老師オグチの家電カンフー

そこらの高級腕時計より金がかかる受験のためのアナログ腕時計

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
カシオ「スタンダード MQ-24-7B2LLJH」(購入価格はヨドバシドットコムで1,540円)

あけましておめでとうございます。仕事始めに加えて発生しているのが、長男の大学受験のための作業です。今どきの出願はオンライン。Web出願でも大学によって手順が違い、それぞれクセがあるので、それなりに面倒くさいです。

DXが進んでいる受験手続きですが、実際の受験現場ではまだまだアナログが優位。そのひとつが、受験生が会場に持ち込む腕時計です。当然のことながら、スマートウォッチの類は禁止。昨今はネットを利用したカンニングが発覚し、制限はさらに強まるのではないでしょうか。

だいたいスマホが普及しているので、普段腕時計をしている高校生は少数派。息子も模試では親や姉のを借りていましたが、せっかくなので、受験用に腕時計を買ってやることにしました。

受験生に人気なのは、アナログの腕時計。時間配分や残り時間の確認がデジタルよりも分かりやすいからです。そしてアラーム機能は不要。確かに、試験中にアラームが鳴り出したらパニックになりそうです。うちの息子はおっちょこちょいなので、文字盤はアラビア数字であることもマストです。

以上の条件で選んだのは、カシオの「スタンダード MQ-24-7B2LLJH」。時間を見る以外の機能は、日常生活防水ぐらい。電池寿命は約3年と、仮に浪人しても買い替えずに済みそうです。そして、購入価格は1,540円。今どき100均でも腕時計は買えますが、昭和の感覚で言えば激安。何より信頼のカシオ製です。

タイトルの「高級腕時計より金がかかる」は“釣り”ですが、実際受験だけでも結構な出費ですからね。私立大学の受験料は35,000円が一般的で、5つ受けたら175,000円(さらに手数料もかかる)。学部・学科ごとの一般受験以外に「共通テスト利用」やら「全学部共通」といったオプションも用意されていて、それらを加えていくと10個ぐらい行く人も珍しくありません(計35万円)。学力はもちろん経済力も試されるのが受験であり、「お前が芦田愛菜だったらなぁ」なんて嫌味&愚痴も出てきますよ。

そんな折、首相の「異次元の少子化対策に挑戦」、都知事の「18歳まで月5,000円給付する」発言がニュースになっております。が、本当に金がかかるのは18歳からです。まぁ義務教育じゃないからってことなんだろうけど、私のまわりでも税理士含めて金勘定のできる人は「将来の教育費を考えると子供は1人が限度」って言っていますからね。いやはや。

受験生の皆さんのご健闘をお祈り申し上げます。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>