ぷーこの家電日記

第428回

大好きな中華ちまきは思い出の味

とうとう6月に入った。夏みたいに暑かったり、雨が降ってムシムシしたり、ちょっと苦手な季節がやってきた。東京の梅雨入りは6月12日前後らしい。エアコン入れようかなと思いながらも、「フィルター掃除しなきゃ」と面倒を後回しにしていてまだ使っていない。

窓を開けていたら丁度気持ち良い季節。空から落ちてくる雨粒に、猫たちが釘付けで並んでじーっと見ている姿が非常に可愛い。エアコンクリーニングを専門業者に依頼したいなぁとも思いながら、なかなかお願いできずにいる。ああいう自宅で作業してもらう系って、自分がどこで何をして過ごすのが正解なのか、いまだによく分からない。横にベタ付けで見られていても困るだろうし、別の部屋にこもるのもなんか違う。同じ空間でシーンと時間が流れていくのも妙に緊張するし、かといってベラベラ喋るわけにもいかない。何が正解なのか、FAQとかに書いておいてほしい(笑)。

さて、話は変わって、私が好きな食べ物について。挙げればキリがないけれど、この頃ちょこちょこ作っては「やっぱり美味しいなぁ」と思っているのが中華ちまきだ。

ものすごく久しぶりに中華ちまきを作ったきっかけは半年ほど前。「もち米の玄米って食べたことあります?」と、友人が美味しいからちょっと食べてみてと新米で分けてくれた。そのまま炊いて食べようかとも思ったのだけれど、ふと思い出して中華ちまきを作ったらそれはそれは美味しくて、「やっぱり好きだ!」ってなったし、先日友人へ送ったら、中華ちまきが美味しい! と結構好評だったこともあり、調子に乗って続けて作っている(笑)。

朝お弁当を作る気力は起きないのだけれど、冷凍庫に入れているちまきを2個ほどポイっと弁当袋に入れて出社すると、フリーズドライのスープを付けるくらいでお手軽ランチにもなってすごく優秀だし、小腹すいたときも温めて食べればいいし、常に冷凍庫にストックしておきたいもの上位にしっかりと刻み込まれた。

そんな中華ちまきを作っていると、ものっすごく懐かしい記憶が芋づるのように出てきた。中華ちまきは、味が好きということもあるけれど、私にとってはもっと特別な食べ物だ。

子供の頃、我が家はほぼ外食をしない家だった。外食するのは私たち兄妹の誕生日のときに八仙閣という中華屋さんに行くのと、クリスマスにはケンタッキー、そして長く入院していた祖母のお見舞いに行くときにたまに寄るうどん屋さんくらい。母の作る料理は美味しく不満などもちろんないのだけれど、普段と違う味付けの外食は非常に特別で心躍った記憶がある。

外食以外で同じく心躍る記憶は、父からの手土産だった。私の父は昭和のいわゆるモーレツサラリーマンという感じで、私たちが起きている時間に帰ってくることは少なかった。そんな父が年に数回なのだけれど手土産を持って帰ってくれる。営業職だった父なので、おそらく接待なんかの帰りに買っていたのだろう。福岡の繁華街中洲で買ってきてくれる中華ちまき。それが強烈に美味しくて、猛烈に覚えている。中に入っていた栗の甘露煮とうずらの卵が美味しすぎて、先に食べようか最後まで取っておこうか真剣に悩んでいたもんだ。中華ちまきを食べると、ちまきの味と共にあの頃の色んな記憶が蘇ってくる。またあの中華ちまきが食べたいなぁ。

そしてもう一つの手土産はミスタードーナツ。それもきっと飲んだ帰りに買っていたと思われる。バス停とタクシー乗り場の目の前にミスタードーナツがあったのだ。朝起きたときにミスドの箱が2つテーブルの上に置いてあるのを見つけた日は歓喜の声を上げたもんだ。普段は緑茶しか飲まない父がコーヒーなんて飲むもんだから、「お父さんってコーヒー飲むの!? カッコいい!」なんて思ってた。よく分からないけれど、私の中でコーヒーを飲む大人はオシャレなイメージがあったのだ(笑)。

そしてあの頃は、購入金額に合わせてもらえるスクラッチカードが付いていて、それを削るのもものすごく楽しみだった! そしてその削ったスクラッチカードで引き替えてもらったオサムグッズのお皿がすごく好きだったのだ。私があまりに喜ぶもんだから、父はドーナツを大量に買いすぎて、母から叱られたりしていた(笑)。

私が1番好きだったドーナツは現在はもう販売されていない。ドーナツ生地の上にキウイやブルーベリーのジャムが乗っていて、ぐるっと生クリームがかかっているドーナツ。調べてみると「アメリカンフルーツ」という商品らしい。あの頃の私にとって、世の中で1番オシャレで美味しい食べ物くらいの位置付けだった気がする!

大人になって久しい私、外食だってするし、食べたいなって思うものを自分で好きに買ったりもできる。でも、あの子供の頃に感じたセンセーショナルな体験はもうできないんだろうなぁ。軽いホームシックにかかりつつ、自分で作った中華ちまきをもぐもぐと食べているのであります。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。