そこが知りたい家電の新技術
声だけで家電を一括操作! わが家のスマートホーム化が想像以上に簡単だった
2018年2月16日 07:00
スマートホームという言葉をよく聞くようになった。家にある家電や電化製品がインターネットにつながり、一括してコントロールすることで、ユーザーが1つ1つの家電に触れたり操作をしなくても、自動で最適に動いてくれる住まいのことだ。
こういった革新的な話は、築10年のマンションのわが家には無縁だと思っていた。しかし、そんなわが家でも簡単にスマートホーム化できるサービスがあるという。ケーブルテレビのイッツ・コミュニケーションズが提供する「インテリジェントホーム(以下、iH)」サービスだ。
うちでも使えるなら使ってみたい! そう思ったが、ネックになるのがWi-Fiやアプリの設定だ。スマートホーム化するには、いくつものデバイスをWi-Fiとつなげたり、アプリを設定したりしなければならないようだが、私はこれが本当に苦手。難しい・簡単の問題ではなく、苦手意識が強すぎて頭が受けつけないのだ(笑)。
こんな私でも使いこなせるのだろうか……。不安と期待が入り交じりつつ、使わせてもらうことにした。
「サポートチケット」付きで、設定まるごとお任せできた!
サービスを利用するには、まず「スターターキット」を購入する。付属品やサービスの内容に応じて数種類あるが、私が利用したのは「スターターキット タイプA」。セット内容は、ホームゲートウェイ本体に、IPカメラ、ドア・窓センサー、家電コントローラーの4点だ。
メーカー名 | イッツ・コミュニケーションズ |
---|---|
製品名 | intelligent HOME Starter Kit type A 設定サポートチケット付き |
価格(編集部調べ) | 79,800円(税抜) |
「これを設定するのは大変だろうな……」とさっそく気が重くなっていたら、「サポートチケット」なるものを付属したセットがあった。なんとこれを使えば、担当者が自宅に来て、必要な設定を行なってくれるという。
これはありがたい! 価格は13,000円ほど上がるが、これだけで導入のハードルは格段に下がる。私ももちろん、サポートチケット付きを選択し、設定はお任せすることにした。
これらがどのように働くのかピンと来ないが、とにかく設定してもらおう。ここから先はすべて、サポートスタッフの方が行なってくれるので、こちらは見守るだけでOKだ。以下、設定の手順を箇条書きにする。
1.iHアプリと「iRemocon Wi-Fi」アプリをダウンロードする
2.iHアカウント仮IDと仮パスワードを取得する
3.ホームゲートウェイを接続する
4.デバイス(ドア・窓センサー、IPカメラ)を追加する
5.家電コントローラーを接続する
これらの手順は、セットアップガイドに書いてあるものの、私のように苦手意識が強いと、途中から説明書に何が書かれているのか分からなくなってくる(笑)。つくづくサポートをお願いしてよかった……。
ちなみにホームゲートウェイは、Wi-Fiルーターの電波が届き、各デバイスの中心に設置するのが望ましいという。わが家では、リビング・ダイニングの入り口にあるコンセントを使用することにした。また家電コントローラーには、エアコンとテレビのリモコン情報を覚えさせ、「iRemocon Wi-Fi」でも操作できるようにしていた。
iHをどのように使いたいかを考える
次は、デバイスの設置だ。まずはドア・窓センサーをどこに設置するかを考えた。防犯的な意味合いを考えれば、玄関かバルコニーの窓か……。迷ったが、まずは玄関に設置することにした。
続いて玄関に動作があったら何をするか、インテリジェントホームアプリで設定する。具体的には、玄関ドアの開閉時、または開いた時か閉まった時のいずれかの動作があった場合に、ビデオや写真を撮る、メールを送信する、エアコンのオンまたはオフ、照明のオンまたはオフが選べる(照明の操作は、対応スマートライトのほか、家電コントローラー経由で赤外線リモコン対応のシーリングライトなども操作可能)。
これはなかなか悩みどころだ。一人暮らしなら、外出先から帰って玄関を開けると、サッと照明とエアコンがついてくれたら、便利だしうれしいかもしれない。しかしわが家のように家族がバラバラの時間に出たり入ったりする場合、最後に家を出た人のドア開閉に反応して、消えていたエアコンや照明がついてしまう可能性もある……?
そこで今回はシンプルに、開閉があった場合にスマートフォンに知らせる設定にした。LINE@で友達になれば、LINEに通知が来るようにできる。こうすれば、外出先からでも家族の帰宅が分かるし、誰もいない時間にセンサーが働いたら、異常を察知することができる。
続いてはIPカメラの設置だ。わが家は犬を飼っているので、留守番中の様子を確認したいと思い、犬が日中過ごしているリビングが見渡せる場所に設置することにした。ちなみに、玄関が映る場所に設置して、ドア・窓センサーが玄関の開閉を検知したら写真やビデオを撮る、という設定をすれば、防犯カメラとして役立つようだ。
ここまでの設定で、玄関ドアが開閉するとスマートフォンに通知が来たり、IPカメラに映る映像をスマートフォンで見られるようになった。
“通るだけ”でエアコンとテレビが消せる!!
ここから先、オプションのモーションセンサーを使えば、さらにスマートホームの本領を発揮することになる。簡単にいうと、センサーの前を通るだけで、家電のON/OFFが自動でできるようになるのだ。
製品名 | 広域モーションセンサー | 狭域モーションセンサー |
---|---|---|
価格(編集部調べ) | 7,538円(税込) | 7,538円(税込) |
そこで、どのような使い方をすると便利か、想像してみた。とりあえず自分のルーティンを考えると、朝起きたら、まずリビングのエアコンとテレビをつける習慣がある。なので、リビングに入っただけで両方ついてくれたらうれしいかも。
スタッフの方にそう伝えると、エアコンの設定はすぐにできるけれど、テレビの操作はiHアプリ上から行なえないため、「IFTTT(イフト)」というサービスを利用することになるという。
ど、どういうこと? 一瞬混乱してしまったが、とりあえず「IFTTT」というアプリを使えば、iHアプリで操作できる範囲を超えて家電が操作できるようになるらしい。ここから先は任意設定のため、自分で行なうことになるが、とりあえずIFTTTをダウンロードし、「狭域センサーが動作を検知したら、エアコンをつけてテレビをつける」という設定をした。
ちなみに、この狭域センサーはキッチン入口付近に設置しようと考え、センサーの名前を「キッチン入口」とした。
ちなみにIFTTTでテレビの設定ができるのは、先ほどiRemoconアプリにリモコン情報を覚えさせたため。ほかにも赤外線を使ったリモコンで、あらかじめ登録されているメーカーのものであれば、同じように設定できるようになるという。
ただ、問題があった。エアコンは、動作を停止する、または暖房を◯℃に設定、冷房を◯℃に設定など、細かく設定する。それに対し、狭域センサーとの連携設定では、テレビは電源のON/OFFしか選べない。つまり今テレビがついていたら消え、消えていたらつく、と、どちらになるか分からないのだ。
何はともあれ設定完了! さっそく試してみる。
リビング入口に設置した狭域センサーに手をかざすと……エアコンとテレビがついた!! 初めて体験したときは、まるで魔法のようで感動!! 快適だ。
ちなみに今回、広域ではなく狭域センサーを使うことにしたのは、広域だと広い範囲の動作を検知するため、誰かが少し動いただけで反応したら困ると思ったからだ。設置場所も、通りすがりに手を伸ばさないと届かない場所を選んだ。広域センサーは、外出中に不審な動きがないか、確認したいときに向いているという(その際は、アプリを外出モードにする)。
使い始めると、もうなくてはならないほど便利だった!!
なんとなく言われるがまま設定し、いざ日常生活で使い始めたら、これが予想以上に便利だった。まずドア・窓センサー。今のところは、単に開閉を検知したらスマホに通知してもらうだけだが、家族の動きが分かるのはかなり安心だ。
たとえば夫に車で迎えに来てもらうとき、家を出たタイミングがわかれば、それに合わせて待ち合わせ場所に行ける。また、子どもの帰宅時や塾に出かける時間にドア開閉の通知があれば、きちんと家を出たみたいだな、と安心できる。
あるとき、息子が家を出るべき時間になかなか出た様子がなく、私も電話をかけられる状況ではなかったのでIPカメラをチェックしたことがある。すると、家の中をバタバタと走り回って何かを探している様子(笑)。大丈夫かな、と心配していたら、やがて姿が消え、開閉の通知が来たのでホッとした。
ただ息子も小学校高学年なので、四六時中見守っている必要はない。見るのはもっぱら、愛犬の様子だ。長時間留守にするときは、寂しがっていないか気になって見てみるのだが、たいていは寝ているので安心する。
この2つのデバイスは、使い始めたら、もうなくてはならないほどすっかり暮らしになじみ、わが家にとってありがたいサービスだった。
モーションセンサーはライフスタイルに合わせてルールを変える
一方、モーションセンサーもおもしろかった。とにかく朝は、手をかざすだけ。夕方、家に帰ったときも手をかざすだけ。それだけで、エアコンとテレビがパッとついてくれる。なんて便利なんだろう。
ただし、エアコンはついてくれるだけで消えてはくれないので、結局消す時にはスマホのアプリかリモコンを使わなくてはいけない。テレビはついていたら消えてくれる。これでせっかくの快適さが中途半端になってしまった。
またある時は、うっかりとセンサーが動作を検知してしまい、意図せずテレビが消えて家族からブーイングを浴びせられることもあった(笑)。
う〜ん、どうしたら便利に使えるかな……と考えたところ、そうか、センサーをもう1つ使えばいいんだと思い立った。つまり1つは「つける」専用、もう1つは「消す」専用にするのだ。
消す専用の設定をするにあたり、設定方法の確認のため、サポートに電話してみた。そこで、いろいろ相談していた中で、「そういえば、寝室の枕元にセンサーを置いて、寝る前にすべてを消す、という使い方をされている方もおられます」と教えてもらった。
なるほど! それは便利だ。ちなみにわが家の寝室は、玄関の側にあるので、寝室の入口近くにセンサーをつけたら便利に違いない。そうすれば、寝る前に消し忘れてもリビングまで行く必要がなく、家を出るときに一斉に消すという使い方もできる。
このやり方が大当たり!! 今までのように「あれ? 消したっけ?」と、せっかく履いた靴を脱いで確認に戻る面倒がなくなったのは助かる。
Google HOMEとiHを組み合わせれば、声だけでエアコンとライトが消せる!
ちなみにiHは、いち早くGoogle HOMEとも連携している。Google HOMEとは、あの「OK、Google! ◯◯して」というだけで、天気やニュースを読み上げたり、調べ物をしたり、家電を操作したりしてくれる音声アシスタント搭載スピーカーだ。
iHを使うことで、Google Homeから家電コントローラーを経由してエアコンのON/OFFや、温度設定ができたり、ライトをつけたり消したりすることができる。さっそく連携し、エアコンの操作をしてみた。
ちなみにわが家では、いわゆるスマートライトであるフィリップスのHue(ヒュー)を使用しているため、iHが用意するスマートライトは使用しなかったが、こちらもGoogle Homeで操作できる。
そこで便利な使い方として、あらかじめiHで「外出モードになったらエアコンを消す」「外出モードになったらライトを消す」という設定にしておけば、「OK、Google! 外出モードにして」と一言言えば、エアコンとライトを同時に消せるのだ。
スマートホームの暮らしが自然に回り始めた
さて、試行錯誤を繰り返しつつ、使い続けること2週間、iHがある暮らしにも慣れ、様々なモードを設定することで、いろんな使い方ができることがわかった。そこで、2週間経ったわが家の使い方をご紹介したい。
【田中家のある1日】
1.朝6時に起床。狭域センサーに手をかざし、テレビとエアコンをつける
2.「OK、Google! リビングの電気をつけて!」と言って照明をつける
3.夫、子どもが次々に出かけていく際、ドア・窓センサーから通知
4.私も仕事で外出。愛犬がどう過ごしているか、カメラでたまにチェック
5.iHアプリで室内の温度もチェック。温度が下がっているようだったら設定温度を上げる
6.ドア・窓センサーが2回反応。子どもが帰宅した後、塾に向かった模様。よしよし
7.夕食後、食器をキッチンに運ぶついでに、狭域センサーを反応させ、テレビをつける
8.夜、寝る前にセンサーでエアコンとテレビを消し、音声で照明を消しておやすみ〜
スマートホーム化で、家族の快適と安心を
スマートホームというと、聞き慣れない人には難しく感じるかもしれない。私自身、使い始めるまでは正直、何が何だか分からなかった。しかし今回、設定をお任せしたり、分からないことは相談できたおかげで、スムーズに使い始めることができた。
使い慣れると本当に便利だ。なにしろ、日常の自然な動作の中で、家電を操作できるのだ。しかも、エアコンひとつつけるにも、iHアプリ、モーションセンサー、Google Homeによる音声操作など、複数の方法で操作できる。さらに家族の様子をさりげなく見守ることもできるようになり、大きな安心が得られた。
ここから先、各アプリを上手に連携させてルールを決めていけば、もっと賢く、快適な使い方ができそうだ。こうした個々のライフスタイルに合わせたオーダーメイドの使い方ができるのも、iHの魅力といえるだろう。
今後、さらに普及が進むであろうスマートホーム。いち早く導入して、その快適さを体験してみてほしい。