老師オグチの家電カンフー

超小型の水筒が地球とアル中を救う!?

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 「ストローがやられたようだな……」

 「フフフ、奴は四天王の中でも最弱」

 「エコごときにやられるとはプラ族のツラ汚しよ……」

 環境負荷の低減を目的として、使い捨てプラ製品を削減する取り組みが世界的に広がっています。やっつけるべき敵とされているのは、ストロー、スプーンやフォークといったカトラリー、スーパーやコンビニのレジ袋などなど……。そんな潮流がありつつも、最後まで残りそうなのは飲料のペットボトルではないでしょうか。350ml、500mlの飲料をビンや缶に戻すのは難しいような気もします。

 しかし一方、自宅で飲み物を用意して、水筒に入れて持ち歩く人も年々増えています。真空断熱の水筒なら、保温保冷が効きますし、なにより節約になります。喉が渇いたなぁと、自動販売機で飲み物を買えば、1本100円~150円。8月~9月に毎日1本ずつなら、6,000円~9,000円の出費となります。自宅で用意できるお茶や水を水筒に詰めれば、かなりお金が浮きます。もちろん、夏期の熱中症対策としても有効です。

 水筒の問題は、かさばることと重さです。シュッとしたイケてるビジネスマンには、「遠足じゃないんだからさあ」と抵抗があるかもしれません。そんな声を反映してでしょうか、最近は200ml、300mlクラスの超小型水筒が増えてきました。今回購入した「POKETLE(ポケトル)」は容量120ml、日本最小を謳っています。その名の通り、ポケットにも入るサイズです。

「POKETLE(ポケトル)」単体での実勢価格は1,300円前後。保温・保冷効力は6時間(保温43℃以上、保冷12℃以下)。カラバリはブラック、ホワイト、ネイビー、カーキ、ピンク、シルバー

 120mlといえば、500mlペットボトルの約4分の1、350mlペットボトルの約3分の1です。容量少なすぎるだろうと思いがちですが、大人がちょっと口を潤したい時のために持ち歩くには十分です。水を入れた状態で重さをはかったところ240g程度で、これは350mlのペットボトルよりも軽い。これなら毎日持ち運ぶのもまったく苦になりません。

 ところで、「スキットル」というアルコール用の小型水筒をご存じですか? 金属製で、平べったくて少し湾曲しているアレです。海外の映画では、アルコール依存症っぽい登場人物が仕事中に懐から出して飲むシーンがよく描かれます。あのスキットルも容量は100mlぐらい。

 実は何年か前に、スキットルを夏場に持ち歩く水筒にしたら便利なんじゃないかと考えたこともありました。しかし、スキットルは入り口が小さく中が洗いにくい。アルコール度数の高い飲料以外は、雑菌が繁殖してしまうので入れないほうがよいとのことで、断念しました。

 逆に、「POKETLE」なら、お酒にも使えるんじゃないと考えたのですが、取扱説明書には「絶対に入れないでください」として、アルコールが書かれていました。人に気づかれずに酒が飲めるいいアイデアだと思ったんだけどなぁ。これ、完全にアル中の発想ですね。

口径は約31mmあり、飲料を入れるのもお手入れも容易
規定の量まで水を入れた重量は240g程度
専用ボトルカバーも別売りで用意されています。カラビナ付きやリュックのベルトに固定できるカバーもあります
イベントなどでいただくペットボトルのお水も、これに移し替えれば冷たさを維持したまま持ち帰れる

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>