ぷーこの家電日記

第431回

カルビーのポテトチップスを育ててみた

母の日は毎年お花とお菓子、父の日は新鮮な海産物を送るのが習慣になっている私。先日の父の日には壱岐のサザエとアワビを送ったら非常に大はしゃぎして喜んでくれた。もう3年近くも帰省していない福岡の実家。元気なのはありがたいけれど、それでももう両親ともに70代中盤。今年の夏は、できることならば帰省したいなぁと思っている。夏休みまであと2カ月弱。今年の夏をとても楽しみにしている今日この頃だ。

さて、今年ちょっとした話題になったポテトバッグで、じゃがいもを育てた。ポテトバッグはカルビーポテト株式会社と株式会社プロトリーフが共同開発したじゃがいも専用の培養土で、見慣れたポテトチップスのうすしお味を思わせる様なデザインのバッグに、じゃがいも用の培養土が入っている。種芋には別売の「ぽろしり」を。ぽろしりは油加工(ポテトチップス)用にカルビーが開発した、まさにポテトチップス用に作られポテトチップス用に育てられた品種である。なので、これまでは販売されていなかったのだけれど、今年はポテトバッグとともに一般販売デビュー! もう見た目だけでワクワクするこのポテトバッグの発売に、絶対に欲しい! と飛びついたのであーる。

このポテトバッグ、育てながら(と言ってもほぼ放置 笑)、その商品企画の凄さにめちゃくちゃ感動した! 普段、家庭菜園などしていない人にも簡単に収穫までの成功体験を約束してくれるように設計されているのだ。

まずは普段家庭菜園をしてない層の心へも届く、パッケージデザインと品種。「カルビーのポテトチップスを芋から育てて食べられるよ」ってそれだけで「面白そう!」ってなる。芋が育てられるキットと言うよりも、カルビーのポテトチップスを自分で作れる体験自体が、商品化されたのだ。

そしてコンパクトでどこでも育てられる大きさ。マンションのベランダで立って邪魔にならない程度の大きさの袋に、結構小さめの種芋2個。1個ではなく2個植えられるように、それがしっかりと育つのに十分な大きさで、なおかつ最小に……と、結構何度も試作したんだろうなぁとか想像すると、何だかグッと熱い気持ちになる。

そしてコンパクトなだけじゃなくて、非常に軽い! 培養土は土ではなくココヤシピートとハスクチップを主原料に作られている。芋が健やかに育つだけじゃなくて、とても軽いし何よりも普通ゴミに出せるのだ!

気軽にとプランター栽培を始めた時に、1番の問題は土の処分方法だったりする。多くの自治体では土や砂や石なんかはゴミとして回収してくれないのだ。かといってどこにでも放棄して良いわけではない。土の処分が面倒なので、面白そうだけれど終わった後の処理を考えると躊躇するという人も多い中、栽培し終わったらゴミで捨てられる、このポテトバッグの培養土の価値は大きい!

育て方にも非常に工夫が感じられた。種芋は袋の一番底に植えると説明書に載っているんだけれど、じゃがいも育てたことがある人は逆に「そんなに深く植える!?」と一瞬驚いてしまうと思う。でも実際に説明書通り、一番深くに植えて育ってきた時に「なるほど! もしかして!?」と感心してしまった。

まずは芽が出始めた時。普通のじゃがいも栽培でも「逆さ植え」という方法があるのだけれど、切った種芋の、芽が出ている方を下にして植えると、土の重さに逆らって芽を伸ばさなきゃいけないものだから、弱い芽は伸びきれず、強い芽だけが伸びてくるのだ。多くの芽が出た時、通常は「芽かき」という“出た芽を間引く”作業が必要なのだけれど、最初に選抜された芽だけが出てくるので、芽かき作業が軽減または不要になるのだ。

このポテトバッグも種芋を一番底に植えることによって、逆さ植え同様、強い芽だけが出てくるので芽かき作業が不要で、誰が育てても上手くいく放置栽培が実現できるのではないかと推測して「凄い!」って思った。さらに、じゃがいもは上に上にと芋がついていく。芋が太陽に当たるとソラニンなどの毒素ができて緑になる。じゃがいもは芽の部分だけじゃなくて緑になった部分も食べてはいけない。なので、成長に合わせて芋が地上に出ないように土を被せる「土寄せ」という作業が必要になるのだけれど、一番底に植えることによって、地上に出てくる芋がないので、この土寄せ作業も必要ないのだ。

「楽しそう!」と、気軽に簡単に育てられるのに、裏では緻密に入念に開発されたであろうこのポテトバッグの凄さ!

ただ袋を開けて芋を植えて、適宜水やりさえすれば勝手にグングン大きく育っていく。樹勢の勢いは他の品種よりも旺盛!? と思うほどしっかり育ち、まさに放ったらかし袋栽培。

3月に植えた芋は順調に成長し、そして葉も枯れて、とうとう収穫の時期がやってきた! 袋を切って広げてみると、培養土にぎっちり根が張っている。ワクワクしながら培養土をかき分けていざ収穫してみると……。普通サイズの芋が2個と小さな芋が4個の、計6個、重量にして236gしか収穫できなかった(笑)。

揚げると水分が飛んで、重さが大体4分の1程度になるので、ポテトチップス1袋にも満たない。SNS上ではみんな私の3〜4倍は収穫できているのに。おかしいぞ(笑)! こんなにポテトバッグの素晴らしさと感動を書き連ねながら、私の収穫量のしょぼさよ! 敗因はおそらく水の量が足りなかった。ズボラ栽培で頻繁に水やり忘れたりしてたので反省。

にしても、本当に手軽で楽しかったポテトバッグ栽培。また次期発売の際にはリベンジ栽培するぞー!

めちゃくちゃオススメなので、みなさんもホームセンターなどで見つけた際はポテトチップスを育ててみて欲しいなぁと思うのです。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。