そこが知りたい家電の新技術
パナソニック、伊賀のLEDシーリングライト工場をメディア初公開
by 阿部 夏子(2015/1/27 07:00)
パナソニックは、スポットライトを3灯搭載したLEDシーリングライトの発売を記念して、三重県・伊賀市のLEDシーリングライト工場を初めてメディアに公開した。
今回発売したのは、スポットライトを外周に3つ搭載したLEDシーリングライトで、1台で様々な灯りを演出できる点が特徴。8畳用「HH-LC514A/515A」と12畳用「HH-LC714A/715A」が用意され、デザインの異なる4機種がラインアップされる。価格はいずれもオープンプライスで、店頭予想価格は8畳用が5万円前後、12畳用が7万円前後。
新モデルは、従来のLEDシーリングライト同様、メインの灯りがあるほか、裏面にも4つのLED光源を配置、本体周囲には3つの可動式スポットライトを配置する。可動式のスポットライトは、軽い読書が可能なほどの明るさをもち、それぞれ外側に約45度、内側に約30度、円周方向に約25度、個別に調整可能。各ライトの調整は、手動で行なう。例えば、メインの灯りとは別に絵を照らしたり、観葉植物を照らしたりするなど、手軽にスポットの灯りを取り入れることができる。
パナソニック ライティング事業部 住宅商品グループの森哲氏は「一昔前ならば、リビングにテレビが1台あって、家族がみんなそこに集まって、団らんというのが当たり前だったが、現在はスマートフォンやタブレットの登場によって、リビングに家族がいても、同じことをしているとは限らなくなってきた。家族の様々なライフスタイルに対応でき、1室複数灯のような演出もできるのが、今回の新製品。LEDは、ノーベル賞受賞によって非常に注目を集めている。省エネだけではない、LEDだからできるより上質な空間を演出するあかり文化を作っていきたい」と語る。
部品8割を内製化する伊賀工場
製品を作っているのは三重県にある伊賀工場。伊賀工場は、2000年に操業を開始した工場で、パナソニックの家庭用LEDシーリングライトはほぼ伊賀工場で生産されているという。同工場のLEDシーリングライトの累計生産台数は約2,000万台で、現在約370名が勤務する。
伊賀忍者で知られる場所で、発表会には伊賀忍者も登場した。三重県という立地については大阪と名古屋のちょうど中間で、輸送ルートに優れた場所ということで選ばれたという。
伊賀工場の特徴の1つが、部品の約8割を内製しているという点。これは、家電生産工場としてはかなり多い比率だ。部品も多く作っている工場だけあって、中には大きな機械がところせましと並ぶ。以下、工場の様子を写真で確認いただきたい。
・アルミの本体カバーをあっという間に作る
まず見せてもらったのは、LEDユニットなどを取り付ける本体カバーの製造工程。全部で5工程から成り、アルミの板がプレス機を通過して、あっという間に本体カバーが完成してしまう。このほか、撮影はできなかったが、同じフロアでアダプタや金属カバーなど主要部品の加工も行なっていた。
・LEDの光を拡散するレンズ部
続いて見学したのは、レンズの生産工程。非常に重要な部品の1つで、LEDシーリングライトの明るさは、LED発光量とレンズの拡散度合いによって決まるという。パナソニックのLEDシーリングライトは、独自の技術によって、適用畳数基準内で最大光量の明るさを実現している。
レンズは、チップ状のアクリルから作られる。いずれも全自動の機械を用いており、人の手が入るのが最終段階の点検工程のみだ。
・カバー成形工程
シーリングライトの一番外側に見えるカバーも内製している。板状のプラスチックがあっという間に成形されていく。
・組み立ては女性の手で
最終工程となる組み立ては、5工程からなる。いずれも女性が担当しており、「細かい作業は女性の方が得意」だという。今回の新製品では、8畳用と12畳用に加え、カバーのデザインが異なる全4機種がラインアップするが、製品を間違えないように随所に工夫が光る。
例えば、LEDユニットには小さく12と印刷されている。これは、12畳用の製品という意味。8畳用の製品と混合しないようにしている。また新製品では、裏側にも全部で4つのLEDを配置するが、その配置場所を間違えないように、箱に目印のマーク付けるなどしていた。