたが、今回はスマートスピーカーと連携することで便利に使えるWebサービス「IFTTT(イフト)」の使い方を紹介します。

そもそも「IFTTT」とは

 これまでも何度か名前を紹介したIFTTTは、WebやIoT機器を結ぶ中間的な役割を担うWebサービスです。名称は「IF This Then That」の略称で、直訳すると「もしこれならば、そのときはこうなる」という意味です。

 具体的には下記画面のように、「IF This Then That」のThis部分とThat部分にそれぞれWebサービスやIoT機器を割り当てることで、2つのサービスや機器を連携することができます。このうち、連携の元となるThisの部分を「トリガー」、トリガーを受けて動作するThatの部分を「アクション」、トリガーとアクションを設定した一連の動作を「アプレット」と呼びます。

IFTTTの設定画面。thisとthatに割り当てたサービスを連携

 対応しているサービスや機器は非常に多く、SNSやWebメール、天気予報、カレンダー、オンラインストレージなどさまざまなサービスと連携できるほか、位置情報やバッテリー残量といったスマートフォンの機能と連動することもできます。

 また、これまで紹介してきたスマートライト「Hue」やスマートコンセント「HS105」、ルンバといった家電製品も、IFTTTを使ってコントロール可能です。

対応サービスの一部

 現在国内で展開されているスマートスピーカーはいずれもIFTTTに対応していますが、それぞれIFTTTへの対応方法が異なるため、対応サービスごとに紹介します。

 なお、IFTTTで連携する場合、実際にはハードというよりもハードが搭載するAIアシスタントと連携することになります。Google Homeの場合は「Google アシスタント」、Amazon Echoは「Alexa」、Clovaは「Clova」を指定してIFTTTでの連携を行ないます。

カスタマイズ性が最も高い「Google アシスタント」

 最も自由度が高いのがGoogle Homeが搭載する「Google アシスタント」です。種類としては4つと少なく見えるかもしれませんが、いずれも好きなフレーズをトリガーとして自由に設定できます。

 まずはIFTTTにログインし、画面右上の「New Applet」からアプレット作成画面を表示します。最初にトリガーを設定するため「this」をクリック、「google」と検索して候補の中から「Google Assistant」を選ぶと、下記のトリガー選択画面になります。

Google アシスタントの設定画面

 一番最初の「Say a simple phrase」は最もシンプルな動作で、特定のフレーズを発声するとスマートスピーカーが動作します。例えば「おはよう」と言うと部屋の電気が付く、という場合に使います。

 2番目と3番目は数字かテキストかという違いはありますが基本的な動作は同じです。2番目の「Say a phrase with a number」は、「エアコンを28℃にして」といったように、数字を直接指定したい時に使います。3番目の「Say a phrase with a text ingredient」は、「『おやすみ』というメッセージを送って」といったように、特定のフレーズを使いたい時に使います。

 4番目の「Say a phrase with both a number and a text ingredient」は、テキストと数字を両方扱いたい時に使います。今回はこの機能を使い、Google スプレッドシートと連携して買い物リストを作ってみることにします。

 一番最初の「What do you want to say?」は、発声するフレーズを入力します。入力方法は英語で説明が書かれていますが、「$」が登録したいフレーズ、「#」が数字になります。今回は買い物リストを作るので、「買う予定 $ # 個」というフレーズを入力します。

「Say a phrase with both a number and a text ingredient」の設定画面

 その次の入力欄「What's another way to say it? (optional)」「And another way? (optional)」は、同じフレーズを別の表現で登録できる補助的な項目です。例えば自宅の照明をコントロールする設定で、照明を「ライト」「電気」と言っても通じるようにしたい場合は、この項目を使ってそれぞれのフレーズを登録しておくことで、「照明を消して」「電気を消して」「ライトを消して」というどのフレーズでも動作するようになります。

 「What do you want the Assistant to say in response?」は、正しく動作したときにGoogle Homeがなんと発声するかを設定できます。利用頻度が高かったり、就寝時に使う設定の場合はフレーズが長いと邪魔な場合もあるので「はい」などと短いフレーズで動作したことだけ確認できるようにしておくと便利です。最後の「Language」は「Japanese」を選択してトリガーの設定は終わりです。

 続いて「that」をクリックしてトリガーを設定します。「google」と検索して「Google Sheets」を選択します。

 Google Sheetsでは2つの動作を設定できます。「Add row to spreadsheet」は新しい行を追加していく機能で、「Update cell in spreadsheet」は特定のセルを更新する機能です。今回は買い物リストを作りたいため、「Add row to spreadsheet」を選択します。

Google スプレッドシートの設定画面

 最初の「Spreadsheet name」は、すでに作成済みのシートがあればその名前を入力します。まだシートを作成していなければ自動的に作成されるため、今回は空にしておきます。

「Add row to spreadsheet」の設定画面

 2番目はスプレッドシートへの記入方法です。最初から記入されている記号の意味は以下の通りです。

 {{CreatedAt}}: 記入した時間
 {{NumberField}}: 数字(Google Assistantで「#」で指定した箇所)
 {{TextField}}: テキスト(Google Assistantで「$」で指定した箇所)
 |||: セルの区切り(記号の左と右が別のセルになる)

 初期設定で入力されている「{{CreatedAt}}|||{{NumberField}}|||{{TextField}}」は、「日付 | 数字 | テキスト」という順番でスプレッドシートに記入する、という意味になります。今回は数をわかりやすくするため「日付 | テキスト | 数字」と表示されるように「{{CreatedAt}}|||{{TextField}|||{{NumberField}}}」と順番を入れ替えて入力します。

 最後の「Drive folder path」はスプレッドシートを保存するフォルダーの設定です。何も設定しなければ「IFTTT」フォルダーに保存されますが、特定のフォルダーに保存したい場合はここにフォルダーのパスを入力します。

 実際に動作したスプレッドシートがこちらです。Google Homeにはショッピングリストという標準の買い物リスト機能がありますが、こちらは数字を扱えるため、より詳細な管理が可能です。また、スプレッドシート側で関数を組むことで、数を合計したり、特定の商品の数だけを表示するという応用も可能になります。

「買う予定 トマト 3個」と発声すると「トマト」「3」がそれぞれ記録された

 今回は一番設定が複雑な方法で紹介しましたが、発声したフレーズをGoogle スプレッドシートに記入するだけでも便利です。思いついたことを話しかけてメモを作ったり、寝る前の日記を音声でつけたり、家で飲んだアルコールの量を記録したりと、アイディア次第でさまざまな連携ができるのがGoogle HomeとIFTTT連携の醍醐味と言えるでしょう。

設定項目は多いがカスタマイズ内容は限られる「Alexa」

 Amazon Echoが搭載する「Alexa」は、Google Homeと同じく音声操作をトリガーにできますが、カスタマイズ性の高いGoogle Homeに比べるとできることが限られています。

 「New Applet」から「alexa」と検索すると、Alexaで登録できる機能が一覧表示されますが、この中で好きなフレーズを使って操作できるのは「Say a specific phrase」のみです。その他の機能はToDoリストやショッピングリスト、音楽などAmazon Echoの機能と連動して動作する仕組みになっています。

Alexaの設定画面。項目は多いが好きなフレーズを設定できるのは1つだけ

 「Say a specific phrase」の設定方法はGoogle アシスタントとほぼ変わりませんが、Google アシスタントのように複数のフレーズを登録することはできません。また、音声操作についてはかならず「〇〇をトリガーして」というように、必ず「トリガーして」というフレーズが必要になるほか、動作したときの応答は「IFTTTに送信します」という固定フレーズになります。

「Say a specific phrase」の設定画面

アクションとして通知を設定できるClova

 Google アシスタントとAlexaがどちらもトリガーとして設定できるのに対し、Clovaはトリガーではなくアクションとして登録します。Google HomeとAmazon Echoは「話しかけることでWebサービスを動作させる」という連携ですが、Clovaは「Webサービスの動作をClovaで知る」という逆の流れになるのです。

 設定できる内容は「Post message to Clova」という1種類のみで、Webサービスの通知を受けて指定したフレーズをClovaに読み上げてもらうことができます。今回はサンプルとしてGmailと組み合わせ、「特定の人からメールを受け取ったらClovaに通知する」というアプレットを作成してみます。

 始めにトリガーとしてGmailを検索し、「New email in inbox from」でメールを受け取ったら通知したいメールアドレスを設定します。続いてアクションとして「clova」を検索、「Post message to Clova」を設定します。

トリガーにGmailを選択、「New email in inbox from」で特定のメールアドレスからメールが来たときに動作するよう設定

 Clovaの設定はトリガーに設定したサービスに合わせて入力されているので、基本的にはそのまま「Create action」で構いません。また、「Add intelligent」から、読み上げる内容を追加することもできます。

Clovaの設定。メールの件名がそのまま通知される

 なお、Clovaで受け取った通知は自動で読み上げられるわけではなく、「Clova お知らせを教えて」などと話しかけると通知の内容を読み上げてくれます。また、読み上げてくれる内容は最大3件で、4件以上の通知は省略される点に注意しましょう。

三者三様のIFTTT連携、活用したいならGoogle Homeがお勧め

 3つのスマートスピーカーのIFTTT連携を紹介しましたが、IFTTTとの連携が最も充実しているのはGoogle Homeです。好きなフレーズを設定できるだけでなく、特定の数字やテキストを指定して操作できるなど、アイディア次第でさまざまな連携が可能です。

 Amazon Echoの場合、「トリガーして」と発声しなければいけないため、あまり自由にフレーズを設定できません。その他の機能もショッピングリストが更新されたら通知するといったように、あくまでAmazon Echo向けのサービスがメインとなっており、IFTTT連携はその補佐的な役割に留まっています。

 Clovaはトリガーではなくアクションとして設定するため、音声で操作するというスマートスピーカー的な使い方ではないことに加え、自動で読み上げてくれるわけではなくこちらから内容を聞かなければいけないという制限はありますが、家族へのメッセージを留守電的に使う時には便利でしょう。ClovaのWebサイトではIFTTT連携のサンプルもいくつか紹介されているので、こちらも参考にしてみてください。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。ライター以外にも家電ベンチャー「Shiftall」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝