e-bike日々徒然

自転車事故のニュースが増えている気がする

写真:PIXTA

たまに見かける……いや最近少し増えたかもという気がする、自転車事故のニュース。なかでも、歩行者と自転車の事故を知ると、いろいろ怖い気持ちになってきます。

とても怖いと思うのは、自転車が歩行者に衝突して、歩行者を死なせてしまったり重傷を負わせてしまった事故。自転車と歩行者の事故では、自転車側の過失割合が高くなることが多く、高額の損害賠償が請求されることがあります。あります……というか、ご存じのとおり、実際にそういうニュースをけっこう見かけますよね。

国土交通省の「自転車の運行による損害賠償保障制度のあり方等に関する検討会」で配布された資料「自転車事故の損害賠償に係る現状について」の一部をご紹介します。データはやや古いですが、高額な損害賠償がどんなものか、ご参考までに。

責任割合(基本)というものがあるそうで、図のような場合の自転車と歩行者の事故では、責任割合が85(自転車):15(歩行者)になるそうです
賠償額が1億円近くなることも

上の賠償額の例で、9,521万円や9,266万円となっている事故の加害者は小学生(11歳)や男子高校生となっています。どう支払うのでしょうか?

未成年者が加害者となると、場合によっては親が賠償金を支払うことになるケースもあるようです。さまざまな要素が絡んでくるので、ケースバイケースでの判断になると思いますが、お子さんの事故の賠償責任を親が背負うケースも出てくるんですね。

それ以外の6,679万円、5,438万円、4,746万円といった賠償額の事故では、成年男性が加害者となっています。これらもたいへんな金額です。どう支払うのでしょう?

多額な貯金があったり、保険に加入していれば支払えるかもしれません。ただ、賠償額を支払えたとしても、賠償責任を果たしただけに過ぎません。

こういった賠償額の事故が起きると、加害者も被害者もその人生が大きく変わってしまいます。悲しみがあり、怒りがあり、後悔があり、絶望もあるかもしれません。相手も自分も、その人生がまったく変わってしまうことでしょう。

そんな不幸を防ぐためにできることとは、なんでしょう? 短絡的に「自転車に乗らなければいい」「道を歩かなければいい」という考えもできますが、そんなことは無理ですよね。

とりあえず自転車保険に加入するのもいいかもしれません。保険で損害賠償が支払えれば、事故から生まれた不幸の一部は緩和されるかもしれません。

しかしそれ以前に、自転車に乗るときのルールやマナーやリスクを学ぶことが大切です。警視庁の「自転車の交通ルール」などのWebサイトで今すぐ学べます。

警視庁「自転車安全利用五則 自転車は、車道が原則、歩道は例外」のページ

とはいっても、未成年の学生などが、そういったページにアクセスして積極的にルールやマナーを学ぶでしょうか? 学んでいる未成年者もいるとは思いますが……そんな気はなしにただ自転車に乗っている未成年者のほうが多いように思います。未成年者のみならず、成年者も同様ではないでしょうか?

自転車に乗っている人は、過去に誰かから自転車の乗り方を教わった人が大半だと思います。乗り方を教わるタイミングで、同時に自転車のルールやマナー、リスクなども教わっていたら、不幸な事故を減らせたのかもしれません。あるいは学校でより徹底して自転車ルール・マナー・リスクを教えればいいのかもしれません。

自動車は、自転車に比べてそのルール・マナー・リスクの教育が行き届いています。免許を得るためには試験があり、そのためにルール・マナー・リスクを学ぶ必要があります。また、自動車はより重大な事故が起きる可能性が高いことから、自転車に比べるとルール・マナー・リスクの教育が徹底しているように見えます。

それでも自動車事故は起きています。多くの自動車事故は、ルール・マナー・リスクをひととおり学んだはずの人が起こしています。

やはり自転車に乗る本人の意識が非常に重要です。本来は便利で楽しいはずの自転車ですが、それが不幸につながることがある。それを十分に考えておきたいものです。また、自転車に乗らない歩行者も、「自転車を走らせる人のなかにはルール・マナー・リスクを意識していない人がいる」と考えるのが無難かもしれません。

スタパ齋藤