老師オグチの家電カンフー

電気料金バカ高時代に、あえてスチーム式加湿器を買う!

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
象印マホービン「スチーム式加湿器 EE-RR35」

昨年まで使っていた加湿器をリビングに移動したため、仕事部屋の乾燥がひどいです。湿度計の表示は30%前後まで低下。目や喉も乾燥がつらくなってきたので、新しく加湿器を買うことにしました。

条件は第1に小さいこと。なにせ仕事場のスペースが狭いので。加湿器にはいくつかのタイプがありますが、もっともコンパクトなのは超音波式です。ただ超音波式は周囲が水浸しになるなどデメリットが多いので除外。ハイブリッド式は加湿能力と省エネのバランスが良いですがサイズが大きめ。かつ、お値段も張ります。出費を10,000円前後に抑えたい。価格が第2の条件。

そして第3の条件がメンテナンスフリー。フィルターを定期的に洗うのは手間ですし、放っておくと菌が繁殖し、酸っぱい匂いがする。あれがどうしても嫌なんですよね。

となると必然的にスチーム式から選択することになります。コンパクトで価格も比較的安く、メンテナンスが簡単。弱点は電気代がかかりがちなこと。電気代が高騰しているこのご時世にスチーム式かよ。そんな声も聞こえてきそうですが、ここは“あえて”のスチーム式です。

購入したのは、象印マホービン「スチーム式加湿器 EE-RR35」。適用床面積は16m2(集合住宅/プレハブ洋室で10畳)と、6畳の仕事部屋には十分、かつコンパクト。購入価格は、11,640円でした。

スチーム式加湿器の構造は、そのまんま電気ポット。見た目も似ています。フィルターレスで、がっつり沸騰させるので雑菌も繁殖しにくい。ヤカンでお湯沸かして加湿するのと同じですからね。ただ、蒸気をそのまま出すのではなく約65℃まで冷まして加湿する仕組みのため、安全性は確保されています。

上ぶたを開けた様はまるっきり電気ポット
上ぶたの部分で沸騰した蒸気を約65℃まで冷まして放出する

さらにヤカン加湿と違うのは、湿度を一定にコントロールできること。湿度表示は、ハイブリッド式で一般的なデジタルではなく、「低湿」「適湿」「高湿」の3段階。「低湿」が37.5%未満、「適湿」が37.5%〜67.5%未満、「高湿」が67.5%以上という区分ですが、これは象印が独自に設定する「体感湿度」で、湿度計に表示される数値とは異なります。同じ湿度でも、気温が低いほど乾燥しているように感じるため、例えば、気温が20.8℃で湿度47%でも、体感湿度は「低湿」だったりします。だいたい10%前後の開きがあります。

運転モードは、自動モードの「ひかえめ」「標準」「しっかり」と「強」「弱」の計5種類。「ひかえめ」は体感湿度40%、「標準」が50%、「しっかり」が60%にコントロールします。

水位線には加湿時間の目安も書かれています

がんがん湯を沸かして加湿するので、部屋の湿度は順調に上がっていきます。その分、「シューーーーッ」「ボワボワボワボワ」という音がそれなりにします。一応、「湯沸かし音セーブ」という機能も備わっていますが、仕事中はノイズキャンセリングのイヤホンをしているので、使わなくても気になりません。あとスチーム式は室温が上がることがデメリットと言われますが、使うのは冬場なのでむしろ暖房の助けとなっていると考えれば問題なしです。

最大の懸念である電気代ですが、加湿時の消費電力は305W。高く見積もっても1時間あたり10円ぐらいですかね。6時間稼動で60円、1カ月(30日)1,800円。24時間稼動で1カ月7,200円。実際は湿度が上がれば運転が止まるので、ここまでは行かないと思いますが、どうなんだろう?

来月の電気料金請求がちょっと怖いですが、目や喉はだいぶ楽になりましたし、ヘンな風邪を引くよりは安いと思いたい。快適さとコストは、家電に限らず永遠のテーマですね。

操作部
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>