ぷーこの家電日記

第427回

将来の画伯? デジタルネイティブの実力に震える

季節の変わり目は本当に苦手だ。今週も絶好調! とはいかず、五月病じゃないけれど、体も気持ちも何だか曇天。ちょうど週末に絶対にやらねばならないタスクを2つほど抱えていて、「やらなきゃ」という気持ちと「やりたくない」という気持ちが自分の中でドロドロと混在していて、ダラダラと過ごしながら時間だけが過ぎていく。

そして現実逃避のようにWeb漫画などを読み始め、課金まで止まらない。頭の中では「仕事しなきゃ!」という気持ちだけは強いので、何もしてないのに気持ちだけでやたら疲れるし、やらなきゃいけないことは待ったなしな訳で、無駄に久しぶりの徹夜。もう自業自得というよりも自業地獄を味わってしまったのです。もうバカバカバカ! と自分でも呆れるくらいのダメ人間っぷり。あー、しんどかった!(笑)。

さて、普段私は本連載をiPadとApple Pencilを使って描いている。イラストはProcreateというアプリを使っている。もうiPadとApple Pencilがないと生活に支障が出まくるほど使っている。かと言って、かれこれ5年ほど使い続けている癖に、ほとんど上達も進歩もしていない。少しは勉強したりしているので、全く上達していないということもないのだけれど、まぁ基本何も変わっていない。

そんな私に結構な刺激と衝撃を与えてくれたのは、絵を描くことが好きで、今までずっと紙とペンで描いていた友人(40歳)だ。1年ほど前にiPadとApple Pencilを買ってから猛烈に絵を描き、猛烈に進化し続けている。描くスピードも増し、苦手だった色付けという作業も難なくこなせるようになり、さらには画風もどんどん広がり、まさに水を得た魚で、スイスイ泳ぐように絵を描いている。手に取るようにわかる成長スピードに度肝を抜かれつつ、凄いなぁと心から尊敬。

そんな彼に刺激を受けつつ、私ももう少し励まなきゃと、再びちょっと勉強したり。そして、そんな彼を見ながら、「大人でもこうして、どんどんと上手くなるわけだから、吸収力半端ないデジタルネイティブ世代がこの道具を手に入れたらどうなるのだろうか。見てみたい……」という好奇心が止まらなくなった。

今年小学5年生の姪っ子。昔から絵を描くのが大好きで、もう少し小さい頃は一緒にお絵描きしたりしてた。お姫様の描き方の簡単Tipsなんて教えたら、それはもう私を尊敬の眼差しで見てくれていたのだけれど、そんな話は今は昔(笑)。とっくに私なんかよりも上手なイラストを描くし、学校で描いた絵も絵画コンクールで受賞したりしている実力派だ。

誕生日プレゼントにはコピックをリクエストされたりするほどにお絵描き好きなのだけれど、もちろんデジタルでの作画も興味あるし、YouTubeなどでも絵師と呼ばれる方々の動画を見たりして研究しているようだ。あぁ、彼女にApple Pencilを握らせたらどうなるだろうか。

「クリスマスでも誕生日でもいいけど、iPadとApple Pencilをプレゼントしたいんだよねぇ」と夫に言うと、「それめっちゃ喜ぶね!」と乗り気。どのカラーのiPadが欲しいかサラっと聞き出して、早速買いに走ってた(子供のデジタル機器の扱いに対する各家庭の方針はさまざまなので、そこは知っておく必要はあります)。「あぁ、僕が欲しい……。でも、僕の100倍は使いこなすんだろうなぁ」と苦笑い。1歳の頃からiPhoneスワイプしてたネイティブはやっぱり違うよね。

そして、先日我が家に泊まりに来たときに渡すと、震えるほど喜んでた。そりゃそうだ。あの憧れの絵師たちが使う道具が自分のものとして目の前にあるのだもの。何も言わずに触った方が早い気もするけれど、私が使っているアプリの機能の概要をザクっと説明。

「あー、ここからレイヤー増やすのかぁ」「あ、このブラシで、サラサラサラ」みたいな感じでこちらがタジタジ。「えっ、そんなショートカットキーが!? 知らなかった」と、逆に私が新しいことを知ったり。つい「もう教えることはない」なぁんて、一度は言ってみたいセリフみたいなものが口から出てしまった(笑)。

あれから2週間。義妹のLINE経由でイラストが届いた。絵師じゃん! 完全に絵師じゃん! 何をどうすればこんな絵が描けるの!? 色付けどうやってるの!? とものすごく興奮する。これだ。これが見たかったんだ! と、正直鳥肌が止まらなかった。

私たちが子供の頃にiPadがあったら、私はどうだったんだろうか。なぁんてよく妄想しつつ、羨ましさを感じていたけれど、姪っ子を通してそれを体験させてもらっているようで私の気持ちまで満たされる。そして、iPadは、使う人と使い方次第で、本当に何にでもなれる凄い道具だなぁとしみじみ感じる。感受性あふれるこの時期に、たくさんのことを見て感じて表現していってほしいなぁ。「伯母ちゃん、今のうちにサインでも貰っておこうかしら」なぁんて本気で考えているのであります(笑)。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。