ぷーこの家電日記

第595回

里芋料理とえば芋煮! 味マルジュウで簡単美味しい!

11月中旬の朝。まだ爽やかな秋空という感じで最高に気持ちが良い季節だと思っていたけれど、自転車を漕いでいたら、今季初めて「手が冷たい! 手袋が欲しい」となった。もうそろそろ本格的な冬がやってくる。本当に秋が短くなったなぁ。

そんな短い秋の真っ只中、週末に家庭菜園の畑で里芋を掘った。春に芋を植え付けて、夏を越え収穫の季節。里芋を育てるのには、たくさんの水が必要なのだけど、今年の夏は1カ月近く雨が降らなかったりして、水が足りないのではと心配だった。

畑は、家から車で1時間ほどかかる場所にあるので、仕事をしている平日は水やりにも行けない。猛暑の中、水やりは週に1回と、完全にスパルタ栽培。さらに、今年はセスジスズメの幼虫が発生して、里芋の葉っぱをバリバリと食べていた。放っておいたら里芋の葉っぱが丸裸になるくらいの大食漢の、おどろおどろしい模様の幼虫である。虫とか幼虫とか何年経ってもぜんぜん慣れなくて、半泣きでギャーと叫びながら処理したりして、なんとか秋を迎えた。

収穫の季節だ。あと1~2週間おいてもいいかもと思ったのだけど、冬の畑準備がぜんぜん進んでいない上に、ピーマンや唐辛子がまだ非常に元気で片付けもできず、もうこれからそんなに育つこともないだろうし「ま、いっかー」の気持ちであまり期待できない里芋を掘ってみた。

いざ掘ってみると、全く期待していなかったのにとても良い大きさに成長した里芋が、ゴロゴロとたくさん土の中から出てきて歓喜。今年の里芋は大成功すぎる! 1人で小躍りしながら重たい里芋をたくさん持ち帰ったのであります。

夫婦2人だけでは食べきれない量だったので、少しずつだけど5人にお裾分けをして食べてもらうことに。そして我が家も里芋三昧。

里芋を収穫したら、まず食べたいのが芋煮。芋煮といえばご存知、山形の郷土料理である。福岡県出身の私は芋煮という存在を30歳を過ぎるまで知らなかった。上京したのが30歳と遅めだったのだけど、夏によく一緒にバーベキューをしていた、東北出身の友人に「寒くなってきたし、そろそろ芋煮会したくない?」と言われて、「芋煮会? 何それ!」と、「いもにかい」という、耳に心地よい響きにめっちゃ興味を持ったのを覚えている。

外で大鍋で煮た芋煮の美味しさったら最高だったし、とても温まった。我が家で里芋といえば煮っ転がし的な煮物が主流で、あとは豚汁に入れたりコロッケにしたりだったけれど、それ以来、私にとって「里芋といえば」の料理1位は、完全に「芋煮」になった。

ただ、芋煮初心者で、なおかつ山形にいまだ行ったことのない私は、芋煮を作るたびに思った……「この作り方で合っているのか?」と。でも答え合わせのしようがないのだ。「だいたいこんな感じだろう」で、そのまま何年も来てしまったけれど、味噌汁同様に各家庭で少しずつ味が違うものだろうし……まぁいっかー。

いちおう私の中の「正解」は農林水産省のホームページ内の「うちの郷土料理」コーナーのレシピということにしている。国がじきじきに「これが芋煮ですよ」と言ってくれているのだから、これがきっと郷土料理としての正解で基本的なレシピなのだろう。

農林水産省 うちの郷土料理「山形県 芋煮」

それでも「これで良いのだろうか?」から抜けられないままだったけれど、数年前に問題は解決した。山形の友人が「そんなもん味マルジュウを入れとけば良いんだよ!」と教えてくれて、味マルジュウというだし醤油のような醤油風調味料を送ってくれたのだ。

東北の味に馴染みがない私は、東北へのイメージだけで「しょっぱくないかな?」なぁんて思いながらちょっと舐めてみると、ぜんぜんしょっぱくない! これがめちゃくちゃ美味しいのだ。何にでも合うし、出汁の風味で、ちょっと甘め。九州の醤油の甘みとも違うのだけれど、九州人にも絶対に合う味で、美味しい!

そして味マルジュウを使うと、本当に簡単にあっという間に芋煮ができるし、本場の調味料で作った芋煮なので、自信を持って「これが芋煮です」と言えるようになった。

ありがとう友人。ありがとう味マルジュウ。それ以来我が家には必ず、味マルジュウがある。Amazonなどでも買えるけれど、有楽町にある山形のアンテナショップでも買えるので、無くなったら自転車でピャーっと買いに行く。「鴨ネギ」に対して、「里芋マルジュウ」っていう言葉があっても良いくらいに合うので、ぜひ寒くなった今、里芋と味マルジュウで簡単美味しい芋煮をお勧めしたい!

なぁんて書いていたら、芋煮論争に巻き込まれて怒られそうなので、断っておく。毎年SNSで盛り上がる芋煮論争は、私も知っている。牛肉&醤油味なのか豚肉&味噌味か。論争に参加するほどには、「これが芋煮だ!」という確信もこだわりも持っていない私だけど、ネイティブな芋煮ラーではない私が豚肉と味噌で作ると、ただの豚汁に仕上がってしまうため、我が家においては醤油ベースで牛肉を使って作ったものが「芋煮」で、味噌ベースで作るときは「里芋入り豚汁」ということにさせてもらっている。

内陸部の牛肉の芋煮が日本海側の庄内地方に伝わる際、養豚業が盛んな地域だったので豚肉が使われるようになり、豚肉により合うように味噌を使い始めたのではないかと言われているらしい芋煮(諸説あり)。なので、どちらも本物でどちらも美味しく、別々に進化することを選んだキャベツとブロッコリーみたいな関係なのではないだろうか、なぁんて思っている私なのでありました(例えが分かりづらい!? キャベツもブロッコリーもなんなら観賞用の葉牡丹でさえ、最初はみんなケールから進化したのである)。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。