老師オグチの家電カンフー

自動ソープディスペンサーと正しい手洗い

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
MISEDI「ソープディスペンサー SC-560」(Amazonでの購入価格2,580円)。容量は400ml、IPX4生活防水。Amazonのレビューを読むと初期不良も多いようですが、中華製品ならではのガチャ感をお楽しみいただければと

正しい手洗いとはなんでせうか。なんとなく旧い仮名遣いで書いてみましたが、皆さんどのような順番で手洗いしてますか。一般的には次のように解説されることがほとんどです。

【手順A】

  1. 手指を流水で濡らす
  2. 石けんを手のひらに取って泡立てる
  3. もみ洗う(手のひら/手の甲/指の間/手首)
  4. 流水ですすぐ
  5. タオルで拭く

実際、この手順で手洗いしている人は多いでしょう。とくに固形石けんでは、これ以外の順番は考えにくいです。しかし、液体石けんに泡タイプが登場してからは、次のような順序でも手は洗えますよね。

【手順B】

  1. (泡タイプの)石けんを手のひらに取る
  2. もみ洗う(手のひら/手の甲/指の間/手首)
  3. 流水ですすぐ
  4. タオルで拭く

よほど土ぼこりなどで手が汚れてない限り、最初に泡タイプの石けんで手をこすり洗いしても効果は変わらない気もしますが、どうなんでしょう。どこぞの研究機関で実証してほしいです。

この方法に対しては、「泡タイプでも最初に手を水で濡らした方がスムーズ」「石けんの付いた手で水道のハンドルを触ると泡をその後流さなきゃならない」といった意見もありそうです。個人的に採用していたのは、右手で泡タイプの石けんを受け取りつつ、左手で水を出し、もみ洗ってすすいだ後に水を止める方法です(このあたりはセンサー式の蛇口にすれば解消しますが)。

改めてそれぞれの手順の利点と欠点を列挙してみましょう。

【手順A(水で濡らしてから石けん)】
〇 流水であらかじめ汚れを落とせる
〇 ソープディスペンサーに手の汚れが付きにくい
〇 石けんがスムーズになる
× ソープディスペンサーまわりが水で濡れる
× 水道のハンドルが汚れやすい

【手順B(最初から石けん)】
〇 ソープディスペンサーまわりが水で濡れない
〇 水道のハンドルが汚れにくい
× ソープディスペンサーに手の汚れが付きやすい
× 最初の水洗いがないので汚れが完全に落ちるか不安

手順Aの「ソープディスペンサーまわりが水で濡れる」、手順Bの「ソープディスペンサーに手の汚れが付きやすい」を解決するのが、赤外線センサーで作動するオートソープディスペンサーです。コロナ禍で売上げが爆上げしているのでしょう、Amazon.co.jpあたりで検索すると2,000円台、3,000円台の製品がゴロゴロ出てきます。

どの製品のスペックも似たり寄ったりで、違いはデザインと液体石けんの入る容量、電源方式ぐらいでしょうか。今回購入したのは、USBで充電するタイプですが、さほど電力を消費するものではないので、乾電池式でもそう手間やコストは変わらないでしょう。

USB充電式(端子はmicro USB)。2時間の充電で最大3,000回の連続使用が可能とある。4人家族で1人が1日5回使うとして5カ月間使える計算
3~5cmの距離に手を近づけると泡が出てくる。吐出量は2段階(1ml/2ml)に調節可能

適当に注文した製品ですが、とくに不満もなく便利に使っています。センサーで泡が出てくるのはおもしろいので、とくに子どものいる家庭にはおすすめです。手が洗いたくなるし、土の汚れでソープディスペンサーが汚れることもなくなります。

低価格な中華製品の宿命でしょうか、自動ソープディスペンサーのAmazonレビューには「初期不良で動作しない」といったコメントが目立ちます。今回買った製品以外でもです。手荒い評価になるのは致し方ないでしょうね、手洗いだけに……。

日本語の説明書はあるが、「電源ボン」「瓶をいっぱいにして、ハンドソープ」など、かなーりテキトー。まあ、シンプルな機械なので問題ない
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>