10分こそうじ

もしもの時、すぐに使えますか? 防災備蓄は収納場所も大事なポイント

年に一度の大掃除より、日々の“小”掃除。整理収納アドバイザーとお掃除スペシャリストの資格を持つ筆者が、1日の終わりに10分でできる掃除や片付けのポイントをお伝えします
安価で揃う防災時に役立つグッズ

今年の夏は「災害級の暑さ」と報じられるほど、危険な気温が続きました。防災と聞くと、「地震」「台風や豪雨」などを思い浮かべますが、「暑さ」もそれらと同じように自然災害と捉え、対策が必要です。

また、これまで「備えること」が重視されてきた防災の考え方から、「使う」場面をさらに意識しなければならないと考えます。

整理収納アドバイザーの立場からお伝えしたいのは、「必要な時に、必要な物がすぐ取り出せること」が命を守る第一歩だということです。家のどこに置いておくか、普段からどう使っておくかが、もしもを乗り切るカギとなります。

ただ、実際には「何を揃えたらいいのか分からない」「高価なものはなかなか手が出せない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

防災の備えは特別なものではなく、日常生活の中にあります。普段、馴染みのある雑貨店やスーパー、100円ショップで手に入るものでも、十分に防災に役立ちます。買い物のついでに備えましょう。

3COINS(スリーコインズ)などの雑貨店にも、防災用備蓄品が販売されています

安価でそろう防災グッズ(100円台〜3,000円台)

防汚・収納・衛生

ポリ袋・ジッパー付き袋:貴重品の防汚のほか、ゴミ袋として使う、ニオイ対策、調理器具代わりにも
ウェットティッシュ・シャンプー:水が使えない時の清潔維持に
マスク:感染症・ホコリ対策
紙皿・割り箸・紙コップ:洗う必要がなく衛生的

災害時の安全・連絡

懐中電灯:停電時に必須(ホームセンターで入手可)
電池(単一〜単四):懐中電灯やラジオに使用
モバイルバッテリー:スマホ・明かりの命綱。容量・機能を要確認
笛(ホイッスル):助けを呼ぶための命を守るアイテム

食事・調理関連

アルミホイル・ラップ:食器を汚さず使用できる、保温や調理にも
レトルト食品・缶詰:日常でも使える常備食
カセットコンロ用ガスボンベ:調理・お湯を沸かすため
ウォータータンク:給水・備蓄用

ケガ・防護

軍手・ビニール手袋:片付けや瓦礫でのケガ防止
レインコート・ポンチョ:雨対策(薄すぎるものはNG)
エマージェンシーシート:保温・簡易毛布として

暑さ・寒さ対策

カイロ(使い捨て・貼るタイプ:停電時や避難所での防寒
うちわ:暑さ対策。濡れタオル+うちわで体感温度を下げる

安価品で注意したい防災グッズ

懐中電灯・ランタン

明るさが十分なものを選ぶ。防災用には「防水」「長時間点灯」のものや、信頼できるメーカーの製品がおすすめです。

電池

長期保存用の「アルカリ乾電池」や信頼あるブランドを選ぶのが安心。ただし液漏れしやすいため、保管方法には気を付けなければいけません。直射日光や高温多湿の場所を避けて、10~25℃の適切な環境で保管しましょう。冷蔵庫での保管もNGです。さらに、機器から取り出して保管している乾電池もテープなどで絶縁をしておく必要があります。

また高価ですが、リチウム乾電池はアルカリ乾電池よりもパワーが大きくて長寿命。液漏れもしにくいですが、使用機器によっては正常に作動しない場合があります。

モバイルバッテリー

容量が小さすぎてスマホを1回も満充電できないものも。また、発熱や発火のリスクもあるため、電気用品安全法の基準を満たしていることがわかる「PSEマーク」が付いているものを選びましょう。

レインコート・ポンチョ

生地が薄すぎて破れやすいものは、風雨が強い災害時にはほぼ役に立ちません。

保存水・保存食

賞味期限が短い商品もNGですが、長すぎて忘れてしまうのも危険。普段から使用しながら多めに持つ、ローリングストックがおすすめです。

水や食料は普段から使いながら多めに持つローリングストックを

使う場所に近い場所へ収納

備蓄品は、使う場所に近い場所へ収納しておきましょう。例えば、懐中電灯は寝室や玄関に。キッチン収納にはガスボンベやラップをストック。

さらにローリングストックを習慣にして、レトルト食品や電池は「使ったら補充する」をルール化すると無駄がありません。

また非常用品をしまい込まず、「ここにあるよ」と家族全員がわかる状態にしておくことも大切です。

防災は「いつかのため」ではなく、「毎日を安心して暮らすための工夫」です。無理なく、少しずつ、身近な場所で手に入るアイテムから備えていきましょう。もっとシンプルな考えで、もしもに強い防災備蓄ができます。

丸 マイ

整理収納アドバイザー、クリンネスト(お掃除スペシャリスト)講師。個人宅の整理収納サービス「mawaru暮らし」主宰。片づけ苦手主婦だった自身の経験から、楽に片づく収納提案を行なっている。ほかにも、子供からシニアまで幅広い層へ片づけや掃除の楽しさを伝える講師としても活動中。